日本召喚2021   作:秋津とんぼ

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ギリ4月!(4月残り時間10秒)


閑 激震走りて

 6月3日早朝、エルフィリア新宮殿。

 緊急集会の連絡を受けてやってきたラトルスカは、自らの席であくびを噛み殺した。

 まだ日も登っていない時間故に廊下はだいぶ涼しかったが、蚊遣りが充満した大広間は通気性が悪いせいかだいぶ蒸している。鳥の羽でできた扇で仰いでいると、バンと扉が開かれ、クァレアーユとスコルズランドが入ってきた。

 召集の請願をしたのは彼ららしいのだが、他の面々を待たせて今まで何をやっていたのやら。

 適当に開会を宣言すると、間髪入れずしてクァレアーユが口を開いた。

 

 「まず、至急伝達すべき事柄とはいえ、このような時間に陛下をお呼び立てしたことを、お許しください」

 

 それに対し、エㇽラダンは唇ひとつ動かさなかった。

 

 「では、本題に入りたいと思います。……"塔"が、撃退されました」

 

 広間が騒めいた。

 

 「技術局長、冗談で会議を招集されては困ります」

 

 「冗談ですよな?冗談ですよな?」

 

 財務大臣シャナルと司法大臣クルシェドラミレスの問いかけに対し、クァレアーユは残念そうに答えた。

 

 「残念ですが、事実です。

  昨夜9時ごろ、翌朝に予定されていたニホンの都市フクォカへの強襲のため出撃準備中だったギルキアは、現地にいた連絡官からの救援要請を受け急遽ニホン艦隊に攻撃を受けていたツィヴィタス・レミジャントへ出撃、そのまま同地で交戦開始しました。しかし、そのニホン艦隊との交戦の際に底部に搜追矢を被弾、特殊燃料槽が破損し中身が漏出、そのままでは帰投が危ぶまれたために敵戦力に十分な打撃を与えたとはいえないまま撤退しました。結果、生き残ったニホン艦隊にツィヴィタス・レミジャントは制圧された模様です。レミジャンティアが彼らの元に降るのも時間の問題と思われます」

 

 複数のうめき声が上がった。

 

 「そ、それでは……!か、彼らと相対できる戦力が我らに残されているのかね?」

 

 「残っています。……ろくに動けない第一艦隊と、帆船だけの辺境艦隊であれば、ですが」

 

 第一艦隊はカヌハ・オグンウェ、カヌハ・エルロンド12世の二隻の超パ級戦艦を中核とし、大東洋最強と謳われる精強無比な艦隊だが、彼女たちを動かす魔石を欠いた現状では動かせるのはせいぜい全て手動の対空機銃程度である。

 辺境艦隊に至っては起風環、蒸気機関その他のあらゆる魔術的、機械的な動力を持たない、純然たる帆船のみで構成されていた。近代化以前の各国旧海軍の船の寄せ集めであるため、その種類も大きさもまちまちであったが、全長はどれひとつとして50mを超えない、小型にも程があるものだ。

 それはもう残っていないに等しい。

 しかし、スコルズランドは一つだけ忘れている。ラトルスカはそう思い、尋ねた。

 

 「待て、スコルズランド。"浮舟"はどうした」

 

 彼女の肩がびくんと跳ねた。

 

 「う、"浮舟"は……現在、稼働状態にありません」

 

 「どういうことだ、スコルズランド。直っているのではなかったのか」

 

 エㇽラダンが口を挟んだ。

 

 「陛下!いえ、()()は未だに修理が終わっておりません。完了の報告は……何物かの虚偽かと」

 

 「虚偽だと?まあいい。"浮舟"は動かせないのだな?」

 

 「はっ」

 

 「では仕方あるまい。ところで講和の方はどうなっている」

 

 言を受け、ラトルスカは第一外務局長エンを見た。

 

 「はっ、現在パンドーラに仲介を依頼していますが、サッカラール、アトランティス共に事態が前進する兆しはありません。そもそも彼の国が真面目の仕事をしているのかさえ……」

 

 「前のカッサリイ議長なら良くしてくれたのだろうが……」

 

 「彼を引っ張り出すことは出来ないのですか?」

 

 「真面目に考えていただきたい、サンゼルティア殿。あれだけ強引な手段で後任に娘を据えたと言うのに、ここで出しゃばらせてしまっては彼の信用は地に墜ちますぞ」

 

 「ムゥ……」

 

 アトランティス及びサッカラールとの戦争は、双方とも、少なくとも上層部は不本意であった。両国共に最初に送られてきた艦隊はなんとか退けることに成功し、両国ともそれに面食らってかすぐに新たな軍を派遣する動きが見られないのは救いであったが、二正面というのはあまり気持ちのいいものではない。*1デリアは、その位置関係から大陸枢軸とも呼ばれる二帝一王同盟と大秩序同盟の二大対立構造において中立を保ってきたパンドーラ魔法連合に講和の仲介・斡旋を依頼していた。有力な中立国は他にザシアン王国やトゥーダ王国、ドクレアン王国などがおり、特にザシアン王国は経済及び対海賊政策などでデリアとは浅からぬ関係を築いていた。しかし、そのザシアンを差し置いてデリアとは東方連盟の士官育成プログラム程度の薄い関係しかないパンドーラが選ばれたのは、そちらの方がより講和の斡旋が容易に進むのではないかと想定されたためだ。

 確かにザシアン王国とは比較的良好な関係を築けてはいるが、それは自国が二帝一王同盟という、大内海ひいてはザシアンを包囲するように形成された勢力の一角だからという打算的な側面が強い。王であるアイアース7世は数代ぶりの明君と名高く、労力の割に見返りが少ないこの仕事を積極的にしてくれるかは怪しいと思われた。

 一方、パンドーラは姉の仇を取り神王国から独立を回復した"解放者"ウァレリアヌス・パンドリウス・カッサリイが持病を理由として前年度を最後に連合最高評議会議長を引退し、議長大権その他によって無理やり議長を娘のクオキアに継がせたばかりであった。

 学生時代から"超人"と名高い彼女であったが、議長についた経緯が経緯だけに民衆の支持は半数にやや届かない程度だった。政敵を暗殺までして就任した議長が至る所で猛反発に会い、遂には逆に暗殺された例が過去にあったことを考えると、これでも彼女のカリスマで大分マシになっていると言えるが、盤石とは言い難い。何か民衆——それも学院で学び、また学院を運営する夥しい知識人とその卵たち——を満足させるような功績が喉から手が出るほど欲しいはずだと思われた。戦争を終わらせるのは、そう言った学識ある人々にとって十分なものだろうから、ザシアンに依頼するよりは勢力的に動いてくれるに違いない。そんな考えがあった。

 しかし、色良い返事が来ることはなかった。

 最初に依頼をしてからまだ五日ほどしか経っていないが、既にメテリアスにてアトランティスの傀儡国のベルク連邦と未だ東方連盟に残留してくれている友好国のティフォン王国が積年の領土問題から戦端を開いており気が気でないデリアにとって、その間返された曖昧な返事は非常に焦ったいものであった。

 

 「……要件はそれで終わりか、クァレアーユ」

 

 「はい」

 

 これ以上この場で議論しても何も意味がない。そう判断したラトルスカは会議を終わらせようとした。

 

 「お待ちください」

 

 「……なんだ、アイラ」

 

 「先程、第一艦隊はろくに動けないとスコルズランド閣下がおっしゃいましたが、それは何故でしょうか」

 

 「君は別の局に移った方が良いかもしれないな」

 

 「では、やはり理由は魔石不足なのですね」

 

 「それ以外に一体何があると言うの?」

 

 「ですが、今我が国には莫大な魔石があるでしょう」

 

 何人かがああと声を上げた。開戦前の5月末日*2に、サッカラールから人道支援と称して民間のインフラの為に魔石が少々送られてきたのだ。問題はその()()がかの帝国の主観であったことだが————大型の液化魔石輸送船七隻、内容量25万2300ヘクトラグル、地球での単位に換算するとおよそ20万3000t。魔法文明の発達した彼の国ではわずか10日分にも満たないが、人口は14%強、面積も14%強、経済規模に至っては4%程度のデリアにとって、それは半年以上全国民の生活を賄って余りある膨大な量であった。艦隊の一個程度、何度でも満たすことができるはずなのだ。

 しかし、彼女たちにそれを食べさせることができない理由があった。

 

 「支援物資のことか?しかしあれは軍事転用を禁止されていたはずだ」

 

 「そうだ、それにあのサッカラールに宣戦布告され……あれ?」

 

 「お気づきになられましたか」

 

 人道支援である以上、その使用は民間に限り、軍および軍属に対しこれを供することは禁ずる。破った場合貴国と戦争をならん。

 軍事転用禁止を明記したこの部分は、マドラーグ諸島を巡ってサッカラールと戦争になったことによって空文化していた。

 

 「そうか、それならば……!」

 

 「海軍を、動かせる!」

 

 希望の道が開けたところで、会議は終了となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「帰ったぞ」

 

 ラトルスカは静寂にひとつ深いため息をつくと、灯りをつけ帽子を脱いだ。簡素な魔石灯に照らされ、飾られていた裸婦画がその艶容を露わにする。

 それを一瞥すると、ラトルスカは靴の泥を落としてから階段へ足を向ける。

 最初の一段に足をかけたところで、キイ……と扉の開く音がした。

 

 「お義父様……?」

 

 嫁*3のリケンザが、透けるほど薄い寝巻き姿で現れた。

 

 「おお、リケンザ。今帰ったよ。起こしてしまったかい?」

 

 「いえ、ずっと読書をしていました。お義父様の帰りを待とうと思いましたので」

 

 「読書か。この前言っていた物か?あの、なんとかバルボとかいう作家の」

 

 「ああ、そちらではなく、ニーツシェの『反英雄/アンチヘーロー』を読んでおりました。鞄、お持ちしますね」

 

 「いや、いいよ。ところで、今なんて言ったかい?ニーツシェ?なんてものを読んでいるんだ。あんなのは捨ててしまいなさい」

 

 「捨てません」

 

 「捨てなさい」

 

 「捨てません」

 

 「捨てなさい」

 

 「……あれは書斎の本棚から見つけたものですが、本当に捨てますか?」

 

 暗に息子が買った本だと言われては、ラトルスカは否定しかけた口を閉じるしかなかった。

 

 「……そうか。ではそのままにしなさい」

 

 「はい。では、鞄をお持ちしますね」

 

 「いいと言っているだろう」

 

 あまりに執拗なリケンザに、ラトルスカはつい声を荒げた。彼女は俯く。

 

 「でも、お義父様。お義父様はお忙しくて、最近は一回も出来てないではないですか。目も冴えてしまいましたし、朝出るまでにはまだまだ時間がありますわ」

 

 数瞬の思案の後、ラトルスカは言った。

 

 「すまないね」

 

 「いいえ」

 

 リケンザは鞄を持つと、満面の笑みでラトルスカの左腕をその豊かな胸へと抱き寄せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後。

 

 「はあ……」

 

 遥かコエレスティアの窮峰に流れを発し、夥しい水を集めて中央ケントラリスを潤す大河カリブルヌスは、大湖ルクリエラより流れるクリエル河と合流すると程なくその流れを千々に分かれさせる。そうしてできる幾つもの平坦な中洲の上に、世界に冠たるマグナツィヴィタスは位置する。

 しかし、河口近くに一つだけ山が存在する。

 サーヴィール山、またはサーヴィール島。勇者戦争の頃は内エブレー湾に浮かんでいたが、数千年の堆積作用で三角州の中に呑み込まれた島だ。日本だと山口県萩市の指月山がこのような成り立ちをしている。

 港町アーヴィタール、ラグナ*4の外港から地上第一の都まで上り詰めたこの街のことを見守ってきた山の尾根の一つに、壮麗な城郭がある。

 アーヴィタール城、かつてこの地の領主が住まった城であり、現在は地上部分が離宮として使用されている。

 その()()、帝国情報局本部にて、局長アスターテ・ガングートはため息をついていた。

 原因は先程届いた"ツィヴィタス・レミジャントでギルキアが撃破された"という一報である。

 これは……一体、なんなのだ?

 ギルキアはこれまで帝国が実施した何十もの討伐作戦の結果甚大な被害と引き換えに5機が破壊されており、また別に1機を良好な状態で鹵獲している。また、法王国時代に1機、ライナブリカ朝の御代に1機が撃破されている。つまり、残存している機体などない筈なのだ。

 それだけでも耳を疑うが、さらに驚くべきことに、それを為したのは東方の辺境国だという。昨年連盟に宣戦布告されて一時姿勢を騒がしたニホンなる国らしいが、連盟より東方といえば南方よりも遅れた世界で最も野鄙な領域として知られているから、俄かには信じ難い。

 現地の諜報員によれば、誘導弾(ミッシレ)の使用を確認したらしい。それもギルキアではなく、ニホン側のだ。

 日没後に水平線近くでやり合っていたというから、光源は攻撃の際の明かりだろう。となれば魔法光か発砲炎、どちらも位置はともかく形状を把握するには不向きな光源だ。おそらくそれで誤認したというのが最も納得のいく説明だろう。

 しかし、情報局長ガングート、この道に入ってから三十年以上培ってきた勘が、それだけではないと囁いていたから、扱いに困っていたのである。

 

 「どうすべきなのだろう……」

 

 そう思っていると、突然後ろから声をかけられた。

 

 「面白そうなものを持っているな」

 

 「へ、陛下!?」

 

 居た。

 他のすべての部品が美しいにも関わらず、短い顎鬚によってその調和が全て打ち壊されることで、少し滑稽な親しみを相手に抱かせる顔。非常に均整に整った身体の輪郭。贅沢すぎては居ないがその立場に見合った豪華さの装いに、大粒の天輝石(エレジウム)を嵌めた台座を金鎖で止めた略冠。

 そして、それらから与えられる好意的な情動を全て打ち消す程に不気味な、()()()()()()()()()()()()()()()()()好奇と諦観に満ちた怖気のする眼差し。

 御年153歳の若さ*5で世界一の大帝国を治める皇帝、サッカリウス3世に他ならなかった。

 少し視線をずらすと、衛士がなんとも言い難い表情をしていた。

 

 「ほ、本日は何用でございましょうか、陛下」

 

 「少し見せよ」

 

 サッカリウスはガングートの質問に答えず、彼女の手にあった先ほどの報告書を奪い取った。内容に惹かれたらしく、暫く紙面に目を走らせる。

 

 「ほう」

 

 「……何か、気になられたことでもありましたでしょうか」

 

 「ニホンめ。1ヶ月前も驚かされたが、一体どれほどなのやら……ガングート」

 

 「はっ」

 

 「ニホンについて調べよ。この紙はもらっていく」

 

 呼ばれて跪いていたガングートは、それを聞いて頭を跳ね上げた。

 

 「報告書は、陛下!報告書は勝手に持ち出しなされては困ります!紛失されたらことでございますし、まだコピーも取っていないのです!」

 

 サッカリウスは呵呵と笑った。

 

 「ならば余が作ろうではないか、我が顱中にな。それに、たった数枚の紙だ、()()贖いとしては安すぎる。むしろ余の方が負けておるのだ」

 

 聞いたガングートが意味を理解しようとしている間に、サッカリウスは部屋から出ていった。

 暫くして、第二艦隊の件を言っているのではないかと気づいた。

 マドラーグ諸島を奪還せんと派遣された第二艦隊は、随行の実験艦一隻と共に目的地へ向かっている最中、突如古飛龍に襲い掛かられた。幾千の時を経た飛龍(ドラゴン)は強く、討伐に成功するものの随行艦を含む戦艦以外の全ての艦の喪失を招いた。戦艦も無傷では済まず、皆中破以上の損害を負った。確か、その随行の実験艦……ジャン・バールが陛下のお気に入りだった筈だ。

 この件に情報局は全くと言っていいほど関係していない。故にこれは八つ当たりと思っていいだろう。

 ガングートは静かに拳を握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらに数時間後。

 

 「『ダックル』が気にされ始めている」

 

 「流石にこれほどの長期間誤魔化すのは無理だったか」

 

 「と言うより、他に有力そうな戦力が思い浮かばなかったからと言うのが理由のようだけど」

 

 「ではHauptmann、計画は早めますか?」

 

 「いや、いい。混乱している方が邪魔されにくいわ」

 

 「では期日はハインリヒ君のところ次第ということですな」

 

 「それまでに諸々を済ませておきたいけれど……調査は終わったかしら」

 

 「はい。我々一世は一人————ガルヒェンを除いて皆帰還を望んでいますが、二世は、やはりというか、なんというか、”残留”が半分ほどです」

 

 「どうしようかしらねぇ、それ」

 

 「門が持続できたら良いのですがね。なるべく長い時間持つように改良はしてみたいと思いますが」

 

 「行き来できたら悩む必要はないというのに……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 6月17日夜、エルフィリアより北西に約50km、港湾都市ランカーシャ、地下。

 

 「デリアは元来、人による理想の国であるッ!」

 

 そう叫んで、シアウィルスは地龍タラスクの腹甲でできたテーブルに拳を打ちつけた。

 

 「28年前、我らの父祖は自由と幸福を求め、侵掠の手を延ばす十字の悪鬼に抗せんと、恩を立て恨みを流して手を取り合い、この国を作った。皆が(ゆうべ)(あした)の陽を拝めるよう祈り、(あした)(ゆうべ)の月を拝めるよう祈ることのないように、皆が洪水で流され、嵐で散らされないように、幼子が数多と共に逝き、老爺が一人で死ぬことのないように、気高き英雄が滅び、卑しい盗人が生き永らえることのないようにせんとこのデリアを作った。

  それが今や、どうだ!朝堂は金に腐り果て、市井には悪行雑言が蔓延り、兵営にはいかがわしい香や粉末が持ち込まれている!警邏は白き人々を捕まえ、富める者は乏しき者から更に搾り取り、欲に任せて多くに手をしている。なんという零落、堕落だろう!

  今の世は曇天だ、灰の空だ。いつ降り始めるかわからない、雨季の入り口だ!このままでは洪水で家が流され、多くの民が路頭に迷う。

  故に我々は主張する、誰かがやらねばならぬと。厚い雨雲を吹き飛ばして、世を青天に戻さなければならないと。故に我々は連呼する、政府を倒せ、金満どもを倒せと。故に我々は蹶起する!古き王の世は終わり、新しき王が新しき世を始めるのだと!

 来る7月1日、我々は、偽王放伐を決行する!」

 

 列席している者らが一斉に起立した。

 

 「我々は、獅子身中の虫によって対峙させられてしまった、ニホンという自由の民と共に、この国の膿を出し、腐った根を切り落とす!そしてエルローイア陛下の下に、この国は生まれ変わるのだ!

  デリアに栄光あれ(グローリ・エル・サ・デリア)!!」

 

 『デリアに栄光あれ(グローリ・エル・サ・デリア)!!

 

  デリアに栄光あれ(グローリ・エル・サ・デリア)!!!!

 

  デリアに栄光あれ(グローリ・エル・サ・デリア)!!!!!!

 

 

 海軍第一艦隊提督、アグネール・ラ・シアウィルス。

 第三艦隊第5戦列分艦隊指揮官、カヴァルナ・ネンドリック。

 陸軍本国軍第十一機甲師団第二戦車連隊長、ヘインリック・ヴォン・スコルズランド。

 同第二十空挺師団第一連隊長、アサグ・ソデゾグ。

 同第八歩兵師団第二連隊長、カデル・マレデュッド・リディアルト。

 大陸方面軍第十五砲兵師団第三機動砲兵連隊長、シクリエス・シクロ。

 総務省内務総局社会保障局長、カイト・アイラ。

 その他15名。

 以上がこの集会の、そしてエルローイア派として決起するメンバーである。

 彼らが立ち、デリアと日本が雌雄を決するまで、後幾許もない……。

*1
多正面作戦をして勝てたのは織田信長くらい

*2
出航はだいぶ前だったがデリアは気付かず略奪艦隊を送り出した。艦隊には懲罰的意味もあったので支援の存在を知っても艦隊の派遣を取りやめたかは怪しい

*3
妻の俗称ではなく。原義通りの息子の妻のこと。ラトルスカは年の差婚なんてする気はないぞ!

*4
カリブルヌスデルタ最大の中洲バーラーン島にあった街。かつては港町として栄えたが堆積が進み海岸線が遠ざかると衰退、最後は拡大したアーヴィタールに呑み込まれた

*5
人間で言うと23、4歳に相当する




小ネタ等は後で!

5/1/07/25小ネタ・予告追加終わりました。寝落ちしてしまうとは……

小ネタ解説
・カヌハ・オグンウェ&カヌハ・エルロンド12世
 デリアの誇る超パ級戦艦。オグンウェの方が姉。名の由来はエダンヤ王国2代目の王にして大賢王として名高いオグンウェと、38代目のエダンヤ王にして最初のデリア王である先王エルロンド12世。
 カヌハKanwhaとはエダンヤ・グリシャ語で王を表すが、これとは別に王を表すデオスDeos(女性系デアエーDeaē )という語もある。デオスは祖語である中期グリシャ語に由来する語で王を指すが、この時王は彼らが戴いていた最後の王————ミスルエ王ヒカリ・ヒガカミに限定されていた。代わりに君主が名乗ったのは、副王を意味するヘルデオスHerdeosである。同様に古代ミスルエ王国の継承国家であるザシアン、キルトン、サドンもこれを君主号としており*1、グリシャ語系民族共通の特徴と言っても良い。
 ではカヌハの由来はどこかというと、スカディ帝国の地方官職カンウァールKanwharである。カンウァールは属州総督に類する職で、スカディ帝国崩壊後にカヌカルKanwkharとしてメテリアス南部の一部の君主号に取り入れられ、そしてエダンヤエルフ渡来時に今のパパールディアで栄えていたリガンキルから取り入れられたと考えられている。しかし、なぜ海を隔てて遠く離れたメテリアス風に名乗ったのかは現在まで不明のままである。
 因みに、デリアの国号にあるオルムOrmはユペシ語で王を意味する言葉だ

・クオキアCuokhia
 Kaichouのアナグラム

・第二次ベルク=ティフォン戦争
 両国の対立はデリア=スピリダテス戦争直後から始まる。地図を見れば分かる通り、属州時代のティフォンと独立後のティフォンの大きさは天と地ほども違う。これは、かつて共和国時代のパパールディアがティフォンを攻めた際、他の国からも攻められて領土を掠め取られた結果痩せ細った領土を独立時に取り戻したのが原因である。それだけなら良かったのだが、ティフォンは王族がエダンヤで匿われていた関係でデリアと非常に結びつきが強く、虎の威を借る狐とばかりに隣のパフカスとベルクから余計に領土をふんだくったのである。これが原因で、ベルクとティフォンは30年近くも対立を続けてきたのである。1度目の戦争は独立後すぐ行われ、互いの宗主国の仲裁により国境が変動することなく白紙講和となった。しかし現在、その宗主国は2国とも戦争で付近への軍事プレゼンスを消失していた。首輪が外れた両国は喜び勇んで戦いに向かって行ったわけである

・ニーツシェ
 サッカラール北西部、パラス属州の出身。ニーツシェ哲学として知られるそれまでの価値観を否定するような独自の思想で文壇を沸かせた
 別著に「ザラトストラはかく語る」がある

・アーヴィタールとラグナ
 手続き上はアーヴィタールとラグナ、およびその他数個の町村が合併してルナキャーピタル(サ帝建国後にマグナツィヴィタスに改称)になったが、実質的には本文の通り

・法王国
 第一次継承者(ディアドコイ)戦争の勝者である後継王フィンゴン・ルクシオンが開いた国

・ライナブリカ朝
 神聖皇国の王朝の一つ

・ダックル
 ="浮舟"

ー各国の反応ー
日本「クーデター起こしてもらって講和、これで決まりだな!」
デリア①「どうすればいいんや」
デリア②「この世の中(現政権)をぶっ壊す!」
ベルク「未回収のベルク寄越せ!そして死ね!」
ティフォン「渡さん!そして死ね!」
マルセリータ「いや~ニホンさまは偉大で偉大で~」
サッカラール「次どんな部隊送ればいいんだよ」
アトランティス「次どんな部隊送ればいいんだよ」

ー次回予告ー
————『ワレ、貴艦ト相対ス。貴公ハソレガ私欲ニ基ヅクモノト疾ク自覚スルベシ』
 ツィヴィタス・レミジャントを落とした後、ニホンが魔の手を伸ばしたのは、我らが王とエルフィリアであった!
 祖国!諸氏!汝の勇敢さを高き勲章に捧げよ!
 悪意をなす不逞な悪党共の一撃を打ち破るべし!
 我らには王と法は同じなり!
 神よ、王とエルフィリアを守りたまえ、我らが王都エルフィリアを!*2
 次回、「列強の落日?①」

*1
「閑 とある酒場」前段、中央十二国会議出席国一覧のルビを見よ

*2
元ネタはこちら、また個別に日本語版へ移動して下さい

人物・用語まとめでいらないものに入れて下さい

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