茂みの中から成り行きで決まった雷門とSPフィクサーズの試合を観戦している。
…ただでさえ相手は大人、それでいて人数は一人少ない10人。
さて、どうなってくるのか…。
…という冗談は置いておいて、雷門はしっかりと大人相手にも負けじと戦えている。
ジェミニにフルボッコにされたとはいえ、さすがは日本一のチームだ。
「…姉さんは何も言ってないっぽいな」
俺は黙ってフィールドを見つめている姉さんを見てそう呟く。
…まあ、そもそも姉さんあんまり言わないからな…、基本自分で気づけってスタイルだし。
そう思いながら試合を見ていると、一進一退の攻防を繰り返している。
雷門は10人で良く相手出来てるし、大人だとはいえSPフィクサーズの方も全国優勝レベルの雷門相手に匹敵する力を見ている。
両チームともシュートまでは行くが、そこからもう一歩が足りない。
SPフィクサーズは組織的にガッチリと守っている。
さすがは財前総理のSPも兼ねているチームではある。
対して雷門も円堂を中心に守り切っている。
…唯一、懸念点があるとすれば。
「…やっぱりあの3人の動きだな」
俺はそう呟いて風丸・壁山・染岡の3人を見る。
…おそらくジェミニ戦でのダメージが抜けきっていないのだろう。
多分、我慢できる程度の怪我だから離脱していないんだろうけど…。
相手に気付かれてそこを重点的に突かれれば一気に苦しくなってくるだろうし。
…というか、角馬って本当にここまで来てるんだな、お前サッカー部と関係ないだろ…。
前半が終了に近づいていく中、俺はそう思いながら試合を眺めていた。
◇ ◇ ◇
後半が始まろうとしている中、フィールドに出てきた雷門の面々に変化が見られた。
「…あの3人外したのか」
雷門がフィールドに出してきたのは先ほどの動きが悪かった風丸、壁山、染岡を除いた7人。
まあ試合をする上では7人以上いれば試合はできるが…、その分一人ひとりの負担はものすごく増える。
「…まあカバーにも力を使おうとするより、いっそのこと分けた方が一人ひとりのやるべきことをはっきりとさせた方が良いか。
試合が再開されていくが、雷門の面々は人数差を感じさせないプレーを見せていく。
そして。
「マジン・ザ・ハンド!」
…あれがマジン・ザ・ハンドか。本当に円堂の後ろに魔人が出てしっかりボールを受け止めている。
試合が終了に近づいていく中、円堂から鬼道へとボールがつながれていく。
「イリュージョンボール!」
鬼道の代名詞ともいえるイリュージョンボールで相手を突破した後、ボールは高く蹴り上げられてそれに合わせるようにエース豪炎寺が高く飛び上がり炎を纏いながら回転していく。
「ファイア、トルネード!」
鋭い眼光と共に豪炎寺から放たれたファイアトルネードはキーパーが反応できないほどの勢いでゴールに突き刺さる。
「…エイリアに関係ない時なら、これぐらいできるわな」
俺は豪炎寺に向けてそう呟いた。
「…さてと、ジェミニとの勝負を見にいくとしますかね」
試合を見届けた俺は、そう呟いてその場を去っていった。