それと前話で書き忘れたので今言わせてもらいますが、7話の修正終了しました、解説もついています。
まえがき連載:ナデンの冒険
「17 〔ネタバレ防止〕」掲載分
まえがき連載:ナデンの冒険
ナデンは黒髪の魔獣使いである。
「はあっ、はあっ、此処迄来れば、大丈夫だろう。」
現在、迫り来る悪い予感を感じ、援軍要請をしに行くと偽ってナクリア東征軍本営から脱走、15分掛けて10km程離れた所だ。
流石に疲れたのか、近くにあった小川で水を飲んだ後、その場に倒れ込む。
「ごぼごぼごぼ……」
いや、疲れたのでは無くいきなり水だけ飲んで座ってしまった為泡を吹いてしまった様だ。
暫くして、落ち着いて座れる様になった頃、本営のあった方角から爆音が聞こえてきた。魔導砲の爆音とは違う、火薬のそれだ。ナデンは生き延びれた事に安堵した。
「さて、どうするか。」
この儘しれっとナクリアに戻った所で
一先ず、彼は近くに居た野良マルヅノミツネロ(R級魔獣ミツネロのカラキア固有亜種)を呼び寄せ、乗騎としてその場を去った。
To be continued……
「18 〔ネタバレ防止〕」掲載分
「次の方、番号とお名前を、どうぞ。」
「29番、ナデンだ。」
前回から一月程経った今、彼はデリア籍のパイナックス・フィナイクス社というダナン資本の旅行会社による東大東洋観光ツアーの護衛一般募集面接に参加していた。
「国籍は――」
「テーラです。」
一応嘘では無い。大内海にあるテーラ王国は金で国籍を買う事が出来るのだ。
「職業は――」
「傭兵です。」
嘘である。
「年齢は――」
「35です。」
嘘である。実年齢を言うと非常に怪しまれるからだ。
「長所は――」
「遠目が聞きます。耳も良いですし、脚力と体力には
流石に此処で嘘をついてはいけない。
「では、短所は――」
「獣人を見ると怒りが湧いてくる事でしょう。……家族を、獣人に皆殺しにされたので。」
半分、嘘である。
「其れは……ご愁傷様です。では、その短所は、抑えられますか?」
「はい。」
「他に何か、特技な――」
「L級等で無ければ、殆どの魔獣を使役する事が出来ます。手軽に戦力の補給が出来ますし、心を痛める必要の無い盾となります。」
どうだ、決まっただろう。そう心中でドヤ顔をしたナデンに、衝撃の一言が掛けられる。
「なるほど、不採用ですね。」
「は?」
「貴方、殆どが嘘でしょう。判るんですよ、何年も面接行っている訳じゃないので。」
そういった試験官の女性の眼は、冷たかった。
To be continued……
「23 〔ネタバレ防止〕」掲載分
ナデンは黒髪の魔獣使いである。
「このっ……魔帝原理主義者めぇっ!」
護衛面接で不採用となってから更に一月、ナデンは東大東洋の名も無き小島で戦っていた。
あの後ナデンは、近くに居た海賊船を襲撃、乗員を皆殺しにして代わりに自身と彼の使役する魔獣で船を動かし、外洋へ出た。所がL級海魔リヴァイアサンの幼体と接触し船が砕け散り、彼は放り出された。気がつけば、今居る小島の浜で倒れていたのだ。そこで、いきなり林から現れた腰巻きだけの男に〝るて?るて ふるてうぉあ?〟と問いかけられた。其れで魔帝原理主義者だと判った。
魔帝原理主義者とは、魔帝を〝世に救いを齎し正しく神の様な生活へ導く天上の使者〟とし、崇め奉る輩である。どちらかと言えば原理主義者ではなく信奉者なのだが、サッカラールのある著名な歴史家が誤用して以来その言い方が広まり、ついには訂正を諦められ正式な呼び方として定着した。
〝るて ふるてうぉあ〟は彼らの〝祝詞〟の中で最も著名な物であるからして、この男は彼らの一員であるに違いない。そう判断したナデンは持っていた短剣で躊躇無く彼の心臓を突き刺した。
その後、大挙して襲いかかってきた彼らを近くに居た魔獣で相手しているのが現状であった。
「るま そうぁいよ!」
「ゆらまりふぁた!」
「るて ふるてうぉあ!るて るて ふるてうぉあ!」
「ゆら そたりうぉ!しきて、しきて!」
「くそっ、押しきられ……ん?」
ふと、空に何かが舞っているのが見えた。飛龍だ。
「アレは……ボリストクエレブレか!丁度良い、奴らを焼き払え、クエレブレ!」
ナデンに従ったボリストクエレブレは、口から蒼炎を魔帝原理主義者へ吐き出した。忽ち彼らは消し炭となり、木々に引火して林が燃え始める。
「しぃまったぁ!」
ナデンは慌てて降りてきたクエレブレに乗り、火が消える迄待ったのだった。
To be continued……
「閑 〔ネタバレ防止〕」掲載分
ナデンは黒髪の魔獣使いである。
「店主、もう一杯頼む。」
「はいよ。全く、お前さん此で何杯目だい?」
今、彼は酒精に顔を赤らめ乍ら安酒場でヤケ酒をしていた。
「二十一杯目だ。」
「うひゃー、酒豪だねえ。」
「私の知り合いには百杯飲んでも潰れない奴がいたじょ」
「そいつぁ、凄いねえ。にしても、何があったんだ?二年ぶりに来たと思ったらこんなに飲んで。」
「此処の軍の中途採用面接に落ちた。」
「はあ?お前さん程の腕で落ちるなんて、一体何があったんだ。」
「嘘がばれた。」
今回も同じパターンである。確実に怪しまれる様な事柄に関して嘘を吐き続けた結果、試験官にバレ不採用となったのだ。
「ああ、お前さん隠し事多そうだもんなあ。でもよぅ、其れってそこ迄して隠す必要がある事なのかい?」
「うるしゃい」
二十三杯目を飲み干し、回らなくなってきた舌で二十四杯目を頼んだ頃には、既にナデンは卓に突っ伏していた。
「やれやれ。前も言ったじゃないか、この店は良い客には良くするが、不用心な客は喰っちまうよって。」
To be continued……
「24 〔ネタバレ防止〕」掲載分
ナデンは黒髪の魔獣使いである。
「ん、ここは?」
現在、どう見ても奴隷としか思えない状況で目を醒ました所である。
「お、やっと起きたか。新入り。」
「え、はっ?」
「此処は奴隷商の船ん中だよ。何だ、気付かない内に攫われてたのか。なら諦めるんだな。ああ、俺はヒュージ、元傭兵の剣士だ。戦いに負けて奴隷になっちまった。お前は?」
「えー、あぁ、はい、ナデンです、だ。半分傭兵みたいな物だが流れの魔獣使いと名乗らせて貰う。」
「ほお、魔獣使いなのか。お前も戦争で負けたのか?」
「いや、情けない話だが、レミジャンティア軍の中途採用に落ちてヤケ酒を飲んでいた所を、こう……」
「ぶっははは、そりゃあ間抜けだな。」
バシバシと、ヒュージに背中を叩かれる。
彼が
To be continued……
「25 〔ネタバレ防止〕」掲載分
ナデンは黒髪の魔獣使いである。
「はい、500から!510!520!530!550!555!」
現在、彼はスパル・ラーントル王国東部のチェイテ半島にあるチェーピン市の奴隷市場で競りに掛けられていた。
「560!565!580!600!630!700!710!720!850!900!1000!1001!1005!2000!2500!2600!2650!2700!2705!2750!2800!2810!2820!2850!2900!2900です!未だ居ますか!只今2900 3000!3000が出ました!ぉーっと3010!3020!3050!3100!3400!3500!3560!3600!3700!3710!3750!3800!4000!4020!4050!」
どんどんと値段がつり上がっていく。此にはナデン自身も驚いた。
「4050です!4050!次の方はいらっしゃいますか?居たら手をお上げ下さい。……では、4050レアルでGの9番様お買い上げ!」
やっとセリが終わった。何と彼は4050レアル、日本円にして405万円、日本の一般人なら一年と少しなら何もしなくても暮らせる額で落札されたのだ。
彼は買い取ったオイテウネム指定有
「うぉっ!?リベカ大公代理殿!?」
To be continued……
「26 〔ネタバレ防止〕」掲載分
ナデンは黒髪の魔獣使いである。
「あー、どうしようか。」
現在、彼はその場で使役したC級海魔ダイトウヨウポッテルマの背に座り込み、海原を見渡していた。
「板切れ一枚見つからない……私以外の生存は絶望的か。」
そういうことである。
詳しく言うと、彼を乗せたオイテウネム指定有
彼自身は一命を取り留め、ダイトウヨウポッテルマの上で日向ぼっこをしているが、他の人員が生きているかどうかは、彼には判らなかった。
「こんな所で身一つとは、落ち着かないな。」
ナデンは無意識に懐を弄り、自分の荷物が全て無くなっている事を思い出す。
「ああクソ、あの写真も無いじゃ無いか。」
唯一の精神安定剤すらも無い事にナデンは気付き、有る事を思い立つ。
「…………会いに行ってみるか。ざっと18570knの旅。良いじゃ無いか、うん、良いじゃ無いか。」
彼を乗せたダイトウヨウポッテルマがのっそりと西へ動き出す。
その目は、父親だった。
The end
小ネタ解説
・10kmを15分
ナデンの人外ポイント+1
・R級、L級、C級
魔物の危険度分類。魔帝襲来のはるか前から使用されてきた。
下から順にH無害、T悪戯、A注意、C警戒、R危険、S怪異、D災害、L伝説、G神話
・魔獣使役
・パイナックス・フィナイクス社
ダナン資本のデリア籍とか自分で描いててなんだけどもカオス
・獣人に家族を殺されて憎しみしか抱けないが半分嘘
ナデンの怪しさ+1
・魔帝原理主義
こんなのでも新世界四大宗教の一角。というかそもそもアマテル教一強(総人口の約96%)すぎて新興宗教は生えてもすぐ潰れるしそもそも生えない。
アマテル教がカケラでも登場するのは次話から始まる二章
・ボリストクエレブレ Borist Cuelebre
クエレブレ亜種、R級上位
・あの写真/その目は父親/会いに行ってみる
やたら伏線ばら撒きまくってるけど回収できる予定はリメイクを決意した時点で書き終わってる地点よりもだいぶ先なんだ……
ー次回予告ー
――――「星祭り?」
日本の精力的な外交策も在り、東大東洋諸国に国交を結ぶ国を増やしつつあったころ、外務省に一つの書状が舞い込んだ――
次回、「波乱の星祭り①」
〈第二章へ〉