「流石に、見づれえなあれ…」
佐久間が鬼道にボールをぶつける姿を見てそう呟く。
「…エイリア石に洗脳されているとはいえ、か…」
ちなみに、今日の俺はエイリアモード。
父さんから「今日はそちらの方が良いと思います」と言われたからである。
なぜ今日はエイリアモードなのかは知らないが…。
とりあえずはこのまま試合を見届けさせてもらいますかね。
◇ ◇ ◇
いつのまにかこの潜水艦に乗り込んでいた角馬の実況のもと、試合が開始された。
初めは真・帝国ボールである。
「佐久間、見せてやれよ。
お前の力を!」
不動からそう言って佐久間にパスが出される。
ペナルティーアークの少し前の位置で佐久間は動きを止める。
佐久間は一呼吸おいたあと、唸り声を上げる。
それに勘づいた鬼道は急いで佐久間の元へと走っていく。
だが佐久間はそんな鬼道には視野にも入れず、呼び笛を吹く。
「やめろ、佐久間!
それは、禁断の技だーッ!」
鬼道がそう叫ぶが、地面から生えてきた赤いペンギンたちは佐久間の足へと噛みついていく。
「皇帝ペンギン、1号!」
その言葉と同時に放たれたボールはとてつもない威力で雷門へと襲い掛かる。
円堂はゴッドハンドで対応するが、ボールの勢いは衰えずに雷門ゴールへ突き刺さる。
「…あれが、皇帝ペンギン1号…」
…威力だけならウチのマスタークラスと変わらないんじゃないか?
初めて見た俺はそう思ってしまった。
だが、あの技はその分反動がエグい。
打つ度に全身に痛みが走り、1試合に打つのは2回が限度。3回打てば2度とサッカーが出来なくなる。
帝国で作られたが、禁断の技として封印されるわけである。
「いくら勝つためとはいえ、あの痛みを覚悟して3回も打てるかよ、1回でも打たせたくねえよ…」
…俺の素直な気持ちはこうだった。
ヒロトたちが父さんのためにこの技を使おうとすれば、俺は無理矢理にでも止めていると思う。
どうやら佐久間は「勝つためなら何度でも打ってやる」らしいが…。
そして試合は雷門のキックオフで再開される。
「思い出せ!これが本当の皇帝ペンギンだ!」
鬼道はそう言い放ち、染岡と一之瀬がその技の体勢に入る。
「皇帝ペンギン!」
「「2号!」」
威力は落ちるが3人で打つことにより負担を下げたのが皇帝ペンギン2号。
まさに1号の改良型とも言えるシュートが真・帝国のゴールへ襲い掛かる。
だが、ゴールを守る源田は動じなかった。
「ビースト、ファング!」
両手を獣の牙のように噛み伏せるようにして、源田はボールを止めた。
だが、源田も佐久間と同じようにその場に倒れ込んでしまう。
「ビーストファングも1号と同様に体への負担が大きい技…、原作じゃ1号と比較すると触れられていない技だけどな」
佐久間にボールを渡せば皇帝ペンギン1号のリスク、かたやシュートを打てばビーストファングのリスク。
2人とも禁断の技をもってこの試合を制するつもりだ、使用する危険性は非常に高いだろう。
この試合、佐久間と源田を勝って目を覚まさせると同時に、2人を怪我させずに試合を終わらせるって追加オーダーが発生したか…。
「…姉さん、ホントにこの試合を続けていいんですか?このままじゃ…」
俺は雷門ベンチで試合を見守る姉さんを見てそう呟いた。