「…頼徒!」
アルファに吹っ飛ばされた俺に杏と天馬そしてフェイが駆け寄ってきた。
「…ちっ、久々に突破されたな…」
「だ、大丈夫ですか?
かなりふっとばされてましたけど…」
「ああ、平気だよ。
…にしても、俺の必殺技が通用しないなんてな…」
俺はそう苦虫をかみつぶした顔で地面をたたく。
「無理もないよ、ただでさえ僕含めた3人は化身を使えないんだし。
あの化身アームドによく恐れないで戦いに行ったと思うよ」
「化身、アームド?」
杏がそう聞くと、フェイは「うん」と首を縦に振る。
「化身を離れた位置ではなく、鎧のように纏ってるんだ。
使用時間は短くなっちゃうけど、その分化身本来の力を引き出すことができるんだよ」
「そんなことができるの…?」
天馬はフェイの言葉に対してそうつぶやいた。
◇ ◇ ◇
そして、そのあとのプロトコル・オメガの戦い方は変わった。
「…やっぱ、やられる側になったらなかなかきついな…」
ファールならないギリギリのラフプレーで俺たちの体力を削る作戦に変わった。
…まあ、この試合はあいつらにとって勝利は必要ないゲームだ。
たとえ負けたところで、天馬がサッカーをあきらめれば実質的にはあいつらの勝利である。
そしてスコア上は1-1のまま前半終了間際になっていた。
そんな中、フィールドの上空に違和感があった。
そして、そこから現れたのは雷門が移動に使っているキャラバンのような車。
「おお!天馬君、ごきげんよう!
…って、外裂君がなんでいるんだ!?」
窓が開き、その車を運転してたのはクマのぬいぐるみのようなものであるクラーク・ワンダバットことワンダバ。
それと同時に前半終了の笛が吹かれ、俺たちはベンチへと帰っていった。
「…杏、まだまだ行けるよな?」
「もちろんよ、頼徒もよね?」
「ああ、平気だよ。
…それで、なんだが…」
俺はさっき飛んできた車の中から出てきたワンダバを見て黙り込む。
「フェイ!なんでここに外裂君たちがいるんだ!?」
「いやー、僕も驚いてるんだよ…。
でも、前半は僕たちと一緒に戦ってくれてたし、大丈夫だと思うよ」
「了解した!」
そして、フェイはデュプリたちを消した。…まあ化身と同じならハーフタイムは消しておいた方がいいだろう。
そしてフェイとワンダバが話すことには、歴史の変更は定着まで時間がかかるらしく、変更までの時間が早ければ早いほど、歴史は元に戻りやすいらしい。
「…あ、それと頼んでたやつ、取ってきてくれた?」
「もちろんだ、このワンダバ様にかかれば不可能はない!」
ワンダバがそう話すと、フェイは「本当!?」とうれしそうな顔でワンダバに「はやくはやく!」と急がせる。
「まあ慌てなさんなって!こっちも命がけだったんだぞ、感謝しろよ?」
そう言ってワンダバが取り出したのは、2つの銃がつながったもの。
「よし、行くぞ!」
そう言ってワンダバが-のマークが書かれた銃を撃ちだすと、そこに生み出されたのはオレンジ色を基調にした恐竜だった。
「ら、頼徒あれって…!?」
「ああ、ティラノザウルスだな…、いったいどういう理屈だ…!?」
そしてワンダバはフェイに声をかける。
「行くぞフェイ、ミキシマックスだ!」
「オーケー!」
そう言ってフェイは何かを受け入れる体制に入る。
そして、フェイの方に+のマークが書かれた銃が撃ちだされ、フェイもオレンジ色のオーラに包まれる。
そしてしばらくすると、ワンダバから「ミキシマックス、コンプリート!」という声が上がった。
…オーラからから解き放たれたフェイは、髪の毛がピンクに染められ、目も赤くなっていた。
天馬が「大丈夫?」と声をかけるが、フェイは心配無用という感じだった。
「これが、ミキシマックスだ!」
先ほどと比べ、若干野生さが増したフェイはそう言い放った。