第3村讃歌 第一部   作:だんきち文庫

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 ご覧戴き有難うございます!
 食いしん坊さんの日常ダイジェストです。
 関連したスクリーンキャプチャ4コマ漫画が有ります!
 あとがきに各話URLが御座いますので是非ご覧くださいませ。




<第3話> エヴァの呪縛 アヤナミ・レイ 存在の維持・続編

 

  ー それでは始まり始まり辺見マリ ー

 

 

        第 1 部

 

 

<第 3 話>

 

 エヴァの呪縛 アヤナミ・レイ存在の維持・続編

 

 

 それは彼等が再び訪れた村の日常に慣れ親しみ行く中のとある一日のことでした。

 

 

 レイは最初にこの村に訪れた時には「ソックリさん」と呼ばれていました。

 しかし今は皆から「食いしん坊さん」と呼ばれています。

 今回はそんなレイの日々をダイジェストでご覧戴きます。

 

 

 

 

【スズハラ宅 台所】(過日 夕食準備中)

 

 レイはツバメを背負って子守をしながら台所のテーブルの上の梅干しを漬け込んである大きな瓶をしゃがみ込んで「じ〜と」見詰めていました。

 

「それは梅干し。主人が毎年食べるの楽しみにしてるの」

 

 ヒカリは不思議そうに見詰めているレイに教えます。

 

 ヒカリのその言葉でそれが食べ物である事を知ったレイは「食べてもイイ?」とおねだりしました。

 

「イイけど…スッパイわよ⁉︎」

 

「スッパイってナニ?」

 

「そうね…食べれば分かるわよ!」とヒカリは笑いながら菜箸をレイに渡すと小松菜の湯通しを始めました。

 

 レイは長い菜箸では上手く挟めないので突き刺して瓶の中から梅干しを取り出すとそれを口の中に放り込みました。

 

 途端にレイは顔のパーツの全てを中央に寄せて呻きながら言います。

 

「んむ〜 !口の中がチュバチュバしゅる!!これがスッパイ…でも、美味しい…」

 

 ヒカリは笑いながら振り返ってレイの顔を見ました。

 しかしレイのその中央に寄った顔の頬っぺたは何故かパンパンに膨らんでいます。

 

「まぁ、アナタ!!幾つ口に入れたの⁉︎」

 

レイはもがもがしながら言います。

 

 

「な、七個…」

 

★スクリーンキャプチャ4コマ漫画有り★

 

 

 

 

【駅舎ハウス】(過日 午前中)

 

 レイはシンジの居るN109棟跡に向かう次いでに配給分の野菜の入った藁籠を背負い駅舎ハウスに届けに来ました。

 

 出迎えたアスカは「ご苦労様!ありがとね〜」と言い古新聞に包んだ蒸かし芋2本を手渡そうとします。

 その時アスカは彼女の口がモゴモゴと動いて何かを嘗めているのに気が付きました。

 

 アスカは以前に彼女が口寂しくてガラス玉を飴玉代わりに嘗めているのを「アンタ!神戸の節子じゃ無いんだから!間違って飲み込んだらどうすんの!」と叱った事がありました。

 

『またか⁉︎』と思ったアスカはレイの細く尖った顎を強引にグッと掴むと頬の辺りを強く押して彼女の口を無理矢理「くぱぁ!」させました。

 

 しかしレイの舌の上に乗っていたのは梅干しの種でした。

 

 レイは「何故?コレもダメなの…?」と涙目でアスカを見上げています。

 

 アスカは勘違いだった事を詫び、古新聞に蒸かし芋をもう一本足して包みを渡しました。

 

 レイはご機嫌になりシンジの居るN109棟跡に向かって行きました。

 

 

 

 

【スズハラ宅 台所】(過日 夕方)

 

 「ただいま!食いしん坊さん。ツバメのお世話ありがとう!」と言いながらヒカリは診療所の手伝いを終え夕飯の支度の為に自宅に帰ってきました。

 

 しかしレイは陽の落ちた薄暗い台所でツバメを背負ったまましょんぼりと土間の上り口に座って右掌を見つめています。

 

「どうしたの?」とヒカリは声を掛けながら近寄りました。

 そして彼女が見詰めている掌を覗いてみます。

 

 そこには舐め過ぎて白茶けた梅干しの種がポツンと乗っていました。

 

 レイはヒカリに哀愁を帯びた顔を向け寂しく呟きます。

 

「味…しなくなった…」

 

 ヒカリは「まぁ!アナタまだ嘗めてたの⁉︎」と驚きます。

 

 しかしその様子が余りに可哀想だったのでヒカリは新しい梅干しを3つ小瓶に入れ、そこに梅酢を注いだものを彼女に渡します。

 そして「はい!食いしん坊さん。新しいのあげるからね。それとその種、ココに一緒に入れとけばまた味がつくわよ!」と言いながらヒカリはレイの掌から種を摘むと流しで綺麗に洗いその小瓶の中に「ポチョン」と入れました。

 

 レイは「ありがとう」と笑顔で言い、貰った小瓶を大事に胸元に抱え込みました。

 

 その晩、レイは就寝前に貰った小瓶を枕元に置き「また明日…」と瓶に囁いて眠りにつきました。

 

 

 

 

【トンネル出口】(過日 午後)

 

 アスカはN109棟跡に向かっていました。

 

 折角の天気の良い休日だったので久しぶりにあのベンチでまったりしたいと思い付いたからでした。

 彼女はあの二人も居るだろうと、チョットしたオヤツとティーセットを持って出掛けます。

 

 アスカは線路上を進みトンネルに差し掛かります。

 そして暗く足元が悪いトンネルを抜けて少し安心した矢先、なんと出口の直ぐ傍に座っている人がいました。

 

 アスカは驚き少し跳ね退きながらその人を見ました。

 

 それはレイでした。

 

 レイはトンネルの出口の傍に立っている架線塔のコンクリート土台に右掌を見詰めてしょぼん…と座っていました。

 

「あれ?アンタ!どうしたの?」

 

 アスカはそう声を掛けて近寄って行きレイが見詰めている掌を見ました。

 

 そこには梅干しの種が乗っていました。

 

 しかしその種は割れていました。

 

 聞くとトンネルの中で注意はしていたが蹴つまずいて転んだと言い、その拍子に噛み砕いたらしい事が判りました。

 

 アスカはしょんぼりしている彼女に、梅干しの種の中は天神さんと言って食べられると教えます。

 

 レイは中の天神さんを穿(ほじく)り出し食べてみました。

 その芳香豊かな味わいに彼女は元気を取り戻した様です。

 

 アスカは「でも…天神さん食べちゃうと字がヘタになるのよ?」とレイを揶揄います。

 

 しかしレイは「イイ!美味しいから!」とニコニコしていました。

 

 実際、レイは字をある程度書ける様にはなっており、かなり上達はしていましたが天神さんを食べる様になってからはその字は庵野監督並みに戻ってしまいました。

 

 

 

 

【第3村 各所】(過日)

 

 ある日、レイは農作業の休憩の時に木陰で皆と昼寝をしていました。

 彼女は寝ながら思います。

 

『…お腹…空いた…』

 

 

 またある日、レイは子供達と一緒に教室でお勉強をしていました。

 ケンスケ先生の授業を聴きながら彼女は思います。

 

『…お腹…空いたな〜…』

 

 

 またある日、レイは農作業の帰りに教室の仲間の子供達に囲まれながら仲良く夕焼けの農道を帰ります。

 そして彼女は手を繋いだ子供に言います。

 

「お腹空いたねぇ?」

 

 

 またある日、N109棟跡で釣りをしているシンジの所にやって来ました。

 彼女はシンジの後ろ姿に声を掛けます。

 

「 碇クン…お腹空かない?」

 

★スクリーンキャプチャ4コマ漫画有り★

 

 

 

 

【スズハラ宅 寝室】(過日 夜半)

 

 レイはスズハラ夫妻の寝室でツバメを寝かしつけていました。

 その傍らで洋燈(ランプ)の灯りで絵本を読んでいました。

 

 突然、「ピッ、ピッ、ピッ、ピー!」プラグスーツの腕にあるモニターから警告音が鳴り響きました。

 

 次の瞬間、レイは激しい眩暈に襲われその場に倒れ込んでしまいました。

 倒れたレイは遠のいて行く意識の中で思います。

 

『…お腹…空いた…。ヒカリママのべちょたれ雑炊…まだ残ってないかな…』

 

 そして彼女は意識を失いました。

 

★スクリーンキャプチャ4コマ漫画有り★

 

 

 

 

【スズハラ宅 寝室】(過日 夜半)

 

 ヒカリは夫婦の寝室でツバメに授乳をしていました。

 その傍らでレイは授乳中のヒカリの胸元をじっと見詰ています。

 

 ヒカリは「どうしたの?」と見詰めているレイに問い掛けます。

 

「お乳って…美味しいのかな?」

 

 レイはツバメの旺盛な飲みっぷりを見てそう思ったのでした。

 

 ヒカリは「そうね…飲んでみる?」と彼女に言います。

 

「飲んでイイの?」

 

「少しなら分けてあげられるわよ。ちょっと待ってね!」

 

 そう言うとヒカリはツバメが満足して飲み終えると背中を「ポンポン!」と軽く叩いて一緒に飲み込んだ空気を出させます。

 軈てツバメは「ゲフ〜!」と大きなゲップをすると少し(むずか)りましたが(やや)もすると口元を「むにゃむにゃ」としながら眠ってしまいました。

 

 ヒカリはツバメを布団に寝かし付けると再び胸元を開き乳房を出して搾乳器を用意していました。

 

 しかしレイは「ありがとう…!」と言うといきなりヒカリの乳房に吸い付こうとしました。

 

「ああんっ!直はダメ、ダメよ!後で搾乳したのあげるから!」と、ヒカリはレイを離します。

 

「ご、ごめんなさい…ワタシお乳とか…飲んだコト無いと思う…。それで、つい…」

 

 彼女はそう言うと顔を赤らめて恥ずかしそうに俯きました。

 

 しかしヒカリには彼女のその目が淋しく虚ろいでいるのが解りました。

 彼女はトウジやケンスケから帰って来たレイの生い立ちや事情をある程度聞いていました。

 

 ヒカリはレイのシュンとした淋しそうな様子を見て「…そうね…」と愁いを含んだ小声で呟きます。

 

 そして彼女は自身の右の乳房を持ち上げレイに差し出す様に向けて言います。

 

「じゃあ、いいわよ。はい!」

 

「イイの…?」

 

「どうぞ!食いしん坊さん!」

 

「ありがとう…」

 

 レイはヒカリの乳首に吸い付きます…が、お乳は出て来ません。

 

「食いしん坊さん。もっと深く…その輪っかまで…そう!それから、もっと強く吸ってごらん?」

 

 レイはヒカリの教え通りに深く口に含んで強く吸いました。その途端にレイの口の中にお乳が迸りました。

 

「ん・ん・ん・・」

 

 レイは目を瞑りながら夢中で飲みます。そして飲みながら思いました。

 

『ん、ん、ん…柔らかくて…温かい…それに…甘い…』

 

 その瞑った目の長い睫毛には薄っすらと涙が滲んでいました。

 

 

 

 軈てレイはヒカリの乳房に吸付いたまま静かな寝息をたてて眠ってしまいました。

 

 

「まぁ…!食いしん坊さん…大きな赤ちゃんみたいね…」

 

 

 ヒカリはそう言うとレイの背中をそっと抱き、幼子にする様に頭を優しく撫でました。

 撫でながらヒカリの目にも涙が浮かんでいました。

 

 その時「ヒカリー!チョッとエエか?」と、言いながらトウジが寝室の襖を「ガラッ!」と開けたのでした。

 そして寝室の中の二人を見て「ん?…お、お前ら、ナニやっとんねん⁉︎」と驚いて慌てています。

 

 ヒカリは人差し指を口元に当てながら「シー! アナタ…!」と小声で言いました。

 そして続けて言います。

 

「今は…今はそっとしておいてあげて…」

 

 トウジはバツ悪そうな顔をしながら襖を静かに閉じました。

 

 

 ヒカリはレイをツバメの横にそっと寝かせると布団を掛けます。

 

そして安らかな顔で眠るレイの背中をゆっくり優しくトン、トン、と叩きながら子守唄を歌ってあげるのでした。

 

 洋燈の仄かな灯りが揺らめく寝室にヒカリの歌声が優しく流れます。

 

 

 

「♪ゆ〜りかご〜のう〜たを〜 カ〜ナリアがう〜たうよ〜 ね〜んねこ ね〜んねこ ね〜んねこよ〜♪」

 

 

 

 

【N109棟跡】(過日 早朝)

 

 休日のシンジは釣りをする為に早朝からN109棟跡にやって来ました。

 

 しかし其処には既にレイが居ました。

 

 レイは湖面を見つめていましたがシンジが来ると振り向き挨拶をします。

 

「おはよう…」

 

「お、おはよう…どうしたの? こんな朝早く?」

 

 シンジは少し驚きながら彼女に問いました。

 

「碇クンに聞きたかった…」

 

 レイは湖面で泳いでいる温泉ペンギンの群れを見て言います。

 

「アレって食べられるの?」

 

「ダメだよ! 食べちゃ!」

 

 シンジは慌てて言い返しますが内心では『多分、食べられると思うケド…』と思っていました。

 

★スクリーンキャプチャ4コマ漫画有り★

 

 

 

 

【N109棟跡】(続き)

 

 レイは「コレ…」と言いシンジに弁当の包みを渡します。

 

 しかしその包みは一つだけでした。

 

「これ…どうしたの?」と不思議に思いながらシンジは彼女に聞きます。

 

 レイは「作った…!」と少し照れながら言います。

 

「あ、ありかとう…」

 

 シンジは包みを受け取ります。

 

 その時、「ピッ、ピッ、ピッ、ピピピピ、ピー!」とレイのプラグスーツから警告音が鳴り響きました。

 

 レイはシンジから後退りして離れて行きます。

 そして彼女のプラグスーツは足元から徐々に白化して行きます。

 

 レイは一歩、一歩離れながら言います。

 

「稲刈りしたお米…食べたかった…」

 

「畑のお野菜…イッパイ食べたかった…」

 

「鶏小屋の玉子…沢山食べたかった…」

 

 

 

「好きな人と一緒にココで…お弁当、もっと食べたかった…」

 

 

 

「さよなら…」

 

 

 

 レイはそう言い終えると「パシャッ‼︎」と肉体がLCL化崩壊してしまいました。

 

「綾波ー‼︎」

 

 シンジは叫びながら駆け寄ると、抜け殻の様になって地面に崩れ行く白化したレイのプラグスーツを抱き止めます。

 

 そしてプラグスーツを抱き締めて言いました。

 

「もう!お腹空くとすぐ倒れるし、パシャっちゃうんだから…」

 

 シンジは膨れっ面で少し怒った様に言いました。

 

 が、それは自信の気持ちを誤魔化す為でした。

 

★スクリーンキャプチャ4コマ漫画有り★

 

 

 

 

【駅舎ハウス 各所】(続き)

 

 シンジは抜け殻になったレイのプラグスーツを持って帰りケンスケに事情を伝え預けます。

 ケンスケはそれを受け取り「うん。任せてくれ!」と言いリカバリーとメンテナンスを始めます。

 

 シンジはケンスケに宜しく頼むと言うと鉄道車両の自分の部屋へと戻りました。

 

 そしてレイから手渡された弁当の包みを解きます。

 

 その包みの飯行李の中には小さなおにぎりが幾つか詰め込まれていました。

 そのおにぎりは形や大きさがバラバラで不恰好でした。

 

 シンジはおにぎりを一つ手に取り見つめます。

 

 その不恰好な形から彼女が早起きして自分の食欲を抑えながら一生懸命握ったのが伝わって来ました。

 

 シンジはそれを大切に口にしました。

 

「綾波…美味しいよ…」

 

 シンジは憂いを含んだ眼差しで微笑みます。

 

「だけど…こんな…こんな悲しい味はもう…」

 

 そう呟くとシンジの微笑みは切なさと悲しみに支配されて行きました。

 

 そしてシンジはポロポロと涙を溢しながらレイが握ったおにぎりを慈しむ様に食べ続けました。

 

 

 

 

【N109棟跡】(過日 早朝)

 

 夜明けの湖は霧が立ち込め、辺り一面を白く包み込み異世界の空間の様になっていました。

 

 その白い闇に朧げに佇むN109棟跡の中に一人の人影がありました。

 

 それはレイでした。

 

 レイは一糸纏わぬ姿で目を瞑り茫然と立ち尽くしています。

 

 軈て彼女は眠りから醒める様にゆっくりと目を開きました。

 そして自身の躰を確かめる様に両手を胸に当てて静かに言います。

 

「…ワタシ、またパシャったのね…」

 

 

 そう呟くと彼女はその場に崩れる様に座り込んでしまいました。

 

★スクリーンキャプチャ4コマ漫画有り★

 

 

 

 

 

                                       <つづく>

 

 

 

 

 

 

【 次回予告 】

 

<第 4 話>

 エヴァの呪縛 アヤナミ・レイ存在の維持・続々編

 

 乞うご期待

 

 

 

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