フリーレン界の『五条悟』、真っ二つになんてなりたくない   作:狐大総統

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本日、2度目の投稿です。

今回は、五条悟の代名詞の技が出ます。
タイトル通りです。


『無量空処』

side ブルグ

 

任務も終わり、俺は高慢ロリロリエルフに任務後の結果報告及び詳細説明をするため、ゼーリエのもとへ赴いた。

 

俺が行くまで、ゼーリエは玉座に深く座りながら魔導書を読み進めていたようで、俺に気がつくと、魔導書をパタンという音とともに閉じる。

 

「ああ、来たか。」

 

ゼーリエは、ひと言そう言うと、身体を前に傾けながら浅く座るようにし、話を続ける。

 

「うまくやったようだな。ゼンゼから任務後の報告は受けているぞ。」

「…そうですか。では、私からのご報告は彼女の補足説明とさせて頂きます。」

 

なんだよ。

もう報告済みかい。なら、先に言っとけよ。

 

そう思う気持ちを心中に納め、俺はつらつらと説明をしていく。

 

「…以上が、今回の件に関するご報告となります。」

「ふむ、ゼンゼの報告と相違無いようだな。ご苦労だった。下がって良いぞ。」

 

ゼーリエはこちらから視線を外すと、玉座へと深く座ろうとする。

いつもであれば、ここで話は終わりで、俺も与えられている自室へと戻る。

 

だが、今回は違う。

 

俺にはやらねばならないことがあるのだ。

加えて、いつもならゼーリエの側に控えている『一級魔法使い』もいない。

コレは好機だ。

 

「ゼーリエ様。」

「何だ?まだ、何か報告でもあったか?」

 

俺が声をかけると、ゼーリエは魔導書を開き始めながら、視線だけこちらへと配る。

 

「今回の件ですが、私が死にかけたことは先ほどお伝えしたかと思います。その際、私は生死の狭間を彷徨ったことで、一つ大きな夢ができまして、その夢を叶えるための褒美を頂けないでしょうか?」

「…珍しいな。お前がそういうことを言うとは。」

 

ゼーリエは身体をこちらへと傾け、冷たい目のまま、じっと考える。

数秒経つと、ゼーリエはニィイッと口もとを歪ませ、口を開いた。

 

「聞くだけ聞いてやる。お前の野心溢れる目に免じてな。何が欲しい?言ってみろ。」

 

流石は大魔法使いといわれるだけあり、質問をしてくるだけで、なかなかの威圧感がある。

とはいえ、ここで竦んでしまうような俺ではない。ゼーリエの目をまっすぐと見て、ハッキリと答える。

 

「…ありがとうございます。私の願いは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ゼーリエ様を『なでなで』する権利でございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                      」

 

 

 

 

 

俺の発言後、ゼーリエの身体は微動だにしない。その様はまるで、『無量空処』でもくらったかのようだった。

『無量空処』を知らないものにとっては、時間が止まったかの如く感じただろう。

 

 

 

 

暫く間があいた後、ようやくゼーリエが声を発する。

 

「…お前、いまなんて言った?」

 

ゼーリエは、自身の耳を疑うかのように、あの長い耳をさすっている。

『神話の時代の大魔法使い(笑)』が珍しい。長生きだけあって、難聴にでもなったのだろうか。

 

であれば、もう一度聞こえるように大きな声で言ってやるべきだろう。

 

「ゼーリエ様を『なでなで』する権利でございます!」

 

今度はよく聞こえたようで、ゼーリエは目頭を押さえ始めた。

 

「追加で、ゼーリエ様を『ぎゅーっ』とする権利も頂きたいです!」

 

俺がそう言うと、ゼーリエは次に、頭痛がするかのように、頭を押さえている。

明らかに後悔したような顔をしている。

 

よし、いまのところ計画通りだ。

 

そもそも、ゼーリエを騙くらかすなんてことはできない。

原作のフリーレン曰く、ゼーリエの直感はいつも正しいらしい。

 

だからこそ、真っ正面から正直に伝える。

ゼーリエも、何かしら俺が悪巧みをしていることは察していたはずだ。

聞くべきでないことも理解していたはず。

 

だが、傲慢な金髪馬鹿エルフは、何が起ころうとどうとでもできる自信を持ち、実際にできてしまう実力も持っているため、俺の要望を聞いてしまったのだ。

 

マジでこのエルフ、金髪馬鹿エルフ(笑)。

 

「…はぁ、却下だ。下がれ。」

 

ゼーリエは頭を下げて視線を俺に向けないまま、前に突き出した手のひらを前後に動かし、シッシッと不快なものでも追い払うようかのような仕草を見せる。

 

まあ、そんなことで俺が下がるはずもない。

 

「いえ。そこをなんとか。」

 

俺は前へ足を踏み出し、ゼーリエへと一歩近づく。すると、彼女は玉座の奥へと身体ごと更に深く下がった。

これでは、まるで襲われる前の少女と暴漢のようだ。

なんて失礼な。*1

 

「おい、今なら許してやる。だから、寄ってくるな。」

「そう仰らず。どうぞ照れませんように。こちらまで恥ずかしくなりますので。」

「くどい。」

 

この言葉と同時に、ゼーリエは地面を操作し、壁を作りだす。

おそらく、俺が隠し持っている『封魔鉱』を警戒してのことだろう。さすがは『大魔法使いゼーリエ』、俺の目論みなんてお見通しというわけだ。

 

たしかに、『封魔鉱』をあのとき拾っておいたのは、対ゼーリエを想定してだ。

だが、中距離から使おうなんざ思ってない。

 

俺は『魔法使い』兼『戦士』だ。

戦士なら、魔法を使わずともこの程度の距離、一瞬で詰められる。

 

 

だからこそ、この状況が完成した。

 

 

目の前にゼーリエ、周囲には誰もいない、いるのは『封魔鉱』を持った俺のみ。

 

あのフリーレンでさえ、『封魔鉱』の効果範囲では『ただの女の子(笑)』と言っていたのだ。

ゼーリエだって同様だろう。

 

 

グッヘッへッへ。

さーて、ゼーリエ様。いや、ゼーリエちゃん。『なでなで』のお時間ですよー。*2

 

 

俺はゼーリエの頭へと手を伸ばし、『なでなで』を実行する。

ふむ、なかなかの髪質をしてらっしゃる。

この世界にトリートメントなんて無いはずだが、サラサラだ。

 

ちなみにゼーリエはというと、前の世界でいう体育座りとなって縮こまりながら、嫌そうな顔をしている。

はは、めっちゃウケる。

 

俺は暫くゼーリエをなで続け、最後は首元に『ぎゅーっ』をした。

『なでなで』と『ぎゅーっ』も終わり、ゼーリエを解放すると、彼女はさきほどまでの嫌そうな顔のまま、口を開いた。

 

「…満足か?」

「ええ、とても。」

 

意外や意外、もともと俺は憂さ晴らしのつもりだったが、思っていた以上にリラックス効果があった。

これが、『あなたに愛を教えるのは…』ってやつだろうか。

 

心なしか、俺のお肌もツヤツヤになった気がする。

今後もストレスが貯まるごとにやることにしよう。

そう考えていると、ゼーリエが鋭い指摘をしてきた。

 

「…お前、これからも実力行使でする気じゃないだろうな。」

 

さすがは『いつも正しい直感』を持つゼーリエ。俺の内心を当てる発言を当ててくるとは。

 

俺の顔を見て、悟ったのであろうゼーリエは、俺が回答する前に話を続ける。

 

「…分かった。『なでなで』と『ぎゅーっ』は1日10分までだ。」

 

おっと、まさかの『ぎゅーっ』も許可が出るとは。

あのメトーデさんすら、『なでなで』だけ1日10分までだったのに。

ゼーリエを出し抜いたことが評価されたんだろうか?

なんにせよ、ウケる。*3

 

「…承知しました。ありがとうございます。つまり、制限時間以上行いたいときは、『また実力行使で行え』ということですね。」

 

俺がそう言うと、ゼーリエは暫く間をあけた後、ため息とともに返答してきた。

 

「……はぁ、もうそれで良い。分かったらさっさと下がれ。」

 

よっしゃ!勝った!

 

◇◇◇

 

side ゼーリエ

 

あの馬鹿─ブルグ─が退室し、室内に静寂が訪れたことで、私は久方ぶりの安堵を感じた。

 

…まったく、ふざけた要求をしてくるとは思っていたが、ある意味予想以上のものが返ってきた。

私の直感が、あの子ブルグの要求を聞くなと叫んでいたわけだ。

 

実力行使してきたときは、そこまでするほどのことかと呆れたが、害意が無かったことから本気で防壁を発動しなかったとはいえ、私─『神話の時代の大魔法使い』─の魔法発動速度を超えて接近したのだ。

あの子にそれなりの褒美は取らせるべきと考えて、好きにさせることにした。

 

なんであれ、弟子の成長は喜ばしいものでもある。

師を出し抜いた点は認めるべきだろう。

 

 

それにしても、あの子は常々、内心で周囲─私も含めて─を馬鹿にしているようだが、あそこまで度胸を持ったやつは、これまで生きてきたなかでもそうそういないレベルだな。

 

初めて会ったとき、私を見てどう思ったかを聞けば、『幼児体型金髪エルフ』とふざけた回答を寄越してきたことがあった。

 

その際、私が思わず口元を歪めたことで、同席していたレルネンは私があの子を害そうとしていると勘違いしたのだろう。

 

レルネンは私に制止するような声がけをしていた。

だが、私は正直なところ、そんなことはどうでも良かった。

 

そもそも、私が笑みを浮かべたのは、怒りからではない。

 

あの子には見えていた。

 

 

  

 

 

 

 

 

私の魔力の『揺らぎ』が。

 

 

 

 

 

 

 

それに気付けば、些末な無礼など、どうでも良くなってしまった。

いくら不愉快であろうとも、それ以上に有望な魔法使いを見逃すほど、私は馬鹿じゃない。

 

加えて、あの子には『野心』がある。燃えたぎるような『野心』が。

普段はとぼけた言動をするときもあるが、あの子は私をも超えた『最強』へと本気で至ろうとしている。

 

その理由について興味は無いが、あの子にならば、未だかつて魔法使いが辿り着いたことのないほどの高みへ辿りつけるだろう。

 

 

だからこそ、あの子を弟子にとったんだ。

 

 

魅せてみろ、ブルグ。お前が『最強』となるそのときを。

 

 

私は自身の口元が緩んでしまうのを感じながら、近い未来誕生するであろう『最強』の魔法使いに思いを馳せた。

*1
実際、現実としては『なぜか主人公が精神的に優位に立っているだけ』で、ひとたびゼーリエが本気を出せば、一瞬で主人公はこの世から消え去ることとなる。

*2
これが、我らが主人公の姿である。どう見ても犯罪者にしか見えないが主人公なのである。

*3
ゼーリエが『なでなで』と『ぎゅーっ』という発言をしたことも含めて




ゼーリエに、割とブルグの内心はバレています。
ブルグはブルグで、ゼーリエにバレていると分かったうえで、失礼なことを考えています。

あ、あと高評価を付けて頂けたことで、赤バーマックスでした。
ありがとうございます。
感想もくるたび、よっしゃ、書こう!となりました。
ありがとうございます。
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