エイリアの守護者   作:W297

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雷門対イプシロン改④

 俺がセンターバックの位置に入ってから、比較的試合展開は落ち着いて来た。

 

 …のだが。

 

「…最後を決めるストライカー、ここがいないと…」

 

 俺はそう呟く。

 

 確かにゴール前まで行けることは増えた、…だが、問題はそこから。

 

 軽くゼルを突破できるやつでなければこの試合は勝てない。

 

 ゼルを突破したところでデザームがGKに戻れば、イプシロン自体の攻撃力は下がるが守備力は格段に向上する。

 

 俺もシュートを撃ちには行きたいが…、上がったところでボールを貰える保証はねえし、なによりCBである俺が上がるのは最低限にしておいた方が良い。

 

 さすがに俺もデザームやそれ以外のイプシロンの攻撃を耐えている以上、さすがに軽く息が上がってきており、前半からずっと出場している他の雷門の面々はそれ以上だ。

 

 そんな中、ボールがタッチラインを割り、イプシロンボールのスローインとなる。

 

「メトロン、マキュア!

 

 外裂をマークだ!」

 

「「了解!」」

 

 …そういうことかよ。

 

「…おいおい、お前らも点取りたいんじゃねえのか?

 

 俺をマークしてたらそんな暇なくなるぞ?」

 

「デザーム様を自由な状態にするのが私たちの仕事なのよ」

 

「アンタをここから動けない状態にすれば、雷門の守備力は格段に落ちる。

 

 雷門を蹂躙するためには必要なことなんで!」

 

 マキュア・メトロン共に、俺の挑発には乗ってこない様子である。

 

「…これで、邪魔者は封じた。

 

 思う存分、お前らを潰しに行くことができる」

 

 そう言ってボールを受け取ったデザームはシュートの体制に入る。

 

 

 

「グングニル!」

 

 

 デザームのシュート、だがさっき正義の鉄拳を完全に破られた時とは、状況が違う!

 

 

 

「ザ・ウォール!」「ザ・タワー!」

 

 

 

 壁山と塔子の2人が必殺技でブロックに入るが、勢いは殺し切れずに突破されてしまう。

 

 

 

「正義の鉄拳!」

 

 

 

 円堂も正義の鉄拳で対応するが、今まで通りにグングニルのパワーに負けてしまう。

 

 …が、そこからもう1人、綱海が反応してゴールポストとバーに体を任せることで、ボールの勢いを殺し切る。

 

 なんとかボールは円堂の元へと渡った。

 

 俺が参加できれば、もっと楽に円堂が正義の鉄拳の本当の力に気付けるはずなんだが…!

 

 俺がボールを受けに行こうとするが、メトロンとマキュアがガッチリマークし動くことは出来ない。

 

 …考えろ、この状況を打開する方法を…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後も、デザームの突進は続く。

 

 雷門の面々を蹴散らし、グングニルを放つ。

 

 円堂が正義の鉄拳を放つも、三度負けてしまう。

 

 …が、その後雷門のフィールドプレーヤーたちにブロックされ、ゴールは割らせない。

 

 そしてボールは再びデザームの元へと返っていく。

 

 円堂を含め、俺以外の雷門の面々はグラウンドに倒れ、動けない状態だ。

 

「ここまでなれば、もう雷門に反撃する気力は残ってなさそうね」

 

「ああ、しかしデザーム様も容赦がない。まああの人らしいけどな」

 

 マキュアとメトロンがデザームを見てそう話す。

 

 …若干、俺に対するマークが緩んだ。

 

 だとすれば…。

 

「ここしかないよな…っと!」

 

 俺は2人のマークを潜り抜け、デザームの元へと走っていく。

 

「俺を忘れてもらっちゃ困りますね、砂木沼さん!

 

 俺を突破しない限り、雷門ゴールは割らせねえ!」

 

「…むぅ、マークを外したか。

 

 ならば、貴様から潰してやろう、外裂頼徒!」

 

 そう言ってボールを勢いよくぶつけてくるが、俺はしっかり胸で受け止める。

 

「…そんなもんかよ、デザーム。

 

 マスターランクのアイツらに比べたら痛みも感じねえ」

 

 俺はそう言ってボールをデザームに返す。

 

「む、無茶だ外裂!

 

 いくらお前でも耐え切れないぞ!」

 

 鬼道から、そう声がかかるが俺は「じゃあ立ち上がれ!」と返す。

 

「俺が耐え切れなくなる前にお前らでゴールを奪ってこい!

 

 お前ら雷門の底力はそんなもんじゃねえだろうが!」

 

 そして俺は円堂へと叫ぶ。

 

「円堂、正義の鉄拳を完成させただけで満足してんじゃねえ!

 

 今までお前は、こういう状況でもさらに強くなるために特訓して来たんじゃねえのか!」

 

 俺がそう言い放つと、円堂は何かに気付いたみたいだ。

 

「…まもなく後7分、試合を終わらせるぞ、雷門!」

 

 そう言ってデザームはシュート態勢に入る。

 

 

 

「グングニル!」

 

 

 

 俺を交わして放たれたグングニルは円堂の元へと向かっていく。

 

 だが、今までの円堂とは表情が違っていた。

 

「正義の鉄拳!」

 

 円堂の正義の鉄拳は完全にグングニルを弾き返した。

 

 …正義の鉄拳の真の力に気付いたか、円堂。

 

「…楽しませてくれる」

 

 パワーアップした正義の鉄拳と対峙して、デザームはうれしそうな笑みを見せる。

 

 そしてはじかれたボールは転々とし、タッチラインを割る。

 

 そこにはオレンジ色のフードを被った一人の男がいた。

 

 そして、その男がフードを取ると、見覚えのある炎のストライカーの姿があった。

 

「…待たせたな!」

 

「いつも、お前は遅いんだよ!」

 

 …これが、豪炎寺が出すオーラ…、白恋で吹雪と初めてあったときとはまた違うものだった。

 

「選手交代!

 

 10番、豪炎寺修也が入ります!」

 

 立向居との交代で、ポジションはリカと豪炎寺の2TOPとなる。

 

 …こっからが、反撃だな。

 

 試合再開を前に俺は改めて気合を入れなおした。

 

 

 

 

 

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