この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています。   作:パンダ2世

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第1回放送〜第84回放送

 ──2030年5月6日16時07分

 

『…………あー、あー……これでいいのかな? こほん。マイクテスマイクテス……本当にこれであってるのか……? えー、聞こえてるでしょうか。聞こえてたらぜひ教えて頂きたいです』

 

『……えー、とは言っても教える手段がないのは百も承知なので、聞こえたら是非ともこの狂った世界の中心へお越しください。私はそこで待っています。…………これ声入ってなかったらどうしよ、独り言じゃん』

 

『なんか急に恥ずかしくなってきたな…………まぁいいか。この放送があなたの元に届いていると信じて喋ることにします』

 

『さてさて、それでは記念すべき第一回『終末ラジオ』の放送を開始いたします。番組名は私が考えました。センスが感じられますね』

 

『一応ラジオとは銘打っていますが、お便りコーナーなど、私とリスナーの双方のやり取りが不可能なので、基本的に私がその場で思いついたことをだらだら話すことにします。企画力がないのは察してください』

 

『……もうすでに一人で宙に話しかける現状に恥ずかしさを覚えつつありますが、なんとか頑張って続けることにします。友達に見られたら泣きます。いろんな意味で』

 

『えー、もう何日も"人"と会話ができていないので、寂しくなって放送を始めました。なので聞いてくれてありがとうございます』

 

『外を彷徨いてる連中は、あ"ーとかう"ーとか呻くばかりでまともに話し相手になりません。そのくせに、視界に入ったら襲ってくるという激ヤバ習性を持ってるので困ったものです』

 

『今でこそ見慣れましたけど、最初見た時は驚きましたね。もはや懐かしいです。あの時はビビりながらも、漠然と『ゾンビって見た目ホントにゾンビなんだー』って思った気がします。フィクションだと思っていたので、いざ目の前に本物が現れたら、どこか他人事に感じちゃったんですよね』

 

『私が呆けている間に、目の前で友達が2、3人噛まれちゃったのが悔やまれます。その後トイレに隠れて三日三晩声を押し殺して泣いたものですね。……こうして思い返してみたら、私よく今生きてますね。すごいな、私。さすが私です』

 

『まぁ、友達の話はこの世界ではよくある悲劇なので割愛しましょう。いずれこのラジオで話すかもです。気が向いたらね』

 

『とりあえず自己紹介といきましょうか。こほん。私の名前は……そうですね。Aちゃんとでも呼んでください。本名不詳の謎キャラ路線で行くことにします。かっこいいでしょ』

 

『えー、そうですね……何から話そうかな。……こんな世界なので私くらいは明るい話題を発信したいんですよね。え? 『終末ラジオ』って名前なのに明るくいくんかーいって? そんなの知りません』

 

『学生時代の思い出でも話しますか。私、学生時代はバレー部に入ってたんですよ。しかも一応スタメンだったんです。下手だったけど。部員が少なかったので試合に出てただけです』

 

『下手なりに頑張って練習して、たまにチームに貢献できた時はすごい嬉しくて……まぁ迷惑かけた回数の方が多いのはご愛嬌ということで。3年の最後の方なんかは────』

 

 

『──────────────』

 

 

『────ーあはははっ…………──────』

 

 

『──それでその時、──────────』

 

 

『────────────────────』

 

 

『────────私意外と才能が、────────』

 

 

『────────────────────』

 

 

『────えっ、私が何歳かって? 20代ギリ前半です。……それ言ってるようなもんじゃんって、たしかに』

 

 

『まだまだ若さにしがみついていたいの、私は。もともとは、まだ大学生だったんだから…………』

 

『ってもうこんな時間か。今日はそろそろ終わりにしようかな。以上、『終末ラジオ』の時間でした。明日もたぶん同じくらいの時間にやります! ではでは〜〜……。ラジオの締めってこれであってるのかな……まぁ、いいや。……あっ、このボタンか。えー、それではみなさんさようなら。また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第1回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──2030年5月7日16時37分

 

『あーあー、たぶんこれでオーケー。えー、どうも『終末ラジオ』の時間です。本日も私、Aちゃんがお送りいたします。この放送があなたに届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています』

 

『まだ2回目の放送ですが、巷では話題になってたりしないですかね。私のトーク力は中々のものでしょう? 人気爆発しててもおかしくないと思うんですよね。……まぁ、2回目じゃ流石に無理か。でもこれを聞いているあなたは運が良いですよ。古参を名乗っても許される地位にいるんですから。存分に友達に自慢してください』

 

『昨日は最初からグダっちゃったので、今日は話題を考えてきました! ずばり、友達と沖縄に旅行に行った時の話をします。え? そんなの興味ないって? またまた〜、本当は気になって仕方ないんでしょう。私知ってますよ』

 

『…………1人でやってて悲しくなったので、早速本題に入りましょう。そう、あれは2年前…………"感染"が広がる半年前くらいのことでした。サークルの友達と4人で話してる時に、急に友達の一人が沖縄に行きたいって言い出したんですよ』

 

『たしか3月だったかな。私は暑い時により暑いところへ、寒い時により寒いところへ行きたがる性格なので、最初は行くのを渋ったんです。雪降ってない時に北海道行くのは邪道だし、沖縄に行くなら夏の真っ只中が良かったんですね。意味わかんないでしょ。私もわかんない』

 

『だけど友達の勢いに流されて、なんだかんだ無敵のJDパワーを発揮して行くことになって…………まぁ、めちゃくちゃ楽しかったですね。普通に適温でした。軟弱な私は、たぶん8月とかに行ってたら倒れてた気がします』

 

『金欠だったので一泊2日の短い旅だったんですけど、海が綺麗だったので万事オーケーって感じでした。だから海ぶどうをたくさん食べてお腹壊したんです。…………ん? 今なんか日本語のつながり変だったな。アホがバレちゃう、嫌だ! ……なんかたまにこういう時ありますよね。まぁいいや……初日は海辺のホテルに泊まって──────』

 

 

『──────────────』

 

 

『──────で、ジャンケンで決めることになって────』

 

 

『──────────────』

 

 

『──────────あれ……────』

 

 

『───────なんか涙が────すみません、ちょっと、ごめんなさい──』

 

『──えー、お恥ずかしい姿を見せました。大変申し訳ないです。……そろそろ良い時間になってきましたので、今日の放送はここまでにします。決して恥ずかしくなったから急に終わらせたというわけではないので、お忘れなきよう。それではみなさんさようなら。では、また明日会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第2回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 

 

 ──2030年5月8日17時42分

 

『えー、どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。謎の美少女Aちゃんによってお送りしていきます。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています』

 

『いやー、遅れちゃってごめんなさい。今日は感染者君がいつもより暴れてたので、バリケードを補強してたんですよ。いやー、大変でした。バリケード越しに目と目が合っちゃったせいで、向こうが大興奮したんです。そりゃまぁ、ラジオで大人気な私を見かけたら慌てちゃうのもわかるんですけど、いかんせん私の恋愛対象は"人"限定なんですよね。丁重にお断りしました』

 

『こう見えて……ってみなさんは見えてないか……私は結構手先が器用なので、バリケード修復なんてちょちょいのちょいです。あ、あなた今疑いましたね。本当ですよ。実は私、裁縫も料理もできちゃうんですよ。パーフェクトガールってやつです』

 

『まあ、器用じゃないと生きるのが厳しい世の中ですからねー。世知辛いものです。世知辛いの使い方ってこれで合ってますか?』

 

『そうだ、私の得意料理ってなんだと思います? 大体なんでも作れるんですけど、これだけは誰にも負けないぞっていうのがあるんですよ。……カレー? 肉じゃが? いいえ、違います。正解は鍋です! あっ、鍋なんて誰でもできるって思った人いますね! これが違うんですよ。私にかかれば────』

 

『────────────────────』

 

『────────────────』

 

『────────────────────────ー』

 

『──それでは今日はこの辺で終わりにしましょうか。それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第3回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 

 ──2030年5月9日17時15分

 

『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。今日もAちゃんがお送りします。ちなみに明日もAちゃんです。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています』

 

『そろそろ世界の中心ってどこだよという苦情が届いた気がするので、一応言っておくと、ここが世界の中心です。そう、私がいるところこそが世界の中心です。…………いや何言ってるんだって思ったあなた! そんなあなたに質問です。あなたにとっての世界の中心はどこですか? あなたが今いるその場所こそが世界の中心に感じられるでしょう? つまりはそういうことです』

 

『私は私がいるところが世界の中心だと思って生きてます。なので面白いことに、世界の中心は動くんです。基本的に世界の中心はベッドにあります。たまにバリケード見に行ったり、食糧調達に行ったりするくらいです。あんまり動きません。というより、動きたくないです』

 

『はい、まぁそんなのはどうでも良いと思われるので、次の話題にいきましょう。そうですね、今日は私の親指の可動域が超すごいことについて話しましょうか』

 

『親指を限界まで後ろに倒してみてください。……倒しましたか? 私の親指はその2倍倒れます。想像してみてください。すごいでしょう。実践して見せてみたいんですが、ラジオだとそれができないのが悲しいところです』

 

『以前居酒屋で友達に見せたときは爆笑を掻っ攫いましたよ。友達みんな酔っ払ってて何言ってるかわかりませんでしたが。そのあと酔っ払った奴らを家に返すのが大変で……ってめっちゃ話脱線してました。えーと、何の話だっけ』

 

『────────────────』

 

『────────────────────ー』

 

『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第4回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 

 ──2030年5月10日17時00分

 

『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。前日の情報通り、今日もAちゃんがお送りします。ちなみに明日は秘密です。あ! どうせAちゃんだろって思ってますね。その通りです。あとこの放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています!』

 

『さっそく本題に入っていいですか! 今日は話したいことがあるんです。なんと久しぶりに良い夢を見たんです! 私、宝くじが5億円当たりました! 夢ですけど。私って夢見てる時に明らかにおかしいことが起きても夢って気づかないタイプの子じゃないですか。みなさんにとっては知らねーって話かもですけど』

 

『みなさんは宝くじ当たったらどうしますか。私は夢の中では家族とハワイ旅行に行きました。えぇ、わかっています。そんなんじゃ5億円を使いきれないってことくらい。でも私って意外と金銭感覚が庶民的なので、大金の使い方がそれくらいしか思いつかないんですよね。あとはお風呂にシュワシュワするやつをつけるとか』

 

『まぁ私にとって5億円が当たったこととかは些細なことで、本当に嬉しかったのは夢に家族が出てきたことです。いつもは感染者ばっかりが出てくる世紀末フィーバーな夢しか見ないので良かったです。しばらく会ってないのでそろそろ会いたいですね。お父さんお母さん…………。あ、そういえばまだ私の家族構成とか言ったことなかったですよね』

 

『私は4人家族です。お父さんとお母さんと、私と妹! 私が美少女すぎることを除けばどこにでもいる普通の家庭でした。あ、いや、普通の家庭です。妹は生意気にも私よりスタイルが良くて、あー思い出してちょっと腹が立ってきました。あの子昔、私の身体を見て無言で親指を立てたんですよ。諦めんなよって。ムカつきます。それで──』

 

『────────────────ー』

 

『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第5回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 

 2030年5月11日17時00分

 

『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。今日もAちゃんがお送りします。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています──』

 

『──────────────────ー』

 

『──では、また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第6回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 

 2030年5月12日17時00分

 

『どうもみなさんこんにちは『終末ラジオ』の時間です。今日もAちゃんがお送りします。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています──』

 

『──では、また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第7回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 2030年5月13日17時00分

 

『どうもみなさんこんにちは『終末ラジオ』の時間です。今日もAちゃんがお送りします。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています──』

 

『──では、また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第8回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 2030年5月14日17時00分

 

『──この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています──』

 

『──では、また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第9回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 2030年5月15日17時00分

 

『──この放送があなたの元に届いていると信じて、──』

 

『──では、また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第10回放送 聴取人数0

 

 

 

 

 2030年5月16日17時00分

 

『──あなたの元に届いていると──』

 

『──また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第11回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 2030年5月18日17時00分

 

『────』

 

『──また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第12回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 2030年5月19日17時00分

 

『──────ー』

 

 ──終末ラジオ 第13回放送 聴取人数0人

 

 

 

 

 2030年5月20日17時00分

 

 ──終末ラジオ 第14回放送 聴取人数0人

 

 

 2030年5月21日

 ──終末ラジオ 第15回放送 聴取人数0人

 

 

 5月22日

 ──終末ラジオ 第16回放送 聴取人数0人

 

 ──終末ラジオ 第17回放送 聴取人数0人

 

 ──第18回放送 聴取人数0人

 

 ──第19回放送 聴取人数0人

 

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 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 聴取人数0人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──2030年7月28日17時00分

 

『どうもみなさんこんにちは。『終末ラジオ』の時間です。今日もAちゃんがお送りします。この放送があなたの元に届いていると信じて、今日も世界の中心から放送しています』

 

『暑い! まじで暑いです! 以前もお話しした通り、ここには太陽光発電のおかげで電気が通っているんですけど、エアコンが貧弱すぎます。もっと根性を見せて欲しいです。そんなんじゃ甲子園出場は夢のまた夢だぞ!』

 

『えっ、ちょっと待って。今ブオーって音が止まったんですけど。…………うわ、エアコン止まってる! 私のパワハラに拗ねてエアコンが機能停止しました。何をしてるんだエアコン君! ゆとり世代か君は! もっと頑張ってくれ! じゃないと私が暑さで死んでしまいます!』

 

『おっ、今ちょっとブオって鳴き声みたいな音がしました。その調子だ。君の実力はまだまだこんなものじゃないでしょう。そう、そうだ頑張れ! ……ってああああ、止まらないで!』

 

『…………はぁ……また故障したみたいです。この前修理したばっかりなのに。この放送が終わったらまた直します。あー、なので今日の放送は早めに切り上げます。私は熱中症を甘く見たら痛い目に遭うと知ってるんです。ご存知の通り、学生時代はバレー部だったので』

 

『みなさんもこの季節、熱中症には気をつけてくださいよ。あと脱水症状にも。水はこまめに飲みましょうね!』

 

『じゃあ今日はそうですね…………私の妹が『お姉ちゃんってじゃんけんで最初チョキしか出さないよね』ってお母さんと話してるのを聞いて、アイスを賭けたジャンケンで華麗にグーを出してあいこになった話でもしましょうか──』

 

『──────そもそもグーにパーで勝てる意味が──────────』

 

 

『──────────腐ってもこの私の妹……────────ー』

 

 

『────ーそれで私は────」

 

 

『────それでは、暑いので今日はこの辺にしときます。あーこの後エアコン修理するの面倒くさいな……。それではみなさんさようなら。では、また会いましょう』

 

 ──終末ラジオ 第84回放送 聴取人数1人

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