ラブライブ! 鉄道ファンとスクールアイドルとなかまたち since 2024   作:松浦南北

39 / 119
前回に続いて部会ネタ。今回は小川有佐目線での展開を予定。


伝説の撮り鉄「豊川陽向」の正体と部への昇格検討

ビン「しかし……この豊川陽向様って誰なんだろう……?」

 

2024年9月5日のこと。私が部室に入ると、ビンが1人で機関誌らしきものを読んでいた。よく見ると誌名は『KAMIη Rail(カミイータレイル) vol. 14』で、出版元は「上板橋中学校・高等学校鉄道研究部」と書かれている。上板橋はビンが前年度まで通っていた男子校の中学校だ。

 

私「ビン早いね」

 

ビン「有佐もだろ?」

 

私「まあ、ホームルーム一発で終わったからね」

 

ビン「クラスのみんながふざけねえってやっぱいいな」

 

私「でしょ?」

 

2人でホームルームがあっさり終わったことを笑い飛ばす。

 

私「ところで、この『KAMIη Rail』って前の学校の機関誌?」

 

ビン「ああ。しかもこのvol. 14は2002年発行なんだ。次の年に鉄道研究部は一度廃部になって、今の鉄研が復活するまでの十数年間この機関誌の刊行が途絶えたんだってさ」

 

私「そうなるとビンは機関誌の記事書いたことあるの?」

 

ビン「ああ、1年と2年の頃は書いたぞ。2022年のvol. 19と2023年のvol. 20に載っているからまた買ってくれよな」

 

私「うん。どこで売ってるの?」

 

ビン「メ●ン●ックスさんに委託してるぜ」

 

私「ありがとう。また買うね」

 

ビン「こっちこそ!!買うって言ってくれてうれしいよ」

 

そしてまた笑い飛ばしてから、次の話題に入る。

 

ビン「ところで有佐」

 

私「どうしたのビン?」

 

ビン「上板橋にいた豊川陽向様って聞いたことあるか?」

 

私「初めて聞いたよ」

 

ビン「この機関誌の記事の過半数を書いた人なんだが、ついでに掲載されている写真や絵画がものすごく上手なんだよ」

 

私はビンの読んでいる機関誌を覗いた。

 

私「すごい……私でもこんな写真撮れないし、絵も描けないよ……」

 

ビン「だろ?今どうしているのかなって気にならねえか?」

 

私「うん……」

 

豊川陽向さんという名前の人……私も気になるね。

 

〜※〜

 

それからしばらくしてみんなが入ってくるが……

 

 

 

カレン「上板橋の豊川陽向?初めて聞いたわね……」

 

カナエ「ピアノ系のYouTuberで豊川ひなたなら聞いたことはあるけどその人男でしょ?違うよね……」

 

モリー「豊川陽向様に関しては流石に知らなかったです……」

 

 

 

さあや「私もピアノ奏者なら聞いたことあるよ。上板橋の人としては知らないけど……」

 

梨海「私はその名前初めて聞いたね」

 

万里「俺もその誌面でしか目にしたことないぞ。上板橋の鉄研が2003年に一度廃部になった話は聞いたけどな」

 

渉「そんなすごい人いるんだ……」

 

 

 

舞子「豊川陽向さん……?聞き慣れない名前だね……」

 

ドロシー「私も聞いたことないよ……」

 

陽和「でも相当惹かれるくらい写真や絵の才能があるのに有名じゃないなんて異常だね……」

 

 

 

残念ながら、誰からも手がかりを得ることはまだできていない。ただ、この時点で留学中のおたえとせりなを除いても、シオン、比奈、郷、沙奈、鈴乃以外は部室にいた。

 

すずか「比奈や鈴乃たちが遅いですね……」

 

イオ「おそらく修学旅行の事前指導で学年集会やっている気がしマス」

 

陽凪「でもすぐ終わると思うよ」

 

そうなると下手をしたら、この5人が鍵を握っている可能性もある。一度話すことにしよう。

 

〜※〜

 

しばらくして、学年集会が終わった5人がやってきた。

 

比奈「修学旅行、皆さん手際よく準備できて良かったですね」

 

シオン「でも愛さんが泣いていたのは気になったよ……」

 

鈴乃「仕方ないわよ。学科ごとに行き先異なるもの……」

 

沙奈「でも侑ちゃんと歩夢ちゃんはいつも通りだったわね」

 

郷「うん、なんというか引っ付き過ぎだったね」

 

やっぱり修学旅行関係だったんだね。

 

比奈「さて、お待たせ致しました…って何か盛り上がっていた気が致しますが……」

 

ビン「聞いてよ比奈。俺が持ち込んで読んでた上板橋の古い機関誌読んでて、ここに載っている豊川陽向様って誰なのかなって話になったんだよ。比奈やシオンは知ってるか?」

 

すると、シオンの口から衝撃の話を聞かされた。

 

シオン「知っているも何も、僕が紛れもない当事者です」

 

全員「ええっ!?」

 

シオン「言っても皆さんに信じていただけないのかもしれないのですが、僕の前世でした……」

 

比奈「私と郷も聞きました。そして当校の侑と歩夢も同時に盗み聞きしていました。それまで全然覚えていないようでしたが、そのことを思い出す直前は、ものすごい頭痛に悩まされていましたよ」

 

さあや「本当に前世の記憶があるんだね。私は信じるよ」

 

シオン「うん……僕も思い出せたのはびっくりしたんだけど」

 

私「私、もっとシオンの前世の話聞きたい!!」

 

陽凪「陽凪も!!」

 

比奈「それなら、部会でまずこの話題について扱いましょう。私も豊川陽向さんとしての前世についてはもっと知りたいです。それでは部会を始めます」

 

全員「よろしくお願いします!!」

 

そのまま部会に突入した。

 

比奈「まずシオン、豊川陽向さんの詳細について教えていただけませんか?」

 

シオン「はい。前世は男で、1986年の5月25日に、東京都の新宿区で生まれました」

 

私「昭和生まれだったんだ」

 

シオン「それでも国鉄の時代は物心がついていないからね……」

 

郷「あらま……」

 

カレン「それで、続きをもっと知りたいわ」

 

シオン「それなら話すよ……コホン。前世でも僕は物心がついたときから電車を見たり、電車に乗ったりすることが大好きだったんだ。一番大好きだったのは山手線の205系と小田急2600形だね」

 

陽和「山手線に205系……そんな時代があったんだ……」

 

比奈「舞子以外は生まれる前でしたからね……あと小田急2600形もあの由美が物心つく前に引退しましたから……」

 

シオン「続き行くね。……さて、前世では鉄道好きな幼馴染がいなくて、中学の頃から上板橋に通っていた」

 

万里「…ということは、実質俺とビンはシオンの大後輩だったの!?」

 

シオン「そういうことになるね……さあ、じゃあ続き話します。えーっと……入学後は鉄道研究部に入り、機関誌KAMIη Railの執筆も始めて、vol.11からvol.14まで寄稿した。ただ……」

 

全員「ただ?」

 

シオン「vol.14の発行直後から、僕以外に当時いた5人の部員が3月までに相次いで辞めてしまうの。理由は全員同じで、ヤンデレな女の子が鉄オタをやめるように迫ってきたためだってさ。でも絵や写真、音楽の才能が認められて部活自体は存続になったんだ」

 

郷「デビュー当初のシオンもそうだったじゃん」

 

シオン「まあね……。そしてだ。続き行きます。僕も全員が退部した直後からヤンデレな池袋のオタク女子12人に迫られたけど、鉄オタを辞める気はなかった。それでも2003年6月14日、雨の日の中で撮り鉄中に、ヤンデレ12人に追われて東上線の電車に跳ねられて……僕は亡くなったんだ……」

 

すずか「ちょっとシオン泣かせないでくださいよ……」ポロポロ

 

シオン「僕が前世で死んだ日の話、聞きたい?」

 

イオ「聞かせてクダサイ……お願いしマス……」ポロポロ

 

シオン「わかりました。じゃあ話すね……」ウルウル

 

既にシオンの目からも涙が溢れていたけど、聞くことにしよう。

 

【回想】

あの日、僕は上板橋駅付近にいた。

 

陽向「こんな雨降りな夜でもいい写真撮れるといいな……」

 

この日はカメラと傘を持って、雨の降る夜に撮り鉄に出向いていたんだ。

 

陽向「うん、いい写真が撮れた」

 

よくこの辺りで8000系や10000系を撮ることが多かったんだよね。

 

そんな時に悲劇が起きたのは一瞬だった。

 

??「陽向くんまた電車に浮気するの……?」

 

陽向「うわ、またあの女子たちだ!!」

 

女子3人がやってきたから、カメラをその場において女子3人から逃げることにした。

 

陽向「逃げろーーー!!」

 

女子たち「逃さなーい!!」

 

それから女子が9人に増え、僕が踏切に突入すると、遮断器が降りてしまった。

 

そして踏切の対岸にも……

 

女子たち(対岸)「陽向くん……逃さないわよ……」

 

陽向「なんでええええ!?」

 

同じように女子たち3人が刃物や手錠を持ってこちらを睨んでいた。

 

もう逃げることもできず、諦めるしかない。そう思ったその時……

 

陽向「ひゃあっ!!」

 

川越方面から8000系10両編成がやってきた。ここは避けられたけど……

 

池袋方面からも警笛が鳴り……

 

陽向「うわあああああっ!!」

 

 

ドーン!!

そちらからの8000系10両編成にぶつかり……

 

僕はそのまま、息を引き取ったんだ……。

 

【回想終了】

私「シオン何泣かせるのさ!?」ポロポロ

 

シオン「でも、いつかはみんなに話さないといけないなって思ってたから……」ポロポロ

 

ビン「それで、前世から去ったあとはどうなったんだよ?」ウルウル

 

シオン「女神様が現れて、女の子として転生する約束をした直後に、気づいたら暗くて温かい空間にいたの。それから柔らかい壁に張り付いて、また手足が動かせるようになって、楽しいアニメや地下鉄の音をたくさん聞いて、2007年8月16日にお母様のお腹から出てきて産声をあげて、この世に戻ってきたってわけ」

 

梨海「そこまで覚えていると感心しちゃうよ……」

 

郷「幼馴染だけど、お腹の中にいた頃の記憶は初めて聞いたね」

 

万里「ということは、陽向先輩が亡くなってすぐ上板橋の鉄研が一度廃部になったってことだな?」

 

シオン「そういうことみたい……」

 

万里「でもシオン、やっぱりシオンが生まれてきてくれて本当に良かった」

 

全員「えっ?」

 

万里「俺とシオンはお母さんのお腹の中にいた頃からの付き合いで、『あかいの』『あおいの』とか『3160』とかシオンが喜んでいたの、お母さんのお腹の中でもよくわかったぜ」

 

ビン「万里まで胎内記憶持っていたのか……」

 

万里「まあね。やっぱりシオンがいてくれたから、今の鉄オタの俺がいるって身を以て知ったよ……ほんと、ありがとう」

 

シオン「どういたしまして」

 

私「それと、ピアノチャンネルで度々『豊川ひなた』を名乗っているけどあれは……?」

 

シオン「あれは偶然……というより、何となく思い出す前から候補にあったから、そのまま使っていいかなって思っただけ」

 

私「あー……理解」

 

シオン「……と、まあこれで前世の話はおしまい。ご清聴ありがとうございました」

 

みんなで拍手を送る。私もシオンの前世の話は聞けて良かった。

 

比奈「ところで、今の話から万里がお母様のお腹の中での記憶を持っていたことが判明しましたが、他に生まれる前の記憶があるよという方は挙手をお願い致します」

 

すると鈴乃、すずか、陽凪が手を挙げた。

 

比奈「これでは今週の部会では話しきれそうにないので来週に回し、別の議題に移りましょう」

 

まあ、次週に聞ければそれでよしとしよう。

 

比奈「次の議題は、本部活の鉄道研究部への昇格の是非についてです」

 

私「えっ……何かあったの?」

 

比奈「はい。夏休み中の国際鉄道模型コンベンションと夏合宿、そして修学旅行復活へのデータ提供により、理事会から部への昇格を提案されたのです」

 

さあや「でも、部にすることで何かメリットがあるの?」

 

比奈「生徒会活動費から予算が降りることです。現在、財源は部費を年間1人1万円で賄っていますが、実は生徒会の財源からの支給は、ここの同好会はゼロです。そこで、徴収する部費を減らす代わりに部に昇格することを提案されました」

 

梨海「それで、比奈ちゃんは部への昇格に賛成派なの?」

 

比奈「大いに賛成です。ものは試しで一度昇格して、ダメなら即降格という考えです」

 

渉「じゃあ一度、反対派がいないか確認しようよ」

 

比奈「そうですね。断固反対派の方は挙手をお願い致します」

 

誰も手を挙げなかった。

 

比奈「条件によっては反対派の方は挙手をお願い致します」

 

するとシオンだけが手を挙げた。

 

比奈「どこがいけませんでしたか?」

 

シオン「僕的には、直ちに昇格にはしないほうがよろしいと思います。時期としては修学旅行が終わってから、10月1日から、せりなとおたえが帰国してからのいずれかが望ましいでしょう。何らかの行事が終わる前にそういうのがあると色々騒ぎになる他、月替わりで昇格にしたほうが部費徴収の方もあまり問題にならない気がしました」

 

比奈「そうなると10月1日からにしましょうか。帰国時にせりなとおたえをびっくりさせるのも何となく悪くはないと思いませんか?」

 

シオン「それもありだね」

 

イオ「せりなとおたえ、帰ってきたときの反応がすごく気になりマス!!」

 

さあや「でしょ?」

 

比奈「10月1日からに反対意見はございませんね?」

 

全員で頷く。

 

比奈「そういうわけなので、他に言いたいことがある人は……」

 

するとさあやが手を挙げる。

 

比奈「はい、さあや」

 

さあや「今回の課題試験、おそらくみんな返ってきたと思うけど……」

 

カナエ「あ、ヤバい……」

 

比奈「一度部会を終えてから確認いたしましょう」

 

さあや「そうだね」

 

おたえがいない間、学習委員長代役はさあやが務めている。

 

比奈「それでは部会としてはお開き。お疲れ様でした〜」

 

こうして部会としてはお開きとなったが……

 

さあや「はいじゃあ聞くよ。赤点があったよって人!!」

 

今回手を挙げたのは、カナエとイオだけだった。

 

さあや「カナエちゃんとイオちゃん、勉強会確定だね」

 

コンコンコン

 

??「失礼します」

 

比奈「どうぞ」

 

そう言うと生徒会長が入ってきた。

 

私「てか生徒会長いつからいたんですか?」

 

菜々「鳳来寺さんの前世の一部始終を聞かせていただいたところからです。彼女が壮絶な過去の持ち主であることは初めて知りました……」ウルウル

 

シオン「会長泣いちゃダメですよ……」

 

菜々「失礼しました。ところで音楽科3年の広田カナエさんと、国際交流学科1年のイオさんが赤点だったようですが……」

 

さあや「はい」

 

菜々「それならお2人は今日明日と勉強会確定ですね」

 

イオ「はい……」

 

カナエ「……って、明日映画見に行けない!?」

 

菜々「えいがさきは当日でなくてもよろしいと思います。あと中野さん、浮気になるといけないため赤点回避とはいえ否応なしに勉強会に参加していただきます。ついでにえいがさきの鑑賞は、浮気対策を理由として、中野さんのみ私とだけで行うように」

 

郷「ちょっと会長それは職権乱用ですよ!?」

 

菜々「何か文句があるのですか?」ゴゴゴッ

 

郷「ひっ……」

 

まあ、イオとカナエは止むを得ないが、郷は理不尽でしかない。

 

菜々「そういうわけなので鈴木さん、連れていきましょう」

 

さあや「はい。それじゃあ3人とも行くよー」

 

イオ・郷・カナエ「いやあああああああああ!!」

 

こうして3人が連れ出されて以降は流れ解散となった。まあでも、シオンの前世は知れて良かったね。それと部への昇格も、やっぱり楽しみだ。




次回は西園寺様パロディでせつ菜ちゃん見たら即帰宅の旅行とします。

当初は他の人の前世もここで取り上げる予定でしたが、次回の部会に回します。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。