魔法少女にはなりません ~転生したらアズールだった件~ 作:月想
書いた人間が、朝陽という誰かを好きだったことだけが伝わってくる。
『ボクの日記』
□月○1日
目が覚めたら、真っ黒なぬいぐるみになっていた。
具体的に言うと、ヴェナリータだった。
不思議な夢だ。
二次元の夢を見るなんて、そんなにショックだったのか。
まあ、当たり前か。
あの子を救えなかった。
せっかくの夢だっていうのに、推しは出てこないし、ただ殺風景な廃墟で宙に浮いているだけ。
罰だって言うなら、もっとひどい目にあわせてくれよ。
約束を破ったボクを裁いてみろ。
もういい。
一眠りすれば、くそみたいな現実に戻るだろうさ。
日記機能が付いてるのか。
まあ、関係ない。
こんな夢、これっきりだろうしね。
□月○2日
目が覚めても、やっぱりヴェナリータだった。
わけが分からない。
転生ってやつか?
不摂生なのは認めるが、苦しみもなく即死するほど劣悪じゃない。
とりあえず、アジトを出て外の世界を見てみる。
意識するだけでゲート的なのが出てきた。
随分便利なぬいぐるみだ。
見た感想としては、別に特段変わったことのない街並みだった。
ただ、アニメイトじゃなくてマジメイトだったり。
ムダに方々に配慮した名前に変わっている店が多かった。
マジメイトといえば、マジアマゼンタの存在だけは確認できた。
グッズがあったし、比較的最近現れた魔法少女らしい。
いるんだな、魔法少女。
これは、マジなんだろうか。
□月○4日
2日程過ごしてみて分かったことがある。
まず、この世界は本当にまほあこの世界みたいだ。
柊うてなが、いた。
二次元じゃなくなって分かるものなのか疑問だったが、自然と彼女がそうであると分かった。
地味ではあるが、美少女だと思う。
マジアベーゼは、まだ誕生していない。
彼女を勧誘した記憶はこの体にはないし、まだ調査途中だったようだ。
キウィやこりすのことはノーマークだが、うてなに関しては異様に細かく調査している。
よほど彼女が好きなのか、それとも。
うてな推しと言えば、どうしても思い出す。
異世界転生、あるいは憑依。
そんなことがあり得るのならば、なぜボクなのか。
どうしてこの奇跡を、朝陽ちゃんにあげないのか。
神さまのいたずらにしては、あまりにも残酷過ぎやしないか。
□月○5日
シスタギガントが来た。
本物だった。
すごくでかかった。おっぱいが。
話を聞く限り、現在魔法少女狩りの真っ最中らしい。
原作を読んでも彼女の目的は不明な為、事務的な会話をしただけで深く踏み込むわけにはいかなかった。
ただ、イメージより少しだけ。
ロードエノルメとは仲が良さそうだった。
でも結局は裏切るんだろうな。
本当に、女の子はこわい生き物だよ。
△月○1日
小夜ちゃんを見つけた。
ボクの推し、マジアアズール。
マゼンタこと、花菱はるかと仲良く話す後ろ姿を見ただけだけど。
中学生とは思えないグラマラスだった。
ボクがヴァーツなら、色々あんなことやこんなことをしていた。
彼女はまだ、マジアアズールではないらしい。
エノルミータに誘ったら、ワンチャンないだろうか。
ないだろうなぁ。
△月○5日
朝陽ちゃんだ。
小夜ちゃんが、朝陽ちゃんだった。
魔物に襲われる小夜ちゃんが心配で、こっそり後をつけていたのだが。
マゼンタが小夜ちゃんを助けたタイミングで、何というか。
魂の色?みたいなのが変わったのだ。
変わったというか、色が濃くなった。
そして気付いた。
ヴェナの能力なのか分からないが、小夜ちゃんの中に朝陽ちゃんがいるのが見えた。
ボクの推しに、ボクの愛する人が宿っていた。
新しい人生を、生きていた。
神さま、ありがとう。
朝陽ちゃんは、救われていたんだ。
△月2△日
レオパルトが仲間になった。
原作で雑にエノルミータに所属したことは知っていたが、実際に目にするとあまりにもあんまりだった。
というか、承認欲求モンスターになるのはいいが、中学生でエロ釣りは頂けない。
ギリギリ投稿する前に止められてよかった。
ところで、小夜ちゃんはまだアズールになっていない。
サルファはもういるのに、彼女はどういうつもりなのだろうか。
まさかとは思うが、エノルミータに入るなんて言わないよね?
△月2○日
小夜ちゃんが、仲間になった。
アズールが闇堕ちした。
しかも二つ返事で。
まあ、鬼巫女モチーフはドストライク過ぎて控えめに言って最高だったんだけど。
そんなにあっさり原作改変して大丈夫なのかと思ってしまうが、これはもう朝陽ちゃんの新しい人生だ。
何も気にせず、ただ好きに生きて欲しい。
それに、ボクは嬉しい。
話せないとは言え、また朝陽ちゃんの側にいられるし、きっと助けられるタイミングもあるはずだ。
ああ、そうそう。
柊うてなは魔法少女になった。
初めは分からなかったが、小夜ちゃんの発言から察するにまず間違いないだろう。
それでもあの子はうてなを諦めてないみたいだ。
奇跡的に会えた推しだもんね。
ボクも限られた範囲だけど、キミをサポートすると誓うよ。
今度は、嘘にはさせないから。
△月2□日
ルシファアズールねぇ。
悪くはないけど、自分で名乗るには恥ずかしくないかい?
朝陽ちゃんはネーミングセンスが若干怪しかったからね。
まあ、何だかんだ後々馴染むのかな。
というか、中学生のくせにどこであんなにエロ本を集めてきたのか。
マリーノとのやり取りといい、どこであんなエッチな声とか反応を覚えたんだ。
まさか、ボクの進めた作品のせい?
18になる直前とはいえ、やっぱりアウト寄りの接し方だったかもしれない。
ともかく、この体がマスコットでよかった。
今日のはちょっと刺激的過ぎたからね。
△月2△日
推しに手榴弾を投げられた。
体は平気だったけど心が痛かった。
あと、レオパルトが漏らした。
アズールのせいだ。
ボクもちょっとチビりかけた。
朝陽ちゃん、こわすぎ。
◼️月4日
ネロアリスを二人に紹介した。
終始ボクをぬいぐるみ扱いしてくるので、抱っこされたままだったのが恥ずかしかった。
ただ、女の子特有のいい匂いだった。
朝陽ちゃんには言えないな、こんな感想。
ちなみに二人が来る前に、ボクの心のオアシスとしてこっそり入手したギャルモノのエロ漫画をこりすに見られた。
反省はしている。
でもボクは謝らない。
そういえば、ナハトベースの模様替えが必要かもしれない。
小夜ちゃんが不機嫌だったのを忘れていた。
◼️月□5日
小夜ちゃんに頼まれて、各地に魔物を召喚してみた。
やればできるもんだね。
一部始終を見ていたけど、やっぱり朝陽ちゃんは色々と考えすぎてしまっているようだ。
相談に乗ってあげたいが、今のボクには無理で。
これはもう、主人公を信じるしかないのかな。
もしくは意外とキウィとか。
そういえば、ボクが魔獣を呼び出したのは今回が初めてだ。
なら、今朝女の子を狙ったあの魔獣たち。
いったい誰が?
◼️月2□日
ロードと初めて話した。
もちろん、ヴェナではないボクの視点では、だ。
アズールたちを紹介したが、くだらんとかそんなことは言わなかった。
あんなに冷静でカリスマ溢れる感じだっただろうか。
何か底知れないものを感じる。
最近、定時連絡を入れてくるシスタの様子がおかしい。
嫌な予感がする。
◼️月○6日
失敗した。
引き合わせるならもっと注意を払うべきだった。
小夜ちゃんが大怪我をした。
朝陽ちゃんを、守れなかった。
ロードエノルメは、イレギュラーだ。
まさか、朝陽ちゃんとボク以外の転生者?
分からないが、とにかく対策を立てないと。
○月◼️1日
シスタとの連絡が取れない。
まさか、裏切った?
正直判断が付かない。
だけど、悪いニュースばかりでもない。
なんとアズールたちは、トレスマジアとの協力関係を築いたらしい。
これなら、あのロードに届くかもしれない。
小細工は必要だけどね。
○月◼️4日
レオアズがすごい。
えろすぎて心のち○ち□がおっきした。
やっぱ堕ちかけのアズールは最高だ。
それに中身が朝陽ちゃんだと思うと、なんかこう。
余計にムラムラした。
○月◼️1日
最終決戦が始まる。
ロードの結界を破るのに時間がかかったけど、何とか間に合った。
これで、アズールとマリーノをナハトベースに送り込める。
上手くいくかは分からないが、本来の彼女たちにさえなってしまえば、ロードを打倒することは難しくない。
トランスアイテムには相性がある。
うてなは特にその傾向が強い。
小夜ちゃんに関しては、知っている分薄氷巫女にまですぐなれるだろうという打算が強いが。
小夜ちゃん、怒ってるかな?
最近あまり会話できてないし。
なんて。
彼氏面かよ、気持ち悪い。
この日記、何か意味があったのだろうか。
誰に見せるでもなく、書かなくてもいいことを長々と。
めんどくさくなってきたな。
これで最後ってことにして、色々とぶちまけておこう。
ボクは朝陽ちゃんが好きだ。
何が好きって言われると困るけど、顔は可愛いし、
ノリがいいし、優しいし。
時々辛辣なとことか、スケベなシーンが実は好きなとことか。
ボクにとっては理想の女の子だった。
どうしても助けたくて。
でも、ダメだった。
医者なんて、所詮は今実在する知識しか使えない、始めから治せる治せないが決まっている職業だ。
ボクは無力で、神頼みくらいしか出来なくて。
ごめん。ごめんね、朝陽ちゃん。
キミをもっと色んなイベントに連れて行ったり、ボクのオススメするものじゃない、キミが自由に好きになった作品を見せてもらったりしたかった。
まほあこのイベントとか、二期もこの先あったかもしれない。
もっとキミとの思い出を、キミの笑顔を見ていたかった。
キミを助けられなくて、ごめん。
だけど、ボクたちはまたこの世界で出会えた。
こんな奇跡、チャンスは二度と起こらないだろう。
だから。
もしまたキミに命の危険が迫ったその時は。
どんな手を使ってでも、ボクはキミを救ってみせる。
キミの人生を、もう二度と運命に邪魔させたりしない。
その為にボクはヴェナリータになったんだ。
キミの人生が、今度こそ幸せで満ち溢れるものでありますように。
朝陽ちゃん。ありがとう。
日記はここで途切れている。