「…影山は燃える潜水艦と共に海に消えたそうです、もっと役に立つ人物かと思っていましたが…」
研崎は父さんに真・帝国学園の末路をそう話していく。
「…にしてもですよ。
トライ君、なぜあなたはあの試合を中止させたのですか!
あのままいけば我々が手を下さずに雷門を削れたかもしれなかったんですよ!」
「…あの時の俺がそうすべきと思ったからですよ。
それに真・帝国の件については父さんから『俺に任せる』という言葉を頂いています。
あなたが口を挟むことは出来ないはずです」
「しかし…!」
「俺はラフプレーで選手を潰していくことは否定しています。
全力でぶつかり合って勝つこと、そしてその結果として勝者と敗者に分かれるとしても、全員が安全に試合を終え、両者をたたえあうこと。
それができないのであれば、サッカーで勝負をつける必要はないと考えているので」
俺がそう淡々と話していくと、父さんは「…分かりました」と話していく。
「…トライ、いえ頼徒。
あなたにはこのエイリア学園から外れてもらいます」
「なぜですか?
理由を聞かないことには納得しかねます」
俺がそう聞くと、父さんは淡々と答えていく。
「頼徒、あなたは優しすぎるのです。
我々に対しても、そして敵に対してもです。
その優しさはあなたの武器でもあり、弱点でもある。
このままいけば、私の野望達成のためにはあなたが邪魔になってしまう、そう考えたのですよ」
「そう…、ですか」
俺はそう呟くが、父さんはそのまま続けていく。
「それに、あなたの情報提供もありがたかったのですが、イプシロンが最前線に、マスターランクの3チームもいつでも出撃できるようになりました。
申し訳ないのですが、今までのあなたの役目はいらないんですよ」
父さんはそのまま俺に話していく。
「頼徒、今までのあなたの働きに関しては感謝していますし、エイリア学園から離れたとしてもあなたは私の大事な息子に変わりはありません。
生活に関しては私の名前を出してくれれば調整してくれるように吉良財閥系列の各社に伝えさせてもらいますので心配いりません。
この戦いが終われば、再びあの子たちと一緒に暮らせるように手配するので我慢してください」
「…分かりました」
俺は首を縦に振るしかなかった。
◇ ◇ ◇
「…それじゃ、こんなもんでいいかな」
俺はリュックサックに必要なものを詰め込んでいく。
「白恋で行ったときは嘘だったけど、まさか本当に放浪の旅に出ることになるなんてな…」
俺はしみじみとそう呟く。
そんな中、俺の部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。
「頼徒、俺だけど入るね」
声の主はヒロトだった。
俺は「ああ、大丈夫だよ」と話した。
「あれ、何処か行くの?」
部屋に入ってきた俺にヒロトはそう聞いてくる。
「…ああ。父さんからここを出て行けって言われたんだよ」
俺がそう答えると、「え?」という声が返ってきた。
「…俺のやさしさが邪魔になるんだってよ。エイリア学園を続けていくうえでな。
正直、俺も真・帝国のあの件が終わってからなんとなく察してはいたさ。
なに、この戦いが終われば俺は戻ってくるよ」
俺が笑いながらそう話すとヒロトは「そうか…」と悲しそうな表情を見せる。
「まあエイリア学園は俺に任せておいてよ。
少なくともガイアのみんなは俺が見ておくからさ」
「ああ、頼んだよヒロト」
俺はヒロトにそう返した。