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3ヶ月後、俺はいつもの日課でランニングをしていると聞いたことのある声が聞こえてきた。
『かよちんにもらったの返して!』
『返して欲しいんだったらお願いしてみろよ〜』
『そうだそうだ〜』
俺はその光景を見ると迷わず星空さんの所へ行き、星空さんが返してと言っていた御守りを相手から取り返す。
『女の子いじめる男の子なんてカッコ悪いぞ』
第三者である俺が入ってきたことにより男の子達は驚いたのか、すぐに逃げていった。
『はいこれ。大丈夫だった?』
『不知火先輩……ありがとうございます』
泣きそうなのをこらえていたのか、星空さん目にはうっすらと涙が溜まっていた。
『実はこれかよちん…凛の友達にもらったものなんです。この前のお誕生日にもらったもので……』
『そっか。その友達のためにも大切にしてあげなね?』
俺はそう言いながら、星空さんが泣き止むまで頭を撫で続けた。
泣きやんだ後、俺は星空さんに家まで送ると提案して、一緒に星空家に来ていた。意外にも星空さんの家は家の近くだった。
『それじゃあ俺は帰るよ。またいつかね』
『ま、待って!』
帰ろうとした矢先、星空さんに呼び止められ足を止める。
『どうしたの?』
『あ、あの…その……お家に寄ってきませんか?』
俺は一瞬固まってしまったが特に断る理由もなかったため、寄っていくことにした。
『ただいま〜』
『凛、遅かったのね。あら?そちらの男の子は?』
俺は星空さんの母親らしき人に自己紹介して事の経緯を話した。
『そう……隼人くんありがとうね。凛を守ってくれて』
『いえ、僕はただ御守りを取り返しただけで、何もしてませんよ』
星空さんのお母さんは含み笑いをすると、お茶を持ってきてくれた。
『そうそう、隼人くんのお家ってこの辺?』
『そうですけど…』
『ならちょうどいいわね。今夜は家で食べてかない?娘を助けてもらったお礼もしたいし』
それから俺は家に電話して夜ご飯のことを話し、星空家の皆と楽しく食事をした。
翌日
『起立、礼、さようなら』
『はい、皆さんさようなら。気をつけて帰るのよ』
帰りの会が終わり、俺は急いでランドセルに荷物をまとめ校門を出る。録画しておいたダンス大会の映像を見るためだ。
『おい』
校門を出て少しすると不意に声をかけられたので、そちらへ振り向く。振り向いた先には中学生と思われる男子生徒が立っていた。
『なんでしょう?急いでいるので早くおねがいします』
『昨日はよくも俺の弟を虐めてくれたな』
問われた時、俺は一瞬「は?」と言う顔をしていただろう。それくらい突拍子もなく突然だったのだから。
『えぇと、僕はあなたの弟さんに手を出した覚えはありませんよ?』
『惚けんなよ。昨日の夕方、お前に虐められたって言ってんだぞ』
昨日の夕方、という事で何のことかわかった俺は一瞬だけ呆れ顔をして元に戻す。
『それは誤解です。あなたの弟さんが女の子を虐めてたので、僕は止めに入っただけです』
『……………そうなのか?』
『はい』
問いに対する俺の頷きを見て、男子生徒は少しだけ考え込むとやがて立ち去っていった。
『早く俺も行こ』
男子生徒が去っていったのを見送ると、俺も足早で家へと戻った。
それから数年経ち、俺は高2になっていた。
前世でやっていたことも含め、あの後見たダンス大会の映像に感化された俺は親にお願いして今では週3でダンススクールに通っている。
そして神の気まぐれかは分からないが、モデルにならないかと誘われ今ではモデルの仕事もやっている。
どういうわけか俺は人気が高いようで、この前マネージャーさんに話を聞くと、相当数のファンがいるらしい。
今は極力バレないようにとフードを目深にかぶり、用心しながらランニングをしている。
『まさかここまでになるとはな………』
『いや、離してください!』
そんなことをつぶやきながらランニングを続けていると悲鳴のような声が聞こえてきた。
声のした方を見ると、女の子の周りに3、4人の男が群がり無理やりどこかへと連れて行こうとしていた。
『おいお前ら、何やってる!!』
俺に気付いた不良達は次第に俺を取り囲むように間合いを詰めてきた。
『野郎には興味ねぇんだよ』
『俺はその子と約束があるって言ってもか?』
『んなのはどうでもいいんだよ!!!』
不良はいきなり殴りかかってきた。
俺はそれを軽くいなし、一発お見舞いする。
『これでもまだやるか?なんなら警察に通報するぞ?』
『………ちっ、覚えてろよ!!』
不良達はそんな昔ながらの捨て台詞を吐くと、走ってどこかへ行ってしまった。
『大丈夫でしたか?』
不良達が完全に見えなくなったことを確認した俺は、襲われていた女の子の方へと向き直った。
『はい………っ///』
女の子は一瞬だけこちらを向くとすぐに振り返ってしまった。
こころなしか、頬が紅く染まってたような気がしたがきっと気の所為だろう。
『えと、どうしたの?』
『………さん、ですよね?』
『え?』
女の子の声は小さく聞き取りづらかったが、やがて意を決したのかこちらへ振り向き、
『不知火隼人さんですよね?私あなたのファンなんです♪いつも雑誌で見てます♪サインください!』
まくし立ててきた。それはもう結構な勢いで、こちらの意見を挟もうとしないくらい。
『ちょっと落ち着いて。質問一つ一つには答えてあげるしサインもするから』
『あ、ごめんなさい』
俺の言葉に女の子は謝り、少し舌を出すという仕草を見せてきた。
それに気にしてないと返し、質問一つ一つに答えていく。
『南ことりさんへ、と。はいこれ』
『ありがとうございます♪』
サインの下に彼女の名前を書き、俺はそれを彼女に渡す。
色紙を貰うと彼女は宝物のようにそれを抱きしめ、喜んでくれた。
『もう暗いし、送ってくよ』
『い、いえ…不知火さんに悪いですよ』
『いつまたアイツらみたいなのが襲ってくるかわからないでしょ』
俺は彼女の言葉を遮り、言葉を続ける。彼女もさっきのは余程怖かったのか、思い返しただけで少し膝が震えていた。
その後俺は彼女を家まで送り届け、ダンススクールに顔を出した。
ダンススクールのおじさん曰く、俺が売れてきた辺りから急にここに通う人が増えてきたという。
『しかし今日だけで色んなことがあったな………』
そんなことを考えながら風呂から出ようとしてると、携帯が鳴り始めた。
誰だと画面を見るとそこには 木村聡 の文字。
『………何の用だ?』
『おいおい、随分とむくれてるじゃねぇか。なんかあったのか?』
誰のせいだ、と思いつつ何の用だと問いかけると、聡は思い出したのか用件を言ってきた。
『実はな今度の新歓でライブをすることになってるらしいんだよ。そんでお前も来ねぇかなって』
『待て待て。まず誰がライブするんだ?いきなり来いと言われても行けるわけ無いだろ』
聡の話は相変わらず色々と抜けていて何の話だか分かりづらかった。
『っと、すまねぇな。実は最近うちの学校でもスクールアイドルが始まったんだ。と言ってもまだまだらしいけどな』
『んで、その娘らが今度の新歓でデビューライブをするらしい。それに一緒に行かねぇかって話だ』
『それはいいが、部外者の俺が入っていいのかよ』
デビューライブは新歓で行うという。そこに部外者まで呼んでいたら、新歓という目的を失ってしまうんじゃないか――。
『いや、チケット自体は音乃木坂に通う生徒にしか配られてないんだが、そのチケットは同伴1人まで可能らしい』
『ふーん、んでお前はなんで俺を誘ったんだ?』
それは……と、少し躊躇いがちにしている聡に早くしろと声をかける。
『正直なところ、お前から見て彼女たちがどうか聞きたいんだよ。もしかしたら彼女たちが廃校の危機が救えるかもしれないからな』
『どういうことだ?』
聡の話によると音乃木坂は現在、生徒数減少のせいで廃校の危機に瀕しているらしい。
そこで今話題のスクールアイドルをやって学校を立て直そうと立ち上がったのがμ'sというグループらしい。
『なるほどな。ま、そう言う事なら構わねぇけど俺の意見でいいのか?』
『お前最近結構人気じゃん、だから大丈夫だって』
こうして、半ば丸め込まれるような形でスクールアイドルのデビューライブを見に行くことが決まった。