キヴォトスの配達屋   作:無所属の転生生徒

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さてと、今回から本格的にブルーアーカイブの世界に入って行きます。


PS(2024/8/13),すごい挿絵を描いてもらいました。
色付けとバイク以外はほぼ描いてもらいました。
くらげさん、ありがとうございます!


No.002 『アーカイブ』

 

 

「___ん……もう朝か」

 

ほんのりと冷えた朝の風が私の頬を撫でる。

空を見ると、星が次々と眠り、夜が明け始めていた。

 

「今の時間は…5時半。少し早く起きすぎた…か?とはいえ、まぁ、十分か」

 

枕元の懐中時計を見て、時間を確認。

次の配達依頼の道中で野宿をしていたが、だいぶ疲れと眠気が取れた為、寝袋とテントを片付け、後輪二輪のトライクにしまう。

 

「さてと、行こうか。今日はどんな景色が見られるかな」

 

そう言って、まだ見ぬ世界に心を躍らせて。

 

トライクのエンジンをつけて、今日も走り出す。

 

 

【挿絵表示】

 

 


 

さて、突然ではあるが。

 

私には特殊な能力がある。

 

とはいっても、単純に説明できる能力であり。

諸々を省いて簡単にそれを表すなら。

 

『記憶による保存をする能力』

 

と言える。

詳しく説明していこう。

 

まず、この記憶による保存をする能力。以下、自分のいる世界と掛けて、『アーカイブ』と呼ぶが、いくつかの分類に分けられる。

 

①どんな些細な記憶をも記録する『メモリー』

②自身の記憶…知っているもの、覚えているものを再現する『レコード』

③自身の触れた生物以外のものを記憶のデータ化をし保存する『アーカイブ』

 

これらに三つに大きく分けられる。

わかりやすく説明するとなるなら『完全記憶能力』『コピー能力』『アイテムボックス』と言えば、分かるだろうか?

 

ただし、それぞれ弱点もあり、

①は忘れたいことも忘れられないが、逆に思い出そうとしなければ思い出せない。

②はイメージがあやふやだったり、知らないことは再現できない上、一度に扱える再現は限られている。

③は収納した際、そのものの重量を1/10に軽減してから身体に負荷が加算されるのだが、あまりにも重いものを持つと私が持てる重量超えてしまい、動けなくなってしまう。

とこのような風になっている。

 

んで何故そんなことを突然説明したかというと。

 

「困ったな…運びきれないないな。これは…」

 

目の前に金塊の山があったから。

それもざっと100kgくらい。

 

「……うん、どうするか」

 

今、コピー能力の同時使用容量は上限まで使っており、収納系の能力を使うことはできない。

また、アーカイブ能力により増えた今の私の体重は120kgちょい。

一応、+50kgしてもは歩けはする。

 

で、ミレニアムとの共同開発で作ったトライクの重量上限はなんと200kg。

ただし、これは何も積んでいない状態でだ。

すでにトライクには手持ちの道具をいくつか載せており、50kgほど乗せている。

 

正直、有事の際の為に燃料と速度、積載量に余裕を持たせたいなら、15kgは確実に開けておきたい。

そうなると残り15kgが積載可能量なのだが…。

 

「多分、これ全部収納したら、ギリギリオーバーするよな…」

 

ため息を吐く。

少し遅くなる。その程度のものかも知れないが。

この世界で配達するとなると、その少しの差が命取りになる可能性がある。

 

「いくつか、ここで売ってく…もしくは置いとくか?けれどなぁ…」

 

そう言って、スマホでアーカイブでしまったものの一覧を眺める。

どれもこれも思い出深いものか、この世界で生きるには必要なものばかりだ。

前者はどう考えても手放せないし、後者は後者で使う時、無かったら絶対困る。

 

「依頼者から頼まれ、それを請け負った以上、反故にはできないし。そもそもこの仕事はあの依頼人の運命を分けてると言っても過言ではない」

 

思い起こすは、俺が聞いたこともない名前のとある生徒の姿。

彼女はどうやら、この街をでて銃専門の店を開くらしく、そのために資金として、この金塊が指定の銀行に届ける必要があるらしいのだ。

もし失敗したら、きっと泣き、その後、当てもなく彷徨う。なんなら、原作に出てたとしても、よくいるモブとして扱われる羽目になるのだろう。

 

それは、私が許せない。

 

「…折角の人生、誰かの手によって灰色にしたりはできない。尚更、私が原因であってはならない…よな」

 

この世界に来てから1年以上は経っている。

その間、色んな光景を見た。

騙される生徒。

見捨てられる生徒。

大人に翻弄される生徒。

夢をみる生徒。

希望に走る生徒。

ひたむきにまっすぐに行く生徒。

 

…ならば。なれば。

私のこの身が『生徒』であったとしても。

心と精神は『大人』である俺が。

 

夢を壊していいわけがない。

 

そうして考えに考え、出した答えに行動を移そうとする。

 

「…仕方ない。今回は諦めて、私の手持ちを減らs「あら、もしかしてドーラ師匠…?」…ん?この声は」

 

声のした方を見ると、赤髪でツノが生えた少女がいた。

 

「アル…?」

 

…陸八魔 アル。

ブルアカの有名なキャラの一人にして、便利屋68の社長。

彼女とは三、四ヶ月前、私が銃の配達してた時に知り合ったのだ。

それからというものの、便利屋の企業の相談、自分が知る限りの経営と凸スナ*1のノウハウ、それと幾つかの伝手を教え、ついでとばかりに起業資金の寄付もしてあげたのだ。

 

なお、こちらとしては同業者兼友人のつもりなのだが。

どうも、その時のことがあってか、彼女に取ってはそれだけではないらしく、こうして師匠付けされることが多い。

 

閑話休題(話がズレた)

 

「久しぶりだな。一月ぶりくらいか。元気にしてたか?会社の方はどうだ?順調に進んでるか?」

「えぇ、そうね。元気にしてたわ。会社の方は新しく社員も入ったし、資金の方も……………ま、まぁぼちぼち順調ね!」

「…その間があるということは嘘だな。本当は?」

「…うっ…。最近物品護衛任務でやらかして、任務失敗……火の車状態よ。ごめんなさい、折角、起業資金貰ったのに…」

「はぁ…ったく」

 

バツが悪そうな、申し訳なさそうな顔をするアルに対して、呆れた顔で見ていた。

まぁ、護衛任務ってところから、大方なんか依頼主との会話でアンジャッシュ状態になり、本来味方だった奴を倒してしまい、その間に…ってところか。

全く、俺が色々教えたこの世界でもポンコツなのは変わらない…か。

これで私がいなかったら、本来の世界ではどうなってたことやら…。

 

「…今日は一人なのか?」

「え?え、えぇ。ちょっとこっそりと誰にも知られず、欲しいものがあったからそれで…」

「…前に企業祝いで挙げた四次元収納付バイクは?」

「ゲヘナからここに来る際、乗ってきたけれど…それがどうしたの?」

 

運が良かった…というべきなのだろう。

本来は良くないことかも知れないが、四の五のも言っていられない状況だ。

悪い言い方ではあるが、利用させてもらうとしよう。

 

「なら、そうだな。久々にお前の仕事がどんなものか、見るためにも抜き打ち試験とするか」

「へ?」

「依頼だ。成功すれば、報酬として5万…まぁ、少しだけ資金繰りが楽になる程度の金額だな。それを用意しよう。失敗は…そうだな。お前の知られてない黒歴史を一つ、社員達にバラすってことで」

「えっ?えっ?」

「因みに内容は今、俺の目の前にある金塊の一部を守り抜き、規定の日時までに指定の場所に運ぶこと。いわゆる運搬業務だ。ただし備考として、依頼主からこの金塊を狙うものがいるとの通達を受けている。故に襲撃は高確率で起こるだろうな」

「えっと、あの」

「続きだ。また、道中、前述のことも考えて、襲撃者を撒くためにどうしてもわざと敵対性機械…エネミーの上位個体がいる地帯を通らなければならない。そのエネミーは遠距離戦をするとこちらが不利になる為、撃退するためには中近距離の戦闘ができる腕も必要だ。一応、その際には私もサポートはしてあげよう。」

「はっ!そ、そうだわー!今日、私少し___」

「あ、そうそう。依頼受けなくても失敗だ。つまりは自身の社員への黒歴史の解放なわけだ。まぁ、それを承知の上でどーーーーーーしてもというなら、受けなくてもいいが…どうする?因みに、黙秘権はないからな」

「………くっ…う…うぅ…わかった…やるわ」

「ならよし」

 

…うん、手に取るように心の中で(どうしてこんなことに…)と白目を剥いてることがわかる。

すまないな。アル。

だがあれもこれも君が一重に運が悪かったせいなのだ。

恨むなら自分の運を恨むといい。

 

……ま、だけど流石に申し訳ないから、成功したらこっそり追加報酬でも用意してやるか。

報酬がさらに豪華になる、ちょっとした隠し条件もつけて。

 

「んじゃ、さっさと連絡するならして、買うもの買って、バイクを持ってきな。そこから金塊詰め込んでの依頼開始だ」

「…となると……1時間ほどくれないかしら?それで最低限の用意をするわ」

「んじゃ、+30して、1時間半にするか。まぁ、いきなり巻き込んだのもあるし、事前準備の資金として五千あげるから、これでさっきの情報から予測し得る状況を考えて、色々買ってくるといいさ。その後、出発としよう」

「了解、任せときなさい…!それじゃあ、また後で…!」

 

そう言って、私からのお金を受け取り、考えてる顔つきにはなりつつも何処か嬉しそうに、やや駆け足気味に歩いていくアル。

久々の再会がこんな風になるなんて前回会った時はお互い思ってもみなかっただろうが。

だが、まぁ、これはこれで『らしい』のだろう。

 

「…さてと、俺もこの金塊を運ぶ為に準備するか。なんだって、金塊を狙っている奴は、約300人程で構成されたヤクザ、ヤグラ組で。道中の敵性機械は、あのデカグラマトンと同等の力を持つ、『失われし者』が作った『7つの大罪(セブンス・ドラゴン)』…『憤怒の竜』ファフニールなんだからな」

 

アルには言っていなかったが、実は今回の依頼は高難易度の依頼となっている。

いつ来るかわからないヤクザの集団の襲来。

生半可な攻撃では通用しない、超攻撃的で威力も破壊力抜群な兵装を持つ、とある昔の人物の負の遺産。

それでも、俺がアシストするという前提条件の上でなら、アルはやり遂げられると信じてる。

 

「んじゃ、少し『アーカイブ』から荷物下ろして、バイクの武装化改造にでも取り掛かるとしましょうかね?」

 

そう言って目の前の金塊を盗まれないように見張りつつも、アルが来るまでの間、バイクの強化改造に勤しむのだった___。

*1
簡単に言えば、『一撃で仕留められるならどんな距離でも使えるし、攻撃力の高いスナイパーライフルを使えばいいよね!』っていうゲームの戦闘スタイル。いわゆるスナイパーライフルを遠距離にも届くショットガン扱いするプレイングである




次回、陸八魔 アル、死す!デュエルスタンバイ!
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