ラブライブ! -夢への架け橋-   作:しろい凛キチ

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第3話 (改訂)

ライブ当日。俺は学校が終わるとすぐに帰り支度を済ませ、待ち合わせ場所である音乃木坂の校門前に来ていた。

 

『悪ぃ、待たせちまったな』

 

程なくして聡は息を切らして俺の元にやってきた。

様子から察するにHRが終わってから走って来たのが伺えた。

 

『何もそこまで急がなくても良いだろ………。ほらよ、さっき買ったやつだから俺は口つけてねぇし、やるよ』

 

来る途中で買ったお茶を渡すと、智はそれを一気に飲み干さんとする勢いで飲んだ。

一気に半分以上を飲み干し一息ついた聡はありがとうとお礼を言い、講堂まで案内してもらった。

 

 

『にしても人全くと言っていいくらいいないな』

 

既にライブ間近となっているにも関わらず、人はほとんど来ていなかった。

 

『ふむ、これで辞めなきゃいいんだけどな……』

 

『え?それ…どういうことだ?』

 

心の中で考えていたつもりが、声に出ていたらしい。俺の言葉に反応した聡は理由を聞きたいとばかりにこちらに向き直っていた。

 

『お前も知っているだろうがアイドルの世界はそんなに甘くない。最初のうちはほとんど認知度もなく、ライブには2、3人程度しか来てくれない。そしてそれはスクールアイドルも変わらない』

 

そこまでで察したのか、聡も口を噤む。

 

『あの娘らがこの現実に絶望して辞めないか、か………』

 

『そういうことだ。杞憂であるといいんだが』

 

それからは開演までお互いに一言も喋らなかった。

開演のブザーが鳴り、次第に辺りも暗くなり幕が上がった。

 

 

『……………………やっぱりか』

 

予想は尽く的中し、開演したのに彼女達はただただ立ち尽くしていた。

 

『予想、当たっちまったな……』

 

この事実を受け止め彼女達はどう動くか見ていると、いきなり講堂の扉が開き一人の少女が入って来た。

 

『あれ?……ライブは?あれ??』

 

『誰かと思えばあの子は1年の小泉花陽ちゃんじゃないか』

 

『なんで2年のお前が1年の娘のこと知ってんだよ………』

 

半ば引くような目つきで見ていると、必死に弁明してきた。

そろそろ始まりそうな雰囲気だったので、聡の弁明は軽く流し意識を壇上へと戻す。

 

 

『へぇ…聞いたことない曲だが、これは彼女たちが作ったのか?』

 

『そこまでは知らない。でもいい歌だな』

 

正直、聡から彼女たちがスクールアイドルを始めたのはつい最近と聞いたときはどうかと思っていた。

でも実際に聞いてみると歌詞はすっと心に入ってくるし、何より彼女たちの強い想いが伝わってきた。

 

 

その後も何事もなくライブは終わり、少ないながらもその場にいたほぼ全員が拍手していた。

 

『………生徒会長』

 

ファーストライブが無事終わり、皆から拍手を受けていた彼女達だったが、生徒会長の登場でその拍手は止んでしまった。

 

『どうするつもり。これ以上続けても意味はないように思うけど』

 

μ'sの彼女達のライブに感化され久しぶりの感動に浸っていたが、そんな生徒会長の言葉で現実に引き戻さた。

 

『生徒会長、だったか?それは違うな』

 

『あなたは……』

 

俺が立ち上がるとその場にいた全員がこちらを見て、そして俺のことを知っている人は驚いていた。

 

『確かに今の彼女達は歌は良くてもダンスはイマイチだった』

 

その言葉を聞き、ステージ上にいた彼女達は少し落ち込んだような顔をしていた。

俺はそれをちらりと眺め、だが、と言葉を続ける。

 

『さっきの曲アンタも聞いてたろ。あの曲に何より彼女達の想いが詰まっていた。聞くところによるとまだ初めて1ヶ月かそこらじゃないか、それでここまで出来たなら上出来だと思うが?』

 

『…………そう。ならもう少し努力しなさい』

 

それだけ言うと生徒会長はスタスタと去って行ってしまった。

 

『それじゃ俺もそろそろ帰るわ。部外者がそうそう長くいるもんでもないしな』

 

『あの!』

 

生徒会長に続き講堂を出ようとすると、三人の真ん中にいた娘に呼び止められた。

 

『どうして私たちのことをそこまで言ってくれたんですか?歌も踊りもまだまだなのに』

 

『…………さっきも言った通り、あの曲には君たちの想いの強さが十分に伝わってくるほど込められていた。それに何より、君たちの目が生き生きとしていたからだ』

 

それだけ伝えると、それじゃ、と残し講堂を後にする。聡はまだやることがあるようだったのでここで別れを告げ、早々と校門へと歩いて行った。

 

 

『それにしてもμ'sか……9人の女神の総称だったか。だとするとこの名前を付けたやつは相当そういう事に精通してるな』

 

『ふふ、いい名前やろ?』

 

帰り道、独り言のように呟いた一言に言葉を返され、声の方向を見る。

そこには音乃木坂の制服に身を包み、紫の長い髪を肩口くらいで左右1つずつにシュシュで纏めた女性が立っていた。

以前聡に聞いた学年ごとのリボンの色からすると、目の前の女性が3年だということが伺えた。

 

『どちら様で?』

 

『ウチは東條希。ここの3年生で生徒会副会長や』

 

東條先輩はそう言うとよろしくな、と手を差し出してきた。

 

『こちらこそよろしくお願いします。ところであなたがこの名前を付けたんですか?』

 

『そうやで。あの娘らは9人になった時、大成功間違いなしってカードが言ってたんよ。だから9人の女神から取ってμ'sって名前にしたんや』

 

そう言って見せてくれたのは太陽の正位置。

意味は兆し、とか可能性、とかだったはず。

 

『じゃあ今後、あと6人は増えるってことですか』

 

『そういうことやね』

 

それだけ言うと東條先輩は踵を返し、校舎の方へと戻って行った。

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