キヴォトスの配達屋 作:無所属の転生生徒
「___くっ、なんだよ!?あいつ!!?」
私たち、メルメルヘルメット団は今、たった一人とビルが立ち並ぶ廃墟と化した市街地での戦闘を行っていた。
その人数差、1:200。
相手は銃の類は持っていなかった。
なのに。
なのにだ。
なぜその一人に私達は押されているのだろう。
「く、来るなああああ!」
爆発で味方が吹き飛ぶ。
「た、助けt…ぐはっ」
すれ違いざまに味方が膝から崩れ落ちる。
「くそ、また消えた…!どこに行った!?」
遠くから狙撃しようとすれば消え。
「く…そぉ…」
近寄れば、倒される。
「か、隠れなky…」
屋内に引き篭もれば、纏めて狩られ。
「うわあああ!ガッ!?」
屋外にいても、狩られる。
まさに蹂躙という他ない。
そうして最後に残った私が、逃げ出した際に見た光景は…。
山のように積み上げられた仲間の上に立つ、両手が黒く染まった一人の
「___……。あー…あー……。やり過ぎた…ぁ…」
足元、塀の上など至る所に死体のように転がっており、時折呻き声を出す、天使の輪をつけた少女達。
無人の廃墟の街であるとはいえ、所々火事が起き、建築物が崩れ、戦闘し出す状況より更に悲惨な光景となっている。
銃などの武器は至る所で乱雑に置かれてたり、墓標のように地面に突き刺さっていた。
そんな光景に、自分一人で作り出したとは言え、頭を掲げてしゃがみ込む。
___さてさて。どうしてこうなったか?
それを語る前に私…
まず大前提としてだが。今、私が立っており、足に地をつけているこの世界はキヴォトスといい、ブルーアーカイブの舞台となる世界だ。
神秘とやらがある世界。
生徒と呼ばれる少女達と多様な姿を持つ住民が住む巨大な学園都市。
身を守るために銃などが持ち出されるほど、治安は最悪。
ただし技術はかなり高度。
そんなある意味ではイかれた世界なのだが。
だがしかし。私が知る限り。または友達から教えてもらった限り。
当たり前だ。私は転生してきたのだ。
その経緯は至って単純で。
気がつけば、トラックに跳ねられ、一瞬、気絶したかと思えば高高度の空___雲が下に見えるほどの高さだったことから成層圏あたりの上空から落ちていた。
私は混乱した。
そりゃ、本当にゆっくり瞬きをするほどの時間、2〜3秒の間だったのだから当然だ。
とりあえずなんとかせねば。まずは動かないと。
最初、そう思ったが何故か、
訳がわからないと思った…が、それは後回しにして、今はなんとかせねば。
そう思い、『身体よ、動け!』とか言ったり、なんとか身体を動かそうと必死に力を込めたりし始めていたのだが。
___驚いた。何か来たと思えば。…ふむ、なるほど。そういうことか。よし。
いきなり、男とも女とも子供とも大人とも若人とも老人とも取れる不思議な声が脳内に響いた。
私はさらに混乱した。
一体全体これはなんなんだ!?と。
あまりに訳がわからなすぎたから。
だがそんな状態の私を無視するかのように謎の声が私に問いかけてきた。
___君は何をしたい?
『生きたい』
それを聞かれた時、私は何故か気が付けばすぐに答えを返していた。これから問われることに全て答えなきゃとばかりに。
___その為に何を望む?
『記憶にある力が欲しい』
___どんなふうになりたい?
『…怪物になりたい。血を啜ってでも、大切なものや誰かを守れるような怪物に』
___何を手に入れたい?
『誰かを救い、誰かを殺す。何かを創り、何かを破壊する。そんな力が欲しい』
___その為に何を差し出す?
『強さ。一人だけで完結してしまう圧倒的な強さを。そんなのはいらない。私は弱いことを誇れる強さが欲しい』から
___君は何を恐れる?
『何も知らずに仲のいい誰かが傷つき、目の前の大切な何かが失われること。それがとても怖い』
___君が望む世界は?
『仲のいい友人たちが笑い合いすごせる平和な世界』
___君が望む願いは?
『精一杯笑って、身近な誰かと楽しめればそれで充分。欲を言えば、こぼれ落ちたものも拾いたいくらいのものだ』
___…なるほど、君のこと。理解できたよ。
『…そりゃどうも』
___この世界へようこそ。一度死し、転生した者よ。
『………はっ?』
___君を歓迎するよ。盛大にね。
『ちょっ!?』
___ではね。幸運を祈るよ。
『お前マジでだれなんだあああああああああああぁぁぁ…!?』
そんな謎の声に対する問いも虚しく。
さらにさらにと落下速度が加速し続け。
ついには音速以上は最低でもあると思わせる速度で。
何やら、砂嵐が舞う場所へと、盛大な音を立てて墜落した。
勿論、その際、砂埃もそれに見合うだけの量を巻き上げ、その衝撃波でなのか、砂嵐を吹き飛ばして。
そこからというものの、大変だった。
奇跡的に無傷で生きていたはいいが、意識は朦朧とし、しばらくして突如として襲ってきた暑さで思考停止し、その状態で砂漠を脱出する羽目になった。
途中、熱中症気味で死にかけてる遭難者がいた為、なんかした事はあやふやで朧気ながら覚えてる。
んで、ほぼ意識朦朧思考停止状態で歩き続けた結果、森を通りすぎてから、やっと砂漠を抜けたことに気がつけば、敵性高性能機械が這い回る場所にきてしまっており。
逃げ出そうにも逃げ出せず、結果無理矢理、この世界での自身の力の使い方とサバイバル方法を毎日のように理解させられ、教え込まれる始末。
そんなんだから、途中嫌になってその場のロボの残骸と自分の力を使って武器とかをいくつか作ったね。
具体的には、ロマン武器とか、ビームサーベルとか、近未来型AR端末とか、小型ロボットとか。その辺作れそうなの。いくつかは持っていくのめんどくさくて置いていったな。
んで、しばらくしてようやく、おさらばできると思って廃墟群から逃げ、他の街に着いたと思えば、天使の輪っかがついたなんかガラの悪い奴らに絡まれ、ここがどこでどういう世界なのかを理解させられ。
んでとりあえず、返り討ちにしたら噂となり。
また来て、それを返り討ちにして噂が広まり。またまた来て、それを返り討ちにし…の繰り返し。
結果、なんか俺が友達から聞いてたり、動画で見てたり等で知ってるキャラが来る羽目に。
その時は流石に色々やばかったので逃げました。
よかった、転移系の能力とか記憶消去とか逃げるために必要な能力をいくつか知ってて。
そうして今に至る。
まぁ、状況は一部を除いてこの街に来た時とは変わったものの、それでも普通に配達屋兼何でも屋として活躍してるし。
たまに敵対してくるロボがいる場所に行く事で、そのスクラップで好きなものを作ることも出来てるし。
仲のいい同業者兼友達も一人できた。
好きなように生活してるよ。ほんと。
…そういえば、自己紹介がまだだったな。
前世の俺の名前は大矢 佑。所謂オタクと呼ばれる人種であり、様々な趣味を持ち、様々なアルバイトをした成人男性だ。
そして今世。
竜王 ドーラ。二つ名は怪物。それが私。どこの学校にも属さない無所属であり、不定期営業の配達屋として、気まぐれに生きる人物だ___。
作中の謎の声の正体は、正直私も分かりません。
各々好きに考えてください。