…円堂がフィールドプレーヤー、立向居がゴールキーパーの練習を始めた。
ちなみに俺は、立向居の練習に付き合っている。
練習するのは円堂の祖父、円堂大介さんがノートに残した必殺技、ムゲン・ザ・ハンド。
「…いいか、俺たちはひたすらシュートを撃つ。
新技で止めて見せろ、立向居」
「はい、お願いします!」
そう立向居が答えた後、俺はボールを蹴りだす。
立向居はその瞬間目を閉じ、ボールを見切ろうとする。
…その瞬間、立向居には青い一回り小さなゴッドハンドが出てきた。
…ただ、俺のシュートを防ぐことは出来ず、立向居ごとボールはゴールへと突き刺さった。
「…長くなりそうね、これ」
それを見た杏はそう呟く。
「まあな。でも、ジェネシスと戦うまでにはものにしてもらわないと困る。
そもそもこの技の完成形がどんなもんかもいまいちわからねえし…」
…まあ、原作知識で分かってるけど。
下手に先に答えを教えるわけにはいかないし、何か掴みそうならちょくちょくヒント言ってくぐらいにしとこう。
「…っていうか、向こうは何をやろうとしてるんだ…?」
「…あれ、タイヤよね…?」
俺と杏がそう呟く通り、円堂はタイヤで両腕を縛られていた。
…手を使わないようにするってのは分かるけど、タイヤを使う必要はあるのか?
俺はそう思いながら、立向居のキーパー練習に目線を戻した。
◇ ◇ ◇
その後も特訓はつつがなく進んでいき、円堂は新しい必殺技「メガトンヘッド」をマスターした。
…そして、更に強くなるために、鬼道が特訓場所として選んだのが…。
「…ホントに学校なのかよ、ここ…」
「なんか、ウチの研究所みたいね…」
…帝国学園、鬼道の原点である場所。
鬼道に話を聞けば、「俺と土門と円堂でデスゾーンをできるようにする」とのこと。
「デスゾーンねえ…」
俺は帝国学園のグランドを見渡しながら、そう呟く。
まあ、この技のカギは鬼道が帝国と雷門の違いをいつ見つけるか。
それが遅くなりそうだったら一回口挟んでおこう。
「行くぞ、立向居!」
「お願いします!」
俺は立向居に向けて、シュートを放つ。
「…シタタタッ、タン!ドバババッ、バーン!」
目を閉じたまま、立向居はボールを止めて見せた。
「…お、止めれるようになったか」
「はい、…でも、今のは目を閉じてキャッチしただけ。
必殺技とは言えないです」
立向居はボールを見つめながらそう話してくる。
「…だよな。それじゃ、シュートを止めれるようになったことだし、威力を上げていくか。
…杏、来てくれ!」
そう言って俺は塔子やリカと一緒に練習していた杏に声をかける。
「…杏、必殺技頼めるか?」
「分かったわ。立向居もマスターランクの威力、分かっておいた方が良いわよね」
杏はそう言って俺からボールを受け取る。
「立向居!俺と杏はお前がこれから相手にしていかなければならない、エイリア学園マスターランクの選手だ。
マスターランクのストライカーたちに比べたら威力は落ちるが、それでもそれに追随する威力は出せると思ってる。
これからの特訓、俺たちの特訓も兼ねてお前に必殺技でシュートを撃ちこんでいく。
倒れんじゃねーぞ?」
俺がそう言うと、立向居は「分かりました!」と返してくる。
「…それじゃ!」
そう言って杏はボールを高く蹴り上げる。
「アトミック、フレア!」
杏から放たれたシュートは、目を閉じた立向居の横を通り過ぎ、ゴールへと突き刺さる。
「え…!?」
そう驚く立向居と、「今の全然本気じゃないわよー」という杏の2つの声が聞こえてくる。
まあ、こればっかりは仕方ないか…。
「立向居、今はマスターランクのシュートに慣れる段階だ。
しっかりボールの勢いに反応できるまで、感覚を頭に叩き込んでいこう」
「は、はい!」
そうして立向居のキーパー特訓と、俺と杏のシュート技特訓を兼ねた特訓が始まった。