咲いた花に止まれぬ蝶々   作:DAISAKU

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「はぁ・・・はぁ・・・咲季、まだいるのか」

 

俺は自分が住んでいるアパートの部屋の前にいた。

あんな事があってからもう時間はそれなりに経っている。

咲季はきっともう帰っているだろう。

普通ならそう考えるのが妥当だ。

だけど、俺は思っていた。

咲季はまだ、俺の部屋にいるんじゃないかと・・・

俺は息を整えた後、部屋のドアを開けた。

 

「咲季!!」

 

「えっ?......◯◯?」

 

俺の予想通りだった。

咲季はまだ俺の部屋にいた。

一糸纏わぬ姿ではなくちゃんと着替えてはいたが、ずっと泣いていたのであろう、彼女の目の周りが赤くなっているのが分かった。

 

「咲季、まだ此処にいたんだな」

 

「ごめん......あなたが住んでる部屋なのに、勝手に居座って......迷惑よね?......もう帰るから安心して......」

 

「咲季......」

 

その場から立ち上がり、俺の横を通り抜け、玄関の扉へ向かう咲季。

 

「◯◯、最後にあなたに一つだけお願いしてもいいかしら?」

 

「......何だ?」

 

そう言うと、咲季は笑顔で俺に言った。

 

「わたしの事......わたしとの思い出......全て忘れてください......わたしも......◯◯の事......◯◯との思い出......忘れられるように努力するから......じゃあね、◯◯......◯◯がまた立派なプロデューサーになれるように......わたし......応援してるから」

 

咲季はそう言って玄関のドアノブに手を掛けた。

咲季の姿は、まるで消えてしまいそうなぐらい儚かった。

そんな咲季に俺は・・・

 

バッ!!(後ろから抱き締める音)

 

「......◯◯?」

 

「すまん......すまなかった......咲季!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

咲季を後ろから抱き締める俺。

そんな俺の腕を、咲季は握り締めていた。

 

「咲季、俺は大馬鹿だった......自分の気持ちに......嘘をついていた......お前は、俺に真っ直ぐな気持ちを伝えてくれたのに......ちゃんと気付いてやれなくてすまなかった......お前の気持ちから......逃げていた情け無い俺ですまなかった......咲季......俺は......お前が好きだ!」

 

俺は抱き締めながら咲季にそう告げた。

すると咲季は、

 

「......遅いわよ」

 

「えっ?」

 

「遅いわよ!......あなた.......やっぱりわたしを待たせるのが得意ね......10年以上なんて待たせ過ぎよ!......その間に......わたしが誰かに貰われたらどうするつもりだったのよ......この大馬鹿!!」

 

咲季は、抱き締める俺の腕に涙を溢しながら言った。

 

「ごめん......俺がみんな悪かった」

 

「あなたの事......忘れてやらないから......ウザく感じる程......付き纏ってやるから......あなたの事......嫌いになってやらないから......」

 

俺と咲季は互いに抱き締め合いながらキスをした。

そして・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「咲季、怖くはないか?」

 

「怖くはないわ。だって相手があなたなんだから」

 

「分かった。少し痛いかもしれないけど、我慢してくれ」

 

「うん、いいわよ。あなたがしてくれるなら、わたしは我慢出来るから......んっ!!////」

 

俺と咲季はその夜、一糸纏わぬ姿のままベッドの上で互いにタガが外れたように激しく求め合った。

10年以上の歳月を経て、俺達は遂に結ばれたのだ。

俺と咲季は激しく愛し合った後、互いにベッドの上で抱き合いながら会話した。

 

「◯◯、わたしね、子供は二人以上欲しいって決めてるの」

 

「二人以上か。こりゃ賑やかになるな」

 

「ふふっ、だからあなたには色々と頑張ってもらわないとね!」

 

「おいおい、勘弁してくれよ。俺だって若くはねぇんだからな」

 

「あら、あんなに激しくわたしを求めてたのに?◯◯、今晩はあなたとずっと愛し合っていたいの。駄目?」

 

「いいぞ。俺だって咲季とずっと一緒にいたいから」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

俺は◯◯。

何処にでもいる様な平凡な会社員だ。

朝から仕事をし、夜には一人寂しくアパートに帰る。

そんな人間・・・だった俺は数年後、

 

「もうそろそろ出来そうね。パパを起こして来てくれる?」

 

「はーい!」

 

トタトタ走る子供の足音、うちの小さな怪獣の足音だ。

 

「パパー、はやくおきて!!」

 

「ぐわぁっ!!な、なんだ、咲良か?」

 

「パパ、あさごはんもうすぐできるってママが」

 

この子の名前は咲良(さくら)、俺と咲季の間に産まれた娘であり、俺達の何ものにも変えられない大事な宝だ。

 

「咲良、今日は仕事休みだからもう少し寝るってママに伝えてくれるか?」

 

「だめだよ!ママにおこられちゃうよ!」

 

「なら咲良、パパと一緒に寝よう。これで咲良も共犯だから、ママも怒れないぞ〜」

 

「うわぁっ!!」

 

数分後、

 

「あなた、咲良、朝ご飯出来たわよ!って、まだ寝てるじゃない!!しかも咲良まで。はぁ、まぁいいか、今日は◯◯も仕事が休みだし、朝ご飯はまた後で温められるし、ならママも一緒に寝ちゃおっかなぁ〜、ふふっ!」

 

俺達は今、幸せな家庭を築いている。

もう誰も邪魔する事はない。

妻の咲季、娘の咲良と共にこれからも・・・

 

そしてこの10年後に、咲良は母と同じアイドルになる夢を叶える為、初星学園中等部に入学するのだが、それはまた違う話の時に・・・




いかがだったでしょうか?
これにて『咲いた花に止まれぬ蝶々』は完結となります。
ハーメルンでは初めての小説の投稿となりましたが、もし楽しんでいただけたなら是非感想等もお願いします。
次回の学園アイドルマスターの二次小説は紫雲清夏の話を執筆しようと考えていますが、もしこのキャラクターの二次小説が読みたいというのがあれば是非リクエストしていただけると幸いです。
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