幻想漂白記~ヤンデレ女に連れられた場所で異変解決するごとに何故かヒロインが増えていく~ 作:ぷるーむ
前の名前は『まじゅ』みたいな名前でした。
以前のアカウントのパスワードをド忘れてしてしまい、再度アカウントを作り再投稿しようと思ったのですが、前の作品が納得できねぇな~ってなったのでリメイクすることにしました。
以前とはかなり設定が違うので、前の作品を読んでくれた方は、読み切りを読んでいたと思っていただければ幸いです
それでは、リメイク版をお楽しみください
1話
ガキの頃から、幽霊ってヤツが見えてた。
どうやら普通の人間には見えていないようで、自分がおかしいんだってことに気が付いたのは、小学生の頃。公園で遊んでいる時に、誰も見えない子供に声をかけていたことを指摘され、初めて気が付いたんだ。
幼稚園の頃からその片鱗は見せてたみたいだけど”少し変わった子”で両親は片付けていたらしく、いつまで経っても見えない何かと会話している俺を、気味悪く思い始めたらしい。
どれだけ説明をしても信じて貰えず、挙句の果てには『頭がおかしい奴』と見放され、家族の中で俺は、文字通り
いつだったか。
霊能者の紹介をする番組で、演者がこんなことを言っていたのを覚えている。
『特別な能力を持って生まれたなんて羨ましい』
その言葉に納得できなくて、俺はすぐに電源を切った。
幽霊が見える力なんて俺はいらない。特別な力なんていらない。ただ、普通に友達と遊んで、親から愛情を貰って、普通の人生を過ごせれば、それで良かった。
自慢する気なんて一切ない。
自慢する奴を否定する気もない。
俺は、普通の人間になりたいんだ。
……なんて、今更願ったってどうにもならないけど。
でも、ある夏の日。
俺の運命は大きく変わってしまったんだ。
俺の全てを変えてしまったんだ。
───────
蝉の声が煩わしく鳴り響く住宅街。
真っ白な制服を着た男女二人組が、談笑しながら歩いていた。
時刻は夕方。
制服を着ていることから、学校からの帰り道であることが窺える。
男の方は、百七十弱はありそうな身長に程よく筋肉のついた体躯。漆のように真っ黒な髪の毛は、相反する
女の方は、百五十程の身長。若葉のように鮮やかな
一見、正反対な二人だが、通行人が二度見してしまうほど、容姿端麗だ。
「ホントについてきても大丈夫なのか?
男の問いに、早苗と呼ばれた少女は、ブンブンと首を振る。少し背丈の低い彼女のその行動は、小動物を思わせるような愛嬌がある。
「大丈夫です! 私が
早苗は、ぐいっと身を乗り出して龍牙の問いに答えた。彼女の顔が目の前までやって来て、思わず龍牙は顔を仰け反る。
視線を逸らして「ならいいんだけど」と言って龍牙は歩き出す。早苗もその後にピッタリとついた。
そんな二人の横を、同じ制服を着た女子生徒の集団が通り抜ける。彼女達は二人に一瞥をくれると、何やらヒソヒソと喋りだした。その様子を見て、龍牙は少し気分が悪くなる。
しかし早苗は違うようで、チラチラとこちらを見て話している集団を見て、ニコニコとしていた。
「もしかしてあの二人、付き合ってるんじゃない? なんて言われてるかもしれませんね!」
早苗は、顔に喜色を浮かべながら、そう言った。
「勘弁してくれ……」
すうっと早苗の瞳からハイライトが消える。
早苗は抑揚の失せた声で、
「──嫌なんですか?」
「当たり前だろ。そもそも……」
そこまで言いかけた時点で、早苗はもう目の前まで迫ってきていた。男は早苗を掌で抑えようとするも、小柄な体躯からは想像もつかないような力で、若干押され気味になる。
「~~~っ」
「話を最後まで聞け! そもそも俺とお前じゃ釣り合わないし、お前まで白い目で見られるようになっちまうだろ! 分かったらその突進をやめろ!」
「龍牙くんが手を離したらやめます!」
「嘘つけ! 手を離した瞬間に、闘牛の如く突進してくるだろ!」
小競り合いを続ける二人を、女子生徒の集団は、微笑みながら見ていた。
『あの二人って付き合ってないってホント?』
『らしいよ? お似合いだから、早く付き合って欲しいんだけど~』
『それな!』
早苗の予想は大方当たっていた。
だが、小競り合いを続ける二人に、それを知る由はなかった。
───────
「はぁ……。おまえのせいで、余計な体力を使わされたぜ」
鞄片手に愚痴を垂れる龍牙。
早苗はまだめそめそとしている。どうやら、あてこすりのようだ。
「いい加減、機嫌を直せよ。別に早苗のことが嫌いだなんて、一言も言ってないだろ?」
「うっ、うっ、龍牙くんは馬鹿です……っ! 龍が如く馬鹿ですっ!」
「何を訳の分からないことを……」
龍牙はぽりぽりと頭をかき、はあああ、と大きくため息をついた。
それから、強引に早苗の手を掴んだ。
「ほら、行くぞ」
「は、はい……」
もうニコニコしている早苗の手を引いて、目的地へと向かった。
龍牙が向かった先はとある道路──それに隣接された電柱であった。柱の根元には、花が添えられた花瓶、花束、お菓子や手紙などが添えられていた。
「ここ、ですか……?」
早苗は遠慮がちに訊ねた。
龍牙は口には出さず、こくんと頷いて肯定する。
「少し前、ここで事故があったのは、早苗も知ってるだろ? 被害者の子は、成仏できずに未だにここをさまよってた」
添えられた物を眺めながら、龍牙は語る。
龍牙は微笑んでいるものの、どことなく憂いを帯びた雰囲気が漂っている。
「……アイツと約束したんだ。お前が成仏できるまで、毎日話し相手になってやるって。今、ここにいないってことは、そうか。成仏できたんだな……」
「龍牙くん、あの──」
「よし! 悪いな、付き合ってもらって。帰ろうか」
龍牙は立ち上がり、早苗に笑いかけた。
その場を後にする二人。
しばらく二人の間に会話はなく、分かれ道についたところで、ようやく龍牙が口を開いた。
「それじゃあ俺、こっちだから」
龍牙は右側の道を指差す。
「あっ、はい。それじゃあ……」
やけによそよそしい早苗の態度に疑問を感じたのか、龍牙は怪訝な顔をした。
いつもならここで、
『さっ、
──などと言って、引っ張ってでも連れて行こうとするはず。
「どうした? どっか痛いのか?」
龍牙は早苗の顔を覗き込むようにして訊ねた。
ぼうっとしていたのか、早苗は思わず「ひゃあっ!?」と素っ頓狂な声を上げた。
「あ、悪い。驚かすつもりはなかったんだ」
「いっ、いえ! 大丈夫です! ……えっと、それじゃあまた明日!」
早苗は走り去ってしまい、唖然とした表情の龍牙だけがその場に取り残された。
軽く
「──あら。彼女さんのことは、放っておいていいのかしら?」
刹那、龍牙は耳元で囁かれるような感触を覚えた。
聞いたものを魅了してしまうような、艶かしい女性の声。
辺りに龍牙以外の姿はない。
龍牙は声の主が誰か悟ったのか、不快そうな表情を覗かせて近くの路地裏に入った。
日陰に入って壁に背を預けると、目の前の何もない空間を睨む。すると、龍牙が目線をやった空間に隙間が生じた。両端にリボンがついており、中の空間からは、おびただしい数の目がこちらを見つめている。
嫌悪感を覚えるその隙間から、只者では無い雰囲気の女性が姿を現す。
「私は別にあそこでも良かったのに、こんな路地裏にまで連れ込むなんて……そんなに二人きりが良かったのかしら?」
女性は色気を帯びた声で、龍牙を誘惑するように言った。金糸を編んだような美しい金色の髪、龍牙と同じ色の瞳が、彼の姿をじっと見つめる。
妖艶な雰囲気を辺りに漂わせている彼女は、龍牙の頬から顎にかけて、品定めをするかのようにそっと指でなぞる。
龍牙は眉をしかめてその手を払いのけた。
「人様の誤解を招くような発言はやめてください。貴女の方が勝手についてきたんだ。ストーカーですよ、ストーカー」
「あら、お口が悪いのね。それにストーカーだなんて人聞きの悪い……。スキマの中から見てただけよ」
「常識に疎いようだから言っておきますけど、世間はそれをストーカーって呼ぶんですよ、
「──ご教授痛み入りますわ、雨宮センセ♡」
紫はスカートの裾を持ち上げ、わざとらしく、かしこまった態度を見せる。
「それで、今日は一体何の用です? まさかとは思いますが、ただ見てただけ……なんて言うつもりじゃないですよね?」
「あら、いけないかしら?」
「──はぁ」
龍牙は呆れたようだ。鞄を肩にかけ、その場を去ろうとする。
そんな龍牙の動きを、首に手を回し、抱きつくような形で紫は止める。背中に二つのふくらみが押しつけられる感触に、龍牙は思わずびくんっと身体を震わせた。
紫は追い討ちをかけるように、赤くなった龍牙の耳元へ、自身の唇が触れてしまいそうなほど近付ける。
「斜に構えてても、やっぱり男の子ね」
ゼロ距離での囁き。
耳孔を吐息が通り抜けるくすぐったい感触に、龍牙はもう一度、身を震わせた。
(これ以上は……やばい……っ)
龍牙は紫の両腕を掴むと、勢い良く上にあげるようにして拘束を逃れた。
「──残念」
紫の方を向き直すと、彼女はまるで、獲物を取り逃がしてしまった、といったふうな表情をしていた。
「からかうのは大概にしてください……」
「私の健気なアピールを”からかい”だなんて、失礼しちゃうわ」
「……まさかとは思いますけど、人が熟睡してる寝床に忍び込んで来ることも”健気なアピール”なんて言うつもりじゃないですよね?」
「……」
紫は扇子を広げて口元を隠し、決して龍牙と目を合わそうとしなかった。
紫はだんまりを決め込んでいる。龍牙はため息をついて、
「話がないなら、俺は帰りますよ?」
「待って……あるわ、大事な話が」
帰る素振りを見せる龍牙の腕を、紫はガシッと掴んだ。先程まで見せていた胡散臭い雰囲気は消え、龍牙を見つめる目は、真剣味を帯びていた。
しばしの間の沈黙。
彼女の言葉に嘘はないと信じて、龍牙は話を聞くことにした。
「──わかりました」
「……それじゃあ、単刀直入に言うわ」
アメジストのように輝く美しい双眸が、龍牙の瞳を見据える。
「私と一緒に、幻想郷に来ない?」
「──幻想郷? ああ、紫さんが語ってた理想郷のことですか?」
妖怪と人間が共存する世界でしたっけ、と龍牙は言葉を付け足した。
紫は頷き、肯定する。
「来てほしいの、貴方に」
龍牙は壁に寄りかかって目を閉じ、腕を組んで、しばらく考え込み始めた。
紫は声をかけず、じっと返事を待つ。
やがて結論に達したのか、龍牙はゆっくりと目を開けた。
「……俺は紫さんに、一度命を救われてる。貴女が来いと言うなら、行くまでです」
「本当に? 嬉しいわ……。でも、随分と考え込んでたようだけど?」
「いや、大したことでは……。気にしないでください」
「──当ててあげましょうか?」
紫はずいっと龍牙に顔を近付ける。
男の本能を掻き立ててしまうような官能的な香りが、龍牙の鼻孔をくすぐった。
「幼馴染のことが、気にかかるんでしょ?」
「いや、そういうわけじゃ──」
龍牙の唇に人差し指を当て、紫は彼の言葉を遮った。そして、龍牙の身体に豊満な身体を押し付ける。
「……ダメよ。貴方は私のモノ。他の雌への目移りは許さないわ」
首筋を指で愛撫し、辛抱たまらないといった表情を覗かせる紫。彼女の表情を見て、これから何をされるか理解した龍牙は、
「紫さん、待って……っ」
「──待たない」
龍牙は両手首を壁に押し付けられて、身動きが取れなくなる。抵抗する龍牙を余所に、紫は舌なめずりをすると、彼の首筋に、取り出した小型のナイフを当てる。鋭い痛みが龍牙を襲った。
ナイフで傷をつけた箇所から、血がにじみ出る。紫は恍惚とした表情で、龍牙の血をすすりはじめた。
龍牙は、頭が真っ白になってしまい、自身の血が貪られる光景を呆然と眺めることしかできなかった。
「んっ……はぁ」
ほどなくして紫は、龍牙の首筋から、唇を離した。
口端から垂れる自身の血を、舌で舐めとり、狂気じみた笑みを浮かべる紫を見て、彼女はあくまでも妖怪である、と龍牙は再認識させられた。
「──貴方は誰のモノ?」
「紫さんのもの、です……っ」
「……いいこ」
紫は満足気に微笑むと、龍牙から身体を離した。振り返り、目の前にスキマを開くと、龍牙に「行くわよ」と声をかけた。
「行くって、今からですか?」
鞄から絆創膏を取り出し、慣れた手つきで首に貼り付ける。絆創膏が入っていたであろう小箱にゴミを入れ、鞄の中に突っ込んだ。チャックを閉めて、紫の方へと視線を向き直す。
紫は「当たり前よ」と言わんばかりの表情で、龍牙のことを見ていた。彼女の表情から何を言いたいのか察して、龍牙は焦りを見せる。
「さすがに、今からってのは……。ほら、準備とかあるんで」
龍牙の言うことは、ごく自然なものであると言える。
しかし、目の前にいる女性には、常識などというものは通用しない。百も承知であるが、一縷の望みにかける。
紫は、少し不満気な表情を覗かせるも、龍牙が「準備はさせてください」と懇願すると「仕方ないわね」と渋々、彼の要求を呑んだ。
「明日の八時。龍牙の部屋に行くから、それまでに準備しておきなさい」
「わかりました」
「それじゃあね。いい子にしてるのよ」
紫は、龍牙の頬に軽く口付けをすると、スキマの中へと消えていった。
一人きりになった龍牙は、口付けをされた場所を軽くさすると、踵を返して帰路についた。
「幻想郷、ねぇ……平和に過ごせりゃ、いいんだけど」
──龍牙はこの先、様々な強敵との戦いの日々が待ち受けているのだが、まだ知る由はなかった。
もう、はい。
ヤンデレが好きです。
相変わらずの文才の無さ故、ゾクゾクするほどのヤンデレ具合が表現出来ず悔しい限りです。
全員とは言いませんが、ほぼ全員ヤンデレになります、多分。
ヤンデレ度合いはそれぞれ違ってくると思いますが……。
もうほんと。ヤンデレしか愛せない。
むしろ、ヤンデレにしか愛されたくない。
私はそんな人間です。
それではまた、次回をお楽しみください。