切りがいいところまで書こうと思ったら、伸びに伸びた…。
守備の要でもある吹雪が離脱したことにより、雷門の面々が守備に割く時間が増えてしまった。
得点こそ奪われてはいないものの、明らかにスタミナの消費量が上がってきている。
そんな中、バタフライドリーム、ツインブースト、ザ・フェニックスを難なく止めたデザームは、「もはやお前たちのシュートに興味はない」とボールをタッチラインの外へと出す。
「審判、私とFWのゼルとポジションチェンジだ」
そう言ってデザームがフィールドプレーヤー、ゼルがゴールキーパーのユニフォームに変更する。
「あー、砂木沼さん前出てくるか…」
「まあ、そうなるでしょうね。雷門は特に攻撃手段は通用しない。
それなら雷門のゴールを割ってみたいって思うわよ、あの人なら」
…デザームはイプシロンだとメインポジションはGKをしているが、あの人が一番輝けるポジションはFWだ。
正直、ゼル・メトロン・マキュアの3人よりスピード・パワーすべてが上だ。
「…耐えれるのかな、雷門は」
俺がそう呟き、試合は再開される。
デザームにボールが渡った後、彼は力強いドリブルで雷門を蹴散らし、キーパーの円堂との一対一となる。
「グングニル!」
デザームが放った必殺技は、円堂が守るゴールへと襲い掛かる。
「正義の鉄拳!」
タイミングとしては完全だった、だがデザームのグングニルは今の正義の鉄拳以上の威力を誇る。
デザームのシュートは正義の鉄拳を完全に突破し、雷門ゴールへと突き刺さった。
◇ ◇ ◇
デザームが雷門から点を取った後、試合はハーフタイムへと突入する。
完全無欠の防御力を誇る正義の鉄拳が破られた…、そのダメージは大きいだろう。
攻撃力も吹雪が離脱している以上、いつもに比べたら低い。
FWであるデザームがキーパーをやっているのは、イプシロンにデザーム以上のキーパーがいないこと。
ゼルも未経験者ではないが、デザームよりは劣る。
…まあ、それでもそれなりの実力はあるんだけど。
改めて雷門ベンチを確認すると、フィールドプレーヤーたちが改めて気合を入れ直していた。
まあ、デザームのグングニルを実感しても、これだけ立ち向かおうとする気合があるのなら杏も納得するだろう。
「…さてと、それじゃ俺も行くか。
杏、良いんだよな?
俺が雷門に加入するってことは父さんたちに完全に反旗を翻すってことだ。
それでもいいんだな?」
俺がそう話すと、杏は「もちろんよ」と返してくる。
「私たちは追放された側なんだし、好きにしたら良いんじゃない?
今の雷門を見て思ったけど、ここでイプシロンが勝ったとしても雷門はまた立ち向かってくる。
この戦いを早く終わらせるためには、雷門が勝つしか終わりはないみたいだしね。
手を貸してあげるわよ」
「そうだな」
俺は深く被っていた帽子を取って立ち上がる。
「…苦戦してるみたいだな、雷門イレブン!」
そう放った俺の存在に、雷門の面々も気づいたみたいである。
「外裂!なんでお前が…!?」
俺は観客席のフェンスを飛び越えて、雷門ベンチで大介さんのノートを確認していた円堂の元へと向かう。
「…円堂、白恋で別れた時の約束を果たしにきた。
…もう俺を縛るものは何もない。
これがどういうことか、さすがのお前らでも分かるだろ?」
そう話した俺の言葉に、雷門の面々も勘づいたみたいである。
「…だけど、お前はエイリア学園なんだろ?
そんなやつを入れられっかよ!」
土門がそう言ってくるが、まあ無理もない。
「もうエイリアじゃなくなったんだよ、追放になっちまったからな。
…それに、正義の鉄拳が通用しない、エースの吹雪もこの状況、打開策はあるのか?
はっきり言うぜ?このままだと勝てる可能性はほぼ0だ。
イプシロンはリードした以上、お前らを潰す方向に変えてくるぞ?
それに耐えれんのか、お前らは?」
俺がそう話すと、雷門の面々は俯いてしまう。
「だけど、こいつはマックスたちを怪我させたエイリア学園だったんだぞ!
いつまた裏切るかわかんねえだろ!?」
そう話す土門に俺は返していく。
「…ボールは俺に回す必要はねえよ。
勝手に俺が守備して、お前らにボールを供給する。
俺も今すぐお前らに信用しろとは言わねえよ。
プレーを見て俺が信用できるかどうか、判断してくれたらいい」
俺は「それと」と続ける。
「…俺たちエイリア学園のせいで、数々のお前たちの仲間を潰してしまった。
エイリアを追放された俺だが、代わりに謝罪させてもらう。
…本当にすまなかった」
俺はそう頭を下げる。
「俺たちエイリア学園がやってきたことは許されることじゃねえ。
許してもらおうなんて考えてねえし、償い切れるとも思ってねえよ。
…だけど、このエイリアとの戦いを早く終わらせるために、俺はお前らの力になりたい。それだけだよ。
…頼む、この通りだ」
俺がそう話した後、雷門ベンチには一瞬の静寂が流れる。
…そんな中、鬼道が口を開いた。
「…頭を上げろ外裂。
みんな、コイツをチームに入れよう」
鬼道のその言葉に一之瀬が、「ちょっと待てよ!」と言うが、鬼道は「他に策が見当たらない」と話す。
「悔しいが、外裂の言う通りだ。
いくらキーパーとしてゼルがデザームに劣るとして、そこに行くまでにはデザーム、それにイプシロンの守備を突破しなければいけない。
外裂が入れば、守備は安定し攻撃への足がかりとなり、チャンスは今より増えていくはずだ。
イプシロン改、そしてこの後に控えているザ・ジェネシスを倒すためにはいい補強だと思う」
鬼道がそう話した後、円堂が俺に近づいてくる。
「真・帝国で言ってた時とは違って、嘘はないんだな?」
「もちろんだよ、円堂。
今の俺に嘘はねえ。
必ずお前らの力になることを約束するよ」
真剣な目で話してきた円堂に、俺は真剣な目で返していく。
「…分かった、お前のその思いはプレーで見せてくれ、外裂!」
円堂はそう俺に話してきた。