「…で、どこにいくつもりなの?」
新幹線のホームで待っている間、杏が俺にそう聞いてくる。
「ひとまずはここから離れたところへ行く。
折角旅に出るんだからな」
「…もしかして、何も決めてないの?」
「…だな」
俺がそう答えると、杏は「はあー…」と溜息を吐く。
「あのね、いくら放浪旅だとは言えノープランって…。
吉良財閥の所なら自由に使えるって聞いてるけど、どうするのよ?」
俺は杏の言葉に少し悩んでから口を開く。
「…まあ、このあたりにいたところで何も変わらねえ。
俺たちがエイリア学園から外れた以上、もうあそこにはいられないし。
どこかのホテルであいつらの情報確認するって感じになるかな」
…そう話していると、東京行きの新幹線がやってきた。
「ひとまずは羽田空港に行こう。
あそこなら色々選択肢があるはずだ」
「そうね、考えながら行きましょうか」
俺と杏はそう話しながら立ち上がった。
◇ ◇ ◇
いろいろな交通機関を乗り継いで、羽田空港に着いた俺たち。
「…さて、どこに行くかな」
俺は羽田空港の出発ロビーで様々な行先を眺めていく。
「どうするの?
さすがにパスポートは持ってきてないわよ」
「海外は行かねえよ。
俺もパスポートは持ってきてねえしな。
…と、すると」
…正直、もう1回ぐらいは雷門に会いたい。
となるとここから行く場所は限られてる。
イプシロンと戦うことになる大阪、ジェネシスとの初対戦である福岡、豪炎寺復活の地である沖縄、そしてダイヤモンドダスト・カオスと戦うことになる東京、最後はジェネシスとの最終決戦である星の使徒研究所。
ってなれば出ていくことになった研究所は除外、同じくあまりここから移動することがない東京も除外。
正直大阪も俺がエイリアを外れてから早すぎる。
ってなると、候補は福岡か沖縄。
両方、ここからは離れているから距離的には十分だろう。
「せっかくならできる限りいつもと違う環境がいいよな…」
…ちょうどいい時間に飛行機もあるし空席もある。
そういや行ったことないしここ。
「…杏、沖縄に行こう。
距離的にも離れてるし、俺たち行ったことないだろ?」
「分かったわ、私も一回行ってみたかったのよね」
沖縄なら吉良財閥系列の会社もそれなりにあるだろうし、生活も過ごしやすいだろう。
リスクとしては豪炎寺が隠れていて、それを監視してるエージェントの奴らと会う可能性が高いってところか…。
…いつでも他のところへ行ける準備はしておくとしよう。
「…それじゃ、ホテルとかも連絡しとくよ」
…杏には言わないでおくけど、正直イプシロン改との試合もあるから大海原の近くのホテルを取っておくか。
そう思いながら、沖縄までの飛行機のチケットを確保した俺たちは出発カウンターへと進んでいった。