「…頼徒!
そろそろ切り上げない?」
「…ああ、そうだな。
時間もちょうどいいし今日はここまでにしとくよ」
近くのビーチでいつものようにランニングをしていた俺と杏は、腕時計を見てそう呟く。
ホテルへの帰り道、俺は暗に聞いていく。
「杏、俺もフレイムベールとか覚えたほうがいいのかな?
サザンクロスカットとジグザクスパークだけだと限界来るって思ってよ」
「私は選択肢あるだけいいと思うけど。
フレイムベールも正直サザンクロスカットと変わらないわよ?
私的には使える技増やすのはいいけど、その分今使える技を鍛えることができなくなるんじゃない?」
「確かにそうだよな…」
「…まあ、そういう気持ちがあるのはいいことなんじゃないの?
私もほかの技練習しよっかなって思ってるけど、まずは今のヒートタックルだけじゃダメだって思ってるし」
俺と杏は歩きながらそう言葉を交わしていく。
…そんな中、俺たちの耳に女性の悲鳴が聞こえてきた。
振り返ると、その女性の近くにあった木材が倒れようとしていた。
そしてその下には小さな子供と子犬がいた。
…そして、その子供に俺は心当たりがあった。
「杏、ボール借りるぞ!」
そう言って俺はボールをフルパワーで蹴りだすと、俺のボールはもう一つの球体によってはじかれた。
…だが、俺が蹴りだしたボールとはもう一つ、炎を纏ったボールが木材に命中し子供と子犬は助かった。
…やっぱり来てたか、豪炎寺。
そう思うと同時に、俺と杏の耳に無機質な声が聞こえてきた。
「…エラー発生、インタラプト修正中に予期せぬ妨害が発生、人物の検索を要請」
紫の髪で上だけ左右に広がった変則的な髪型、そして黒と白を基調とした服と装備しているインカム。
…まっさか、俺がここに巻き込まれるとはな。
「頼徒、こいつ…!」
「ああ、警戒しなければならない相手っぽいな…!」
俺たちがそう身構えると、その奥から茶髪で特徴的な髪形をした少年が駆け寄ってきた。
「あ、あの!外裂さん…ですよね?」
「ああ、そうだけど…?」
「やっぱり!えーと、まずは小さい頃の俺を助けてくれてありがとうございます!」
そう頭を下げてくる少年に対して「いや、俺は弾かれたから何もできてないよ」と話すが「いやいや!外裂さんのボールがなかったら俺、そもそもサッカーと出会えてなかったんで!」と話してくる。
「…あの、君名前は…?」
杏がそう聞くと、少年は「あ、そうか10年前だから知らないのか…」とつぶやいて改めて話してくる。
「俺、松風天馬って言います。
外裂さんと同じ、サッカーが大好きな一人です!」
松風天馬、俺が今いるイナズマイレブンという舞台の10年後を描いた続編、イナズマイレブンGOの主人公。
今作の主人公、円堂守に次ぐサッカーバカであり、そよ風のようにさわやかな少年。
…今の時期に出会うとは思ってなかったけど。
俺は天馬のまっすぐな瞳を見てそう思った。