「それじゃ円堂。シュート行くよ」
「よし、来い!」
円堂はそう言って杏と対峙する。そして杏はいつものシュート態勢に入っていた。
「…はあっ!アトミック、フレア!」
杏が放ったシュートは円堂が守るゴールへと向かっていく。
「…正義の、鉄拳!」
イプシロンとの闘いで進化した円堂の正義の鉄拳。
それでも杏のシュートのスピードに押され、円堂の足は徐々にゴールラインをはみ出していく。
「…ま、け、る、かぁ!」
そう言って円堂はなんとかボールを弾き返して見せた。
「おー、杏のシュートを止めたか」
俺はゴールの裏からそう円堂に声をかける。
「ああ、バーンとほぼ同じくらいの衝撃だった。
イプシロン改とやってなかったら多分やられてた」
「そうか。ならマスターのチームとガチで戦う前に戦えたのはよかったんじゃねえか?」
俺はそう言って円堂に続けていく。
「お前、ヒロトと晴也のシュート受けたんだろ?
どう思った?」
俺がそう聞くと、円堂は「…うーん」と考えながら答えてくれる。
「ヒロトもバーンも確かに強かったけど…、ヒロトの方はボールに気持ちをあまり感じなかったんだよな…」
「へえ、面白い表現するなお前」
「バーンとデザームの時はボールになんかこう…、絶対にゴールを割って見せるって気持ちが伝わってきたんだ。
…ただ、ヒロトはイマイチその感覚がなかったんだよな…」
「…まあ、あの時ならそこまでって思ったんじゃないの?」
杏はそう話して続ける。
「私も詳しいことは知らないけど、おそらく様子見ぐらいのつもりで行ったんだろうし。
イプシロンを完全に倒した以上、エイリア側はマスターランクのチームで迎え打つしかないし、多分気持ち入ったボールになるわよ」
杏の言う通りだ。もうエイリアには使えるのはマスターランクのチームしか残っていない。
プロミネンスがどうしてくるのかは分からないが、風介が宣戦布告したということはダイヤモンドダストは準備OK、おそらくガイア…、いやジェネシスもいつでも出れるだろう。
「円堂、ここからが正念場だぞ。
ただでさえ向こうはもう後がないのに、俺と杏が雷門に入ったことでさらに気合い入ってくる。
…負けんじゃねーぞ」
「ああ、もちろんだ!
蓮池、もう少し練習付き合ってくれ!」
「りょーかい!」
そう言って円堂と杏は特訓に戻って行った。
◇ ◇ ◇
「外裂、少しいいか?」
円堂と杏の特訓を眺めていると後ろから声をかけられた、鬼道である。
「なんだ?」と俺が返すと、「元エイリア学園として、お前の意見を聞きたいんだ」と告げてきた。
「先ほど、あのようにイプシロンを倒すことが出来た。
…ただ、お前からまだマスターランク3チームとの対戦が残っていると聞いた。
…今の雷門は、その3チームに勝てると思うか?」
「…正直なところ、かなり厳しいだろうな。
豪炎寺が返ってきてくれたが、それでもまだ足りねえ。
イプシロン改との試合を経験して分かったけど、攻撃力が足りてなさすぎるな」
「…やはりか、俺も痛感した。
外裂が入ったおかげで守備が安定し、攻撃への糸口を掴めた。
…ただ、そこからだった。
豪炎寺も吹雪もいない以上、久々に試合をどう作ったらいいか分からなかった。
デザームのグングニルの危険性もあった以上、円堂を上げる判断はむずかしかった」
後半、皇帝ペンギン2号を使用したのはそれが理由か…。
…多分鬼道ならもうどうすればいいか、分かってるはずだよな。
「…鬼道、提案なんだけどよ」
俺は改めて鬼道に話す。
「…円堂をフィールドプレーヤーにしてみないか?」
俺はこの後行われることになる提案を鬼道にしてみることにした。