「待ってたよ、ヨゾラ」
「うん、お待たせセイア。...ごめんね、おやすみ」
*
"大きい..."
ここはトリニティ総合学園。三大校の一つで、伝統と格式のある学校だ。アビドスやゲヘナと比べても非常に広くて、アビドスとは違う理由で迷ってしまいそうだ。
その規模に呆気に取られしばらく眺めていると、誰かが近づいてきた。
「遠路はるばるご苦労様です、先生。」
"君は?"
「初めまして。アリウス分派代表、ティーパーティー所属の花城ヨゾラと申します。」
"よろしく、ヨゾラ"
「ええ、宜しくお願いします。」
ティーパーティー...たしか、トリニティにおける生徒会の役割を持った組織で、3人で生徒会長を交代しながら運営しているんだっけ?
「では先生、ご案内致します。他の代表の方々もお待ちしていますので。」
"ありがとう、ヨゾラ"
「いえ。」
そう言いながら微笑むヨゾラ。
お嬢様の集まる学校なだけあってとても丁寧で、物腰も柔らかい。所作からも育ちの良さが伝わってくる。他のティーパーティーもこんな感じなのだろうか?会うのが楽しみだ。
*
敬語めんどくせ〜
どうも、花城ヨゾラです。さて、今日私がお出迎えするのはシャーレの先生です。うっひょ〜!
連邦捜査部S.C.H.A.L.E。自治区を超えてキヴォトス中での活動が可能であり、さまざまな特権が認められる超法規的機関。
そして、そこに所属する先生は数々の生徒の悩みを解決してきた。
プレイヤーであり、救世主であり、主人公である事を定められている者。見た目も性別も不明。意味深な伏線多数。ただ一つわかるのは性格が滅茶苦茶イケメンという事。それが"ブルーアーカイブ"の先生だ。
では、この世界の先生は、というと...
黒いシャツに連邦生徒会の制服の様な白い上着、つまり便利屋先生と同じ服。
黒髪黒目で髪型はショート。
身長は175前後だろうか?
顔からは元気そうな印象を受ける。
そして決して大きくは無いが確かにある胸。
女先生ですありがとうございました。
やはり百合...!キヴォトスでは同性愛が至高ってハッキリわかんだね。私は壁か草葉の陰から見守りたい所存です。
さて、ではそろそろ先生とティーパーティーのご対面だ。
「着きましたよ、先生。此処が応接室です。」
"うん、ありがとうヨゾラ"
補習授業部編、開幕だ。
*
応接室に入るとそこにはお茶会のセットが置いてあり、奥には美しい庭園が広がっていた。
そして、2人の人物が紅茶を嗜んでいた。
「ナギサ様、ミカ様、先生を連れて参りました。」
「ありがとうございますヨゾラさん。先生も、どうぞお掛けください。...ヨゾラさん、そんなに畏まらなくてもいいんですよ?アリウスでも、貴方もティーパーティーなのですから」
「いえ、外部の者の前ですので、一応。」
"アリウス...?"
「ああ、ご存知ありませんでしたか。では、その話からすることにしましょう。ですがその前に、自己紹介から」
「私はフィリウス分派代表、桐藤ナギサです。そして...」
「私がパテル分派代表の聖園ミカ!よろしくね!」
「それともう1人、サンクトゥス分派の百合園セイアさんがいるのですが...今は入院中でして」
そこで一つの疑問が浮かぶ。
"あれ?ティーパーティーって3人じゃなかったっけ?"
「いい質問だね、先生!」
「ええ、仰る通りです。しかし、同時に間違ってもいます。」
「と言うのも、ヨゾラさんの"アリウス分派"は少し特殊なのです。」
「元々、トリニティは幾つもの学園に別れていました。やがて紛争を避ける為に学園を統合したのですが、その時に少々問題が発生してしまいまして。アリウス分派が追放されてしまいそうにまでなってしまいました。結局アリウスも統合されたのですが、「別校舎に追いやられちゃったんだよ!酷くない⁉︎」...ええ、ですので、元々アリウスは権限を持っていませんでした。その後にティーパーティーに所属する事が認められたのですが、少し権限が低いのです。」
「監視役みたいな感じ?他の分派が勝手なことしない様に、って」
「なのでヨゾラさんはホストにはなれず、立場上私達よりも下、ということになってしまいます。」
「でもヨゾラちゃんは大事な友達だよ!上とか下とか関係無く!」
(ミカ...やっぱり優しい子だね...好き...)
ヨゾラは黙って聞きつつも、ミカに優しい目線を向けている様に見える。微笑ましい光景だ。
「ええ、実際話し合いの場でも同じ立場として忖度なしで話してもらってます。最も一般生徒間での関係性は少々問題もありますが...」
「て言うかナギちゃん前置き長く無い?先生も退屈してきちゃうよ」
「...ええ、ではそろそろ本題に入りましょうか」
「というのも、先生に頼みたい事がありまして」
"頼みたい事?"
「ええ。簡単ですが重要な事です。」
「ハードル上げてくねナギちゃん」
「補習授業部の顧問になっていただけませんか?」
「えっ、無視?ナギちゃん?おーい?」
「つまり、落第の危機にある生徒を救っていただきたいのです」
「え、ひどっ...私ちょっと傷ついた...」
悲しんでいるミカの背中をヨゾラが優しく撫でる。
「うぅ...ありがとうヨゾラちゃん...ナギちゃんひどい...」
「...」
「私達十年来の幼馴染なのに...こんな事今までに...結構あったかもだけど...」
「ああもう五月蝿いですね!?」
「ひぇっ...」
「今、私が説明してるんですよ!?」
「それなのにさっきからずっと!」
「横でぶつぶつぶつぶつと...!」
「どうしても黙れないのでしたら、その小さな口に...」
「ロールケーキをぶち込みますよっ⁉︎」
「...」
「...」
"..."
「...あら」
「私ったら、何と言う言葉遣いを...」
「...失礼しました、先生、ヨゾラさん...ミカさんも」
「いやー、怖い怖い...」
ヨゾラは何故か満足そうな顔をしていた。
*
「それで、そう、補習授業部です。」
「文武両道を掲げる、伝統と歴史が息づく我が校で、あろう事が4名も成績不振者が居まして...」
「だけど、今はエデン条約でバタバタしてて...そんな時、シャーレの活躍っぷりを知ったの!」
「一応言っておきますと、補習授業部は常設された部ではありません。本来必要に応じて創設されます。今回は急ぎということもあり、シャーレの超法規的な権限をお借りして、という形になりますが、要するに本質は『成績不振の生徒の救済』になります。」
「いかがでしょう、先生?助けが必要な生徒に手を差し伸べていただけませんか?」
"私にできることなら、喜んで!"
「やった!ありがとう先生!」
「ふふ、きっと断らないでしょうとは思っていましたが...ありがとうございます。では、こちらを」
渡された紙には、「補習授業部部員名簿」と書いてあった。
...あれ?この名前は...
「ん?何か気になる子でも居た?」
"...ううん、何でも無い"
「その4人に加え、ヨゾラさんが補佐として付く予定です。」
"良いの?"
「ええ、私は事務仕事も比較的少ないですから。」
「詳しいことは追って連絡しますので。準備が整い次第派遣という形で来ていただければと」
「じゃっまたね、先生」
「これからよろしくお願いしますね。」
"うん、よろしく。じゃあまたね"
きっと、この案件は生徒達の未来を左右し得るだろう。可愛い生徒達のためにも、気合い入れていかなきゃ!
*
「先生のエッチ!死刑!」
どうしてぇ...?