4月18日、ネイヴィスト王国、王都アルチル。
二つの不等辺三角形を、緯線を対称軸として線対称になるように並べたような島の、ちょうど二つの三角形が接触する地点に位置するこの1万人都市の港に、日の丸の旗を掲げた船団が入港していた。日本の外交使節団だ。
12日に福岡を発った彼らは、13日にネクサリア、16日にナクリア王国北東部の港湾都市ゲルニカ、17日にニオウタ王国王都ウォルホスに寄港し、つい先程ここに到着したばかりだった。
同刻、王城中央の主塔にある一室、そこで5人のいい年した男が泣いていた。
「もう、滅びるしか無いのか……」
「くそおおおおお」
「嫌だ嫌だ嫌だああ!」
「ほっっっ報告しますう!!!」
そこに外務局の平局員が走り込んでくる。
「何だね、所で君もこの国の追悼会に参加しないかね。」
外務卿の発言の内容とくたびれた声色にその疲労の程を感じつつ、局員は答える。
「いえ、今港に巨大な鉄船の艦隊が来ております。彼らは日本と名乗り、我々と国交を結びたいと申しております。」
その報告に広間が喧噪に包まれる。
「…会ってみよう」
「陛下!いきなり船で乗り付けてくるような輩に会われる事等御座いません!」
「貴様はわかっ取らんのか?」
「な、何をでせうか」
「彼らは我らの船とは比べるのも
「「「「おお!」」」」
さて、王城の別の部屋。そこには外交官の朝田が居た。
そこに国王が入ってくる。
「余は国王のネゲヴだ」
此に朝田は驚き、つい立ってしまう。
「私は朝田と言います、日本の外交官です」
「して、貴国は我が国と国交を結びたいと言われるのか」
「そうです。すでにクローヴェル王国を通じて我が方の信書は確認したところと思われますが」
それを聞いてネゲヴは怪訝そうな顔をした。
「余はその様な文を読んでおらぬが?」
「え?」
「……行け!聞け!探せ!そのようなものがないかどうか塵まで見逃すな!」
やりとりを聞いた外務卿は部屋の外へ怒鳴り、それに続いて慌ただしく人の走る音が聞こえた。
しばらくすると、衛兵が一人の外務局の受付嬢を連れてきた。
「閣下、この者が隠し持っておりました」
「ほう?」
外務卿の剣幕に、受付嬢は思わずひっと声を上げ、それから供述をはじめた。
「ま、真っ白いだけで、何かの飾りもありませんでしたので、だ、大事な物とは思わず、出すのを先延ばしに…」
「バカもん!表に何か書かれてあったであろう?なぜそれを見なかった!」
「わ、私めは、文字が読めませんで……」
「この文盲を受付嬢に採用した奴は誰だ!そいつは首だ!今すぐ城から叩き出せ!全く、だから受付嬢制度には反対したのだ。王太子殿下の
外務卿に囁かれた内容に、受付嬢は顔を真っ青にする。
「で、だ。」
向き直るネゲヴ。
「残念乍ら我が国は貴国の事をよく知らない。」
「それは、使節団を派遣してもらえれば――」
「否、私は貴国の力が見たい。今、そこに居る貴国の艦隊は軍船であろう?確か、今年我が海軍から廃船が9隻出る。それを沈めてもらいたい。」
「え?と、取り敢えず本国に確認をしますので、それについては、暫く。」
その後、まあ異世界だからとそれは承認され、結果として、ネイヴィスト王国は日本と国交を結んだ。
この様な事例が、大東洋の東側諸国に、数多く見られた。
又、第3開明圏唯一の列強である、列強の最末席デリア連合王国とも国交を結ぼうとしたが、今の所忙しいからと受付嬢に追っ払われる許りであった。
07/21 加筆、修正、小ネタ解説しました。
小ネタ解説
・ナクリア自治州
改稿前ナクリアがなってたこれは修正ミス。この作品が最初日本国召喚の二次創作だったことは1話前書きで説明したことだが、二次創作から一次創作に変えるに当たって、それまでオリジナル国家だった部分を日本に置き換えるという形で省エネを図った。その際の修正漏れがこれ。
修正前は、カラキア戦役が終わった後、三国は全てオリ国家ゴレド連邦の自治州として連邦領に編入されたため、このようなことになっていた。
ゴレド連邦はイェリムール帝国の宿敵
・ネイヴィスト王国とニオウタ王国
下のAA地図(前話あとがきのAA地図の端っこ)の ⚪︎ がここで、 . がニオウタ王国
⬜︎ . 日
⚪︎ ⬜︎ 本
⬜︎ ↑
カラキア
・信書を郵送
今考えるとあり得ない行動
・受付嬢の顔から血の気が引いた理由
知ったらあなたの顔からも血の気が引くもしくは同好の士だと鼻息を荒くする
ー次回予告ー
――――「星祭り?」
日本の精力的な外交策も在り、東大東洋諸国に国交を結ぶ国を増やしつつあったころ、外務省に一つの書状が舞い込んだ――
次回、「波乱の星祭り①」