魔法少女にはなりません ~転生したらアズールだった件~ 作:月想
毎度言っておりますが、評価とお気に入り本当にありがとうございます!!
頂く度にうてなちゃんよろしく「アハー!」となっております←
皆さんまほあこリアルイベントが来ましたね!!チケット当たるといいなぁ。牛小夜ちゃんのビジュアルが楽しみで眠れませんっ!
「魔法少女としての名前を変えたい?」
「う、うん...。」
あの戦いから二週間ほど経った放課後。
懐かしさすら感じるいつものファミレスで、久しぶりのトレスマジア会議が始まった。
「改名かぁ...。なんや、売れない芸人みたいやな。」
「知ってるよ!姓名判断だよね!」
「いや、運気とかそういう話じゃなく...。」
「まあ、色が"マリーノ"色やなくなってしもうたしなぁ。」
そう。魔法少女としての私の姿。
マジアマリーノに、ある
「あたしがマゼンタ色で、薫子ちゃんがサルファ色。」
「ピンクとかイエローやないんは、ヴァーツはんのこだわりなんやろか。」
「ヴァーちゃんってばオシャレだよねー。」
やっぱり色縛りだったりするのかな?
他の名前だと怒られるとか...?
「それで?どんな名前にするの?」
「紫やし、マリーノの流れからすると...リーラとかどないや?」
「可愛い!採用!」
「え、えっと...。」
色々考えたけど、変わったのは色だけじゃないわけで。
それに、もう、一度は"名乗ってしまった"名前だ。
私は勇気を出して、二人に新しい私を紹介する。
「べ、ベーゼ...。マジア、ベーゼ。って、どうかな...?」
――――――――――――――――――――――――――
「揃ったようだね、新生エノルミータの面々が。」
つい先程まで瓦礫の山だったナハトベース。
その汚いアジトの一室で、私たちは円卓を囲んでいた。
ちなみに、四角い長机は可愛くないのでヴェナに変えてもらった。
みんなが近いし、この方がほっこりする。
それに、昔から"円卓会議"には憧れがあったのだ。
うふふ。
「疲れたから帰っていいか?」
"ロコムジカ応援団長!"ルベルブルーメ!
「スーパーアイドルの大事な喉がカラカラよ。誰か飲み物ちょうだい。」
"ロコ、もうルベルだけのアイドルでいい!"
ロコムジカ!
「さよちゃぁん~初めてはどこにする~?うち?さよちゃんち?がっこでもいいよ~。」
"王子様兼副総帥!"レオパルト!
「...Zz」
"娘(仮)!"ネロアリス!
「ふっ...。これより、第93回!円卓会議を始めるわ!」
そしてこの私。
"エノルミータ総帥!"ルシファアズール!
「って待てコラァ!?!?///」
「真珠とネモの肩書きだけ方向性がぜんっぜん違うんだけど!?!?///」
「あぁ?おまえら下っ端のくせにさよちゃんの決めた肩書きにケチつけんのかぁ~?」
「っさいわね!?何でアンタが一番マシなのよ!?」
「うっせ~。副そーすいパワーでクビにすんぞ。」
「パワハラ!?この悪の組織行政に訴えてやるっ!!」
「...Zz」
......ボケたのに誰もツッコんでくれない。
『なんだよ!93回って!これが初回だよ!』
...っていうのを期待してたのに。
しゅん...。
「大丈夫さよちゃん!?おっぱい揉む!?」
「いらない...。」
「おいレズップル!!おまえらのせいでさよちゃんが傷ついただろうが腹切ってわびろ!!」
「切るわけないでしょ!?それにレズはあんたでしょうがっ!!」
「アタシは女が好きなんじゃねー。さよちゃんが好きなんだ。」
「その気持ちは、分かる。」
「分かってんじゃないわよっ!?///」
「...Zz」
...平和だ。
あの激しい戦いを経て、命すら一度は取り零して得たこの平和。
最近、毎日が楽しい。
これが私の、新しい『人生』。
『水神小夜』という私の、日常。
幸せだ、本当に。
「な、何よ...?何で急に慈愛に満ちたお母さん味溢れる視線をロコたちに送ってくるのよ...?」
「ばかやろうさよちゃんが見てんのはアタシだけに決まってんだろたまらんしゅき♥️」
「もうヤだこの組織...。」
「スヤァ...Zz」
どうしてものほほんとした空気が抜けない会議を見て苦々しく思ったのか、ただ浮かんでいただけのヴェナが口を開く。
...いつも開いてはいるが。
「随分と気が抜けているみたいだね。今日は『これから』の方針を話し合うつもりだったんだけど。」
ヴェナリータ。
今思えば、ついこの間までの彼?にはほんの少しだけ、"親しみ"のようなものを感じていた。
中身が先生だったのだから当然と言えば当然だが、その僅かな差ですら敏感に察してしまう。
今のヴェナはより平坦で、より底知れない。
もう彼は、私の
利害関係、共犯者。
記憶は上手いこと先生のことを隠して引き継がれているようだが、それも本当かは分からない。
原作のうてなやこりすが目を光らせていたように、私が彼を疑っていなくては。
みんなを守るためにも。
「方針って、トレスマジアとか~?」
「ああ。君たちには戦ってもらわないと困るからね。」
「戦う、ねぇ...。」
「あんだけ助けてもらってか...。」
ロードエノルメとの決戦。
ロコルベも含め、強化された彼女たちを倒せたのは、間違いなく『トレスマジア』のおかげだ。
マゼンタの歌と回復、サルファの根性。
そして、断片的にしか聞いていない、あの真化ロードすら打倒した、ベーゼの隠された力。
魔法少女無しには、この平穏は訪れなかった。
...だが、
「ロコムジカ、ルベルブルーメ。何を日和っているのかしら。」
「いや、日和ってるとかじゃな」
「"黙れ"。」
「「...ッ!?」」
私は威圧を込めて彼女たちの口を塞ぐ。
気だるげに肘置きに頬杖を突き、同じ高さから全員を見下して宣言する。
「我がエノルミータはトレスマジアを必ず"潰す"。一人残らずね。
逆らうなら止めはしないけれど。
身の程を知ることになるわよ?」
「こいつ...まるで...。」
「
「な、なんなのよぉ...っ。」
彼女たちのトラウマは知っている。
だが、今の私には威厳が必要なのだ。
好きにさせたくない奴がいるのだから。
「分かったかしら、ヴェナリータ。ただのマスコット"風情"が、私の部下たちを叱責する権限などないのよ。」
「......ああ、すまない。気を付けるよ。」
この子たちを守る。
私の未来を守る。
私とお前は対等じゃないのよ、ヴェナ。
「本題はもう一つあってね。頑張った君たちの要望を聞こうと思うんだ。ボクはご褒美は必要だと思うタイプだからね。」
「女王さまやばぁ...♥️///」
「ではまずキウィから。キミは特に頑張ったね。」
「...え?なに、ごほうび?じゃあはい!ホテル!ナハトベースにホテルちょうだい!」
「分かった。」
「「いや分かっちゃうのォ!?!?」」
「よかったな~おまえら~。」
「「こっちを見るなっ!?///」」
あー。
やっぱりできちゃうか。ホテル。
原作からブレないキウィが可愛いけど、この場合"最後まで"いっちゃうのかなぁ。
「こりすはおもちゃで~。おまえらはホテルで満足っしょ~?」
「「不名誉についでで済まされようとしている...!///」」
「ね~ね~。さよちゃんは何にする~?赤ちゃん?きゃー困っちゃう~///」
「そこまでにしておけよ王子さま!?」
ご褒美、ご褒美か。
いざそう言われると簡単には浮かばない。
ただ何か。
何かを、忘れているような。
......あ。
「『海』、行きましょうか。」
――――――――――――――――――――――――――
「というわけで、やって来ました海です。」
「やた~。」
「やったぁー!」
......え。どういうわけ...?
のんびりとした休日。
最早貴重なその平穏なお休み。
久しぶりに『みみる』でも見直して、インドア魔法少女ヲタライフを取り戻そうとした早朝。
小夜ちゃんからLIMEが届いた。
『一緒に思い出を作らない?』
デートだと思った。
ノータイムで返信。
カバンに以前勢いで買った水着を詰め込み、待ち合わせに急いだ私。
待っていたのは、何だか乙女にソワソワしているはるかちゃん。
そこに続いて、ぶつぶつ言いながらも顔が赤い薫子ちゃんがやってきた。
三者三様。
すべてを察した私たちは、口には出さず邪な自分を恥じた。
魔法少女としての矜持を持ちなさい、トレスマジア。
当然のように大所帯でやってきた小夜ちゃんを睨みつつ、言われるがままにたどり着いたのがここ。
まさか、プールじゃなくて海だとは。
「本当に海に来るなんてね~。まぁ、真珠的にはアイドル水着をお披露目できるし?小夜にしては気が利くっていうか~?」
「お前泳げねェだろ。」
「泳げなきゃ悪いわけ!?真珠は海に愛され過ぎて海が離してくれないだけなんだけど!?///」
「ポジティブ過ぎんだろこのカナヅチ。」
阿古屋真珠ちゃんと、姉母ネモちゃん。
今日初対面の、小夜ちゃんのお友だち。
その正体を私は
あのロードとの戦いで、私はルシファアズールが小夜ちゃんであることを知った。
今思えば、敵のリーダーがこんなに近くにいて、しかも全員が正体を知られているなんて。
普通なら危ない所じゃない大問題だけど。
私は正直、"嬉しかった"。
アズールがいい人だって分かったし、小夜ちゃんがずっと身近に感じられたから。
魔法少女にならない理由とか、魔法少女展の後の様子とか。
疑問だったことも色々納得できた。
『あなたは、まだ蕾のまま。わたしが、必ず咲かせてあげるわ。とってもキレイな花を。楽しみね。あなたの咲かせる、悪の華。』
とか。
『マジアベーゼが...わたしの、憧れが...っ!
私の大好きな物語の方がっ!!"間違ってる"みたいじゃなぁい...っ!!』
とか。
何でそこまで私をベーゼにしたかったのかは、まだ分からない。
聞いていいのかも、分からない。
「はぁ...。」
その辺りも、二人きりなら聞けたのになぁ。
なんて。
まあ、とにかく。
アズール=小夜ちゃんなのが分かった時点で、キウィちゃん、こりすちゃんがそれぞれレオパルトとネロアリスなことはバレてしまうわけで。
結局私は、エノルミータの真実を知ってしまうことになった。
『あなたたちのことは、キウィにも教えていないわ。だからと言ってはなんだけど、うてなもあの二人には黙っていて欲しい。』
決めるのはうてなだけど。
と、小夜ちゃんは続けた。
...二人には、黙っているつもりだ。
余計な混乱を避けたいのか、それとも。
小夜ちゃんと私だけの秘密が嬉しかったのか。
そもそも、何で私たちが戦わなくちゃいけないのか。
のんびりしているつもりが、頭の中はぐちゃぐちゃだ。
「うてな?どうしたの?」
「う、ううん。何でもないよ...?」
「そう?なら、早く更衣室に行きましょう。海が私たちを待っているわ!」
何だか、妙にテンションが高いなぁ今日の小夜ちゃん。
私はちょっと、そういう気分にはなれないかも...。
――――――――――――――――――――――――――
「キウィ、後ろ結ぶの手伝ってくれる?」
「ブーッ!(鼻血)///」
「ぷゅーッ(鼻血)///」
「思春期二人リタイアしたわよー。」
「ほっとき。どうせ今日お馴染みになる光景や。」
「あたしやったげる!」
「ありがとう、はるか。」
き、来てよかった...っ!///
「ツンツン...。」
――――――――――――――――――――――――――
「うっみだあぁぁーー!!!」
気を取り直して、いよいよ来てしまったビーチサイド。
照り立つ太陽に、あまりにも広大な海色。
完全に私とはミスマッチなアウトドアが広がっている。
「はぁ、あっついなぁ...。まだ6月やろ?はるか、日焼け止め塗り忘れとるで。」
「あ!そうだった!ありがとう薫子ちゃん!」
テンション爆上がりのはるかちゃんを抑えつつ、太陽を睨んで鬱陶しそうに呟く薫子ちゃん。
「おまえは涼しそうじゃん~胸すかすかだし。」
「あんたがおるから暑苦しくてしゃあないねん。そない浮き袋付けんと泳げんのか、海牛女。」
「ハァ!?海に牛はいないんだが!?」
「泳げん上に学もないとはないない尽くしやねぇ。頭も空っぽなんとちゃいますのん?」
「表出ろ薫子!!泳ぎでメタメタに叩きのめしてやるよぉ!!」
「表出とるから暑いねん!上等やアホ団子!ぶちのめしたるっ!!」
一瞬にしてヒートアップ。
キウィちゃんと全速力で海に飛び込んで行ってしまった。
あの、日焼け止めは...?
「ちゃんと準備運動もしろよー?」
「コクリ...。」
「ふふんっ!今日こそ真珠は海からの愛を拒んでやるんだから!」
「こりすちゃん!一緒に砂のお城作ろうね!」
「コクコク。」
こちらはかなり健やかな印象。
真珠ちゃんは泳げるように練習するのかな?
私も、あんまり得意じゃないけど...。
「うてな、ちょっといいかしら?」
「どうしたの?」
海でどう過ごすか思案していると、小夜ちゃんが私に話しかけてくれる。
「日焼け止め、背中側を塗って欲しくて。」
「あぁ、日焼け止め。うん、分かった。」
「ありがとう、よろしく頼むわね。」
......ん?
小夜ちゃんはそう言うと、シートにうつ伏せで寝そべり、その無防備な背中を晒す。
「あはーーーッ!?!?///」
これ知ってるぅっ!!
アニメの海回でよくあるえっちなやつだぁぁ!?///
「しっかり塗らないと後が恐いからね。うてなにも、後で塗ってあげるから。」
「ごくり...っ///」
白くてツヤツヤの肌に、キレイな背中のライン。プリっと柔らかくハリのあるお尻に、スラッとしつつも程好く肉つきのある足。
そして、押し潰されてムニュンとはみ出たおっぱい...!
え、えっち過ぎるだろ...!!///
「し、失礼しまふ...っ///」
「きゃあっ!?ちょ、ちょっとうてな。オイルは手で温めてから塗らないと。びっくりしちゃうじゃない...。」
「ご、ごめんね...///」
えへへ。
小夜ちゃんの悲鳴が聞きたくて、つい。
私は手でオイルを温めて、ついに小夜ちゃんの柔肌に触れていく。
背中から丁寧に、丹念に。
段々"下"に向かって塗る場所を移動させていく。
そして、ついに辿り着く。
「ひゃっ!?///」
「...///」
わしわし。わしわし。
と、小夜ちゃんのお尻を揉みあげる。
ビキニの隙間から手を入れて、オイルで艶やかに輝くお尻を堪能する私。
「う、うてな...!?そこはそんなに塗らな...んぅっ...!?///」
「ハァ...!ハァ...!///」
ビキニの下までしっかり塗り込む。
熱い。小夜ちゃんの熱を感じる...。
最早止まれない。
私は欲望のまま、今度は小夜ちゃんのビキニ紐を外し、その豊満な胸を鷲掴みにする。
「そ、そこは...!塗らなくて、いいから...!///」
「...小夜ちゃんはあの時、私のおっぱい触ったよね?」
「え...?///」
私は小夜ちゃんを後ろから羽交い締めにするように抱き寄せ、耳元で囁く。
「こうやって、乱暴に...まるで貪るみたいに...///」
「や、やぁ...!///」
その柔らかさと一部の固さを味わうように、撫でては摘まみ、揉み続ける。
「だから、私も触っていいよね...?"アズール"ちゃん...///」
「ぃっ...!///」
体を震えさせる小夜ちゃん。
小夜ちゃんを好きにできる幸せと、あのアズールを攻めているという高揚感。
そんな甘美な快楽に抗えるはずもなく、そのオイルが渇き切るまでの長い時間。
私は小夜ちゃんの体を、ねっとりと堪能し続けるのであった。
――――――――――――――――――――――――――
「なんか、見ちゃいけないものを見た気がする...。」
ネモは後悔していた。
真珠の泳ぎはまったく上達しないし、いい時間だから飯にしようぜと、ついリーダーである小夜に言いに行ったのがまずかった。
なんと、あのうてなとか言うやつと小夜が、"乳繰り合っていた"のだ。
正しくは一方的に乳繰られていたのだが。
まあとにかく。
キウィ以外と
『こういう時は、どうすりゃいいんだろうなぁ...。』
と考えながら、何だかんだ海の家まで来てしまったのだった。
「たこ焼き。たこ抜きで。」
「HA☆HA☆HA。面白い冗談だお嬢ちゃん。たこ焼きは、"たこ"が入ってるから"たこ焼き"なんだぜ...?」
ネモはまたしても後悔した。
あの珍妙な注文をしている『金髪』。
残念なことに見覚えがある。
「たこ焼き。たこ抜きで。」
「お嬢ちゃん。そこまでにしておきな。同じギャグじゃあ、もうオレは笑えねぇ。」
「たこ焼き。たこ抜きで。」
「だからそれたこ焼きじゃねぇだろうがぁ!!」
あー。トラブルだ...。
やっぱり小夜の友だちって変なのしかいないんだ。
はるかとか言うやつは無駄にクオリティの高いきのこ城建てて、こりすにドン引きされていたし。
よく見たら向こうで倒れているお団子頭はキウィじゃないか。
アイツ、負けたんだな...。
ちょっぴり同情してしまう辺り、しっかり仲間意識が芽生えていることが窺える。
「ええからはよたこ焼き。たこ抜きで。」
「やらんわ!うちはなぁっ!たこ焼きに命懸けてんだ!!たこ焼きのたこ抜いたらそれはもうただの脱け殻なんだよぉ!!」
「ただの海の家が何老舗みたいなこだわり見せとんねん!!たこ入れんで焼けばええやろたこ焼きをっ!!」
「だからたこ焼きじゃないじゃんそれぇ!?」
余談だが、ネモの好物は"たこ焼き"である。
店主さんの気持ちは痛い程よく分かる。
だが、それで長蛇の列が出来ていたのでは気持ちじゃなくて胃が痛くなるのが常識人。
本当は引っ込み思案の彼女は勇気を振り絞り、たこをめぐる修羅場に飛び込んでいく。
「ちょっ!?たこ!!たこ食べるから!?たこだけもらうからもうやめてェ!?!?」
――――――――――――――――――――――――――
「...。」
「てかさー何でこの自販機酒売ってないん?」
「あれっしょ。子どもが飲んだらヤバイ的な?」
「いや、子どもは飲まんしょ。子どもミルク大好きだし。」
「でもミルク売ってないやん?」
「ママのミルクが一番やし。」
「あはは!下ネタ乙!」
アリスは呆れ果てた。
なんだこの女共。
1ミリも実のある話をしていない。
というか、そこを早く退いて欲しい。
あのはるかお姉ちゃんの謎きのこラッシュに耐えかねて、みんなに飲み物でも買ってあげようと思ったのが始まりだ。
お小遣いはママにもらったし、それくらいはいいと思ったのだ。
だがそれが間違いだった。
海の家は何故か長蛇の列で、一向に買える雰囲気じゃないし。
そもそもみんなバラバラに過ごし過ぎてどこに誰がいるか分からない。
諦めて小夜お姉ちゃんのところに戻ろうとした時。
「くっそぉ...薫子の野郎ズルしやがってぇ...!お団子パクられたしぃ...!」
砂浜に体を投げ出すキウィを見つけた。
息が荒いので、レースを終えたばかりらしい。
負け戦だったようで、ジタバタしながら悔しがっている。
「...。」
仕方ない。ジュースくらい奢ってやろう。
本当にしょうがないお姉ちゃんだなと思いつつ、仏心で自販機に向かう。
「ビールないのビール!」
「やっぱビールでしょビール!」
漸く自販機を見つけたかと思えば、今度はいかにも頭の悪そうな、酔っ払いの女たちが自販機前を占領していた。
何を買うでもなく、ただまとまりのないつまらない会話を繰り返している。
「......。」
邪魔過ぎる。
何故こちらに気付かないのか。
ついに
アリスがそんな苦渋の決断を迫られていると。
「おいダボハゼ女。さっきからうちの娘が並んでるんだが?そんなに海に帰りたいのか~?」
「「え?」」
「......。」
パリピに銃口を突きつけるキウィ、ではなく"レオパルト"。
周囲の空気が凍りつく。
アリスは、やっぱり呆れ果てた。
本当にしょうがないキウィである。
――――――――――――――――――――――――――
『キャー!エノルミータよー!!』
「なん、ですって...?」
「え、エノルミータ!?」
突然響く悲鳴に、朦朧とした意識が戻る。
エノルミータって、いったい誰が...。
思案している間にうてなが何かを察知し、気まずそうに私の方を見る。
恐らく"テレパシー"ではるかたちに呼ばれたのだろう。
「さ、小夜ちゃん...。」
「...うてな!好き放題してくれた借りを返してあげるわ!」
私はうてなの反応を待たず駆け出し、トランスアイテムを掲げる。
『
速度を上げて飛行し、既に勢揃いの仲間たちの元に降り立つ。
「アズールちゃん!」
「レオ!みんな!いったい何があったの?」
「お前の王子さまがやらかしたんだよ...。」
「ロコの海との握手会がぁ~...。」
「ムスッ...。」
不満気なみんなの様子を見て、原作の流れを思い出す。
確か、レオが変身して迷惑客を威嚇してしまったんだったか。
アリスの表情的に、今回はアリスを助けようとしたのかな...?
「おい、エノルミータ!」
「海水浴場にまで来て、いったい何を企んでるのっ!」
驚くほどの速度...とは正体を知っているから思わないが。
それでも流石の反応で、マジアマゼンタとマジアサルファが現れた。
「そちらこそ随分と早い到着ね。年相応に束の間の休息を楽しんでいたのかしら?」
「そうだよ!せっかくお友だちと楽しんでたのに!」
「今のうちは機嫌悪いで!今日という今日は覚悟しいや!」
こうなっては仕方ない。
あまり気は進まないが、ここは戦わざるを得ない。
全員が戦闘態勢を整える。
「待って!!」
響く声に思わず動きを止める私たち。
声の主は遅れてやってきた、トレスマジアの最後の一人。
"紫"色の装束に、小さく生えた"悪魔の角"。
以前の姿とは明らかに違う、まるで
「来たわね。マジアマリーノ。いえ...。"マジアベーゼ"!」
「アズール...っ。」
この場の全員が一度は目撃している、マジアマリーノの変化。
初めて見たのはあのロード戦の直後。
正体がみんなにバレないよう、急いで変身した時のことだった。
恐らく、二重変身による後遺症なのだろうが、その姿は私の知る原作のマジアベーゼに酷似している。
「は...?マリーノが、ベーゼ...?」
正式に"ベーゼ"と呼ぶことはなかった為、ベーゼの名前だけ先に聞いていたレオは明らかに動揺している。
「もうやめようよアズール!私たちが戦う理由なんて...!」
「理由なら、あるでしょう!!」
氷の刃でベーゼに斬りかかる私。
鞭で受け止められるが、容赦なくその隙だらけの腹に蹴りを叩き込む。
「かは...っ!?」
落下したベーゼを見下ろし、私は刃を突きつけたまま嘲笑を浮かべる。
「無様ね。あなたは
「...!」
私の挑発に漸く覚悟を決めたのか、ベーゼはゆっくりと立ち上がり、手近にいたある"海棲生物"に鞭で触れる。
「ひっ...!?」
「おー、うまそ~。」
「な、何よこれぇ!?」
「何って...そりゃお前...。」
「たこ...!」
現れたのは、巨大な"たこ"。
たこは私たちエノルミータをその触手で捕らえ、締め上げる。
...まあ、それは立派な攻撃ではあるのだけど。
「きゃー!?ベーゼストップストップぅ!?」
「な、なんでうちらまでっ...!?や、やめ...!はなし、てっ...!」
「ご、ごめんね二人とも!?まだ強化した生き物の制御は難しくて...!」
無機物だけでなく生き物も変化させ、操れるようになったのか。
どうやら、能力の方まで原作に近付いているようだ。
「ちょっ...いやっ...こいつっ...服の中にぃ..!///」
「ロコ...!?おいッ!それが正義の味方のやり方かよ...!やめさせろバカッ...!」
「ちっ...!ヌメヌメしてっ...!///」
「触手×アズールちゃんたまんね~...///」
「...。」
「ち、ちがっ...。私は、そんな、つもりじゃ...!」
私はたこに身体中をまさぐられながらも、困惑するベーゼを見て言い放つ。
「自分を偽るなマジアベーゼ!ベーゼのまま魔法少女でいることを選んだんでしょう!?ならその本性も!憧れも!どちらも受け入れて進みなさいっ!あなたは今、"何"を感じているの!?」
「...!」
そのあべこべな姿は、まさに柊うてなそのもの。それが彼女の人生だと言うのなら、躊躇う必要も悔やむ必要もない!
「...私、は...。」
「う、うち...たこあかんねんっ...やっ...!いやや...!さわらんといて...!きしょい...!や、やめっ...!んんっ!んむぅっ!///」
「サルファ!?べ、ベーゼ!今すぐ止めさせて!サルファはたこが苦手なの!知ってるでしょ...!?」
成す術なく苦手なモノに蹂躙されるサルファに、彼女を心配し必死の声を上げるマゼンタ。
その二人にベーゼはゆっくりと近づき...。
「かわいいっ...すごくキレイだよ二人ともっ...♥️///」
今までにない、『
「ベー、ゼ...?」
「サルファちゃんがこんなに弱々しく助けを求めるなんて...!いつも頼りになるあのサルファちゃんが...!こんなの、可愛過ぎるっ!///」
「何を言ってるのベーゼ!?」
「マゼンタちゃんも自分よりいつも他人を心配して!ヒロインの鑑かっ!神推し!!」
私は確信した。
かなり不思議な形でだが。
今まさに、柊うてなは
来るぞ。溜まりに溜まったベーゼ節がっ...!
「魔法少女だけじゃないっ!エノルミータあなたたちもです...!」
「ハァ?何言ってんだクソヤバおん」
「レオパルトさん!あなたは悪でありながら一途にアズールを愛し尽くしているッ!その姿はまさに"ヒロイン"!あと軍服モチーフも最高!!100億万点満点!!エモッ!!」
「な、何だよ急に...///」
「続いてネロアリスちゃん!かわいいかよ...!!アリスモチーフは女の子のあこがれぇ!!守りたい!!抱きしめたいッ!!」
「ヒェ...。」
「ロコムジカさんにルベルブルーメさん!幸せになって(懇願)!!どんな状況でもお互いを思い遣るその美しさッ!百合の鑑!!聖教典!!愛するが故にアイドルッ!!」
「て、照れるぜ...///」
「照れてる場合っ!?///」
凄まじい勢いでエノルミータへその愛を捲し立てるベーゼは、最後に私の方を向く。
「そして...アズール。...あぁ、足りません。足りませんねぇ。私があなたをどれ程想っているのか。言葉では到底言い表せません。悪でありながらその不屈の心、献身。あの時、あなたが見せてくれた
ベーゼからの熱い"告白"を受けて、私は魔力を最大限に解放してたこを凍りつかせる。
いつの間にか髪と角が伸びたベーゼに、一対一で向き合う。
「嬉しいわベーゼ!だけど、それは私も同じ!あなたが欲しいのッ!あなただけじゃない、マゼンタもサルファも!!みんな、みーんな可愛くて!素敵で!全員私のモノにしたいッ!!」
「分かりますよアズール!善も悪も関係ない!!みんな、可愛いから...だからッ!!」
「「めちゃくちゃにしたいだけなのッ!!!」」
想いが通じ合うって素敵。
私は涙を流しながら、笑顔でベーゼと切り結ぶ。
「......も、もう嫌や...!うち魔法少女やめるっ!!」
「えぇぇぇぇ!?!?!?」
「気持ちは、痛い程分かるぞ。うん...。」
「何これ...変態同士が乳繰り合ってるだけじゃない...。」
「スヤァ...Zz」
「アズールちゃんゲロヤバ...かみ...///」
愛すべきヒロインたちを脇に置き、私たち二人はただ砂上にて、二人だけの舞台を駆け続ける。
「さあ、始めましょうかアズール!あなた方が"魔法少女"になるかッ!!」
「あなたたちが"エノルミータ"に堕ちるかッ!!」
「どちらがすべてを手に入れるかの綱引きをッ!!」
「私たちの、愛の物語をッ!!」
「「変身ヒロインはッ!神ッ!!!」」
――――――――――――――――――――――――――
「なんだか今日は大変だったね~。」
「ほ、本当ね。エノルミータが出るなんて。あはは...。」
「スヤァ...Zz」
色々あって、もう日が沈んだビーチの夜。
私たちは事故で失ってしまった時間を取り戻すように、穏やかな時間を楽しでいた。
「おい、薫子なにスネてんだよ~。花火あっからお前にもやらせてやんよ~。」
「っさいわほっといてんか。」
「...んだよ~なんかあんなら言えよ~心配だろ~?」
「...はァ?アンタに関係な」
「ナカユビ。」
「ブチーン。」
「誰がお前なんか心配するかこのひんにゅー!ツンデレ~!」
「ファ○クッ!!その花火あんたのガバガバ□○△にぶち込んで爆発させたるわぁっ!!」
「望むところだこのバーロー!!」
...一部穏やかではないところもあるが。
軒並み疲れて眠っていたり、花火をささやかに楽しんでいる。
「あの、小夜ちゃん。」
「うてな。...今日は大変だったわね。お疲れ様。」
「えへへ...。小夜ちゃんもね。」
うてなと二人並んで線香花火を眺める。
その表情は晴れやかで、朝のモヤモヤ顔が嘘のようだ。
「...小夜ちゃん。私ね。」
「ん?」
「小夜ちゃんに、言いたいことがあって。」
「...。」
「わ、私...小夜ちゃんのことがっ...///」
「待って?」
うてなの口に人差し指を付けて、"その言葉"が出ないようにする。
「"それ"は、全部に決着が着いてから。その時まだ気持ちが変わっていなかったら。負けた方が、"それ"を言いましょう。」
「!...それって...///」
想いが通じるって、やっぱり素敵。
私たちは互いに頬を染めながら、今はただの"友だち"でいることを選ぶ。
「今年の夏は、楽しくなりそうね。」
「...うん。そう、だねっ。」
これから始まる未来の色に魅せられながら。
私たちの特別な休日は、線香花火のように儚くも、輝きを放ちながら過ぎていった。
変態二人にヒロインたちが四苦八苦するのがこの物語の基本です。
やっと方針が定まりましたね←
次回は閑話。
あるマスコットの日記と、ある人物の道行きを明かしていこうと思います。
要望は引き続き活動報告の返信にて募集中ですっ!