魔法少女にはなりません ~転生したらアズールだった件~   作:月想

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ここまでは思い付いた限りで書けてしまいました。
続けるかは考え中になります。
今回からまほあこお約束の刺激的な描写をスタートさせています。苦手な方はご注意を。
試しに読んでくださった皆さま、ありがとうございました!


第2話『魔法少女にあこがれて...?』

「柊さん、また明日ね。」

「!?ひゃ、ひゃい...。み、水神さん...また、明日、です...。」

「あたしもあたしも!うてなちゃん、また明日ね!」

「え、えへへ...。」

 

こんなわたしに声を掛けてくれるなんて...。

水神さんも、花菱さんもいい人だなぁ...。

 

「今日は、マジアマゼンタの新作フィギュアの発売日...。予約、できなかったから。急がないと。」

 

少し小走りに、学校から街のアニメショップに向かう。

 

わたしたちの街には、『魔法少女』がいる。

魔法少女マジアマゼンタとマジアサルファ。

悪の組織エノルミータと戦う、正義のヒロイン。

可愛くてかっこいい、素敵な変身ヒロイン。

 

「あこがれるなぁ...。わたしも、あんなふうになれたら...。」

 

なんて。

わたしなんかが、なれるわけないよね。

わたしは、可愛くてかっこいい魔法少女を応援できれば。

好きでいられればそれで満足。

それ以上なんて望まない。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「ありがとうございましたー!」

「えへへ...。」

 

買えた。買えちゃった。

『マジアマゼンタ 常夏ヒロインver.』初回限定特典付き。しかも、マジメイトフェアでマゼンタ缶バッジまで貰っちゃった。

 

「今日は、いい日だなぁ...。」

 

顔のニヤつきが抑えられない。

誰かに見られてないかな、大丈夫かな...。

 

「えへ...。」

 

今日は人生で一番いい日なのかも。

そんなスキップなんてしたくなる(できないけど...)幸せいっぱいな気持ち。

それに浸っていられたのは、この一瞬の間だけだった。

 

「ままぁ~っ...どこ~...っ...うわぁぁんっ!」

「!...ぁ...。」

 

大きな声で、お母さんを探す小さな女の子。

迷子、かな?

周りをキョロキョロしてみるけど、それらしい人どころか、人の姿もなぜか見当たらない。

 

「ど、どうしよう...。」

 

わたしが悩んでる間も、女の子はずっと不安そうに泣いてる。

わたし、はるかちゃんみたいに明るくないし...。怖がらせちゃったら...。

 

「でも...。」

 

もしここに、マゼンタがいたらきっと。

泣いてる子を見捨てたり、しないよね。

 

「だ、大丈夫...?」

「ふぇ...?」

 

勇気を出して、女の子にわたしは声をかける。怖がらないように、目線を合わせる。

 

「お母さんと、はぐれちゃったのかな...?」

「まま...うぇぇぇんっ!」

「わわっ!?」

 

お母さんを思い出して、また泣き出してしまう女の子。

ど、どうしよう!?と慌てながら、わたしは鞄の中を漁ってみる。

 

「そ、そうだ。マジアマゼンタ、好き?」

「まぜんた...?」

「うん。これ、あげるから。」

 

先ほど貰った、ちょうど女の子の掌くらいのサイズの缶バッジを渡す。

 

「マゼンタが一緒だから、もう怖くない、よね?」

「...うんっ!」

 

女の子は涙を拭いて、嬉しそうな顔で缶バッジを眺めていた。

よかった...。魔法少女は本当にすごい。

 

「交番に行くのが一番だけど、今はいないみたいだし...。おねえちゃんと、一緒にお母さん、捜そうか。」

「うん!」

 

荷物を片手に、もう片方の手に女の子の手を握る。

 

よくよく考えると、物で吊って誘拐するみたいな手口に見えるかも...。

あまり考えないようにして、わたしは最初の一歩を踏み出した。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「は、はぁ...っ...はぁ...っ...うぇっ...」

「お、おねえちゃん...だいじょうぶ...?」

 

人生で一番、間違いなく一番走った。

辛い、吐きそう...。

そんな気持ちを抑えつけて、女の子に大丈夫と答える。

 

「だ、だいじょ...ごほっ...おぇ...」

「ほんとにだいじょうぶ...?(汗)」

 

ど、どうしてこんなことに。

わたしはただ、迷子のお母さんを捜していただけなのに。

 

カタカタカタ!

 

「ひぇ...っ!?」

 

わたしたちは、魔物に襲われていた。

操り人形みたいなビジュアルの魔物。

前に戦っているところを見たことがある。

 

「エノルミータの魔物、なんでこんなところにっ...!」

「おねえちゃんこわいよぉ...!」

 

必死に逃げたのに、簡単に追い付かれた。

なんで追いかけてくるの?

無差別?わたしが狙い?...もしくは、この子?

 

「っ...!に、逃げてっ!わたしのことはいいから...っ!」

「で、でもおねえちゃん、ふらふらで...」

 

体力が限界なのも、体が震えっぱなしなのも女の子にはバレていて。

それが致命的だった。

 

『---!』

「だ、め...っ!」

 

声にならない叫びを上げながら、魔物が女の子に飛び掛かる。

わたしが心配させたせいで、逃げ出すのが遅れてしまった。

咄嗟に女の子を抱き締めて、盾になるわたし。

 

『魔法少女なら、きっと。』

 

もっと上手く、もっとかっこよく女の子を助けてくれるだろう。

でもわたしには、これが限界。

...それでも少しは。

わたしも、あこがれたあの姿みたいに。

 

「弱いもんいじめは、アカンなぁ。」

 

衝撃音。次に何かが崩れ落ちる音。

一向に襲ってこない痛み。

情けなくも、涙で濡れた目を開いてみる。

 

「よくがんばったね!うてなちゃんっ!」

 

そこには、あこがれたあの姿が。

『マジアマゼンタ』と『マジアサルファ』。

二人の魔法少女が立っていた。

 

「まぜんただぁー!」

 

女の子はわたしの腕から飛び出し、マゼンタに抱きつく。

慣れたように女の子をあやすマゼンタ。

涙を流しながら呆然とするわたしに、見慣れない装備をしたサルファが近づく。

 

「なんや、安心したら泣けてきたかぁ?まあ、しゃあないか。」

「うぅ...!お、推しに認知されてるっ...!(泣)」

「いやそっちかい!!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「まぜんたー!おねえちゃーん!ありがとー!」

「気をつけてねー!」

 

元気に手を振る女の子と、頭を下げる女の子のお母さんを見送る。

女の子の手には、嬉しそうに握られたままの、あの缶バッジが。

色々あって頭がパンクしそうだけど、でもなんだかんだ、いい1日だった、かも...。

 

「ウチはガン無視かいな...なんやねんサルファの何がアカンねん助けたのウチやろが...。」

「あ、あはは。サルファ、落ち着いてね...?」

「...そ、それじゃあわたしも、失礼しますね...。」

 

本当はもっと話したいしサイン欲しいし握手して欲しいけど。

推しは、あくまでも推し。

認知してもらえてるだなんて、それだけで贅沢過ぎる。

柊うてなはクールに去らないと。

......や、やっぱり握手だけでも。

 

「待ってうてなちゃん!」

「ま、またわたしの名前を...!?えへへ...!」

「なんやけったいなお人やね。」

 

マゼンタに呼び止められ思わず停止するわたし。

振り返ると、ふわふわとぬいぐるみのようなものが目の前に現れていた。

 

「こんにちは!柊うてなさん!」

「あ、あなたは...っ!平凡な女の子に魔法少女の力を与えてくれる系マスコットのヴァーツさん、では...!?」

「詳しいですね!僕はヴァーツ。わけあって彼女たち魔法少女のサポートをしています!」

「あ、あ、どうもこれはご丁寧に...。柊、うてな、です...。」

 

生で見るのは初めてだ。

まずい、今日は初対面の人と話しすぎてもうキャパがいっぱい...。

 

「それでですね。もし、よろしければなんですけど。」

「は、はい。なんでしょう...?」

「柊うてなさん。あなたも魔法少女になって、一緒にエノルミータと戦ってくれませんか?」

「...........んん?」

 

なんだろう。

何か、マスコットに言われたいセリフランキング1位みたいなことを言われた気がする。

そんなことは、あり得ないはずなのに。

 

「ピンと来とらん顔やね。」

「うてなちゃん!あたしたちと、魔法少女やらない?!」

「まほう、しょうじょ...?」

 

マゼンタと、サルファと。

魔法、少女...?

 

「がくっ...」

「あ、気絶してしもうた。」

「うてなちゃん!?」

 

か、神さま。

本当に、今日は。

人生で一番、信じられないくらい。

幸せな、一日でした。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「マジアマゼンタ!」

「マジアサルファ。」

「ま、まじあ...マジア、マリーノっ!」

「悪だくみはゆるさないぞっ!魔法少女トレスマジア!ここに参上っ!」

 

かっこよくポーズを決めるマゼンタとサルファ。

しゅごい。推しがこんなに近い。でへへ。

じゃなくて。

 

『展開がっ!はやすぎるっっ!!!』

 

なんだ、マリーノって!

ただでさえ心も体もパンク気味なのにあこがれの魔法少女に勧誘されて。

混乱した挙げ句

 

『じゃ、じゃあ、まあ...はい...。』

 

とか雑に了承して、考える間もなくエノルミータが出たからって変身させられてこうなってしまった。

 

待って、待って...。

追い付かないよ、感情が。

 

ところで『トレスマジア』ってすごくかっこよくていい名前だと思う。推せる。さらに推せる。

あっ。わたしもその一員で魔法少女だった。

うふふ。あはは。

 

「あははじゃないよぉ...(泣)」

「いくよ!サルファ!マリーノ!」

「ええよ!」

「ひゃい...?」

 

勢いよく突撃していくマゼンタとサルファ。

わたしは何をしたらいいか分からず、ただ初めて相対した"敵"を見つめる。

 

「な、なんで...ちゃん、が...。」

 

名前もまだ知らない、恐らくエノルミータの幹部クラス。

和風かつ露出が多い服装に、鬼の角。

まさに悪の女幹部な見た目だが、すごく美人だ。

あと何か、わたしの魔法少女センサーに引っ掛かるような、違和感?があるような...。

 

「たあぁっ!」

「っ!」

 

どこか呆然としていた悪の女幹部さんは、振り下ろされたマゼンタスピアーに気づき回避。

続くサルファの拳を水のベールで受け流してみせた。

...というか、サルファは防御型魔法少女だったはずでは?

あんな近距離パワー型の戦い方をするだなんて、初めて知った。

わたしの知らない推しが供給されてる。

ゾクゾク...。

 

「逃げるんは得意みたいやねぇ。」

「...あら、逃げるだけじゃないってこと。その体に教えてあげようかしら。」

 

女幹部さんがそう言い返した次の瞬間。

マゼンタとサルファの両手両足が、どこからかあらわれた『氷』に覆われて動きを封じられてしまった。

 

「なっ!?」

「ちっ!?」

「あぁ!?ま、マゼンタちゃん、サルファちゃん...!」

 

近くにいないわたしは拘束されていない。

た、助けなきゃ...!

 

「で、でもどうしたら...」

「......あの子はまだ戦い方を知らないようね。」

 

女幹部さんは動けない二人に近づき、その手に作り出した氷の刃を振りかざす。

 

「きゃあっ!?」

「っ!?」

 

残酷にも振り下ろされた凶刃。

それは二人の肌を容易く切り裂...かなかった。

 

「ななっ、なっ...!?///」

「何をしとんねんっ...!!///」

 

刃が切り裂いたのは、二人の衣装。

しかも、ちょうど"局部だけ"が見えるようになっている。

 

『キャー推しの乳首と□□□□がまるみえにー!!』

 

見ちゃダメと思いつつ指の間からしっかり見通しているわたし!

じゃなくて助けなきゃ!

はっ!助けようとして見えてしまうのは仕方がないことなのではー!?

 

「...ふふっ。」

 

女幹部さんはわたしの方をチラッと見て、再び刃を手に二人に近づく。

 

「ひゃうっ!?///」

「冷たいでしょう?ほら、ツンツン。」

「んぅっ!?や、やめぇや...!///」

 

氷の刃の腹で、二人の乳首を器用につつく。

冷たさ故か、二人のそこは硬く尖っていっているように見えて...。

 

「ブッ...。」

 

ま、まずい鼻血が...。

じゃなくてっ!

卑劣にも程がある!正義のヒロインである魔法少女に、こんな!こんなっ...。

 

「ここもこんなに硬くなって...。」

「やっ...そこは、だめぇ...///」

「ま、マゼンタ...っ!きさまぁ!!///」

「ほら。長くくっつけていると、氷が溶け出して...」

「や、やめっ...!?ひぎぃっ!///」

 

くっついた局部を無理矢理剥がし、痛みと快感が魔法少女を襲う。

 

「ま、マゼンタが...サルファがっ...ハァ...ハァ...っ」

 

女幹部さんはニヤリと笑いながら、氷の刃を消し、今度は水を使って何かを形作っていく。

 

「あれは...鞭...?」

 

女幹部さんは、そのまま鞭のようにしなった水を振りかぶり。

 

「あひぃっ!?///」

「ぎぃっ!?///」

 

二人の乳首を鋭く叩いた。

 

「ぁ、が...///」

「ぎぃ...っざまぁ...///」

 

かつてない衝撃に体をひくつかせるしかできない二人。

そんな二人を見て、更に攻め立て笑う女幹部さん。

は、早く助けないと。

助けないと、なのに。

なのに...。

なんで...!

 

『なんでこんなに興奮しゅるのぉ...!?♥️』

 

わたしの仲間が。

わたしの、あこがれの魔法少女が。

可愛くて強い、魔法少女が。

こんなに酷いことをされてるのに。

なんでこんなにわたしは、気持ちよく...。

 

「うふふ...。」

 

気付いたら、女幹部さんはわたしの目の前にいて。

艶かしく笑いながら、わたしの頬を撫でる。

 

「あなたは、まだ蕾のまま。わたしが、必ず咲かせてあげるわ。とってもキレイな花を。楽しみね。あなたの咲かせる、悪の華。」

「悪の、はな...。」

 

呆然とするわたしに微笑み、女幹部さんは闇に消えていく。

操り主が消えたことで、拘束していた氷は溶けて二人が解放される。

責め苦に耐えかねた二人はそのまま、力無く地に倒れ伏した。

 

「ぁ...ぁぁ...///」

 

わたしも、脳のキャパシティがいよいよ限界を突破して。

体から力が抜け、ついに気絶してしまった。

 

わたしは、魔法少女に"あこがれてた"はず、なのに。

これじゃあ、まるで。

まる、で...。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「なかなかの攻めだったね。」

「お褒めに預かり光栄だわ。」

 

誤算だった。

まさか、うてなちゃんが魔法少女になってしまうなんて。

わたしが魔法少女にならず、エノルミータに入ったせい?

バタフライエフェクト。

というより、間近で巨大扇風機を回し始めたようなものか。

 

甘過ぎた。よく考えるべきだった。

"水神小夜"がトレスマジアにならなかった影響を。

 

「君がエノルミータに入ってくれれば、魔法少女なんて敵じゃないね。」

「ええ、そうね。今のトレスマジアならわたし一人で倒せる。...けど、あなたの狙いはそうじゃあないでしょ?ヴェナ。」

「...どういう意味だい?」

 

ヴェナリータ。

わたしの中のまほあこ知識を以てしても、結局これの目的は分からず終い。

ただ、単純に魔法少女を倒すことが目的でないのは分かる。

最初期にロードエノルメたちをトレスマジアにぶつければそれで終わる話だからだ。

物語の『黒幕』、あるいはそれに近い存在ではあるはず。

わたしが最も警戒しなければならないのは、間違いなくこのヴェナだ。

 

「上手く使われてあげるって言っているの。わたしの邪魔をしなければ、ね。」

「...なるほど。それで?小夜は何がしたいんだい?」

「簡単よ。わたしは魔法少女を。『マジアマリーノ』を闇堕ちさせる。」

「マジアマリーノ...。彼女とキミにどんな関係が?」

「ただの一目惚れよ。わたしは彼女が欲しいの。」

「...へぇ。」

 

うてなちゃんがいるべきなのは、トレスマジアなんかじゃない。

彼女は"エノルミータの総帥"としてわたしたちの上に立つべきだ。

その証拠に、先ほどの"実験的な"魔法少女への陵辱。

仲間となった魔法少女たちのあられもない姿に、確かに彼女は興奮を覚えていた。

わたしが介入したことで、うてなちゃんの本質が変わったわけではないのだ。

隙はいくらでもある。

 

「まあ、仲間が増えるのはいいことだからね。それでキミが協力してくれるなら、ボクは構わないよ。」

「そう、ありがとう。これからよろしくね、ヴェナ。」

「よろしく、小夜。」

 

お互いに形式だけの、にこやかな握手をする。

ヴェナが何を考えていようと、しばらくはどうでもいい。

わたしはうてなちゃんを、あるべき姿に。

そしていつか、わたしはうてなちゃんの愛を手に入れる。

 

「待っててね。私の、ベーゼさま...♥️」

 




キウイちゃんが最大の問題なんですよね、この作品。
どうしたもんか...。
あまり絵文字は使いたくなかったのですが、この作品にはハート絶対いるな(確信)と思って敢えて使用してます。
嫌いだったらすみません...。
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