雷門のキックオフで試合が開始される。
雷門は風丸と栗松、染岡の3人が離脱して新たにリカ、立向居、綱海の3人が加入した。
今のエースストライカーである吹雪はディフェンスに置き、様子を見る形となっている。
「確かに、マスターと比較したらそこまで劣らないレベルになってるな」
イプシロン改の面々はスピード、必殺技など全てがパワーアップしていた。
「そうね、でもまだまだじゃない?
本気のマスターランクはこんなもんじゃないわよ」
「確かにな…」
そしてイプシロン改のFW3人は攻撃体制に入る。
「「「ガイアブレイク!」」」
以前俺が見た時よりも明らかにパワーアップした必殺技が雷門ゴールへと襲いかかる、…だが。
「正義の、鉄拳!」
「覚えてきたか、新必殺技」
俺がそう呟く通り、円堂はガッチリとゴールを守り切った。
さすがのイプシロン改の面々も驚いている様子である。
「あのキーパー、一度相手してもらいたいわね」
「だろ?円堂守、雷門のキャプテンで精神的支柱。
俺も一回受けてもらいたいよ」
俺と杏はそう言葉を交わした。
◇ ◇ ◇
その後、雷門も慣れてきたのか、イプシロン改とほぼ同等に渡り合っていた…、のだが。
「…最後を決めるストライカーに不安あり、か」
ゴール前までは持って行けるが、リカでは流石にデザームを突破できない。
かと言って、唯一デザームから得点を奪った吹雪の精神は不安定な状態、多分まだ完全には覚醒し切ってはいないだろう。
だが、デザームの性格的には吹雪のシュートを受け止め切りたいと思うだろう。
…俺が思っていた通り、シュートを止めたデザームは吹雪の元へと投げつける。
そしてボールを受け止め、アツヤモードとなった吹雪はイプシロンの守備陣を突破してデザームと対峙する。
「吹き荒れろ、エターナル、ブリザード!」
辺りを冷やしながら、吹雪のシュートがイプシロン改のゴールに襲いかかる。
そんなシュートに対してもデザームは動じていなかった。
「ドリルスマッシャー!」
デザームはしっかりと弾いて、吹雪は悔しがる表情を見せる。
「アレが今の雷門のエースなの?」
「そうだな。マスターランクにも能力は劣らないとは思うけど…。
メンタル面をどうにかしないことにはって感じだけどよ」
「明らかに守ってる時と攻めてる時で違ってるわね…。
あれ、バランス保つのなかなか難しいんじゃないの?」
杏の言葉に、俺は「そうだろうな」と返す。
「現に、俺が北海道で会った時と比べたらかなりバランス狂ってるからな。
あの時は攻撃の時だけしっかりキャラを変えてたけど、さっきはボール持った時点で何もしなくてもキャラが変わってたからな。
アレを完全にコントロールできれば、かなり戦力になるんだけど」
改めてフィールドに目線を戻すと、吹雪のシュートはワームホールで止められていた。
そして吹雪の4発目、デザームは必殺技を発動せずにエターナルブリザードを止めて見せた。
その後、デザームが何かを言った後、吹雪はその場に倒れ込む。
「…ねえ、アレって…」
「バランスが完全に崩れちまった…な。
あの状態じゃもう吹雪に頼るのはできねえだろ」
…実際、豪炎寺がエイリア側に人質を取られて戦線離脱、染岡も真・帝国の試合で負った怪我によりこちらも離脱。
そうなればストライカーとしての期待は吹雪1人に集まる。
激化するエイリアとの戦いは今まであまり試合をしてこなかった白恋出身の吹雪にとっては経験してこなかったはず。
激しい戦いをしてこなかったからこそ、保っていたバランスは完全に崩壊してしまった。
吹雪は円堂と鬼道に抱えられて目金と交代となる。
「さてと、こっからだぞ雷門。
攻守の要でもある吹雪の離脱だが、イプシロン改はまだ切り札を残してるぞ?」
納得していない表情で雷門の陣地内を見つめるデザームを背に、試合が再開された。