試合の後半、雷門とダイヤモンドダストの攻防が続いていく。
FWの豪炎寺とアフロディには厳しいマーク。2人にボールを通そうと思ってもその前にカットされてしまう。
…ただ、残り時間は少なくなってきている。
正直言って、次の点を奪った方の勝ちだろう。
…そんな中、鬼道が競り合いの中でボールを奪う。
「…一之瀬!」
右サイドを駆け上がっていく一之瀬に、鬼道からボールが渡る。
「土門、円堂!」
「「おう!」」
一之瀬の声に合わせて、2人が駆け上がっていく。
…この態勢ということはザ・フェニックス。
なら俺のやるべきことは…。
「…綱海、壁山!カウンター警戒!
シュート撃たれる前に止めるぞ!」
「はいっス!」
「ああ、もちろんだ!」
俺はそうディフェンス陣を引き締める。
キーパーの円堂が前に出てる以上、俺たちが守らないと行けねえ。
少なくとも円堂が戻るまで時間を稼がないと…。
…そう思っていると、一之瀬がクララにボールを奪われた。
「…こっちだ!」
ガゼルがそうボールを呼ぶ。
その声に合わせて、クララからパスが飛んでいく、…だが。
「…準備できてるぜっと!」
「何だと!?」
俺はガゼルに向けて右足を振り下ろす。
「デーモン、カット!」
ボールはそのままタッチラインを割り、ダイヤモンドダストのスローインとなった。
「ふうっ、危ねー…」
「…外裂!助かった、ありがとう!」
戻ってきた円堂からそう声がかかり、右手を挙げて答えながら鬼道の元へと向かう。
アフロディも前線から鬼道の元へと来ていた。
「…鬼道、やっぱり円堂を上げるのはやめといたほうがいいんじゃねえか?」
「そうだね、連携技は円堂君がゴールから離れすぎる、あまりにも危険だよ」
俺とアフロディがそう鬼道に話すが、鬼道は「分かっている…」とリスクを覚悟した声だった。
「しかし、時間がないんだ。
時には危険を背負わないといけないときもある…」
「円堂君が攻撃に加われるからこその、大きな落とし穴だね…」
そう鬼道とアフロディが話す中、俺が鬼道に声をかける。
「…鬼道、俺にあがらせてくれないか?」
鬼道は「お前がか?」と声をかける。
「俺なら円堂よりはリスクは低いはず、ディフェンスにいる俺ならあいつらの虚をつけるはずだぜ」
俺がそう話すと、鬼道は「…確かに、一理あるな…」と呟く。
「…ただ、攻撃の合図はどうするんだい?
相手の隙をつくなら、言葉では伝えられないよ」
アフロディがそう聞いてくるが、俺は「大丈夫だ」と話す。
「…鬼道、アフロディ。ボールを持ったら杏にボールを預けてくれ。
それに合わせて俺は駆け上がるからよ」
…ずっと練習して来た杏なら、言葉はいらない。
俺が杏の方に視線を向けると、杏は静かに頷く。
「…よし、外裂。
お前に任せることにしよう、頼んだぞ」
「ああ、もちろんだ。
必ず試合決めてくるからよ」
俺はそう声を返し、最終ラインへと戻っていった。