日本召喚2021   作:秋津とんぼ

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16 崩壊

 「我が国では賄賂は禁止されています。」

 

 そう言った時の3人の顔は面白かったなぁと、外務省職員である美田園は廊下の長椅子に座り込んで現実逃避をしていた。

 ことの始まりは一週間前、8月24日に突如東方連盟加盟国であるヒゼキヤ王国の船がネクサリアに現れたことだった。

 その頃にはすでにレプリア王国とレミジャンティア公国が突きつけたあまりにもあんまりな要求は外務省中に知れ渡っており、またナクリア王国に見られた()()()のこともあり、誰もが敵対する可能性を頭に入れていたため、すわ襲撃かと騒ぎになりかけた。

 だが、クローヴェル側からその船が掲げている旗の中に外交使節旗なるものがあると連絡があったため、張り付かせていた巡視船を三隻から一隻に減らし、港へと誘導した。

 船には、ヒゼキヤ王国とツツル王国、クラ王国の外交官が乗っていて、なんと東方連盟から脱退し、立ち上げたばかりの国際連合への加盟を求めてきたのだ。

 3人のうち最年長であるクラ王国の外交官ルケラが言うには、東方連盟は一応紙面の上ではすべての加盟国が対等であったが、連盟を運営する機構の人事は大きく偏っており、東方連盟の中でも最も北である三国は辺境の国と蔑まれ、一段下の扱いを受けてきた。それを覆すほどの力はなく、またあったとしてもそれを行使すれば連盟への裏切りとして他のすべての加盟国からの攻撃を受けることとなり、勝てるかどうかは危うかった。

 そんな中、それぞれクラとツツルの外務省にあたる役所に詰める仲の良い二人が、星祭りにて日本の護衛艦が大飛竜(エルドワイバーン)を次々落とす様を目撃した。

 これほどに力が隔絶しているならば、我々は連盟の楔から解放されるかもしれない。そう希望を抱いて、3人はネクサリアへきたのだ。その内の一人が————

 

 「ミタゾノさん、ここにいたんですか。ハンザワ殿が探していましたよ?」

 

 たった今馴れ馴れしく声をかけてきたヒゼキヤ王国の外交官、セリア・ヴァンジャンスだ。

 腕で挟み、明らかに意図して強調している胸部を見て、美田園はあの後のことを思い返した。

 賄賂を断った後、他二人は困惑する中、彼女は突如着ている服を脱ぎ出したのだ。 

 慌てて引き留め、なんとか肌の露出は回避できた。

 話を聞いてみると、東方連盟に加盟する際、レミジャンティアの猛烈な反発で加盟が危うくなったことがあり、その時彼女の叔母が()()()()()交渉して加盟への賛成を取り付けたという前例に倣ったというので、彼はレミジャンティアは噂以上の国だと慄いた。

 しかし一回脱衣未遂した程度で諦めることはなく、肌着を見られた責任をなどと言ってことあるごとに絡んでくるのが今の彼女だった。しかし、代々他国との交渉を引き受けている一族の本家筋で唯一の生き残りだという彼女の、外交官としてあるまじき無垢と純真さ、そしてその可憐な容姿が転移により人員が大きく減った分増えた仕事で疲れている美田園にとって癒しになっているため、彼はヴァンジャンスの行為を止めることは無かった。

 

 

 

 現在本省は敵対する可能性が日に日に高まっている東方連盟の力を削げるという理由から、彼ら三国の連合加盟に前向きであり、主にルケラを中心として話し合いを進めている。

 彼女が役目を終えて帰国し、美田園の生活から癒しが消えるのも、そう遠くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 美田園が現実逃避しているのと同じ9月1日の昼下がり、王城の内城壁にて、ネイヴィストの新王ネストリウス2世は再建が進む主塔を見ながら、大きくため息を吐いた。

 

 何もかもが、うまくいっていなかった。

 

 懲罰艦隊の攻撃で父と邪魔なアリウスを殺し、兄を王位に即けて実権を握るはずが、ニホンの介入で懲罰艦隊が全滅。なんとか今回の責任を取る形で父を退位に追い込めたがアリウスを殺すことはできず、暗殺を命じたが途中で命令がすり替わってしまったようで兄が毒で昏睡に陥り、お鉢が自分に回ってきた。さらにグルタミア、ファンポックと共に対クラッセルブリア戦争に参戦し、その引き換えにニュルンベッゲルからの魔石輸入制限を撤廃してもらい、また旧クラッセルブリアから幾らかの領土を切り取るはずが、国際連合の成立で加盟国間の戦争は日本が仲裁に入ることとなったため無期限停戦となったせいで、撤廃は立ち消えになり新領土も取れなくなってしまった。

 ”星祭り立国"と自虐した王もいるほど、ネイヴィストという国は国力の源を星祭りに頼っていた。

 星祭りで落とされた金で金属を買い、星祭りで落とされた金で魔石を買い、星祭りで落とされた金で港を作り、星祭りで落とされた金で書物を買い、星祭りで落とされた金で大学を作り、星祭りで落とされた金で外国人を教授として雇い、星祭で落とされた金で武器を買い、星祭りで落とされた金で傭兵を雇い、星祭りで落とされた金で反乱者を切り崩し、星祭りで落とされた金で神殿を整備する。

 この状態をなんとかしようとしていたのが父だったが、いかんせん強引にすぎた。そうネストリウスは思っている。

 流石に借金踏み倒しは庇えないし為政者失格である。そもそもフラキヴェールという一番の障害がなんの不自由もなくのさばっているのがいけない。

 それでも父は発展の基盤を作ってくれたため、多少はやりやすくなってはいるものの、いまだにネイヴィストは星祭りの主催国でなければあっさりどこかに飲み込まれる程度の国でしかない。

 発展の第一歩として、これまでフラキヴェールが独占してきた魔石加工の需要を崩すべく、彼らの扱いきれない量の魔石を国内に放出しようとしたのだが、前述した理由のせいでそれができなくなってしまい、一気にやる気がなくなってしまったのがネストリウスの現状であった。

 借金踏み倒しによる信用の失墜も大きく、ますます未来が暗雲に閉ざされているように思えた。

 

 「……戻るぞ。景色ばかり見ていてもなんの————」

 

 いつまでも気を滅入らせていても何も起こらない、部屋に戻って楽師の演奏でも聞いて落ち着こう。そう思って帰ろうとした矢先、喉元に冷たいものを突きつけられた。

 

 「動くな」

 

 「!?貴様ッ、何奴————」

 

 「騒ぐな、仲間を呼ぶな。何か叫んだらこの喉を裂くぞ」

 

 大声で誰何しようとする二人の護衛に対して釘を刺したのは、女とも少年とも取れる高さの、冷徹な声だった。

 

 「貴様が今代のレティグナウスルの中継珠の管理者だな?」

 

 それを聞いたネストリウスの目が見開かれる。

 

 「!……なぜその名を知っている⁉︎」

 

 「……貴様が管理者だな?」

 

 問いに答える気はないと判断し、ネストリウスは力を抜いた。

 

 「我が家が管理者をしていたのは23代も前のことだ。確かに今も管理者を監視下に置いているが、管理者ではない」

 

 「それでも分家だろう?」

 

 「だからどうした、貴様が直接神殿長に会えば良いではないか。貴様は単身この城の結界を突破してきたのだから、その程度の実力はあるだろう」

 

 その返事を聞き、後ろの人物が笑い始めた。

 

 「なんだ、何がおかしい」

 

 「貴様、何物をも《虚空に在る者(エアヴェルミーン)》を犯せはしないのだ、入れるわけがなかろう」

 

 「はあ?何を言って……まさか!」

 

 何かに気づいたネストリウスに構わず、その人物は言葉を続ける。

 

 「では、貴様に管理者へ言伝を頼むとしよう。

 『《黄衣の王(テキンギンイェロゥ)》の使いが、《虚空に在る者(エアヴェルミーン)》の覡に申す。《輝く夜空の花嫁(カグフィラヨメ・ヌメッリ)》の子らが七度巡るまでに、中継珠を全きまでに満たせ。それは日出る処の国が《夜闇の主(フォッラ・ヌムス)》に敗れし者どもを打ち破る助けとなろう』

 ……こんなところか。では、貴様にも助言しよう。キルティアスを叩け。フィアラーンの簒奪者への敵意を利用するのだ。では————」

 

 「待ってくれ!」

 

 ネストリウスはわっと浴びせかけられた神話的な情報の波に圧倒されていたが、その人物が自身から離れようとするのを感じて気が付き、呼び止めた。

 

 「そなた、名はなんという」

 

 「ほう?人の身でありながら我が名を問うと?……まあ、その度胸に免じて、()()人としての名は教えてやろう」

 

 それまで彼の腕を押さえていた腕を解き、刃物も離されたのを感じて、ネストリウスは振り向いた。

 そこにいたのは、目深にフードを被った、小柄な人だった。かなり大きく張り出た胸から、女とわかる。

 彼女はフードを跳ね除け顔をあらわにし、飛び上がって二人の護衛の片方の頭の上に立った。

 

 「アユ=ゴ=マ・ミネグモ。それが今の私の名だ。最も、この名で再び会うことはおそらく無いだろう」

 

 そう言うなり、彼女は大きく蜻蛉返りをして城壁の外へと落ちていった。

 慌ててネストリウスは胸壁へ駆け寄り、下を覗き込むが、既に彼女の姿はなかった。

 

 「……神殿長に会いに行くぞ」

 

 そう言う彼は平静に装っていたが、その内心は興奮と驚愕と恐怖、そして一抹の桃色でごちゃ混ぜであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 9月19日、エルフィリア。

 イヴ・アダルベロン・バラフラ・エスト・レミ=ジャント=ジャントは連絡を受け第二外務局に来ていた。

 案内してくれた職員が戻っていくのを尻目に、彼は部屋に入る。

 

 「——ということか!」

 

 「はい、そうです。それで——あ」

 

 先に話を始めていたドゥルガッロとニホンの外交官……アサダと通訳の女が彼の方を向く。

 席に着くと、ドゥルガッロから話しかけられた。

 

 「バラフラ殿、まずはそちらの書類を読んだ方が」

 

 「ふむ?」

 

 見ると確かに上質な紙で作られた「ニホンについて」と題された書類が机上においてあった。

 

 「……なぜ読む必要がある?我々はアルチル事件についての交渉をしているのであり、そこに彼らのことを学ぶ必要などひとかけらもないと思うが?」

 

 バラフラにしてみれば、開明圏外国などどこも似たような物でしかなかった。戦闘は弓と魔法を除けば近接武器のみであり、飛竜(ワイバーン)すら3桁に満たない程度しか保有していない。道は悪く、農業も三圃式には程遠く、金属加工技術は未熟に過ぎ、識字率は極小。王族ですら古代グリシャ語を解さない野()で下賤なる蛮族。これまで多くのそんな未開の国を相手にしてきた彼は、ニホンもそんな国の一つだろうと安易な推測をしてそれで終わりだった。多少服装に気を遣ってはいるようだが、それだけだ。

 返事を聞いたドゥルガッロが黙ったの見て、バラフラはアサダへ問いかける。

 

 「では、返答を聞かせてもらおう。貴国はどちらを選ぶ?」

 

 条件を飲む(存続)か、飲まない(滅亡)か。口には出さなかったが、そう続けた。

 

 「はい。まず、こちらとしては、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。大事にしたくないのはどうやら一緒のようですから」

 

 は?

 

 今、いったい目の前の男はなんといった?変更?女の通訳が間違えてたりしてないか?バラフラはそう思った。

 

 「それで、こちらが我々の提示する新たな条件です。そちらにも悪い物ではないと思いますが……」

 

 そう言って渡された紙を見ると、驚くべき条件が書いてあった。

 

・日本は、レミジャンティア公国及びレプリア王国からの留学生を受け入れ、留学中の費用は両国で半分ずつ負担する

・日本は、ネイヴィスト王国のレミジャンティア公国及びレプリア王国に対する借款の支払いを監督し、10年以内に完済させる

・レミジャンティア公国は、日本に対し、150万レアルの慰謝料を内密に支払う

・レプリア王国は、日本に対し、150万レアルの慰謝料を内密に支払う

・日本は、いかなる国家・集団に対しても、現在自衛隊で使用している武器を販売しない

・日本は、現在把握している資源の全てを東方連盟に開示し、東方連盟も、現在把握している資源の全てを日本に開示する

・デリア連合王国、レミジャンティア公国、レプリア王国、日本国の4カ国で合弁の資源採掘企業を設立し、採掘した鉱物資源を各国が等しい割合で所有する

 

 「……これはなんだ」

 

 「?……ですから、こちらから提示できる条件————」

 

 「そうではない。これはいかなる意思のもと書かれたのかと聞いている」

 

 「ですから、大事にしたくないと————」

 

 「何が”大事にしたくない”だ!なぜこちらが身銭を切る?被害者が加害者に金を払う判例がどこにある!?」

 

 これを聞いて、ニホンの女の通訳が勢いよく立ち上がった。

 

 「それはこちらのセリフです!警告の後、十分な避難時間も無しに攻撃し、あまつさえ我が国の国民が死んだのですよ!むしろ共同採掘でそちらに利益を与えていることに感謝————」

 

 「はっ!感謝!?感謝だと!?」

 

 ここにきて、バラフラはようやっと自らの間違いに気付いた。

 彼らはお行儀の良い開明圏外国などではなく、全く話の通じない、面の皮だけは一流の愚かな蛮族だということに。

 

 「わかった。よくわかったとも」

 

 この言葉に、アサダがホッとした表情をした。

 

 甘い。

 

 彼らが知る由もないが、バラフラは元来短気なことで有名だった。しかしその弁舌の才は飛び抜けていたので、下手に出ることが多くそもそも怒るきっかけができにくく、また怒って何かやらかしたとしても国力差から大事にはならない開明圏外国相手の部署に配属されたのである。

 頑なに自分達は国際法違反をしていないと嘯き、決して意見を翻そうとはせず、示した慈悲を蹴っていけしゃあしゃあとこちらが攻撃したなどという嘘をついて慰謝料まで請求してくる輩に、怒らないわけがなかった。

 

 「貴様らが、どうしようもなく愚昧で傲岸不遜な蛮族であることがな」

 

 そういうなり、バラフラは立ち上がり、懐から魔信を取り出し起動した。

 

 「中央暦1339年9月19日午後2時38分、ここにレミジャンティア公国外務衙門第二課課長補佐イヴ・アダルベロン・バラフラ・エスト・レミ=ジャント=ジャントはアーヴィタール条約第9条に基づき、ニホンとの交渉破棄を宣言し、宣戦奏上を行う」

 

 その場にいたバラフラ以外の全員が息を呑んだ。

 宣戦奏上。それは全権を託された外交官が、相手国との交渉がこれ以上何も生まずただ問題が野放しにされるだけだと判断した場合にその交渉を破棄し、自国の元首へ宣戦布告を促す行為であり、何か特別な理由がない限りそのまま実行され戦争が始まった。数々の戦争を生み出した忌まわしき制度である。

 

 『外務衙門首臣カミーユ・リュ・カミナード、奏上を受理した』

 

 『公ユード・リュドヴィク・エスト・レミ=ジャント、これを実行する』

 

 魔信を通して、まずは女の、続いて若い男の声が聞こえた。

 

 「聞いたな?では、私はこれで失礼」

 

 そう言い残して、バラフラはそそくさと部屋を出た。

 全く、最低な国だった。

 国際法に違反する行動をしたことは認めるが、国際法違反は認めない。

 国際法の内容を知らなかったから許される。

 対価を差し出せば国際法違反を無かったことにし、国際機関への加盟を後押しするという破格の申し出を拒否。

 挙げ句の果てにこちらが悪いことをして、正当防衛だから許されると宣い、死んでもいない者の慰謝料を要求。

 ちょっと発掘した古代兵器を使ったら勝てたことに慢心し、彼我が対等であると思い上がったその傲慢さ。

 交渉役にグリシャ語すらわからないような輩を出して侮辱し、反論されると激昂して筋立っていない反駁をする。

 ここまで酷いのは彼の20年の勤務歴の中で初めてだった。

 

 バラフラは、非常に胸糞悪い気分のまま、第二外務局を後にした。

 

 

 

 一方、部屋に残された3人は、皆揃ってポカンとした顔を見合わせていた。

 

 「……えー、お疲れ様でした」

 

 ドゥルガッロが気の抜けた声で言った。

 

 「レミジャンティア公国が貴国と戦闘状態になったので、レプリア王国は東方連盟憲章第四条により、自動的に貴国と戦争状態になります。健闘は祈れませんが、先ほどのお話で伺った、貴国の美しい文化が滅びないことを祈ります」

 

 ドゥルガッロは立ち上がり、同じく立ち上がった阿佐田と深く絡指礼をして、部屋を出ていった。

 

 「…………あぁ」

 

 阿佐田は頭を抱えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてその頃、オーガニアは外務総局本庁舎にある共用国際会議場の入り口の近くにあるトイレから出てきたところだった。

 

 委員会でなんとか修正案も通すことができたので、後はもうすぐ始まる本会議で可決されれば加盟国の自動参戦義務の撤廃が叶う。ここ10年の目的がようやく果たせそうで、オーガニアは少し舞い上がっていた。

 いかんいかん、これからが正念場だ。そう思い直し、彼は若干表情を引き締め、会議場へ歩き出した。

 そこへ、第二外務局の職員が駆けてきた。

 

 「局長!ああよかった、お耳に入れたいことが!」

 

 「リドヴィラか、どうした。これから本会議だから、手短に済ませろ」

 

 「レ、レ、レミジャンティアが、ニホンに宣戦布告しました!よって、連盟憲章四条より、全ての連盟加盟国が日本と戦争状態に入ることになります!」

 

 一瞬頭がクラッとなった。

 よりにもよって、これから撤廃の会議をしようという時に、発動されてしまった。

 ニホンとのリングに、立たされてしまった。

 ちょっと情報局を動かして集まった情報だけで、ニホンと自国の差がどれほどあるか分かってしまう。そんな国との矢面に立たされたのだ。あの短気(バラフラ)のせいで。

 しかも、このデリアが戦争状態になったのなら、最悪二帝一王同盟により聖サッカラール帝国と第二アトランティス帝国もニホンと戦争になる可能性が生まれた。

 二帝一王同盟では、戦争状態に突入した時ではなく領土に敵軍が侵入した時自動的に参戦する規定になっているため、すぐにも戦火が広がるわけでは無かったが、これまで知れたニホンの情報から、そう遠くない時期にはすでに本土に侵攻される可能性すら見えた。

 なんで宣戦布告した?どうして?散々お膳立てしただろう、今日の会談では資料を持ってくるようにとニホン側に言っておいたんだぞ?国際法についての資料も向こうに送ったはずだ、それがどうして、どうしてそうなる?

 

 「くそッ!

 

 オーガニアは絶叫した。

 

 「くそッくそッ!

 

 人目も憚らず地団駄を踏んだ。

 

 「くそッくそッくそッくそッくそッ!

 

 涙をこぼし、鼻水を溢した。

 

 「くそがあッ!

 

 オーガニアは、周りに人が気ができても、叫び続けたのだった。




 今話で11話感想返信の文字化け復元規制が④まで解放されました。
 どうぞお好きな文字化けテスターを使用して解読なさってください

小ネタ解説
・賄賂
 クラ王国:純度99,9%の魔金剛(オリハルコン)のインゴット
 ヒゼキヤ王国:消しゴム程の大きさのカットされた火焔石(シャルファ)なる宝石
 ツツル王国:名のわからない宝石が象嵌された金の腕輪

・ネストリウス・ディエス・タルシシュ・メギストス
 彼にあるのはどちらかというと軍師や宰相の資質であり、王の木の求める資質はない

・言伝に出てきた用語
 《虚空に在る者(エアヴェルミーン)》:アマテル教の最高神エアヴェルミーン
 《黄衣の王(テキンギンイェロゥ)》:エアヴェルミーンの対等な盟友ハストゥア
 《虚空に在る者(エアヴェルミーン)》の覡:アルチル神殿長
 《輝く夜空の花嫁(カグフィラヨメ・ヌメッリ)》:月の女神ディネ/デュネ
 《輝く夜空の花嫁(カグフィラヨメ・ヌメッリ)》の子ら:ディネ/デュネの3人の息子たち、及び彼らの司る三つの月
 《輝く夜空の花嫁(カグフィラヨメ・ヌメッリ)》の子らが七度巡る:三つの月が7回同じ夜に満月になったら→5781日
 《夜闇の主(フォッラ・ヌムス)》:追放されし夜の神クリシュナ
 《夜闇の主(フォッラ・ヌムス)》に敗れし者ども:蜿、縺ョ鬲疲ウ募ク晏嵜

・キルティアス
 グルタミアの古名

・アユ=ゴ=マ・ミネグモ
 正直こちらで出す予定はなかった。リメイク版限定キャラにするつもりだった

・イヴ・アダルベロン・バラフラ・エスト・レミ=ジャント=ジャント
 Yves Adalbéron Balafra Est Lemi-djant-djant
 イヴはYvesと綴った場合男性名である

・グリシャ語
 交渉共用語とも呼ばれる、かつて世界最強の国の公用語だった言語。聖サッカラール帝国が取って代わってからは多少重要度は落ちたものの、いまだに広く使われている。文法構造及び音韻が現代ギリシャ語に非常に近い為、習得は容易だった。
 古代グリシャ語は教養言語

・アーヴィタール
 ケントラリス大陸中部、内エブレー湾に面しカリブルヌスデルタ内に位置するサーヴィール島に築かれた都市。ケントラリス中部の水運を握る交通結節点であり、繁栄する内に他の中州にも市域を広げていった。
 聖サッカラール帝国の首都マグナツィヴィタスの前身である

・カミーユ・リュ・カミナード Camille Lu Caminade
 カミーユは男性名だけでなく女性名としても使われるらしい。
 神nerd(ボソッ

・答え合わせ
 1.懲罰艦隊を送り出す(上層部は王城以外の攻撃は示唆せず)
 2.飛竜隊発進(提督は王城と港以外の攻撃は示唆せず)
 3.襲撃(クローバルは湾内にいる船舶への攻撃も指示、しかし艦隊司令部に報告はせず)
 4.飛竜隊殲滅(船舶へ攻撃したことが伝わらない)
 5.懲罰艦隊殲滅(港への攻撃を支持したことが伝わらない)
 6.レミジャンティア&レプリアがニホンは王城のみを狙う懲罰艦隊を攻撃したと勘違い
 7.補償金請求
 8.阿佐田が先に攻撃してきたのは懲罰艦隊であり、人死も出ているのだから攻撃は正当防衛であり、自分達に非はないという考えで交渉に臨む
 9.案件持ち帰り
 10.大事にしたくないが流石に元のままでは国益が大きく損なわれるので自分達の出せる条件を書いて提示、この後擦り合わせてお互い納得できるものに落とし込むつもりだった
 11.前回の交渉でイライラが溜まってたバラフラ、加害者が被害者に慰謝料を請求するのを見て激昂、宣戦奏上

 ー各国の反応ー
 日本「…(反応に困っている。)」
 レミジャンティア公国・レプリア王国「「目に物見せてくれるわっっっっっ!!!!」」
 デリア連合王国「頭痛が…」入ってきた情報からすると自国を越えてるようにしか見えない相手に戦う事に踏ん切りが付かない。
 ヒゼキヤ王国・クラ王国・ツツル王国「「「裏切れ!」」」
 残りの東方連盟加盟国「どうしよっかな~」
 ー次回予告ー
————「予算は!予算は来るんですよね!」
 とうとう戦争に突入した両勢力。
 それを前に、純白の宮殿で話し合いが行われる————
 次回、「緊急!御前会議!」
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