DMC対トゲナシトゲアリ   作:ヘッズ

5 / 10
第5話 ちいさなほのお

 ライブハウスserbian night、オーナーである林がメジャーよりマイナーバンドを好んでいることもあり規模は小さい。

 そしてトゲアリトゲナシが3人体制の新川崎(仮)として2回目のライブに参加した場所でもある。後にメジャーになったダイヤモンドダストなどが何度もライブに参加したなど、業界ではそれなりに有名でメジャーデビューを目指すバンドがここを登竜門がわりとライブに参加して演奏していた。

 今日のライブも夢見るバンドマンが参加する。その出演者のなかにトゲナシトゲアリの名前が記されていた。

 

「今日は無理言って参加させてもらってありがとうございます」

「いやこっちが礼を言いたいぐらいだよ。トゲトゲ目当てでお客さんが来るから、チケットは完売だよ」

 

 桃香の言葉に糸目の中年男性の林は明朗に答える。トゲナシトゲアリはマイナーメジャーの立ち位置に属し、それなりの固定ファンがついておりチケットノルマを課さなくても問題ない。いずれはレコード会社と契約して羽ばたくのだろうという長年の経験で予想していた。

 

「本当に良かったの?」

 

 林は声のトーンを落としながら壁に貼っているポスターを見る。そこにはトゲナシトゲアリが参加するはずだったフェスのポスターが張っていた。ポスターにはトゲナシトゲアリがフェス参加を辞退する前だったので名前が記されている。

 

「ええ」

「それでフェスを蹴ってDMCと対バンか」

 

 林の言葉には肯定的な意味は含まれていない。デスメタルバンドDMC、ライブハウスのオーナーを営むほどに音楽好きでデスメタルも多少なり知っている。

 デスメタル界の頂点、その曲や数々のリアルレジェンドも知っているが、知り合いのライブハウスが燃やされ、乱闘会場になって被害が出たなどライブには絶対に呼ばず来て欲しくもないバンドである。

 そして来週末に行われるDMCとのライブのポスターを見たことがあるが酷かった。トゲナシの名前は注意深く見なければ見つからない程小さく。見た者の大半はDMCの単独ライブだと思うはずだ。

 それに会場もDMCが定期的に使用している会場でファンの規模からして争奪戦になるだろう。その争奪戦にトゲナシトゲアリのファンが参加できる余地はない。会場は全てDMCファンで埋め尽くされる。

 会場には誰もファンが居ない。フェスやライブでも大半が他のバンドのファンいう状況はあるが彼らは音楽好きであり、良い演奏をしてくれれば応援し歓声を送ってくれる。

 しかし話を聞く限りDMCの対バンは普通の対バンではなく、文字通りバンド同士で対戦する。唯でさえデスメタルとロックでは類似点が少なく、どんなに良い演奏をしてもDMCファンが敵に声援を送ることは無い。まさに完全な敵地、こんな場所で演奏するバンドはそうそういない。

 DMCとの対バンでトゲナシトゲアリが得る物は何一つない。これだったらフェスに参加した方が何倍も得る物があり先に繋がる。完全に選択を間違った。

 

「まあ、頑張ってね」

 

 林は社交辞令で励ましの言葉を送る。すると仁菜が睨みつけながら小指を立てている。その妙な迫力に若干気圧されていた。

 

 ライブ前の出演者控室、今日参加するバンドのメンバーが打合せや出番前の緊張を解こうと雑談している。そのバンドの中で半分ぐらいがトゲナシトゲアリのメンバーをチラチラと見る。

 クラウザーの路上ライブ乱入事件の様子はSNSで拡散される。その結果トゲナシトゲアリのSNSのフォロワーは減り、誹謗中傷が含まれたリプなどが送られ、悪い意味で名を上げていた。

 

「あの人完全に憐れんでましたよね」

「ドナドナの子牛みたい」

「すばるちゃん!」

「仁菜さんなら暴れまわって荷馬車から脱走しそうですね」

「そのまま小指立てながら、牧場主を襲い掛かりそうだ」

「牛に小指はないから」

 

 仁菜の怒りをすばるが茶化し、ルパが悪乗りし、桃香がドナドナのメロディーを奏でながらケラケラと笑い、智が替え歌にツッコみを入れる。

 周囲の視線をよそに5人はリラックスしながらいつも通りの雑談を交わす。自分達は市場に売られる子牛、先の醜態やDMCの評判を考えればある意味妥当であるが受け入れているわけではない。仁菜は周りに小指をたて、他の4人も心の中で小指を立てる。

 

 対バンが決まってから5人はDMCに勝つ為にひたすら練習し対策を立てた。定期的に行っていた路上ライブもせず、SNSの更新すらしなくなる。

 暫くして桃香が本番前にライブしておいたほうがいいと提案し、交流がある林に打診しライブに参加した。そしてライブへの参加告知が久しぶりのSNS更新になった。

 時間が経ちライブが始まる。あるバンドは緊張した面持ちで控室を出て、ある者は笑みを見せながら出ていく。そんな姿を見ながら5人はライブに向けて集中力を高めていく。

 この約2カ月対バンで爪痕を残すために、DMCに負けないために只管爪を研いできた。今日のライブで圧倒的な存在感を見せて、他のファンを全て掻っ攫う。それぐらい出来なければ圧倒的なアウェーでDMCに対抗できない。

 トゲナシトゲアリは薄暗いホール内の壇上に上がる。会場に残っている人はトゲナシのファンが3割、あとは悪い意味でトゲナシを知り一度見て見ようと思っている者であった。

 

「皆さんこんばんは、世間からはドナドナの子牛と思われているトゲアリトゲナシです」

 

 会場が明るくなり仁菜のMCが始まる。思わぬ自虐ネタにメンバーは吹き出し、その意味を理解したトゲナシのファンが笑い、それなりに釣られて他の者も笑う。場は和やかな雰囲気に包まれる。

 

「その通りだ、メス牛共!」

 

 その空気をぶち壊すように後ろから怒声が飛び、皆は一斉に後ろを振り向く。そこには黒髪ロングで額に殺の文字を刻んだシャツにネクタイの男とスキンヘッドに右目周りにタトゥーを入れた革ジャンの男がおり、黒髪ロングはギター、スキンヘッドはベースを持っていた。

 2人は一直線に進み壇上に上がる。ミュージシャンの演奏を邪魔するなんて音楽ファンとしてトゲナシファンとして許せないと止めようとするが、2人から醸し出される危険な雰囲気が躊躇させた。

 

「DMCが手を煩わす必要もねえ。俺達程度で充分だ!殺害してやる」

「いいぞやっちまえ」

「ゴートゥーDMC!ゴートゥーDMC!」

 

 黒髪が言い放つともに演奏が始まると同時に一部の客達が騒ぎ始める。そのイントロを聞いてトゲナシは即座に察知する。これはDMCの曲だ。演奏が始まり暫くして会場の異変に気付きライブハウスのオーナー林が駆け付ける。

 

「すみませ~ん、演出で~す」

 

 すばるが猫かぶりの声で林に声をかけ会場の人間も演出かと一応納得する。もちろん演出ではなくDMCファンが勝手に乱入してきた。

 この程度のアクシデントで動揺しライブを止めていては対バンで話にならない。5人全員がそう思っていた。

 DMCファンが十数秒ほど演奏してからトゲナシが演奏を始める。トゲナシファンはすぐに気づく。前と比べ演奏の技術は勿論存在感も圧倒的に増している。

 そのクオリティと存在感は乱入というパフォーマンスで示したファンの存在感を掻き消す。会場に居る人間は同じ壇上にいながらDMCファンに全く意識を向けず、トゲナシの歌とパフォーマンスに酔いしれる。

 

「なんてパフォーマンスだ」

 

 DMCファンは膝をつく。コピーバンドといえど音楽をやっているだけあってトゲナシトゲアリのバンドとしての実力を実感できていた。

 認識ではクラウザーに心折られ、お遊戯会レベル以下のバンドであった。そんなバンドが対バンでDMCと戦うという行為は冒涜の何物でもなく、自分達の手で出演辞退させようと暴走し、一部のファン達を引き連れ乗り込んだ。その結果過去のトゲナシトゲアリのように音楽でレイプされていた。

 曲が終わり仁菜は膝をつくDMCファンを見下ろしながら話しかける。

 

「クラウザーに伝えてください」

「貴様!呼び捨てにするな!クラウザーさん……」

「あの時の私達じゃない!爪痕残して負けてないって証明してやる!」

 

 DMCファンは呼び捨てという冒涜行為に怒りを示すが小指を立てる仁菜の迫力と怒りに言葉を紡ぐ。そのパフォーマンスに会場はさらに盛り上がる。

 

「お帰りはあちらからお願いします」

 

 ルパがベースでBGMをつけながらDMCファンに出ていくように促す。会場の人間も声は出さないが出ていくように無言でプレッシャーをかける。

 会場の雰囲気に屈したのかDMCファン達は逃げる様に出口に向かう。だが2人は会場から出られなかった。目の前に立つ人に畏怖し足を止め、ファン達は驚きの声を挙げる。

 

「でたー!クラウザーさんだ!」

 

 銀色の鎧に黒のマント、金髪ロングに白塗りの顔に額には殺の文字、ヨハネ・クラウザー・Ⅱ世が降臨した。

 

──数時間前

 

 根岸はライブハウスserbian nightに足を運んでいた。この約2カ月トゲナシトゲアリとの対バンを中止にするために色々と画策していた。

 未来のあるバンドがDMCなんかに関わるべきではない。さらにSNSを見ていたらフェスを辞退してまで対バンを選んだ。そのフェスは根岸でも知っているほど有名なイベントで自責の念をさらに募らせる。

 SNSで連絡しようにも反応が無く、ファンを装って対バンすべきではないとリプしたりしたが効果もなく、川崎のお気に入りの喫茶店に行くついでに路上ライブしている時に伝えようと探したが見つからなかった。

 諦めかけた時にトゲナシトゲアリのSNSでライブすると知った。対バンは来週だが今なら間に合う。ドタキャンしても集客には全く影響はなく社長も怒りはしないと予想していた。

 そしてライブが始まると頃合いを見計らってトイレでクラウザーに変身する。あとはライブに乱入し相手の顔を立てながら辞退を促す。

 会場に入ると思わぬ光景が飛び込んでくる。DMCファンの間でファンの鑑と呼ばれる信者達が壇上にあがりDMCの曲を歌っていた。

 

(あっ、今のところギター間違えてる。それにそこの歌い方も違う。ベースももっとギターに合わさないと)

 

 いくらファンの鑑と云えど演奏と歌は拙く本家とは雲泥の差だった。観客もそれを感じ取り熱が冷めていく。そしてトゲナシトゲアリの曲が始まると熱は一気に高まる。

 

(凄い、ネットで聞いた時よりさらに上手くなってる。対バンに向けて凄く練習したんだろうな。それに比べてファンの演奏は酷い、皆がトゲナシトゲアリに熱中するのも当然だよ。これじゃあデスメタル、DMCがダメみたいだと思われるじゃねえか!)

 

 クラウザーはファン達の演奏と歌の拙さ、会場の盛り上がりを見て次第に怒りと恨みを募らせる。

 

(それにあの演奏は信者達を叩きのめす対バン仕様の演奏だ、信者達を本番前のダッチワイフ代わりにしてやがる!俺のファンをあんな扱いしやがって許せねえ!そもそも糞みたいな演奏するからダッチワイフ代わりにされるんだろうが!あのメス豚共も一丁前に練習しやがって、勝てると思っているのが気に入らねえ!)

 

 僅かな嫌な出来事から恨みを募らせ増幅していく。そして仁菜のMCとルパに煽られ逃げ帰るファン達を見て怒りはさらに膨れあがる。

 

「クラウザーさんが申し訳ございません」

「DMCの手を煩わせるまでもないと潰そうと思ったのですが」

 

 ファンの鑑達は頭を90°に下げて謝る。勝手に出しゃばって醜態を晒した。さぞお怒りに違いない。

 

「ちょっとちょっと、今日は呼んでないよ」

 

 するとオーナーの林がクラウザーに詰め寄る。あのクラウザーがこんな場所に来るだなんて、対バンするトゲナシトゲアリにちょっかい掛けにきたか。

 脳内で嫌な噂が蘇るが勇気を振り絞る。このライブを客が楽しみにしている。桃香達もライブに参加して盛り上げようとしているそれを邪魔させるわけにはいかない。

 クラウザーはその勇気をあざ笑うかのように林の後ろに素早く回りベルトを掴み、そこらへんにいた男性客もつかみ、頭を下げているファンの鑑達の尻に強引に腰を打ち付けさせる。

 DMCファン達はその光景を見て悲鳴を上げる。クラウザーに掘られれば、性欲異常者であるクラウザーの性の捌け口にされたとして生贄と称され名誉である。

 だが他人にされれば失態になり豚に掘られる豚の種付けよりマシだが、ファンにとっては相当の屈辱と失態である。

 クラウザーはファンの鑑への制裁を終えると林の背後を取りズボンを脱がし尻を剥き出しにさせる

 

「アレは仁村エクセサイズだ!制裁を邪魔しようとしたオヤジが気に入らなかったみたいだ!」

 

 相手の尻に腰を打ち付けながら爪で引っ掻く。この技はDMCファンの間では仁村エクセサイズと呼ばれている。

 会場にいるファンはクラウザーの行為と数人のDMCファン達の異様な熱気に吞まれていた。だがトゲナシトゲアリのメンバーはその様子を冷静に見つめる。

 ライブを邪魔にしにきたか?だとしても止めるわけにはいかない。これは対バン前の前哨戦だ、どんな事があっても演奏し続ける。過去の敗北が脳裏に浮かび上がるが負けたくないという対抗心と反骨心で塗りつぶす。

 クラウザーは林への仁村エクセサイズを終えるとゆっくりとした足取りで壇上に向かっていく。林が行動不能になった今誰も止める者はいない、逆に声をかけたらこちらがやられてしまうと皆が思っていた。

 

「メス豚共、何時ぞやにレイプされたのを忘れたのか?」

 

 クラウザーは値踏みするようにメンバーを見つめる。目には怯えが無い、特に仁菜は物凄い形相で睨みつけ赤いトゲを放出している。

 若干テンションが下がり冷静になり、面倒な事になりそうだと感じる。怯えていれば説得で辞退させやすいがこれだと説得しづらい。

 

「来週に対バンするが貴様らのようなマグロには興味が無い、それであれば魔界の陰獣を犯していた方がマシである。貴様らもレイプされたくないだろうし、俺もしたくない。WIN―WINであろう。いますぐ辞退してそこらへんのフェスに出ていろ」

「なんて悪魔的合理性だ!」

「そうだクラウザーさんが嫌がっているんだ、さっさと辞退しろメス豚共!」

 

 クラウザーの言葉にファン達は褒めたたえ賛同する。不敵で高圧的な態度を見せるが内心では懇願していた。頼むから辞退してくれ、それが正しく賢い生き方だ。君たちには未来がある。

 その言葉にトゲナシトゲアリはそれぞれの顔を見合う。その仕草にこれは迷っているのかと解釈する。

 

「次はこの曲『声なき魚』です」

 

 仁菜の言葉からイントロが始まる。その瞬間クラウザーはステージから降りてファンの鑑が持っていたギターを奪い取り再び壇上に上がる。

 

「調子乗ってんじゃねえぞメス豚共!レイプしてくれる!」

 

 クラウザーの怨念が籠った大声量のデスボイスに会場の人間は耳を塞ぐ。僅かなことで恨みエネルギーを作り上げるクラウザーは相手への敵意にも敏感だった。

 仁菜の言葉にこの曲でトゲナシトゲアリからのメッセージを理解する。この曲は乱入した時に替え歌にした曲だ。

 同じように虚仮にして凌辱できるならやってみろと言っている。

 

『いつからなんだっけ何ひとつ変わらない』

『■■■■■■■!』

『景色にほとほとうんざりしてる』

『■■■■■■■!』

 

 クラウザーは二カ月前に歌った歌詞と一語一句間違わず歌う。替え歌はあれから一度も歌っていない。それでも間違わず歌えているのは負の感情を爆発させている時に発揮する記憶力によるものである。

 DMCの曲には長さ42分19秒にも及ぶ淫獣伝というものがあり、クラウザーはそれを一語一句歌える。

 前と同じように相手の演奏を取り込み自分の曲にする。これで相手の存在感を消し会場の空気を全て染め上げる。

 そのはずだった。だが一向に相手の曲が飲み込めない、軟弱で簡単に叩き潰し飲み込めるような音が頑丈で強固な音になっている。

 そのまま1曲歌いきるが会場の空気はクラウザーに傾いていない、元々トゲナシトゲアリのファンが多いこともありトゲナシトゲアリに傾いている。

 

「私は理不尽な現実に殺されそうになった。でもある音で理不尽に負けるな、抗って中指を立てる事とその勇気を貰った。けどあの日お前にその音は虚仮にされ弄ばれ屈服した。でももうそんなことにはならない。今度の対バンで私達の音はDMCに負けてないって証明してやる!」

 

 仁菜のMCに会場が一気に湧き声援が送られる。この会場にインディーミュージシャンのライブに足を運ぶぐらいに音楽が好きで居る者は目が肥えている。故にクラウザーの演奏と歌の凄さをジャンル違いといえど理解できた。

 そのクラウザーにトゲナシトゲアリの演奏は喰われず渡り合った。このバンドは相当に凄い。期待感が一気に膨れ上がっていた。

 

(こんな宴会芸と渡り合ったぐらいで調子に乗りやがって!何が勇気を貰っただ?どうせバンドやってるのも男とヤルだめだろうがミュージシャン気取りのヤリサーめ!)

 

 クラウザーはさらに怒りを募らせる。挑発に乗ったが前のように叩き伏せれば対バンを辞退するだろうという期待があった。だが一丁前にテクニックを磨き対抗し意にそぐわない行動した。

 

「クックック、ハッハッハッハ!」

 

 クラウザーは会場に響き渡るような大声量で嘲笑する。仁菜の決意をバカにされたように思えトゲナシトゲアリ全員がクラウザーに敵意が籠った目線を向ける。

 

「殺されそうになった?ということは死んだこともないのか?音楽やっているのにか?ミュージシャン名乗りながら死んだこともないなんぞヌルすぎるわ!」

 

 クラウザーの脳裏には仁菜の殺されそうになったという言葉を切っ掛けに、デスメタルやって死んだこともないのかと社長に殺されそうになった記憶が蘇り、その記憶から恨みを募らせる。

 

「来週ではなく今この場で全員殺害してくれる!」

 

 こっちが下手に出れば調子に乗りやがって、憐みで慈悲を与えてやったのに拒否しやがった。クラウザーの中にあった僅かな慈悲は完全に消え失せ、全てを叩きつぶし凌辱するメタルモンスターと化していた。

 

「クラウザー!この場の全員をレイプしようとしているな!本官が絶対に阻止してやるぞ!」

 

 突如太眉の警察官が会場に飛び込んでくる。この事態にクラウザーやトゲナシトゲアリも含めてその場の全員が硬直する。

 警官がライブハウスにきた。誰かが麻薬でも取引していたのか?だが捜査だったら令状とか持ってくると聞いたことがあるが持っていない。

 それぞれが様々な憶測を立てながら動向を伺う。すると警官は尻丸出しで倒れ伏せている林の元に駆け寄る。

 

「もしもし!大丈夫ですか!?この尻のひっかき傷、仁村エクセサイズの跡じゃないか!?クソ!一足遅かったか……許さんぞクラウザー!」

 

 警官は1人で勝手に盛り上がりクラウザーに向かい、それをDMCファンの鑑を中心に阻止する。

 

「クラウザーさん!俺達で食い止めるので今すぐに逃げてください」

 

 ファン達は知っていた。魔界の帝王であり何物も恐れないクラウザーだが警戒している存在が居る。それが国家権力である警察だ。

 48のポリ殺しを習得しているにせよ厄介な存在であるのは変わりない。クラウザーには来週にトゲナシトゲアリを処刑するという大切な用がある。こんなことで疲弊させるわけにはいかない。

 

「命拾いをしたなメス豚共、来週までに自らの墓石を作っておけ」

 

 クラウザーは捨て台詞を吐きながら会場から去っていく。トゲナシトゲアリのメンバーはその姿を何も言わず見送る。

 相手はジャギもカミュもいないクラウザーだけ、会場もこちらのホーム、本番とは状況が違うが全く違う。それでも前回は叩きのめされが5分に渡り合えた。その事実に確かな手ごたえを感じていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。