ここはティーパーティーホストの会合会場。
しかし、今は2人しか居ない。
「それで、話って?」
1人は花城ヨゾラ。そして、
「そうだね、どこから話そうか...」
もう1人は百合園セイアだ。
「...私は、ある『夢』を見てね。」
「...と、言うと?」
瞬間、ヨゾラの雰囲気が変わった。
「私が君に殺される夢だ。」
「ふぅん...」
数瞬、静寂が生まれる。
そして、ヨゾラがゆっくりと、探る様に話し始める。
「...その後は、どうなった?」
「君は条約を破壊しトリニティを転覆した。」
「ダウト」
「どうしてそう思うのかな?」
「それはアイツの計画からはズレている。勿論、俺の計画とも」
「君の計画というのは?」
「さあな」
「...矢張り、君は私の力を知っているね」
「ハァ、未来の俺はどこまで漏らしたんだ?」
そして、セイアは一瞬躊躇するも次の言葉を続ける。
「率直に言おう、君は失敗する」
「全部見たのか?最後の最後、ラスボスかキヴォトスが滅びるまでを」
「いいや、だが」
「ラプラスの悪魔は居ない」
言葉を遮りヨゾラは言い放つ。
「確定した未来なんてないんだよ、セイア」
「...君は、自分を犠牲にしてでもやるつもりだろう?」
「自分からなるつもりは毛頭ないさ」
「だが、このままではそうなる」
「なら、そうするまでだ」
ヨゾラは当然だとばかりに、表情ひとつ変えずに言う。
「何故君はそこまでする?君に迷いなく命を投げ捨てるまでさせるものは一体何だ?」
「責任だ。俺にはそうする責任が有る。
あとはそうだな、後悔したくないんだ。何もしないで生き永らえるよりもしたいことをして死にたい」
「...責任、か」
再び、静寂。
そして今度はセイアから話し始める。
「『楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか』。存在し得ないかもしれない未来を、楽園を、探し出す責任が本当にあると言うのか?」
「無くて良いじゃないか」
「...え?」
ヨゾラは淡々と続ける。
「自分の望む楽園が無かったら、違う楽園を見つければ良い。楽園が無ければそこを楽園にして仕舞えば良い。」
「この、絶望や苦痛に満ちた世界を?」
「絶望があるから希望があり、苦痛があるから喜びがある。生きると言うのは、そう言うことだ。幸福だけがある楽園で生動感なんか得られない。」
「だから、全ての絶望を、苦痛を、受け入れると?」
「...セイア。」
ヨゾラはセイアを真っ直ぐに見つめ、微笑む。
その宵闇の様な目に、セイアは吸い込まれてしまいそうに思えた。
「セイアの、皆の未来には希望があり、喜びがあり、夢があり、友情があり、奇跡がある。そして、その対価を払うのは皆じゃ無い。」
「でも、もしかしたら払うべき者が居ないかも知れない。だから、俺が保証をする。」
「勿論、死んで誰かを悲しませるなんて本望じゃ無い。だから...」
"だから、安心して任せて欲しい。"
「...はぁ、それで信頼しろというのかい?結局死ぬ時は死ぬと言うことじゃ無いか。」
「あはは...誤魔化せないか」
「まったく君と言う奴は...いいかい、ヨゾラ」
「?」
「死ぬんじゃ無いぞ」
「...!」
そう言って、セイアも微笑み返す。
「しょうがない、寂しがりフォックスさんのために頑張ってみますか!」
「不本意だね。そもそも君はティーパーティーなのだから軽率な行動は慎む様にと前にも言った筈だが?」
「ツンデレキーツネ」
「人の話は聞く物だよ」
軽口を言い合いながらも、少女2人は笑い合う。その先にあるのは、終点か始発点か。
"先生"が来るまで、残り僅か