「…次は愛媛、…ですか?」
自室で休んでいたところ、俺は父さんに呼び出された。
話すことには愛媛に行ってほしいとのこと。
「そうです。引き続き雷門の監視をお願いしますね」
「えーと、でもイプシロンは待機中ですし、ウチのチームってもうマスターの3チームしか残ってないはずでは…?」
俺が怪訝そうに聞くと、父さんは「エイリア学園のチームではありません」と告げる。
「あなたは影山零治という男を知っていますか?」
…ってことは真・帝国編か、あんまり好きじゃないんだよなこの試合…。
「…ええ、勝つためには手段を選ばない男…ですよね?
ただ、フットボールフロンティアが終わって逮捕されたはずでは?」
「その通りです。彼は逮捕されていましたが、脱走しました。
そして最近ある学校を作ったのです、『真・帝国学園』という学校を」
父さんはそのまま話していく。
「…彼が話すことには『雷門を潰したい』とのこと。
そして一緒に来た生徒の一人は「エイリア学園に入れてほしい」と伝えてきました。
雷門を倒すことについて利害が一致しましたので私はエイリア石を彼らに渡しました。
マスターランクには匹敵しないとはいえ、イプシロンレベルには引き上げられているでしょう。
…その真・帝国学園と雷門の試合を見に行ってほしいのです。
雷門だけでなく、真・帝国学園の生徒たちも我々の仲間にするべきかどうか見てきてください」
「…分かりました」
俺は父さんの言葉にそう返した。
◇ ◇ ◇
「…嫌なんだよな、この試合」
愛媛に来た俺は改めてそうつぶやく。
…この試合は俺たちエイリア学園にとっては何の価値もない試合だ。
ただただ、お互いの選手たちがつぶれていく…、そんな試合である。
とはいえ、これも仕事だ。やるしかないだろう。
「…お、お前がエイリア学園のやつか?
どんな奴が来るのかと思えば俺と同じ子供で拍子抜けしたぜ」
こいつは…。
「…真・帝国学園の生徒だな?
俺はトライ。エイリア学園皇帝の使者として雷門との試合を見に来た」
「不動明王だ、真・帝国学園のキャプテンやってる」
不動明王、挑発的な物言いやラフプレーが多いが、ゲームメイカーとしては一流なプレイヤーだ。
「それで、雷門は来るのか?」
「ああ、影山の名前を使ったんだ。あいつらなら来ないほうがおかしいと思うぜ?」
不動は俺にそう話してくる。まあ因縁を持つ雷門なら来るだろう。
「…伝わってると思うが、この試合に関して俺たちエイリア学園としてはエイリア石の提供以外ノータッチだ。
俺たちの名前や皇帝陛下の名前を使うんじゃねえぞ?」
「ああ、ずいぶんと用心深いんだなあ、エイリア学園さん?
そんなこと言われなくても話すつもりなんて毛頭ねえよ」
「残念ながらエイリア石の情報は最重要機密と教えられててな。
用心深くならざるを得ないんだ」
「へえ、そうかよ」
不動はリフティングしながら俺との話を続ける。
「それで?俺のエイリア学園への編入の話はどうなってんだ?」
…まあ、父さんが時限爆弾みたいなこいつを完成されてるうちのチームのどこかに入れるとは思えないけど。
「今は保留で変わらない。
この雷門との試合で勝利し、活躍すること。それが最低条件だ」
「なるほどねえ…。あくまで俺しだいってことかよ」
不動はそう言って俺から離れていく。
「まあアンタらを退屈はさせねえさ。
俺がエイリア学園の奴らと変わらねえってところを見せてやるよ」
不動は「そのうち浮かんでくるから勝手に乗っとけ」と話してその場から去っていった。