赤眼のケロマツ   作:シネマ

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うちはイタチみたいなやつに拾われるケロマツ


第一話:紅眼

 

黒い空、降り注ぐ雨。

地面には青色と赤色が散りばめられ、赤色だけ雨で流されていく。

青色はあわがえるポケモンのケロマツとゲコガシラ、しのびポケモンのゲッコウガだ。

赤色はゲッコウガ達から流れる血、無惨にも痛めつけられ切りつけられた身体から今も流れ出ている。

 

息をしているポケモンはそこにはいなかった、そこにあるのは息絶えた死体だけ。

 

突然地面が盛り上がり、1匹のケロマツが姿を現した。

地面に染み込んだ匂いを不審に思い、地上に出てきたのだろう。

 

幼いケロマツは惨状を目撃してしまった、父と母そして仲間達の死を見てしまった。

何度呼びかけても父も母も反応せず、仲の良かった兄弟分達もケロマツの声に答えない。

 

ケロマツは理解した、もう動く事はないのだと。

 

雨降る森に絶叫が響き、ケロマツは己の無力さを嘆いた。

 

その時ケロマツの眼は紅く輝き、その眼には二つの勾玉が浮かび上がった。

哀しみに暮れたケロマツは漸く自身の眼の変化に気づき、見える世界すら変わっていた事を疑問に思った。

 

その時だった。

 

ケロマツはポケモンではない人間の姿を捉えた、咄嗟に跳び距離を離す。

その様子を見たのか人間は姿を現し、ケロマツの前に現れた。

 

「……安心しろ、俺は敵では無い。安心してくれ」

 

「ケロ……ッ」

 

「…無理もない、俺が誰かも分からないのだから。だからこそこの眼を見せよう」

 

男はそう言うと男の眼が変化した、ケロマツと同じ紅い眼だった。

状況が読み込めないケロマツは動揺し、どういうことだと男を見る。

 

「今からキミに幻術、夢の様なものを見せる。俺がどんな人間か今までどう生きてきたかを理解出来るはずだ」

 

「ケロ……??」

 

瞬間、男の眼が紅く光り場を支配する。

ケロマツは気づくと1つの家にいた、辺りを見渡すと2人の大人の人間と1人の青年がそこにいる。

 

「俺の両親と過去の俺だ、そして両親との最後の時でもある」

 

「……?」

 

『……私達の事を始末しに来たのだな、トマ』

 

『……はい』

 

『分かっているわ、何故その道を選んだのかを』

 

『お前には辛い事をさせてしまったな』

 

『私達は覚悟は出来ています』

 

「ケロケロ」

 

「あぁ、過去の俺はこれから両親を殺す」

 

「ケロ!?」

 

「……その答えは後でわかる、今は見ていてくれ」

 

『父さん、母さん……』

 

『……トマ、うちはを頼む』

 

『貴方は最後の生き残りとして』

 

『愚かな選択をした我々の首を取って生きるんだ』

 

『…………はい』

 

過去のトマは涙を流しながら、両親の首を斬った。

ケロマツは目を逸らしたが、逸らした先に数々の人間が地に伏せているのが目に入った。

 

「そうだ、俺は俺の一族や家族を殺した。他の人間を殺し、世に台頭しようと企んだ悪人だったからだ」

 

「……ケロ?」

 

「分かりやすく言えば、悪い事をしようとしていた一族を止める為に殺したんだ。言葉だけではもう止めようがなかったからだった……しかし」

 

『……始末し終えた様だな、トマ』

 

『……ダングウ様』

 

『これでクーデターは無くなった、御苦労』

 

『……』

 

「こうして俺は一族を殺し、1つの国を救った……その筈だった」

 

「ケロ?」

 

「この事から暫くして、俺は新たな真実を知った。」

 

『これは……どういう事だ……!?』

 

「一族はクーデターの火種はあったものの、決定打となり得た要因は他にあった。それはシムラダングウによる幻術、それもこの眼である写輪眼の幻術だった」

 

「!?」

 

「だがうちはではないダングウが何故写輪眼を持っていたのか、それは俺の親友だったシュウスイの眼をダングウが持っていたからだ」

 

『暗殺されたシュウスイの遺体を暗部が埋葬した、ここで俺が動いていれば……!』

 

『俺は、俺は!!家族を手に掛けずに済んだというのに!!』

 

「……!」

 

「写輪眼にはそれぞれの瞳術を持つ、シュウスイの瞳術[別天神]は幻術に掛けられた事をも気づかせずに操る事が出来るというものだ。ダングウはそれを利用し、俺以外の一族を集め幻術をかけた」

 

「ケロ」

 

「そうだ、一族と俺を騙し写輪眼を回収するのと同時に……厄介な一族を排除するのがダングウの目的だった」

 

「ケロケロ?」

 

「何故そうしなければならなかったのか、奴はポケモンではなく軍事力を以て世界を支配するつもりだからだ」

 

トマは語る、世界には様々な人間がいるが例外を除けば俺達の一族はポケモンに頼らずに闘える人間だと。

そうなれば真っ先に排除するのが理というもの、抵抗するという間をも与えずに滅ぼされてしまった。

 

「奴は今も水面下で戦力を蓄えている、今も捜索はしているが尻尾を掴めていない」

 

「ケロ」

 

「君の家族達を襲ったのも、ダングウの手先だった。条件が揃っている群れは恐らく君達だけだった」

 

「ケロ?」

 

「……俺と君が持っている眼、写輪眼は強い感情によって発現する。例えば家族を失った悲しみとかな」

「!」

 

「ゲッコウガはにんじゃポケモン、古い文献には過去に写輪眼を発現した個体がいると載っている。だからこそ奴等は群れている珍しいゲッコウガ達を襲ったのだろう」

 

幻術世界から現実に戻ってきた二人、トマはケロマツに向き直ると目線を合わせて問いかけた。

君には二つの選択肢がある、人の前には現れずひっそりと生きていくか……

 

「それとも、俺と共に行動し家族の仇を取るか……どちらがいい?」

 

「……」

 

「考えてみてほしい、だがその前に君の家族達を弔ってあげよう。安らかな眠りとなる様に」

 

「ケロ」

 

 





イタチ→別名のトマ
シスイ→秋水でシュウスイ
ダンゾウ→もじっただけ
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