「…はああっ、フェイタル、リフト!」
クロノストーン編最初の試合が終わり、それからも特訓を続けていくことによりフェイタルリフトは使えるようになった。
…ただ、あの時出した化身、『疾風の白虎』の出し方はまだ分からない。
おそらく時空の共鳴現象で出来たってことなのかな。
…そして、フェイタルリフトだけでなく他の必殺技も特訓し、杏のドリブル突破ならほぼほぼ止められるようになってきた。
また、特訓相手となる杏の能力も着々と上がっている。
…それで、だ。
「どうしたもんかね…」
これからどうするか…だ。
おそらく雷門はもうすぐ沖縄にやってくる。
そこで俺は雷門と接触するつもりであるが、問題は杏がいること。
俺一人なら好きにやったらいいが、雷門に入るとなれば明確にエイリアに反旗を翻すということになる。
杏もお日さま園出身であり、優先順位としては父さんが第一のはずだ。
杏にはそれが出来るのかによって、これからの俺の立ち振る舞いは変わってくる。
それとなく杏に探りを入れて聞いておこう…と思ったのだが。
「…頼徒、もし俺が雷門に入ったら私に迷惑がかかるって考えてるんじゃないでしょうね?」
練習終わり、ベンチで休んでいる時に俺は杏からそう聞いた。
「別に頼徒の好きにしたら良いわよ。
私も父さんのためになりたいって思ってるけど、私たちは追放された側なんだし。
頼徒がやりたいと思ったことをやればいいんじゃない?」
杏がそう話すなら、俺としては心置きなく雷門対エイリアの戦いに戻ることが出来る。
…まあ、雷門側が受け入れない可能性自体もそれなりにあるが…、その時はその時だ。
◇ ◇ ◇
「大海原中で雷門中とエイリア学園の試合がはじまるぜ!
見なきゃ損々!」
土方の威勢の良い放送が辺りに響き渡る。
「それじゃ、行くぞ杏」
「そうね、どのチームとの試合か知らないけど、今の雷門の状況も確認したいしね」
「そうだな、これから世話になるチームなんだ、しっかり見ておかないと」
ないとは思うがこの試合、イプシロン改との試合で雷門が不甲斐なければ俺はそのまま傍観に回ろうと考えている。
俺が求めてるのは雷門の強さ…、どんな状況でも諦めないという精神力。
この試合は吹雪の完全な精神崩壊、そして究極奥義である正義の鉄拳が破られる。
円堂は大丈夫だと思うが、他の雷門の面々にとってはなかなか辛い試合だ。
俺は大丈夫だとは思ってるけど、杏にとってもこれから所属するチームだ。しっかり見ておかないといけないだろう。
帽子を深めに被り目元を隠した俺、フードを羽織った杏。
荷物を片付けた俺たち2人は、数日間過ごした部屋に別れを告げた。