キヴォトスの配達屋   作:無所属の転生生徒

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難産気味でしたが出来ました。
ではどうぞ


No.004 ミレニアムサイエンススクール

「___到着っと…。にしてもここにくるのは三ヶ月ぶりか」

 

所狭しと高層ビルが立ち並び。

 

所々に最先端の技術の結晶が見られ。

 

まるで、日本の東京都心部のような学園都市。

 

ミレニアムサイエンススクール。

 

その一角、とある薄暗い路地を通り抜けた先。

四方八方ビルに囲まれており。

木々が茂ってる上に外壁や地面など所々がやや苔むしってたり、蔦が生えているせいか、森の中の隠れ家のような雰囲気を醸し出す。

そんなガレージ付きの喫茶店___『マクスウェル』に来ていた。

 

「___んじゃ、アル。私は喫茶店にいるから、準備とかでき次第、またここに来てくれるか?」

「えぇ。わかったわ。…そうね、大体2時間後にここに来ればいいかしら?ドーラ師匠」

「あぁ、だな」

「わかったわ。…にしても、ミレニアムに着いてからの向かう先から、まさかね…?とは思ったけど…ここに来るなんて。あまり来ないようにはしてたけど……」

 

そう言って、懐かしそうにアルはマクスウェルの看板の下を見る。

そこには6つの木札が並べられており、他の五つが黒い面を向けているのに対して、唯一___D×DKが書かれた木札だけが白い面を向けていた。

 

「…私がここを離れてから、だいぶ増えたのね。配達屋のメンバー」

「まぁな。二、三人ほど」

「…そう」

「フフッ…なんだ、アル。うちに戻りたいのか?」

「そんなわけじゃないわ。元々は貴方から色々学ぶ為に肩書き上、バイトとして入っていたとはいえ…今の私は便利屋68の社長よ?流石に社員を放っておいてそんなこと出来はしないわ。…ただ、私の札もあそこに並べられてたと思うとね。少し感慨深いものがね……」

 

そう言って、少し眺めた後、肩にかけてたコートの内側からかけられている木札と同じ…いや少し掠れた、A×68Mと書かれた木札を彼女は取り出した。

 

「まだ持ってたのか、それ」

「えぇ。大切な思い出が詰まったものだし…『原点を忘れべからず』…昔、貴方が言った言葉を忘れない為にもね」

「そっか」

「…さてと、湿っぽくなっちゃったし、そろそろ行かないとね。ドーラ師匠も待ち人いるんでしょ?」

「あぁ。そうだな」

「じゃ…じゃあ、また後でね。ドーラ師匠」

 

そう言ってアルは、誤魔化すように笑うと、バイクに乗って元来た道を通り、大通りへと進んで行った。

 

「本当、変わんないな。アルも」

 

そう呟き、ふっと笑う自分に気がつき、また笑う。

最初出会ってから良い意味で変わらないアルを見てるとほっとして笑ってしまう自分がいるという事実がどうもおかしくて。

 

「さてと、俺も行くか。人待たせてるしな」

 

大きく息を吐き、気を引き締めた所で喫茶店の中に入った。

 

中で待ってるであろう、『瞬間記憶の天才』と話す為に。

 


 

「___……16分35秒。いつもは6分から10分前の間、早めに来るように心掛けてるはずの貴方が、遅いなんて珍しいですね。不死身の再現者(リスペクター)

「悪いな、既に独り立ちした弟子と戯れていた。俺より強い弟子とな。完全記憶者(フル・メモリー)

 

ややレトロ調な店内を歩き、待ち人が待つ席に向かうと、そこに座る機械質のヘイローを持った白髪の少女に後ろ向きで、皮肉めいたようにそう声かけられた為、それに対して惚けた表情で冗談めいた軽口で返しながら対面に座る。

 

「そうでしたか、それはそれは微笑ましいことです。…前回から40日、4時間8分6秒振りですね。配達屋『シュレディンガー・キャット』社長。竜王ドーラさん」

「あぁ、久しぶりだな。ノア。()()()()は出来てるか?」

「えぇ、勿論。では私達の商談(チェスゲーム)といきましょう」

 

そう言って、既に置かれているチェス盤を挟んで俺の向かい側に座る、ミレニアムの生徒会「セミナー」の書記、生塩 ノアは微笑むのだった___。

 


 

「___さてと、戦闘に使うものはこれで良いかしら?」

 

ドーラ師匠と別れてから、私は必要なものを買い漁っていた。

消費した弾丸に加えて、榴弾、スタンガン弾、散弾をそれぞれ1ダースずつ。

それと、チャフと手榴弾を2つずつを。

 

「…後、買うものはあったかしら」

 

独り言を呟き、スマホを取り出してバイクにしまってあるものを確認していく。

このスマホは特別性であり、アプリを開くと、バイクの四次元収納の中に何が入ってるかが一目でわかるようになっている。

なので、基本的には必要なものは纏めてバイクの中に入れ、必要に応じて買い足したり、追加したりする必要がある場合は、こうしてスマホを見て確認するようにしてるのだ。

 

そうして、眺め、確認していくうちに食料の欄に辿り着く。

 

「…あら?まだあると思ってたのだけれど…?」

 

疑問に思い、なぜ足りないのかを考え…そしてすぐに原因が判明した。

 

「あぁ…そういえばこれだけ減ってるのって、私の奴をみんなで食べ合ったからね…。あれがなかったらもっと火の車になってたから仕方がないとはいえ…ね。はぁ…買うしかないわね…」

 

そう呟いてため息を着く。

 

___2週間。

それが依頼人やムツキ達と話の内容をすれ違った結果、依頼を失敗してしまい、一応は師匠からもらった資金と少しだけ貯めてた貯金があったとはいえ、かなりギリギリな生活をすることなってしまっていた期間だ。

そして、その際、バイクに収納していた、長期の依頼用に買い漁っていたレトルト系統の食品をみんなで切り崩して食べていたのだ。

 

正直、自分の不甲斐なさが招いた事態ではある為仕方ないが、あの依頼の内容を思えばもっとやりようがあったのではないか、自分が依頼人やみんなともっとちゃんと話し合っていれば少しは変わっていたのではないか?と悔しく思ってしまう。

 

「師匠の手前だし、お金も入るから、うじうじするのはやめて切り替えた…つもりだったのだけれど…ね」

 

そう呟いて、苦笑した。

師匠と会ってからは他人基準で『ある程度』ではあるだろうが、自身のポンコツぶりを自覚していた。なのに失敗した。

師匠がいたから表に出なかっただけで、中々に前回の依頼失敗(それ)が自分にとって無意識に引きずる程度には、苦かったらしいという事に笑ってしまう。

 

多分、こうして考えても師匠にポンコツだと言われた私だ。また似た失敗を繰り返すのだろう。だが。

 

「同じ轍は踏まないように、踏んでもリカバリーが効くようにしなきゃね」

 

完全に同じ結果にはならないようにと。

 

それだけは絶対だと。

 

自分の中で決意を固め、気持ちを切り替えて歩み始める。

 

…そんな矢先だった。

 

「さてと、残り時間も少ないし、切り替えて急いで着きかけてるレトルト系を…あら?」

 

ふと、視線を上げると、その先に、大きく腹の音を出しながら、しょんぼりとしながらトボトボ歩く、狼の耳と尻尾を持った少女がいた。

 

(…どうするべきかしら。この娘……)

 

その子を見た瞬間、なんとなくだが、その子と話しておいた方が絶対にいいぞと直感が囁いているのだ。

いるのだ…が。

それはそうとして同時に関わったら面倒なことに巻き込まれるぞとも囁いた為、私は関わるべきか悩み始めることとなった。

 

私の直感は師匠により、なんとなくを当てれるようにと、かなり鍛えられている。

それこそ破滅などの危機や自身が望む結果になる決定的なタイミングに対しては人一倍感じて当ててしまえるくらいには。

故にこうしてなんとなく感じたという事はこの後自分にとって、何か危機となることが起こるということでもある。

 

(…本当にどうすべきかしら)

 

知らない振りをしても、声をかけてもどちらを選んでも貧乏くじ。自分にとって何かやばいことが起こる気しかない。

しかも最大限に直感が警鐘を鳴らしている為、何がどうなってそんなやばいことになるのかは検討もつかないが、確実に予測可能回避不可な大変な目にあってしまうのだ。

どちらを取るべきか、悩んでしまうというもの。

 

(…こういう時は…『後悔のない方へ、より楽しくいられる方へ、より楽める方へ』…ね)

 

師匠がいつも悩んでた時言っていた言葉を思い出し、どっちが自分が『後悔なく楽しくいられる』方か考えた。

 

そして、私が選んだのは。

 

「ねぇ、貴女。そんな顔してどうしたの?」

 

少女に話しかけることだった。

 

なんせ、明らかに空腹で困っているのだ。見捨てられるわけない。

それに私達便利屋68も今、食べるものに困って切り詰めている状況だ。

それなのに、知らない振りなんて私には出来る筈がなかった。

 

「お腹が減ってさ…お金もなくて…力が出ねえんだ…」

「そう…。…ねぇ、それなら良かったら私がすこしご馳走してあげましょうか……?」

「ん…いいのか…!?」

「えぇ、そんな顔してて、放っておいたら後々後悔しそうだもの」

 

正直、実際の所は奢るだけの金はない。今奢れば、ただでさえ少ない食料が尽きてしまうかもしれない。

だが、先述の通り、私には見捨てることなどできないし、そもそも見捨てたところとしても危機的状況に陥るのだ。

それなら、少しでも自分が選んで良かったと思える方を選択するべきである。

ま、まぁ、多少…多少は…?

見栄張った部分はあるのだが?

それでも、しないよりは良かった筈だ…多分。

 

「ほんとか!ありがとう!……あ、そういえば…あんたの名前、聞いてもいいか…?」

「あぁ、私?私は便利屋68の社長、陸八魔 アルよ。貴方は?」

「んあ、名前か?僕の名前は乾原(いぬいはら)ロボだ。よろしくな!アル!」

 

そう言って、少女が見せた笑顔は野生味がありながら、何処か力強さが感じさせたのだった___。




次回 陸八魔アル(の財布)死す!デュエルスタンバイ!
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