「…トライです、失礼します」
ストレッチや着替えを済ました後、俺は父さんの部屋へとやってきた。
入っていくと、父さんは縁側に座って待っていた。
「トライ、まずは座ってください」
父さんに促されるまま俺は父さんの横に座る。
「父さん、頼みたいことって何ですか?」
俺がそう聞くと、父さんは「チームに入っていないあなたにしか頼めないことです」と続ける。
「…あなたは、雷門中、そして私の娘、瞳子のことは知っていますね?」
「ええ、もちろんです。
ただ、雷門はジェミニストームが倒したはずですし…。
それに雷門と姉さんに何か関係がありましたっけ?」
俺がそう聞くと父さんは「『関係が出来た』というのが正しいですかね」と続ける。
「…確かに、ジェミニストームは雷門に勝ちました。
ただ、あの雷門中がそう簡単に諦めるとは思えないのです。
…そして最近、瞳子が雷門中と接触し、響木正剛に変わり雷門中の監督になったという情報が届きました。
今はまだ我々の脅威と足りえませんが、これから成長していくのであれば非常に面倒になる可能性があります。
…あなたには適宜雷門中の視察に行ってもらいたいのです」
…なるほどな。原作でも雷門の成長スピードは大したものだ。
今はそんなに強い…とは思えないが、3戦目の北海道ではジェミニと同じくらいにまで成長してくる。
万が一に備えて見張らせようってわけか。
「…確かに、俺はチームには入っていないから他の面々に比べたら自由度は高い。
それを活かそうってわけですか」
俺がそう話すと「その通りです」と父さんは話してくる。
「あなたはチームに所属していないエイリア学園唯一の人間です。
ジェミニストーム、イプシロン、ダイヤモンドダスト、プロミネンス、ガイア、すべてのチームとフラットな立場で話せます。
だからこそすべてのチームに対して平等に情報を共有することができますし、そのフラットな目で相手を分析することもできます。
…トライ、いや頼徒。
あなたにしか頼めないことです、受けてくれますか?」
父さんは俺にそう話しかけてくる。
…まあ、そう聞かれても断る理由なんてそもそもないけど。
「…もちろんですよ。俺で良いなら、よろこんでその仕事受けさせてもらいます」
そう話すと、父さんは「あなたならそういうと思っていました」と話してくる。
「…それでいつから行けばいいんですか?
それといつまで見とけばいいとか、どんな方法で見ておけばいいのかとか教えていただけると」
俺がそう聞くと、「行くのは今すぐにでも行ってもらいたいのです」と話す。
「…これから、財前総理を拉致するためにジェミニストームには奈良に行ってもらいます。
なのであなたも奈良に行ってほしいんです」
父さんはそのまま「そして」と続けていく。
「期間は雷門中が諦めるまでですかね。
監視方法はあなたに任せますが、あまり雷門とは接触しないでほしいですね。
普通に話すくらいまでなら良いですが、仲間や相手として一緒にプレーしたりするのはやめてください。
…後、情報は直接私たちに伝えてほしいので適宜ここに帰ってきてください。
あなたが長期間不在となれば、あの子たちの中にも不安が生まれる可能性があるので」
…なるほどな。まあそれぐらいなら…。
「…了解しました。
多分それぐらいなら俺もできると思います」
俺がそう話すと、「あなただからこの仕事を頼んでいます」という声がかかる。
「この仕事は完全に裏の仕事であり、あんまり表で褒められることは無いと思いますが…。
…頼徒、頼みましたよ?」
俺は父さんに「分かりました」と話していく。
…さてと、いろんなところに行くことになるから準備しとかないとな。
ヒロトたちにも見にいくからあんまり練習に参加できなくなるって伝えないと。
俺はそう思いながら、父さんの部屋から退出した。