「円堂君、あなたにはキーパーをやめてもらうわ」
「そんな…、急にそんなこと言われても…」
円堂がそう驚くなか、ほかのメンバーからも反対意見が上がっていく。
だが、瞳子監督は揺るがなかった。
「勝つために、キーパーをやめてほしいの」
そう話した監督をフォローしたのは鬼道だ。
「俺は監督に賛成だ」
そう話した鬼道に俺も続ける。
「…同じく、俺もこの案はいいと思うよ」
そして鬼道は続けていく。
「俺たちは地上最強のサッカーチームにならなければならない。
お前が必殺シュートのために前へ出ることで相手に得点のチャンスを与えるなら、それは大きな弱点だ。
弱点は克服しなければならない。そこで初めて、俺たちはそこではじめ完璧な地上最強のサッカーチームを名乗ることができる」
「…実際問題として、俺もデザームなら対応はできるけど、マスターランクのストライカーは俺も止めれるかどうかは50:50。
センターサークルまでならともかく、円堂が最前線からゴール前に戻ってくるまで、グランやバーン、ガゼルといった面々にシュートを打たさずに抑えきるのは至難の技だ。
今回はなんとか俺がその前に準備してたから何とかガゼルにボールが渡る前に対応できたけど、それにも限界がある。
ゴールキーパーはほとんど自分のゴール前にいてくれれば、俺も大胆に攻めた守備をできるしな」
「それで、円堂にどうしろって…!?」
塔子がそう話すが鬼道は「変わってもらうんだよ、円堂に」と続ける。
「…円堂、お前はリベロになるんだ」
「リベロに?」
…なるほど、ディフェンダーと限定せずリベロ…か。
「…考えたな、鬼道。
確かにそれなら円堂の力を最大限に生かすことができる」
「…ああ。円堂をフィールドプレーヤーとして活かすなら最適なポジションだと俺は思っている」
そう鬼道が俺に話してくると、監督も「鬼道君たちも、同じことを考えていたのね」と続けてくる。
「…エイリア学園に勝つために、俺たちはもっと大胆にかわらなくてはいけないんじゃないか、と…。
幸い、エイリア学園でもトップクラスの守備力を持つ外裂が入ってくれたおかげで、うちの守備はよくなった。
試すならチームメンバーが大きく変わった今だと思っています」
鬼道がそう監督に伝えた後、円堂は考えこむ。
しばらくたった後、円堂は「決めた」と決意する。
「…俺、やるよ。
勝つために、強くなるために変わる。
リベロになる!」
そう決めた円堂に、木暮から「それで、だれがキャプテンの代わりにゴールを守るのさ?」という声がかかる。
…ただ、円堂はもう決めていたようだ。
「…立向居がいる。
うまく言えないけど、立向居からは可能性を感じるんだ。
なんかものすごいやつになりそうな気がする。こいつに任せとけば、大丈夫って思うんだ」
「で、でも…。
俺、俺が雷門のゴールを守るんですか…」
そう立向居は言うが、監督は円堂の言葉に付け加えるように「私からもお願いするわ」と続ける。
「ゴッドハンドもマジン・ザ・ハンドも覚えることができたお前だ。
円堂の後継者には、最も相応しいといえるだろう」
「…お前らしく堂々とゴールを守ってくれれば、俺はそれに合わせるようにディフェンスする。
ディフェンスとして、お前が俺にやってもらいたいことは全部やるからよ」
「…な!俺たちのゴールを守ってくれ!」
「…は、はい!やります!」
こうして、円堂のリベロ転向、立向居のゴールキーパー転向が決まった雷門。
雷門がもっと強くなるために…、俺はどこまでサポートできるかな。
そう思いながら、俺はキャラバンに乗り込み、稲妻町への道を進んでいった。