ラブライブ! 鉄道ファンとスクールアイドルとなかまたち since 2024 作:松浦南北
俺「うーん……シオンは長崎か……うん。癒されておいで」
2025年3月8日、俺はたまり場アプリのパラレルを開き、シオンと郷、おたえとの4人部屋に投稿された写真を眺めながら家で寝転がっていた。そして、スクールアイドルグランプリと比奈関係の傷を癒やして欲しい旨を伝えた直後のこと。
♪ピンポーン
呼び鈴が鳴った。今日うちの両親は俺を置いて台湾まで1泊2日のバカンスに行ってるからなぁ……。誰だろう?
ガチャ
さくら「やっほ♪」
俺「さくらちゃん!?」
結ヶ丘女子高等学校普通科1年、鉄道同好会メンバーの赤石さくらちゃん。結構大きな荷物を持っている。
さくら「なんかさ、万里くんとかのんちゃんの3人で一緒にお出かけしたいなって」
俺「どこ行くの?」
さくら「長崎。かのんちゃん、スクールアイドルグランプリと修学旅行の下見で行き損ねた分を補いたいのと、私も乗りたい電車があるんだ」
俺「あー……」
まあ、Liella!はスクールアイドルグランプリの行き先が長崎で、結ヶ丘の修学旅行の下見も兼ねていたね。でも、後でその下見の旅程をすみれちゃんから送ってもらったけど、あれを見たら少し物足りない分もあったわな。
だがその時、ふとひらめいた。
さくら「……なんか、スクールアイドルグランプリって言ってごめん」
俺「いや、いい。俺も一緒ついて行くよ」
さくら「どうして?」
俺「長崎旅行している幼馴染にドッキリ仕掛けようかなって」
さくら「シオン先輩かな?」
俺「当たり。でもいいか、虹ヶ咲学園のスクールアイドル同好会のメンバーには絶対に口外しちゃダメだぞ」
さくら「どうして?」
俺「アイツもスクールアイドルグランプリと、それからこの前校内で起きた大事件によるショックで鉄研部会参加しなかったし、何よりスクールアイドル同好会に八つ当たりドッキリ仕掛けてるから」
さくら「わかった」
俺「とりあえず荷物まとめるから待っててもらえないか?」
さくら「もちろん♪」
そして旅行の荷物をまとめ、鍵を閉めて家を出た。
今回のルートは長崎まで新幹線のぞみ、特急かささぎと普通列車を乗り継ぎ、2日目に西九州新幹線とふたつ星4047に乗りハウステンボスまで出て最後は飛行機で帰ってくる、というものだ。うん、さくらが増刷した旅のしおりの時間を見ても、確実にシオンのドッキリの時間帯と被る。原宿駅到着前後でふたつ星4047の予約を終え、乗車券・特急券も購入した。
俺「そういえばさくらの乗りたい列車って?」
さくら「特急かささぎとふたつ星4047だね」
俺「理解」
確認完了。謎は解けた。
〜※〜
原宿駅にて。切符購入後の時点で10時30分だった。
さくら「お待たせ」
かのん「万里も一緒だけど」
俺「ちょうど俺も長崎に用事ができたから、行こうかなって」
かのん「きっぷはどうするの?」
俺「さっき買ってきた」
さくら「それにスカートタイプの私服の万里くん、かわいいよ♪」
俺「恥ずかしいからやめてよそれは……」
実は女物の私服で友人と遠出するのは鉄研公式行事を除き虹ヶ咲学園進学以降だとこれが初めてで、年越しの北海道方面の家族旅行以来2回目。制服でスカート慣れしているからそこそこ慣れてはきたが、友人からの可愛い慣れはしていないんだよなぁ……。
というわけで、山手線に乗り、11:04に品川に到着した。カツサンドだけ購入し、新幹線に乗っていこう。
乗ったのは11:19発、のぞみ27号。ここから5時間近くの長旅が始まる。当然、3列シートだ。
車内ではカツサンドを食べ、大量に買い足したペットボトルの安物緑茶を飲みまくる。
食べ終わってしばらく経ってからのこと。
さくら「そういえばなんだけど万里くん……」
俺「ん?」
さくら「もし、万里くんのスカートを見たいって言ったらどうする?」
俺「俺的にはいいけど、かのんがダメって言うかなんだよな……」
さくら「寝てるからいいと思うよ」
そう。かのんはなぜか知らないが寝てしまっていた。
俺「うーん……じゃあお言葉に甘えて、盗撮するような形でお願い」
するとさくらはスマホを俺のスカートの裾に近づけて数枚程度撮影していた。まあ、今日の俺のスカートの中身は水色の縞々だ。
俺「満足したかな?」
さくら「もちろん」
そしてその間はシオンの新チャンネル「米沢ますき」に「若松ちゆ」として浮上してみる。前チャンネルはテスト明け後、即座に消されたからね。
〜※〜
そんなこんなで博多に到着。ここから先、駅弁を買うチャンスはもうないと思われるため、例の黒豚めんたい弁当か、豊後牛博多めんたい弁当を買った。
かのん「どこでこの駅弁食べてく?」
俺「江北駅からの普通列車にしよう」
さくら「そうだね」
というわけで次に特急かささぎ107号に乗り、16時34分定刻通りに発車した。車両は787系8両。
かのん「そういえばさくらちゃん」
さくら「どうしたのかのんちゃん?」
かのん「新幹線の車内で、万里に何かしなかった?」
俺「スカートの中見たり撮ったりは俺許可したけど」
かのん「さくらちゃん、ゆっくりお話しようか。万里は好きにしていていいよ」
さくら「そんなぁ……」
その後、17時26分の江北駅到着までかのんからさくらちゃんへの尋問は続いた。
そして、肥前鹿島方面に去っていくかささぎは見送ろう。それでも俺たちあの方面向かっていくんだもんな。
さくら「万里くんのスカートの中消されました……」
俺「さくらちゃんだからいいけどね」
かのん「万里だって、勝手にそうやってデリカシーのないこと許可しちゃダメだよ?めっ、だからね?」
俺「はい、ごめんなさい……」
さっきのことはかのんにも釘刺されました。
その後、17時41分に乗る予定の諫早行きディーゼルが入線してきた。青いキハ47の2両編成。
もうすでに日もとっぷり暮れそうな中で、17時48分の発車後、駅弁を開けて、とにかく食べる。明太子の辛味と黒豚のうまみがやっぱりたまんねえよな。
さて、車内にはコマツのSA6D125系エンジンが響き渡る。肥前浜を過ぎると非電化区間に入り、小長井まで来るともう真っ暗だ。
その間に駅弁はごちそうさまでした。
俺「そういえば、ビンは今年長崎からスタートしたし、穂隆も今年長崎来るんだよな」
かのん「穂隆って?」
俺「うちの男子の同級生。情報処理学科で、桑名出身。バスケ部からこの前鉄研に移籍してきたんだ。でも修学旅行サボりたいって言い始めてて……だから今回ので長崎楽しいよって伝えたいなって思う」
かのん「……穂隆くんかぁ、また会いに行っていい?」
俺「いいよー」
さくら「ありがとう」
よし、決めた。事と次第によってはふたつ星4047のチケットをシオンに譲ろう。その場合、俺は長崎観光を少ししてからハウステンボスに向かう。
そして19時11分に諫早に到着後、直ちに7分後発車の長崎行きYC1系に乗り換えた。
さくら「無座席はやっぱりよくないね」
かのん「でしょ?」
座席のないトイレ前が特徴だが、今回は流石に座ることができた。
さくら「しかし……」
かのん「どうしたの?」
さくら「なんかさ、別の世界での私って『それ関連の嫌いなものが1つでもあったらその分野のファンだと認めない』って最悪のキャラになってるっぽいの。例えば私鉄嫌いなら鉄道ファンじゃないって感じで」
俺「あー……ここでのさくらちゃんはそんなこと思っていないよね?」
さくら「もちろん。なんか、読んでるだけでこんなことできないよぉっていつも思うし……」
かのん「うわ……」
かのんも引くって、やっぱりこっちの世界線で良かったな。
そして19時53分、長崎駅に到着した。辺りはもう真っ暗。シオンにはお台場で食べたラーメンの写真をLINEで送っておく。
するとシオンはパラレルの4人部屋の方に新地中華街の美味しそうなちゃんぽんの写真を送ってくれた。うん、アイツは新地中華街にいる。路面電車で向かおう。
車内にて。
さくら「そういえば万里くん」
俺「どうしたのさくらちゃん?」
さくら「ちゃん付けやめてほしいな」
俺「どうして?」
さくら「呼び捨てにされてるかのんちゃんが羨ましいからね」
俺「わかったよさくら……かのんはいいの?」
かのん「むしろそうした方が良いくらいだと思う」
俺「参ったな……」
こういうときにしれっと呼び捨て強要することって、何かと多いよな。
乗ること数分、新地中華街に到着。そのまま歩いて中華街に向かうと、シオンを見つけた。走って声をかけてみよう。いったんさくらとかのんには待機してもらって、視聴者の振りでもして……
トントン
俺「鳳来寺さん?」
シオン「うわあああっ!?万里!?」
俺「バレたか……」
はい、一瞬でシオンにバレました。
シオン「それで、なんで万里がいるの?」
俺「神領さくらがかのんと俺と一緒に長崎にお出かけしたいって言ってて、そのついでにふとひらめいて電車で1300kmシオンを追いかけてサプライズで声かけてみようかなって」
シオン「はっきり言うね」
俺「ん?」
シオン「マジでさぁ、お前きっしょ」
いただきました!!
俺「言うと思ったわ」
シオン「うん。まさかいきなり昨日の段階で心ズタボロな僕のもとに追ってくるって思わなかったもん。でも万里だったからすごく嬉しかったけどね」
俺「ん?なんて言ったの?」
シオン「うるさいよもう!!」
俺「お騒がせしました……」
シオン「いいけど……そういえばあのラーメンってお台場巡ってきたってアリバイかな?」
俺「うん」
シオン「あとなんで一発で僕のことわかったの?」
俺「だって、この長崎にだぞ?虹ヶ咲学園の制服姿で歩いてる、黒髪ポニーテールに緑のグラデーション、青眼鏡、黄色いスカーフって言ったらこの世に1人だけ。お前しかおらんだろ」
シオン「完全にやられたね。去年のせりなと同じだ……」
俺「あらま」
こうして俺の突発的なドッキリは大成功した。するとかのんとさくらもやってきた。
かのん「シオンと万里、会えてよかったね」
俺「まあね」
シオン「かのんもさくらちゃんもこんばんは」
さくら「こんばんはシオン先輩」
かのん「それで、朝万里から聞いたんだけど、虹ヶ咲のスクールアイドル同好会にドッキリ仕掛けてるんだって?」
シオン「うん。なんかこのまま何も鉄活とか旅とかしないと心が荒んで僕が自殺に至るかもってことで、半年ぶりに侑やぽむちゃんにドッキリ仕掛けるノリで旅に出ちゃおうって思ったの」
かのん「じゃあ侑ちゃんたちには内緒にするから約束があるの」
シオン「ん?」
かのん「それは、自殺しないこと。するって言ったら……本当に縛ってボコボコに殴りたくなっちゃうからさ……」ウルウル
シオン「ごめんなさい……」
かのん「うん。それが大事だよ」
うん、シオンに自殺されたら真面目にうちの鉄研まで終わるからな。
シオン「そういえばまだ眼鏡橋行けていないや」
俺「行こか。ここで話すのもあれだし、俺シオンにちょっと提案したいことがあるからさ」
3人「やったぁ!!」
こうして4人で眼鏡橋まで歩いて向かうことになった。俺たちの長崎遠征はまだまだ続く……。
次回に続きます。次回は完全な西園寺様ドッキリです。