「皇帝ペンギン、1号!」
その言葉と共に佐久間は2発目の皇帝ペンギン1号を放つ。
佐久間が体全体を痛め、尋常じゃない声を上げるが、それを代償に放ったシュートは勢いよく雷門ゴールへと襲い掛かる。
円堂はマジン・ザ・ハンドの体勢に入るが、その前に鬼道が立ちはだかる。
「…ぐっ!!」
鬼道は皇帝ペンギン1号をブロックしたが、耐え切れずにボールは雷門ゴールへと向かっていく。
…だが、円堂がマジン・ザ・ハンドの体勢に入るのには十分だったようだ。
「マジン・ザ・ハンド!」
円堂はそのボールをしっかりと止めるが、鬼道と共にその場に倒れこんでしまう。
…敵味方問わず、体の限界に近づき始めている。
傍観者であるとはいえ、このままで進めていいのかこの試合。
経過時間は既に終了時間近く、1-1ではあるがどちらかにあと1回チャンスがあるかどうかだろう。
「…佐久間ッ!」
そして不動のラフプレーギリギリなタックルにより、ボールを奪い、ボールは佐久間へと渡った。
「これで決めるッ!」
…3発目。鬼道の言葉通りならこれを打てば佐久間は二度とサッカーが出来なくなる。
佐久間には皇帝ペンギン1号を打たないという選択肢は…ない。
…この時の俺がなんであのようなことをしたのかは分からない。お日さま園の誰かだったら…とでも思ったのだろうか。
俺は、足元に置いていたエイリアボールを佐久間がいる雷門のゴール前に蹴っていた。
◇ ◇ ◇
「な、なんだ…!?」
雷門、そして真・帝国学園の面々、フィールドにいる全員がエイリアボールの着弾と共に起こった砂煙を見って驚きの表情を見せる。
そんな中、不動が俺に視線を向ける。
「…おいおい、『この件にエイリア学園はノータッチ』じゃねえのかよ、トライ!」
…こうなったら、仕方ないな。
俺は屋根から飛び降り、フィールドに着地する。
「俺だって、こんな登場はしたくなかったんだけど。
…円堂、そして雷門のみんな、久しぶりだな」
「外裂…!なんでここに来てるんだ…?」
「それと今のボールはお前が蹴ったのか?
後、その恰好は…!」
「すまねえな、騙したことになっちまってよ。
こっちが俺の本当の姿、「トライ」って言うんだ」
俺はそう自分の正体を明かす。
「外裂…、お前宇宙人だったのか…!?」
円堂の言葉に、俺は「そういうことになるね」と返していく。
「奈良でジェミニストームと戦った時から、俺はお前たちを見てたんだ。
北海道にいたのも本来はお前らの監視のために行ってたんだ。
あの時の言葉は全部嘘だよ」
俺はそう話して、そのまま続ける。
「…この試合の終了を俺は要求しにきた。
「ああ、確かにもうほとんど残っていないが…」
俺がそう聞くと、古株さんは時計を確認してそう話す。
「佐久間と源田、それに雷門の面々の生命を守るための措置です。
これ以上試合を続ける必要性はないかと」
そう話す俺に不動が突っかかってくる。
「…勝手に決めてんじゃねえ!
というか生命を守るためとかほざいてやがるが、こいつらは自ら打ちたがっているんだ。
そうだよな、佐久間!」
「あ、ああ…。
俺はこの技で…!」
そう言った佐久間だったが、彼はそのままその場に倒れ込んでしまう。
「…佐久間!おいしっかりしろ!」
倒れた佐久間に対して、鬼道が駆け寄り、源田もこちらへ駆け寄ってくる。
「…はっ、使えねえ奴だぜ。
おい、トライ。あの話はどうなってる?」
不動がそう話すが、俺は「ああ、あの話か?」と返す。
「お前のエイリア編入の話だろ?
んなもんプレー見てたらバカでも分かる。
お前みたいな時限爆弾抱えてられねえよ、ナシだナシ。
それにエイリア石のおかげで多少強くなったとはいえ、俺が求めてるレベルには達してねえ。
うちに入りたいなら、もっと強くなることだな」
俺はそう不動に淡々と告げる。
不動は「チッ!」と舌打ちした後、建物の中へと消えていった。
「…どういうつもりなのかな?
エイリア学園なら、このまま俺たちが衰弱していく方が良いと思うけど」
一之瀬がそう話すが俺は「俺としての個人的な考えなだけだ」と話す。
「俺は正々堂々とエイリア学園と戦ってほしいんだ。
こんなことをエイリアの俺が言うのもおかしな話だがな。
まあ今日はこんなところで帰るとするよ。
俺の仕事は終わったしな」
そう言って俺はエイリアボールを拾い上げてワープモードを起動する。
「おい、待ってくれ外裂!
まだ話は終わってねえぞ!」
「今度聞いてやるよ、またどっかでな。
それとお前らに一つアドバイスだ」
「『俺はマスターランクの選手だが、チームには所属していない』。
これだけは伝えておくよ、じゃあな」
そう言って俺は真・帝国学園をあとにした。