…というわけでイプシロンと雷門の試合が始まった。
「…この試合、ジェミニストームを破った貴様らに敬意を表し、3分で決着をつけてやる。光栄に思うがいい」
…相変わらずなこと宣言してるな全く。
最初は雷門ボールでキックオフし、雷門の面々は前線へと上がっていくが、染岡にはクリプトとファドラ、吹雪にはメトロンとスオームの2人が早々にマークについた。
…っていうか角馬、お前はいつの間に雷門ベンチに座ってんの?
そう思いながら、俺とヒロトは雷門がボール回しをする姿を眺める。
「…さすがに、ジェミニストームに勝てる実力はあるみたいだね。
スピードもあれぐらいならジェミニには対応できるはずだよ」
「ああ。ジェミニはスピードに対応できれば対応は単純だ。
あとは、イプシロンの長所をつぶす作戦をどう攻略するか…、さすがにまだそこまでの実力はないだろうけど」
俺はヒロトにそう話していく。
…さて、雷門が手をこまねきながら土門から一之瀬へとボールが渡る。
「…スピニング、シュート!」
一之瀬が放った渾身のシュートはデザームのいるイプシロンのゴールへと向かっていく。
だが、デザームは表情を崩さない。
「…コンマ221秒でジャンプ、打ち返せ」
「「ラジャー!」」
デザームの言葉にこたえるように、ディフェンスラインに残っていたケイソンとモールの2人が同時に打ち返す。
…そして、そのボールは土煙を上げながら勢いよく雷門ゴールへと襲い掛かる。
壁山と塔子がそれぞれ必殺技でボールを止めたが、ボールは真上へと打ちあがる。
これに対応するように吹雪が反応し飛び上がるが、メトロンとスオームの2人もしっかり付いていく。
…だが。
「もらったぜ!」
吹雪はその2人を踏み台にしてさらに飛び上がる。
「エターナルブリザード、行っけええええ!」
吹雪の代名詞であるエターナルブリザードが放たれ、ロングシュートとなるがその勢いは衰えない。
だが、デザームは軽くニヤリとして右手でボールを抑えに行く。
…大きな爆発があった。吹雪も手ごたえはあったみたいだが…、ボールはデザームの手のなかであった。
「何だと…!?」
吹雪は驚いているが、俺とヒロトが気になったのはデザームだ。
地面には踏ん張って軽く後ろに行った跡、そしてデザームは軽くボールを見つめる。
「…デザーム、今のシュートで何か感じたみたいだな」
「ああ、マスターランクのチーム以外で押されるなんて初めてだろうからね。やっぱりあの吹雪ってやつはなかなかの強さ持ってるよ」
そしてデザームからボールが放たれ、イプシロンの反撃が始まった。
ボールがつながり、雷門の守備陣の間をスイスイと躱していく。
雷門側がそれに対してカバーに行こうとするが、それに対応するようにブロックしていく。
そしてボールは最前線のゼルに入り、必殺技の態勢に入る。
「ガニメデプロトン!」
ゼルから放たれたボールは円堂が守るゴールに襲い掛かる。
「爆裂パンチ!」
ゴッドハンドが間に合わないと判断した円堂は爆裂パンチを放つが、威力を封殺することはできずにゴールへと突き刺さった。
…手元で計測していたタイマーはデザームが宣言した時間まで残り2分半を示していた。