魔法少女にはなりません ~転生したらアズールだった件~ 作:月想
祝!まほあこ二期決定!
SM大感謝祭の感想なんかも活動報告に書いちゃいました。
そんな中、こちらは二部最終決戦となります。
今後については後書き、活動報告をご覧ください。
タイトルに個人的な二部テーマソングを含ませています。
良かったら聴いてみてくださいね。
「おらおらぁ!これで100体目ぇぇ!!」
魔物入り乱れる地獄と化した街中。
人々を避難させた今も、トレスマジアとエノルミータは抗戦を続けていた。
「ん...!」
『ヴォワ・フォルテっ!』
「ちくしょう!無限湧きかよ...!」
それぞれに疲労の色が見え始めるが、一向に数が減る様子はない。
「サルファ!まだいけるよね?!」
「当たり前や...!こない雑魚いくら相手しても大したことあらへんっ!」
「あれ~?正義の味方のマジアサルファさんはぁ~今まで何体倒したのぉ~?アタシは100体だけどさぁ~?ちまちま殴んのじゃ半分も倒せてないんじゃね~?悪の組織に負けて恥ずかしくないのぉ~?まあしょーがないかぁ~。殴るしか脳がねぇもんなぁ~!」
「何細かく計算しとんねん...!二度と数数えられん頭にしたろかコラぁっ!!!」
「ま、まあまあ...。一応手伝ってくれてるんだし、今は抑えて、ね...?」
圧倒的数に人々を守ることすら危うかったトレスマジア。
大群を相手にするのが得意なベーゼもおらず、絶体絶命のピンチ。
そこに現れたのは、宿敵であるエノルミータであった。
何だかんだ共闘が板に付いてきてしまっていることは置いておいて。
警戒するサルファを無視して、同じ場所で共に抗戦することとなったのだった。
「こんままや埒が明かへん!
一気にぶち飛ばしたるっ!」
「サルファ!無茶しないでね!」
「お互い様や!」
『
体力の消耗が激しい為今まで出し惜しみしていたが、やはりその力は圧倒的。
漸く感じた手応えにサルファの表情も明るくなる。
「どやっ!一気に100は消し飛ばしたで!」
「あ!ずっけぇ!?おいひんにゅー!こんな雑魚に真化使ってんじゃねーぞ!ルールいはんっ!シッカクっ!おまえの負けぇ~!」
「おーおー。ちょい本気出しただけでえらい吠えはるねぇ。そないにウチに勝つ自信がないんやろかぁ?尻尾巻いて逃げてもろても構わんけどぉ~?」
「んだと~...!?」
食って掛かるレオパルトに気持ちよく罵倒を返すサルファ。
いつもなら"勝負"というところに文句を付けるはずの彼女だが、今日はプライベートでムカつく奴をこてんぱんにし損ねた日。
売られたケンカで発散したくてしょうがなかった。
『
「"シュトラール"!...よっしゃ今ので150追加~!真化したレオパルトちゃんがさいきょー!やっぱおまえの負け~!!」
サルファに対抗しクソつよステイトに変身するレオ。
迫る魔物を一網打尽に撃ち抜き、サルファに向かってガッツポーズを見せる。
「ちゃんと数えてへんやろ!150もおらんかった!」
「目ぇ腐ってんじゃねーの~?ちゃんと150いましたぁ~!何なら200くらいいましたぁ~!アタシのぷりちーなお目めで見てましたぁ~!」
「腐ってんのはあんたの脳みそや!結局真化使っとるし反則はどこ行ったんや反則はぁ!!」
「うっせぇひんにゅーマジア!ひんにゅーのくせにチャイナドレスなんか着んなばぁーか!!」
「更に痴女丸出しのあんたに服装とやかく言われる筋合いないねんっ!普段といいあの化け猫モードといい、いらんもん見せんなや変態!!」
「クソかわせくしーなアタシのぼでー見れんだから感謝しろ!!」
「するかどあほっ!!」
またしても言い合いに発展する二人。
お互いに協力すれば状況を好転させることも出来るはずだが、そこは犬猿の仲代表。
相変わらずチームプレイは期待出来そうにない。
「ちょっとレオ!?」
「んだよっ!」
「サルファ!?後ろ後ろ~!!」
「後ろ...?」
『アアアアアアアア!!』
二人の背後に迫る、一際大きな影のような魔物。
仲間たちが焦り呼び掛ける中、二人は額に青筋を浮かべながら、一瞬で魔力を解き放つ。
「「邪魔。」」
『ギャアアアァァ!?』
影を貫き消し飛ばす、黒と黄の稲妻。
あまりのパワーに驚愕する仲間たち。
「アタシが倒した。ので!+1000点!!」
「なんやねんそのガバガバ計算!大体今のはうちが倒した。あんたより0.03秒うちの方が速かったやろ!!」
「知るかばーか!こまい計算してんじゃねーぞだからひんにゅーなんだよひんにゅー!!」
「関係あらへんし乳のデカさしか見とらんのかこの牛女!!」
「あぁ!?アタシはアズールちゃんのデカ乳もデカ尻も顔も髪も中身も全部愛してるに決まってんだろ!!」
「聞いとらんわっ!!///」
彼女たちとしてはただの有象無象を片付けたに過ぎない。
言い合いを続ける二人を呆然と見上げるその他大勢は、溜め息を吐いてその場に座り込んでしまう。
「すごいよね、二人とも...。」
「もうアイツらだけでいいんじゃないの?」
「やってらんねぇー...。」
「ムス...。」
四人も全力で戦っていたにも関わらず、真化コンビの半分にすら届いていない撃破数。
あまりの力の差に、マゼンタ以外は完全にやる気を失っている。
「あー!もうつっかれた!こんなのアイドルがやる仕事じゃないのよ!」
「カッコつけても、真化出来ないアタシらじゃ付いて行くことすら出来ねぇってか...。」
「ムスゥ...。」
「みんな...。」
憎まれ口や膨れっ面をしているが、三人共『自分にもっと力があれば。』と思い憤っているだけ。
その気持ちを一番よく知るマゼンタは、どうにか三人を鼓舞しようと考える。
「大丈夫!二人に出来たんだから、きっとあたしたちも真化出来るよ!それに、今のあたしたちにだって出来ることは必ずあるはず!何も出来ないなんて思っちゃダメだよ!」
「マゼンタ...。」
「それは、そうだけど...。」
「ムス...。」
マゼンタの激励に頷く気持ちはあるが、具体的にどうやったら真化出来るのかも分からないし、何が出来るのかも分からない。
いまいち立ち直り切れない三人。
「...じゃ、じゃあ!イメージしてみようよ!」
「イメージだぁ?」
「自分が"真化した姿"をだよ!サルファに聞いたんだ、自分が一番いいと思う姿になれるって!」
「...?」
「あたしから言うね!えーっと...そうだ!お姫様みたいにふわふわで可愛いのがいいな!」
「んな格好で戦えんのかよ?」
「あ、あ~...そっか...。」
「パタパタ!」
「...でも、アリスも"可愛いのがいい"ってさ。」
「アリスちゃん...!そうだよね!可愛い方がいいよねー!」
アリスが乗ったことにより、ロコルべもまた暇潰しとばかりに自分の理想の真化について話始める。
「ロコはもちろん、キュートでスーパーでパーフェクトなアイドル衣装に決まってるわ!」
「全裸にはなるなよ...?」
「ならないわよっ!?なるわけないでしょ!!///」
「あはは...。ロコちゃんなら、きっとすごく可愛い衣装だと思うよ!」
「ふ、ふふんっ。当然じゃない!
ルベル、そーゆうアンタはどんなのがいいのよ?」
「アタシは...忍者、とか?」
「ププ。アンタは忍者じゃなくて陰キャじゃない。」
「んだと!?ゲーム好きを全員陰キャ呼ばわりとか、これだからファッション陽キャはよぉ。」
「ファッションじゃないわよ!ロコのオーラは太陽のように輝いてるんだから!崇めなさい!」
「崇めねーよ。」
いつの間にか普段通りの元気さになった三人を見て、マゼンタは優しく微笑む。
まるで友だちと話しているかのような気安さが、彼女自身の心も癒したのだった。
「みんなで出来るといいね、真化!」
「そしたら圧倒的に不利だぞ?お前ら。」
「あ、そっかぁ!」
「まったく...ホントにアンタって娘は。」
「コクリ。」
「ちょお!マゼンタ!?」
「おまえらぁー!ふくそーすい働かせてサボってんじゃねーぞ!!クソ疲れんだぞこれー!!!」
息を切らして四人に呼び掛けるレオとサルファ。
魔物は大分減ったようだが、体力の消耗が激しくやはり二人だけで突破は厳しいらしい。
「...しょーがないわねぇ!」
「ま、アタシらがいなきゃこんなもんだよな。」
「コクコク。」
「みんな...!うん!一緒にガンバろう!」
今の自分たちに出来ることを。
その言葉を胸に、四人はまた戦場に戻っていく。
しかし、"異変"は既に始まっていた。
「待ちぃ!なんや、あれ...!」
「うわ、クロ...なんかキモ。」
地上から空に上がり、そのままある一箇所に降り注いでいく"何か"。
本能的にその危険性に気付くヒロインたち。
誰ともなく、全員がその場所へ向かって飛行を開始した。
決戦の時が来たのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――
「"呪い"...。」
ヴェナから告げられた真実。
魔法とは違う、呪いという力。
その塊に、うてなは飲み込まれてしまった。
私たちの目の前に聳え立つ、呪いの化身。
「小夜はどうするつもりかな?先に断っておくが、"呪い"は
「...名前を付けるのが得意なのね。実は5ヶ国語くらい喋れるんじゃないの?」
ヴェナは淡々と私に『諦めろ。』と言葉を綴る。
当然、私は頷かない。
アズールソードを作り出し、拳を強く握り締める。
「待てアズール...!お前ももう真化する力は残っていないはずだ...!無駄死にするつもりか!?柊が最後に何故お前を変身させたのか、分からないわけではないだろう!?」
「分かっていないのはあなたの方よ。」
「お前...!」
「うてなは諦めたんじゃない。
あの時、うてなは体を拘束され。
私はトランスアイテムを奪われていた。
絶対に二人まとめて囚われてはいけないと、うてなはそう判断した。
何故なら、片方と
「みち子、ヴェナ。"
「!...まさか。」
「やるつもりなんだね。でも、それにはキミのトランスアイテムが必要だ。あの巨大な体のどこにそれがあるのか、小夜には分からないだろう?」
「それでも、やるしかないわ。
あれを倒せる可能性は、あるのかしら?」
「...ああ。キミならね。」
「ありがとう。...それじゃあ、ちょっとだけ。試してあげましょうか...!」
私のトランスアイテムを何としてでも取り返し、二重変身でうてなを救い出す。
やるしかない。
たとえ真化すら出来ない絶望的状況でも。
今の私は"マジア"アズール。
決して屈することは許されない!
「待て!水神っ!」
「みち子、蘭朶さんを連れて早く逃げなさい。...もし、私が失敗したら。最後の希望はあなたよ。みんなを、お願いね。」
「!?...どこまでお人好しでいるつもりだ!お前の仲間はお前が面倒を見ろ!そうでなければ、私は承知しない...!」
「...そうね。そうしたい...ところだけどっ!」
みち子に後を託し、私は
特に迎撃もされず、奴の腕まで辿り着く。
そもそも敵だとすら思われていないらしい。
「虫ケラ扱いというわけね...!」
手から肘、肩へと登って、頭の正面に飛び上がる。
人型であるというだけの安直な理由だが、手当たり次第にやっていくしない。
「喰らいなさいっ!」
一応人体の急所である頭へ向かって、全力で巨大化させたアズールソードを振り抜く。
何とかその黒く暗い体表を切り裂くことが出来たが、問題はその後。
『グルル...!』
「影の魔物っ!?きゃああ!?」
中から覗いていたのは、夥しい数の影のような魔物、呪いの化身たち。
私を視認した瞬間、中から何体も飛び出し、私の体をその爪で切り裂く。
「ぐっ...この...!!」
何とか斬り倒すことは出来たが、その残滓は
またマルディシオンに吸い込まれていった。
ヴェナの話が正しければ、結局倒せてはいないはず。
「なるほど...最悪ね、これは...!」
空中に大量の氷の刃を生成し、一斉に頭へと放つ。
倒すというより、掘っているのに近い感覚。
トランスアイテムがあるようには見えなかった。
「来る...!」
お返しとばかりに私に襲い掛かる呪いたち。
それを先程と同じ氷の刃で迎え撃つ。
「ハァ...!ハァ...!」
魔力消費は尋常ではなく、既に弱っていた体はフラつき、力も段々抜けていく。
「私は...負けない...!」
命が削られるような感覚も無視して、私は再度同じように刃を放つ。
諦めるわけにはいかない。
最後の、その瞬間まで。
私は...!
「っあ!?」
呪いたちの攻撃をかわし切れず、ついには武器であるステッキを取り落としてしまう。
迎え撃つ術を失った私に、無数の魔物たちが降り掛かる。
「ああぁぁぁっ!?!?」
体中を切り裂かれ、衣装はズタボロ。
意識を失いかけて、飛行すら不能になる。
墜ちていく体。
遠ざかっていくマルディシオンに手を伸ばす。
「ぅて、な...っ」
「アズールちゃああぁぁんっ...!!」
ついに諦めかけたその時、名前を呼ばれ誰かに抱き止められる。
その声も、抱かれる感触も間違えるはずがない。
「レ、オ...。」
「だいじょぶアズールちゃん!?てかその格好なに!?てか何なんあのバケモン!?」
「話すと、長くなるわ...。」
「んじゃいいや!どする?ぶっ倒す?」
「一度、退いてくれる...?」
「りょーかいっ!」
こんな状況でも笑って従ってくれるレオに内心またキュンとしながら、周りの状況を再度確認する。
レオが来てくれたと言うことは...。
「いたぞあのバカ!勝手に突っ込みやがって!」
「抱えてんの誰よ!?アズール...のはず、よね?何で今、ロコ...。」
「フリフリ!」
アリスにロコルべ。
ちゃんと来ていてくれた。
無事だったことが何より嬉しい。
「危ないですから避難を!」
「何でこないなとこにおんねん!うちが連れてくさかい、はよ掴まりぃ!」
「い、いや...私たちはだな...?」
みち子と話しているのはマゼンタにサルファ。
よし、あの二人もいるのは心強い。
今回ばかりは協力してもらおう。
一度体勢を立て直す必要がある。
『ヴェナ、どこかに一度ゲートを開ける?作戦会議がしたいの。』
『同じことを考えていたよ。すぐに用意する。キミたちも急いだ方がいい。』
マルディシオンの方に顔を向けると、何やら体から一回り小さな魔物を複数体造り出しているのが見えた。
感じる力は大したことないが、その数と大きさが問題だ。
「みんな、このゲートの中に入るんだ。」
「ヴェナさん!?」
「トレスマジアの二人もね。一般人を救いたいなら、一緒に来た方がいい。」
「っ...行こう、サルファ!」
「罠かもしれん...けど言うとる場合とちゃうか。しゃーないなぁ!」
ロコルべが、アリスが。続いてみち子たちを連れたトレスマジアがゲートへ飛び込む。
「捕まっててアズールちゃん!」
「ええ...!」
「あぁ~...アズールちゃんのなまちちがアタシのおっぱいに触れてりゅ...///」
「もう、レオっ!///」
こんな時でもマイペースなレオに文句を言いつつ、私たちは何とかゲートに逃れることが出来た。
―――――――――――――――――――――――――――――
「これで大丈夫です!今は眠ってるだけですよ!」
「あ、ああ...。すまない、助かった。」
「いいえ!みんなを助けるのが、あたしたちの役目ですから!」
「みっちゃん...ケッコン...えへ...///」
「彼女さん、寝言おっきいですね!」
「いや彼女ではないしいつもの若さ故の戯言だから気にしないで欲しい...。」
気まずそうにマゼンタと会話するみち子。
あれが素のみち子というわけだ。
結構常識人っぽいのに、あのロードエノルメだったんだよね。
つい面白くて眺めていると、彼女のスマホに着信があったようだ。
慌てて受電する姿が妙に親しみやすい。
「...なんだ、百花か。」
『なんだとはなんですの!?わたくしがどれだけ心配したかそのピチピチのお身体に分からせてやりますわよ!?』
「切るぞ。」
『シオちゃんさま塩すぎですわ!?待って下さいまし!無事なんですわね!?蘭朶も一緒で!』
「ああ。切るぞ。」
『ちょっ!?まっ!?嫌な予感ビンビンですわ!?もしかしてわたくしの出番これで終わりなのでは!?
あんまりです!わたくしの影薄過ぎぃ!?』
会話は聞こえなかったが、ブチッ。と切られた音だけが聞こえた。
何か忘れているような気がするが、まあいつも通り気のせいだろう。
「お待たせ!...話を続けてもらえるかな?アズールちゃん。」
「ええ...。」
蘭朶さんの治療を終え、マゼンタがこちらに戻って来る。
ナハトベースに一時的に避難し、全員で円卓を囲み作戦会議を始めた。
みち子たちの素性を隠し、これまでの経緯を語る。
敵の正体に、ベーゼが囚われてしまったこと。
話が進むに連れて、それぞれがそれぞれの理由でその表情を暗くしていく。
「クソっ...!あんのデカブツ!ベーゼを、うちの仲間に何してくれてんねん...っ!」
「魔法少女の、呪いなんて...そんな...。」
「ロコの、あの子たちのライブが無茶苦茶にされたのも...元はロコたちのせいってこと...?」
「ロコ...。」
「落ち込んでる場合じゃねーぞお前らー!
大事なのはどーやってあのデカブツ倒して中にいるベーゼを引っ張り出すかだろーが!今からその話をアズールちゃんがすんだからな!はいちゅうもーく!!」
動揺するみんなを一喝するレオ。
らしくなく冷静な発言だが、内容は正しい。
全員嘆くのを止めて私に視線を向け、
全員顔を赤らめている。
私も含めて。
「あ、あの...レオ...?///」
「なぁに?アズールちゅわぁ~ん。」
「...隠すくらい、自分で出来るのだけど...?///」
円卓の中心に私は座っていて。
みんなの顔が一番見易い位置だ。
だが、今日は今まで一度も。
誰とも目が合っていない。
それもそのはず。
今私はマジアアズールの姿のわけだが。
万が一変身が解けると、ロコたちですらすぐには分からなかった優秀な認識阻害がなくなり、マゼンタたちに正体がバレてしまう。
ただでさえ魔力切れ直前の私。
変身以外で魔力を節約したいが為に、"破れてしまった衣装"もそのままにしているわけだ。
つまり...。
「ヤだ!アズールちゃんの乳首はぜぇっったいに誰にも見せんっ!!」
「いや...だから自分で...///」
「任せてっ!アズールちゃんの乳首はアタシが守る!アズールちゃんはお話に集中してどぞぉ!!」
「だから集中できなあはぁぁんっ!?///」
「ごめんつい心地良すぎて手が勝手にぃ~///」
まさかのレオによる手ブラ状態。
勿論善意はあるのだろうが、たまに揉んでくるのはどう考えてもわざとだ。
そんな場合じゃないのにっ。
あ!らめっ...乳首は弱い、からっ...!///
「何を見せられとんねんっ...!!///」
「ロコたち今すごく真面目なシーンだったでしょーが!?///」
「やっぱお前らバーカ!バーカバーカ!///」
「スピー。」
「見てない!あたし見てないからねっ!?///」
指の間から目がこんにちはしてるわよ、マゼンタ。
さっきまでのシリアス空気は似合わないし、私たちはまあ、こんなんでいいのかもしれないけれど...。
うてなが捕まってるのにキウィに乳揉まれて喘いでるとか。
もしかして私、最低なのでは...?
「みんな、見なくていいから聞いてちょうだい。相手が呪いである以上、ただの魔法では有効打足り得ない。だから、
「なぁにそれ~?」
「二重って、何が二つになんねん?」
「簡単に言えば、"エノルミータ"のトランスアイテムと、"魔法少女"のトランスアイテム。その二つを一人が使用して、真化をも超える力を発揮した状態のことよ。ベーゼがロードを倒した時に一度使用したわ。」
「エノルミータと、魔法少女...。」
概要だけ言えば以上だ。
そんなお手頃にやれるなら、さっさとやってしまえという話になりそうだが...。
「だから、マルディシオンに奪われたトランスアイテムを...何としても取り返さなければいけないの。」
「え。でも、エノルミータのトランスアイテムが必要なら...仲間の誰かから借りればいいんじゃないの?」
「そうじゃん!冴えてんなマゼンタ!アズールちゃんアタシの使って!アタシのをずっぽしアズールちゃんに一体化させてぇ~!///」
「流石にそろそろ怒るわよ?」
「そういうわけにもいかないのさ。」
いい加減レオを甘やかすのを止めようかと思ったタイミングで、押し黙っていたヴェナがみんなの前に進み出る。
「アズールのトランスアイテムに、ベーゼのトランスアイテム。二重変身が可能なのはその二つだけだからね。」
「何でよ?アズールたちのだけ特別製なわけ?」
「
「やっぱ只者じゃねェな、ベーゼのやつ...。」
「素晴らしいポテンシャルだよ。是非我が組織に入って欲しいね。」
「この子ヴァーちゃんにそっくりなのに悪い子だ!」
「そりゃそうやろ...。」
腹黒いのには困っているが、説明が上手いのは助かる。
これで全員に状況は伝わったはずだ。
「じゃあ...何とかしてアズールちゃんのアイテムを見つけて取り返して。
それでアズールちゃんが二重変身。
マルディシオンを倒して、ベーゼを助ける。っていうのが作戦かな?」
「その"何とか"が問題なんでしょ?
どーすんのよ?あんなバカデカいやつの中の、たった1つのお宝探しなんて。」
「宝くじ買った方がまだ期待値高いんじゃねーの?」
「それは...。」
つい先程試したばかりの私には耳が痛い話だ。
何かいい方法はないのだろうか。
なければそもそも詰んでいるようなものだが...。
「そこは問題ない。
「......ハァっ!?」
「あぁアズールちゃらめ激しく動いちゃ...ふわふわが指にムニるぅ...///」
「ヴェナリータあなた...!何で私に黙って...っ!」
「最後まで話を聞いてくれなかったのはキミじゃないか。カッコつけて死亡フラグを建てるのは良くないよ。」
「かかカッコつけてないけどっ!?///」
普通もっとちゃんと止めるでしょう!?
何なんだこのマスコット!?
下手したら私死んでるんですけど!?
「まあ、知っていたとしても今のアズールだけで突破は無理だ。もし場所を教えていたら、キミは更に無茶をしていただろう。切り札に消えられては困るし、止めたって聞かないからね。」
「あ~...。」
「こいつクールキャラに見せかけて直情型だしな。」
「ぶっちゃけ珍しくヴェナが正論ね。」
「コクリ。」
「あ、あなたたちね...///」
全員後でお仕置きが必要なようね。
今の失言は覚えておきましょう。
「というわけで、作戦を考えたよ。」
「ヴァーツはん並みに有能やないの。」
「褒められてるのに嬉しくないね。
まずはモニターを見て欲しい。」
現れたモニターに映し出される映像。
それは、今まさに動き出そうとしているマルディシオンの姿だった。
街外れなのが不幸中の幸いだが、少しでも移動すれば街がめちゃくちゃ所の騒ぎではない。
「やっぱでけぇな~。」
「数が、増えてる...?」
「その通り。あれはきっと、ベーゼの力を利用した"眷属"さ。マルディシオンを守るように壁を作っている。」
「なら、そもそも眷属を倒さなきゃ」
「本体に触れることも出来ひん、ちゅうことやな?」
「どーすんのよそんなの!?」
「ここからが"作戦"だよ。」
得意気にホワイトボードを出現させるヴェナ。
え、ここそんな備品あったの...?
何で総帥に教えてくれないのよ。
「いいかい?今回の目的は『トランスアイテムを取り返すこと』だ。つまり、
「さっすがアズールちゃん!!」
「そりゃまたえろう責任重大やねぇ。悪の組織の総帥様に、そない肉体労働酷やないの?」
「さ、サルファ...?」
「言うてみただけや。仲間の命が懸かっとる。負けなんて、許さへんで。」
「...ええ、分かっているわ。」
「お前よくこの状況でシリアス出来んのな?アズールちゃんのおっぱいすげーだろ?」
「必死に堪えとんねんっ!正義の味方に何を強いてくれとるんやこの変態集団っ!///」
そんな、変態だなんて...。
サルファの罵倒なんて久しぶりで...愛がっ!
溢れてしまうわっ!
「ハァハァ...///」
「な、何で嬉しそうやねん...。」
「話を続けるよ?つまり、"一瞬"穴を開けて、"一瞬で"取ればいいんだ。」
「一瞬?」
「道を作ってアズールを運ぶ。その工程を一瞬でこなすわけさ。」
「な、なるほどぉ...?」
「分かってねぇバカがいまーす。」
「ロコのことじゃないでしょうねぇ!?」
大体何が言いたいのかは分かってきた。
ヴェナは一瞬でいいと言っていたが、正確には
「あれの再生能力と防御力を考えた結果、一瞬しか穴は開けられないってことね?」
「ああ。本体自体、こちらの今出せる最大火力で小さな穴を開けるのが限界だよ。」
「今出せる最大火力...。」
「アタシかぁ!」「ロコね!」
「いや、両方だろ。」
「正解だよルベル。レオパルト、それにロコルベの最大火力を同時に叩き込む。」
「おー!分かりやすい!」
「そんなの簡単じゃないっ!ロコたちの本気見せたげるわっ!」
「単純バカしかいねェ...。」
三人の合体技。
それでも、"本体に穴が開くだけ"と言ったのだ。
それも眷属のことを考えないで、だ。
「眷属はどうするの?」
「それが一番のネックさ。考えはあるが、担当する者は一番危険なポジションを任されることになる。」
「!...しゃあないなぁ。あんな木偶の坊、うちの
「待って、サルファ。」
真っ先に名乗りを上げたサルファを制止するマゼンタ。
分かってはいた。
サルファには別の役割がある。
ならば、消去法で眷属を相手取るのは...。
「あたしがやるよ。」
「な...何言うてはるん!?あんなん今のマゼンタに相手出来るわけっ...ぁ...。」
マゼンタを庇うサルファだが、彼女では力が足りないと暗に告げてしまう。
そんな言葉を、マゼンタは困ったような笑顔で受け止める。
「いつも心配してくれて、守ってくれてありがとう!だけどね...あたしは、魔法少女だから。」
「マゼンタ...ウチは、あんたに...。」
「大丈夫!マジアマゼンタは負けないよっ!」
「......せや、ね。マゼンタはいつだって諦めへん。しつこさだけは一級品や。」
「もう、また悪口~...。帰ったらお説教だからね!」
「あんたはうちのおかんか。まったく...。」
いつも通りのやり取り。
不安を圧し殺す為の会話だと分かり、彼女たちの友人として切なく感じてしまう。
「ビッ。」
「アリス?どしたぁ?」
「コクリ...。」
「...はぁぁ!?"マゼンタと一緒に戦う"!?」
「アリス、それは...!」
「フルフル。」
止めようとする私たちに首を振り、アリスはマゼンタの隣へ移動する。
「...ボクの想定通りだ。だが、マゼンタとアリスには高火力な必殺技は存在しない。だから、二人の
「!?」
「ヴェナちゃんそれ!?下手したらアリスがっ!?」
魔力と言っても、それは生命エネルギーの一呼称に過ぎない。
それを使い果たすということは、
「アタシらが眷属ごとぶち抜けばいい話だろ...?」
「そうよっ!ロコたちが本気出せば、あんなノッポくらい...!」
「ヴェナちゃんそれでいいでしょ!?ね、ねぇ!?」
「...ダメだ。これしか方法がないから、ボクもこの作戦を提案している。キミたち三人と、アズールを届けられる最速の戦士であるサルファは、露払いには使えない。」
「で、でもっ...!」
「ギュ...。」
「アリス...?」
エノルミータ全員がアリスを庇う中、アリスは特に動揺するレオに抱き着く。
「"心配すんな"って...すんに、決まってんだろ...?お前まだ...こんなちっちぇのに...。」
「ムス...。」
「仲間なんは分かってっけどさ!だから...だから心配なんじゃん...!」
「クイクイ...。」
「...約、束?......ぁ...。」
何かに思い当たるレオ。
目を潤ませ、アリスを強く抱き締める。
「カッコつけやがって...。じゃあ、ちゃんと帰って来いよ...!一緒に、守るんだろ...?」
「...ん。」
「ったく...こういう時だけしんみりしやがって...っ。」
「ホントよ...ロコたち悪の組織なんだからね...っ。」
涙を浮かべて抱き合う仲間たち。
私の頬にも涙が伝う。
参加したい。
でも出来ない。
乳首、隠してるので...。
「大丈夫!アリスちゃんは絶対に、あたしが危ない目に遭わせないから!」
「あんたも一緒に帰って来な許さへんで!!」
「サルファちゃん顔が怖いっ!?」
「お願いね、マゼンタ...。」
片手で両乳首を隠す方法をマスターし、マゼンタとサルファに近付く。
感謝を込めて、右手をマゼンタに差し出す。
「えへへ!まっかせて!...そうだ!」
「え?」
「ん?」
私と繋ぐ手を左手に変え、右手でサルファの手を握るマゼンタ。
「なんか...初めてって感じしないね!」
「!...ふふっ。そうね。」
「はぁ...。遺憾やけど、あんたのその有り様含め妙にしっくり来るわ。」
「ご、ごめんなさい...///」
「アズール、サルファ!信じてるからね!」
「ええ!」「おう!」
この世界ではあり得ない、本来のトレスマジア。
偶然が重なっただけ。
それでも、何かが心を揺さぶってくる。
そんな不思議な感覚を胸に刻み、私たちは決戦の地に赴くのだった。
「まったく...どこが悪の組織なんだか...。」
―――――――――――――――――――――――――――――
『タイミング、場所についてはボクが共有する。持ち場に着いたら、合図があるまで待機しているように。』
ヴェナリータのテレパシーが伝わり、全員が自分のポジションに着く。
すぐ目の前には本能的な恐怖すら抱く、呪いの集合体がゆっくりと移動する光景が広がる。
このままでは5分と経たないうちに中心街に辿り着いてしまうだろう。
「ベーゼ...。」
「...しっかりせぇ。
ベーゼはあんたを信じて、あん中で待っとるだけや。
せやから、あんたはいつもみたく偉そうにふんぞり返っとればええ。」
「サルファ...。優しいのね、ありがとう。」
「うっさいわ、やりにくい...///」
アズールへぶっきらぼうな優しさを見せるサルファ。
友人として知る薫子に近い、そんな親しみやすい姿に元気付けられ、アズールはサルファに更に身を寄せる。
「お言葉に甘えることにするわ。」
「ちょ...せやかてくっつき過ぎや...///」
「掴まってないと危ないじゃない?」
「だから当たっとんねん無駄にでかいのが...///」
「ああぁぁぁんまりだあぁぁぁ~!?(泣)」
唐突に響く嘆きの悲鳴。
アズールたちが下を見れば、こちらに向かって泣き叫ぶレオパルトの姿が見えた。
「もう!いい加減我慢しなさいよね!」
「別にただ抱えてるだけじゃねぇか。
一々気にし過ぎなんだよ。」
「ヤダヤダそれアタシのぉ~!!(泣)」
全員で作り出す一瞬のチャンス。
その機会を逃さぬ為、最速で動くことが可能なサルファがアズールを運ぶ役となった。
運ぶ際だが、アズールに負担が掛からず、尚且つサルファも落とさなくて済む体勢が必要とされた。
そうして最終的に行き着いた体勢というのが
「お姫さま抱っこはアタシの特権なのにぃぃ~~!!(泣)」
「なんや、まだ駄々捏ねてはるんやねぇ。」
「まあ、レオはいつもあんな感じだし...。」
サルファにしてもアズールにしても、別にやましい考えや特別な感情はない。
だが、この"お姫さま抱っこ"は思った以上にレオにとって思い出深いモノだったらしく、作戦が決まってからずっと泣き続けているのだった。
「ヤダヤダ代われぇぇ~!アタシが飛ぶからバビュンってぇぇぇ!かっちょいい翼も付けるからさぁ~!!」
「あんたロボットか何かなわけ...?」
「戦い方はそれっぽいけどな。最近ビーム出すし...。」
泣きっぱなしのレオの相手も疲れて来たのか、ロコルべはいつも通りの調子で会話を始める。
「そういやさ。そろそろ準備しといた方が良くないか?」
「あぁ、マイクテストね。任せなさいよ。『あ、あ~。あ~。テステス、こほん。』」
「いやそうじゃなくて...。」
正直どうでもいいマイクテストを止め、少々顔を赤くして言い辛そうにルベルは話す。
「脱がなくて、いいのかよ...パンツ...///」
「......ええ。必要ないもの。」
予想外に恥ずかしがることもなく、極めて冷静に答えるロコ。
「ハァ?必要ねぇって、そのままだとフォルティシモ撃てないだr...お前...まさか...!?」
「いつからでしょうね...パンツなら...もう
「ロコぉ...!(涙)」
吹き抜ける風が、ロコの頼りないスカートを僅かに持ち上げる。
ルベルは見逃さなかった。
恋人のぷりんぷりんのお尻に、何も布らしきものが付いていないことを。
「しっかり見てなさいよルベル...。
ロコの生き様をね...!」
「あぁ...!絶対に見逃すもんかよっ...!」
「やーいヘンタイバカップル~!」
「「黙れ手ブラバカップルッ!!///」」
あまりにいつも通りな最大火力組。
緊張感がなさ過ぎる気がするが、そのバランスを取るように"シリアス"な組も、また存在していた。
「大きい、ね...。」
「...コクリ。」
誰よりもマルディシオンに近い位置に立つ、"露払い組"。
マゼンタは震え出しそうな気持ちを抑え、隣にいるアリスに語り掛ける。
「アリスちゃんは、怖く...ない...?」
「...コクリ。」
「そっか...強いんだね、あたしより小さいのに。」
アリスは苦笑いを浮かべるマゼンタの顔を、ただじっと見つめる。
決して弱音を吐かず、諦めることもしない。そんな強がりが得意なお姉ちゃんを、アリスはもう一人知っていた。
「アリスちゃん...?」
「コクリ。」
何も言わず手を握り、その温かさを伝える。
いつもぬいぐるみを抱いているから、ほわほわ感には自信があるのだ。
「ありがとう...すっごくあったかいね!」
「フンス。」
「あはは!...ねぇ、アリスちゃん。あたしね、みんなが大好きなんだ。」
先程より落ち着いた様子で、マゼンタは想いを打ち明ける。
アリスは聞き上手な女である。
「この街にはあたしの家族がいて、友だちがいて。サルファにベーゼ。ちょっと悪い子だけどアズールちゃんや、アリスちゃんがいる。あたしは、みんなを守りたい。みんなの居場所を、守りたい。その為に魔法少女になったんだもん!」
少女から、正義の味方へ。
変化していくその表情を目に映す。
「だから...強くなりたいの...!みんなの力になれるように...!」
「...ん。」
「アリスちゃんも一緒かぁ...!そうだよね!だってアズールちゃんたちのこと、大好きだもんね!」
「ん...。」
少し照れながらも、口元を弛めるアリス。
そんなレアな表情を瞳に焼き付け、魔法少女マジアマゼンタは目の前の絶望へ向け、力強く宣言する。
「大丈夫!あたしたちのみんなが大好きって気持ちは、絶対呪いなんかに負けたりしない!想いを重ねるよアリスちゃん!そうすればきっと届く!みんなの為に強くなれるからっ!」
「コクコク!」
繋いだ手を固く結び、全身の魔力を一点へ集中させる。
『準備はいいかい?』
「うんっ!」
「コクリ。」
脳に響くスタンバイの合図。
マゼンタとアリスは迷わず頷き、全身全霊の魔法を発動する。
『では始めよう。最終決戦だ。』
ヴェナが告げる、決戦の始まり。
全員の表情が覚悟で引き締まる中、一番槍の咆哮がこだまする。
『"マゼンタスピアー!バリエーション!!ネロストライク"ッ!!!』
二人から溢れ出る魔力が超巨大なマゼンタスピアーを誕生させる。
それを持ち上げる人形のような魔力のオーラが、憎悪の眷属たちを睨み付ける。
「いっけえぇぇぇぇっ!!!!」
「...!!」
弾丸のように射出される槍は衝撃で地面を抉り巻き上げながら、真っ直ぐに眷属の壁を貫いていく。
「ああぁぁぁぁぁ...ッ!!!」
「っ...!」
1体、また1体と貫く槍。
しかし、その度に苦痛の叫びを上げ苦悶の表情を浮かべる少女たち。
やがて徐々に勢いが弱まり、ついに眷属の1体に受け止められてしまう。
「ま、だ...!」
「コクリ...!」
それでも、槍は落ちない。折れない。
その身を懸命に震わし、目の前の壁を突き破ろうとする。
「あたし、は...!あたしたちはぁぁぁ...ッ!!」
「ん...!」
衣装すら維持できない程の消耗の中で、尚も引き下がらない。
諦めることなどない。
何故なら、彼女たちには譲れない想いがあるから。
「ぜっったいにぃぃッ!守るんだからあぁぁぁッッ!!!」
「んっ!」
その願いに応えるように、
マゼンタは黒く、アリスは白く。
まだ見ぬ可能性すら引き摺り出し、二人のヒロインは絶望を覆す。
勢いを取り戻した槍は黒と白の"翼"を広げ、今度こそ全ての壁を貫き通す。
「やっ...た...」
「グッ...」
全てを使い果たした少女たちは、そのまま意識を失い地面に倒れ伏す。
変身が解けたにも関わらず、互いの正体すら認識することが出来なかった。
完全に動かなくなってしまった体。
だがその表情は満足気で、やり切った充足感に満ちた笑顔を讃えているのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「アリ、ス...!」
「マゼンタ...っ!」
遠くに辛うじて見える、倒れた二人の姿。
無事を確認することも出来ず、それでも私たちは進まなければならない。
『サルファさん!聞こえますかっ!?』
「!?その声ヴァーツはんか!?」
サルファが声に反応すると同時に、二つのゲートが現れ、マゼンタとアリスをそれぞれ回収していく。
『アリスはボクが。』
『マゼンタさんは僕が避難させました!
治療は僕らにお任せを!』
「ヴァーツはん...!...ほんま、おおきになっ!」
「たまにはいいことするじゃない!ヴェナ!」
腹黒マスコットたちの予想外なファインプレーに感謝しつつ、次なる一撃を見守る私たち。
「妹分が命張って作った道ッ!ぜってぇ無駄になんかさせねーぞッ!!」
『ああ!今回ばかりは死んだって退くつもりはねェぜ!!』
「エノルミータの本気ッ!ナメんじゃないわよ呪いお化けッ!!」
アリスの奮戦に心を動かされたお姉ちゃんズ。
真化したレオと合体(意味深)したロコルべから、凄まじいまでの魔力が立ち昇る。
『狙いは左胸。心臓に当たる部分だよ。』
「聞いたかロコルべぇ!ぜってぇにハズすんじゃねーぞッ!!」
『『おうッ!』』
壊れそうな悲鳴を上げる得物に構わず、最大までエネルギーを溜める三人。
「最強滅殺光線!
シュテルクストシュトラールッ!」
『『フォルティシモ・カノンッ!』』
二つの莫大なエネルギーが放出され、マルディシオンに向かう最中に混ざり合い、虹色に輝くエネルギー波となる。
「『『"ユニゾニア・カノンッッ!!"
ぶち抜けえぇぇぇぇッッ!!!!』』」
『--------------!! 』
重なり合う光の一撃がマルディシオンの左胸を確実に捉え、穿つ。
声にならない叫びを上げ苦しむ呪いの化身。
輝きの奔流が消えた先に、キラリと光る"星"が見えた。
「行きな、さいっ...」
「い、け...」
「アズール、ちゃ...」
「みんな...サルファお願いっ!」
「おう!しっかり口閉じんと舌噛むで!」
力尽きた三人に背中を押され、その僅かなチャンスに飛び込む覚悟を決める。
電撃の翼をはためかせ、 最速の天使は空を翔る。
こうしている今も、呪いは蠢きその傷口を再生させていく。
凄まじい圧が体を包むが、そんなことは承知の上。
行け!行ってくれ...!
真っ直ぐに!あの星を取り戻す為にっ!
「見えた...!!」
「掴めぇッ!アズールッ...!!」
マルディシオンの体を勢いのまま通り抜け、
「やった...!」
「よっしゃあ!っ...!?」
喜び合う暇もなく、すぐ背後にはマルディシオンの巨大な拳が迫っていた。
咄嗟にサルファは私を離し、自らの体を盾とする。
「サルファっ!?」
「ベーゼを頼むで...!がぁっ...!?」
凄まじい衝撃音と共に地へ墜とされるサルファ。
彼女の犠牲で直撃は免れたが、その余波だけでも今の私には致命的。
「あぁぁっ...!?」
吹き飛ばされ、ついにマジアアズールの変身が解けてしまう。
「ぅ...かはっ...!」
呼吸すらまともに出来ない上空を墜落し続ける、生身の体。
寒い、苦しい、もう死にそう。
だが、そんな甘えた気持ちなど知ったことか。
思い出せ。
はるかとこりすの覚悟を。
真珠とネモの友情を。
キウィの愛を。
薫子の献身を。
「うて...な...っ」
そして、うてなの信頼を。
私は、私はみんなの希望...!
大好きで大切な、この世界の希望なんだ!!
「呪わせて...たまる、もんですか...っ」
この素晴らしい世界に、"呪い"なんて似合わない!
決して塗り潰させたりはしない!
私の憧れた世界は...っ!
「魔法少女が輝く...!愛する人が夢見る世界じゃなきゃいけないんだからあぁッ!!」
遠ざかる空に向かって、ハートと星のトランスアイテムを掲げ、今叫ぶ。
再び与えられた命を燃え上がらせ、
『
―――――――――――――――――――――――――――――
『ニクイ...ニクイ...』
『ユルサナイ...ユルサナイ...』
『コロセ...コロセ...』
「ぅ...ぁ...っ」
幾千、幾万。
幾億もの不快な声が脳を埋め尽くす。
目を開いているのかも分からない、真っ暗などこか。
見えなくても、感じる。
私を睨み囁き続ける影。
その一つ一つが、私の頭に直接地獄を見せる。
まるで、ありとあらゆる悪夢をバリエーション豊かに繰り返し見せられているようだ。
憎しみ、恨み、悲しみ、怒り。
一場面ごとに爆発する感情が、心を蝕んでいく。
『おやおや。随分とお辛そうですねぇ。
せっかくこんなにも素敵な叫びで満ち溢れた空間だというのに。』
「あ、なた...は...」
真っ暗な空間に現れた見覚えのある誰か。
影のように暗く黒い肌、常に嗤っているように裂けた口、悪魔のような角と翼膜のない翼。
「わた、し...?」
『お久しぶりですねぇ、柊うてな。いえ...わ・た・し。』
アズールたちを傷付けた、"あの時の私"。
ニヤニヤと心底嬉しそうな表情で私を見下ろしてくる。
私をついこの間まで苛んでいた、私自身の本性。
何故今になって...。
『無様なあなたを嗤いに来たに決まっているじゃありませんか。
自分を犠牲にして彼女を救ったつもりですか?
バカな真似を...。
彼女ごと呑み込まれれば、もう邪魔する者はいない。
素敵な嘆きに包まれながら、永遠に彼女と交わることが出来た。
それなのに私と来たら、まだ魔法少女ごっこがしたかったとは。
哀れで哀れで、心底笑えてしまいます。』
「っ...。」
わざわざ耳元に口を近付けて喋る私。
あまりの不快感に吐きそうだ。
「すて、き...?どこ...が...」
『素敵じゃないですかぁ。何の意味も価値もない有象無象が、ただひたすらに世界を呪い悲鳴を上げる...。
これ程心地好く滑稽なモノはなかなかお目にかかれません。
この中には魔法少女が生み出した呪いも含まれている。輝く存在の成れの果て、興奮しないとは言わせませんよ?』
「...」
つらつらと趣味の悪い言葉を並べる私。
私の頭を掴み、目前にまで顔を近付ける。
『いい加減認めてはいかがですか?あなたは、私なんです...!醜いでしょう汚らわしいでしょう...!これが、私...マジアベーゼなんですよ...!さあ受け入れなさい、嗤いなさいっ!この地獄こそ私の望むモノだと理解するのです...!』
私はどこまでも悪で、そこに魔法少女への憧れなどない。
そう私に突きつける私。
頭に響く呪いが、よりリアルに。
よりハッキリと聞こえてくる。
踊り狂ってしまえと、私を呑み込もうとする。
「......ァハ...」
『......何ですか、今の嗤いは。』
真顔になった私が、乱暴に私の襟を掴む。
その姿を見て、私はより一層
「あなたが、私...?ふふっ...あは...!アハハハハハっ!!!」
『!?...何が、可笑しい...!』
余裕を無くした悪魔を見て、ついに我慢が出来なくなる。
堰を切ったように溢れる嗤い。
仕方ない。
だって、こんなに可笑しいモノは他にないのだから。
「可笑しいも何も、あなたほど滑稽なモノは今まで一度足りとも見たことがありません!あなたが、私ぃ?実に可笑しい!笑わせますねぇ!私を笑い死にさせるおつもりですかぁ?!」
『なに、を...!』
いい加減この空間にも飽きて来たし。
私は頭にイメージした真っ白な空間を場に投影し、その滑稽過ぎるモノがよりよく見えるようにする。
『な、何で...!?』
「多少はマシになりましたねぇ。...イメージとはいえ、私は"この姿"ですか。魔法少女にならなかったのは遺憾ですが、まあ仕方ありません。今は我慢しましょう。」
自分の輪郭を取り戻し、エノルミータのマジアベーゼとなった私。
真っ黒な私?を押し退け、お返しとばかりに見下す。
「さて、と。私を名乗る偽物さん。あなたの間違いをいくつか正しておきましょうか?」
『な、何を言っ...!?』
イメージのまま、その悪魔の手足を縛り上げる私。
戸惑うそれを足蹴にしつつ、如何に先程の様子が滑稽だったのかを説明する。
「いいですか?そもそも私が好きなのは"本物"の魔法少女です。
一度や二度負けた程度で呪いに堕ちる二流三流には興味がありません。
有象無象の一般怨霊など言わずもがな。
ただ叫び声が好きとか、サイコパスですかあなた?」
『い、いや...でも...っ』
「でもじゃありません。
口応えなど誰が許しましたか?
それに、小夜ちゃんと一緒に呑み込まれるべきだった?
あなた、馬鹿なんですか?
こんな気持ち悪いとこで小夜ちゃんとえっちして、気持ちいいわけないじゃないですか。
第一直接触れるんですかここ。
真っ暗で何も見えなくて、どうやって彼女の甘く悶える姿を、見て感じて味わうことが出来るんです?」
『いぎっ...!?』
いつの間にか出現していた鞭で、残念頭さんの体を何度も叩く。
「私を名乗るにはあまりに足りない。足りないんですよ愛が...!魔法少女への!小夜ちゃんへの愛がっ!ヒロインでも小夜ちゃんでもないモノに興奮するとか、私から最も遠い存在です二度とその汚い口で私だと言わないで頂きたい。いいですか?マジアベーゼ。
"柊うてな"としての矜持を持ちなさい...!」
『っ...ぅっ...』
「おやおやぁ?さっきまでの威勢はどこへ行ってしまったんですかベーゼぇ!そんなに私に認めて欲しかったんですかぁ?ただの妄想が本性認定して欲しくて必死だったんですよねぇ!悪くないですよその顔はぁ!哀れで情けなくて涙が出そうなくらいキュンとしちゃいますぅぅ!!」
『もうっ...やめてぇ...っ』
先程とは逆に。
今度は私がその哀れな偽物に顔を近付ける。
涙を指に取り、ペロリと味わう。
「
まあ、今回は許してあげなくもありません。
私が魔法少女に相応しくない性根であることを、完全に否定するつもりもありませんし。
だから、チャンスをあげましょう。」
『チャンス...?』
彼女の頭を掴み、
「見えますか?あの輝きを目に焼き付けなさい。理解するのです。あの素晴らしさを、美しさを、尊さを...!私であれば分かるはずです!あれこそがっ!私たちが恋い焦がれ憧れ続ける世界の全て...っ!!」
『魔法、少女...。』
「そぉぉですっ!!魔法少女!奇跡と魔法の体現者!この世で最も輝く星の名っ!!魔法少女に憧れるからこそ!!私は"マジアベーゼ"でありたいと願うんですっ!!!」
更に強くなる光。
そして、ついに"差し伸べられた手"を万感の想いで握り締める。
「そして...大好きな小夜ちゃんがいてくれるから。
私は、柊うてなでいられるんだよ。」
『っ...!』
柊うてなの姿で。
ただのマジアベーゼとなった悪魔と共に、深い深い闇の底から救い出されていく。
その手の主が誰かなんて、考えなくても分かる。
私の、唯一無二の。
最も憧れる、最愛の魔法少女がそこにいた。
―――――――――――――――――――――――――――――
「お待たせ、うてな。」
「っ...信じてたよ...小夜、ちゃん...っ」
暗闇から飛び出したうてなを抱き留めたのは、"太陽"にも等しき眩い光。
ボヤける視界が明瞭になり、うてなはついに目にする。
彼女が夢見た、最も尊き理想の姿を。
「マジア、アズールっ!///」
「そう。私は、魔法少女マジアアズール。」
巫女を思わせる露出の高い装束。
背中には羽衣を背負い、天女のように結んだ髪型と合わさり神聖さを際立たせる。
紺碧の髪色は一部が灼朱に色付き、末端のカラーリングもそれに準ずる。
頭上には水面のように美しく揺らめく鏡が掲げられ、背後には小さなそれが円を形作って備えられていた。
鏡に光が反射して、まさに太陽のようにも見える。
燃えるような陽射しの力強さと、たおやかな水の美しさを併せ持つその姿。
これこそが、世界の希望。
ヒロインたちが願いを託した、奇跡の星。
「
『
「神さまあぁぁ~っっ!!!///」
二重変身を遂げたアズールの姿に、恥も雰囲気も捨てて咽び泣くうてな。
そのあまりの尊さに、とても正気ではいられなかった。
「神推しが神で神さまになって神ぃぃぃっ!!///」
「落ち着きなさい?語彙力が吹き飛んでただの限界オタクになっているわよ?」
涎すら垂らし始めたうてなに、恋人同士の甘い再会を期待していたアズールは内心ちょっと落ち込んだ。
「と、尊過ぎる...!良さ過ぎ...!神さまでしかない...!///」
「はぁ...。まあ、そういうとこが好きなんだけどね。」
アズールはちょっと人に見せられない顔になってきたうてなを浮かべ、大きな泡の中に彼女を閉じ込める。
「アズール...?」
「そこなら安全よ。私特製の、"特等席"。
あなたの為のマジアなアズールだもの。
しっかり虜にしてあげるわ!」
「神推しのファンサが神で嬉死してしまうぅぅっ!!///」
興奮に興奮を重ねるうてなを背に、未だ健在の
『--------------!』
核としていたうてなを奪われて尚、凄まじい力を放つ呪い。
その形を再び巨大な獣型に変化させ、明確に敵と判断したアズールを握り潰そうとする。
「"小夜ノ型・月読命"。」
アズールの手に現れる、月のような弧を描く刃の薙刀。
その場で一振りするだけで、マルディシオンの腕は跡形もなく消し飛んだ。
『--------------!?』
ただの事象であり、感情などないはずの呪いが戸惑うように声を上げる。
それもそのはず。
マルディシオンにとって、彼女は唯一の
天照瑞鏡が司る力は、"浄化"。
ありとあらゆる穢れたモノを問答無用で屠り、消し飛ばす力。
たとえ何億、何兆もの呪いが重なろうと、一寸の残留すら許さぬ存在。
まるで世界の理であるかのように、太陽の鏡は全ての呪いを照らし出す。
「派手にいきましょうか。」
分裂し、全方位からアズールを襲おうとする呪いたち。
アズールは氷と水を用いて薙刀を複製し、触れることなくその刃を操り敵を蹴散らす。
圧倒的物量をものともせず、巨大化させた薙刀で豪快に残りを凪払う。
「しゅ、しゅごいぃぃぃ!!この強さ!迫力っ!!劇場版限定フォームみたいぃぃぃ!!///」
アズールのフィクションさながらの大活躍に、子どものようにはしゃぐうてな。
その姿に気を良くするアズールだったが、ここでマルディシオンの変化を感じ取る。
「そう...もう終わりにしたいのね。」
『--------------!!』
呪いは自らの顔を残し、それ以外の全てをエネルギーに変え始める。
どんな手を使ってでも敵を潰す。
憎悪に任せた絶望の一撃を、今まさに放とうとしていた。
「"朝陽ノ型・須佐能乎"。」
薙刀の代わりに握られた、炎のように赤々とした弓矢。
背後の鏡が一斉に励起し、太陽から降り注ぐエネルギーを凝縮させる。
やがてアズールの手に光が集まり、"太陽の矢"が完成した。
「憎悪、呪い。そんなものに囚われる必要なんてない。待っていて。今、そこから救い出してあげる。私の愛が、あなたたちを照らすからっ!!」
『--------------ッ!!!!』
アズールの言葉を合図に、マルディシオンは全ての呪いを込めて漆黒のエネルギー砲を放つ。
直撃すれば地球ですら危ういのではないかと思えるそれを、ただ真正面から見据える少女。
迷いなく引き絞られた弓が、唸りをあげついに必殺の一撃を射出する。
『"天照瑞輝ノ矢"!』
掛け声と共に放たれた光の一矢。
それは真っ直ぐに呪いのエネルギーとぶつかり合い、触れた側から浄化して突き進む。
「負けるはずがないのよっ!
今の私は、"マジアアズール"!
愛する人が憧れた!
最高の魔法少女なのだからっ!!」
アズールの声に応えるように、更にその勢いを強める矢。
そしてついに、その渾身の一撃は呪いをはね除け、マルディシオンを撃ち抜いた。
『ァ...ァァ...』
断末魔とも、解放された喜びの声とも聞こえる最後の音。
消滅していく呪いを見届け、マジアアズールは静かに一瞬の黙祷を捧げる。
叶うのであれば。
あの憎悪に愛の救済が為されますように。
「...終わったわね。」
地上の仲間たちが、全員それぞれのマスコットに無事回収されたことを確認し。
アズールは微笑み、興奮冷めやらぬ自らの一番のファンを迎えに行く。
「帰りましょう、うてな!
私たちの、完全勝利よ!」
「~~~っ!...うんっ!///」
互いに涙を流しながら、とびきりの笑顔で抱き合う二人。
いつもより近い空には、彼女たちを祝福するように。
燦々と陽射し照らす、真夏の太陽が輝いているのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「ここなら落ち着けるわね。」
戦いを終え、アズールに抱き抱えられてやって来たのは水神神社。
ボロボロの街で話すわけにもいかず、こうして馴染みの場所まで一飛びしてくれた。
境内裏で下ろされ、改めて彼女と向き合う。
「......///」
「つい移動してしまったけれど、まずはみんなにあなたの無事を伝えないとね。
ヴェナたちが話しているでしょうけど、やっぱり直接見せるのが一番だもの。
みんな頑張ってくれたのよ?マゼンタとサルファはもちろん、エノルミータのみんなもね。」
もう他に何も見えない、考えられない。
あまりにも神々しく、カッコよく。
美しくて、可愛くて。
こんなの...絶対に...!
「あなたに見せたかったわ。みんな本当にカッコよくて」
「我慢出来るわけないっっ!!///」
「きゃあっ!?」
欲望のままに、目の前の"奇跡"を押し倒す。
憧れの人が、憧れの姿で!
限定に限定を重ねた超レアな姿で今私と触れ合ってる!
我慢なんてする方が失礼だ!
「しゅごい...!しゅごいぃっ!!///」
「う、うてな!?ちょっ、待っ...!?」
アズールの華やかな香りがすぐ目前から漂って来る。
その嗅いだだけでトンでしまいそうな空気で肺を一杯にして、至近距離からその御姿を観察する。
「この髪ホントにキレイっ!いつもキレイだけど今日はさらに一億万倍キレイっ!!海のようなアズール色に炎みたいなメッシュがヤバすぎるぅぅっ!!///」
「やぁっ!?髪撫でないで嗅がないでぇっ!?///」
髪飾りが星型なのはエノルミータ要素かな?
織姫様みたいでヨシっ!
可愛いっ!
「アマテラスモチーフだから巫女服なのは分かるけどちょっとえっちすぎぃぃ!!ミニスカートだし横から丸見えだしっ!腋だって見放題じゃないですかぁぁ!?んん~っ!いいにおいぃぃ~!!///」
「やめっ!?嗅がないで汚いからっ!?///」
アズールに汚いとこなんてあるわけないだろいい加減にしなさいっ!!
それよりこれやっぱり下着着けてないのではっ!?
「んひぃっ!?///」
「あー!?すごいしゅごいやばい!なまちちかんかくぅー!!柔らかいあったかいふわふわモチモチだぁぁ!!こんなん揉まずにいられるかぁぁぁー!!///」
アズールのたわわを思う存分堪能し、ついに私はそのミニスカートに手を掛ける。
「!?だ、だめっ!そこは...!///」
「履いてんのか履いてないのかどっちなんだい!?...ふん、どし...!?///」
ミニスカートの向こうは、まさに新世界。
てっきりノーパンだと思っていたそこには、和の心を象徴する神器、"HUNDOSHI"が装備されていた。
「えへ...えへへへへぇぇぇ~っ!!///」
「ひゃぁんっ!?///」
迷うことなどなかった。
グイッと勢いよく摘まんで伸ばし、股間に食い込ませる。
グイグイすればする程、大好きなアズールから嬌声が漏れ、悩ましい音が大きくなっていく。
「見ますよ、アズール...アズールの一番恥ずかしいところ...見ちゃいますからねっ!///」
「へ!?うてなっ!?ダメ!ダメよそれだけはぁっ!?///」
「聞こえませーーんっ!!///」
ガバッ!とその秘められた宝物庫を開放する私。
その瞬間、私とアズールがそれぞれ違う輝きに包まれた。
「な、なに...っ?///」
「ぇ...なんで...しかも...なんで...こっち...!?」
気付けば変身していて、何故か私は
なんで!?このトランスアイテムは小夜ちゃんのなのに!?
「っ...べ...ベーゼ、ちゃん...!?///」
私の姿を見て動揺するアズール。
「というか...アズール...。」
天照瑞鏡ではなくなってしまったが、小夜ちゃんはマジアアズールの姿のままだった。
ご丁寧にノーパン据え置きである。
ふるふると揺れる、一糸纏わぬ推しのお尻。
「......ふふ...。」
「ぎひぃぃっ!?///」
最早反射の如し。
手にいつの間にか現れていた
「ふふ...あはははっ!!///」
「いっ!?ぁっ!?ら、らめっ...!こんにゃのぉ~っ!?///」
なんて素晴らしい音色だろう。
お尻がぷるんと震える度に、心に沁みる歌声が響き渡る。
今この時私だけには、ロコちゃんの歌すら凌駕する程の感動を与えてくれる。
こんな素晴らしい音を、あのアズールが。
美しくも艶かしいえっちな姿で、あのカッコいいアズールが...!
『私の手で、悶え狂ってるうぅぅっ!!』
何だこれ。
どうして、こうなったんだろう。
これは、夢...?
夢じゃ、ない...。
これは...ご褒美!
ご褒美なら...!
「楽しんじゃおっかなぁっ!!///」
「んぐぅぅぅ~...!?///」
魔力切れで私たちの変身が解ける、その時まで。
初めての、あの日のように。
私と小夜ちゃんの"愛"のSMプレイは、日が暮れても尚続くのだった。
「いいぃぃですねぇぇっ!!素晴らしいですよぉぉ!!マジアアズールぅぅっ!!///」
私は、マジアベーゼ。
サディスティックに魔法少女、やってます。
「もう...らめえぇぇぇ...♥️///」
―――――――――――――――――――――――――――――
◼️□next episode◼️□
「...妹が、いたんだ。」
「!...いた?」
「お前と同じ、"まほあこ"が大好きな女の子だった。」
次回で二部最終回となります。
今回はいかがだったでしょうか?一言でも感想頂けると舞い上がります(乞食)
今後についてですが、次回は10/19(土)0:00投稿予定。
一週お休みを頂き、11月より2.5部全5話を投稿します。
お察しの通り、2.5部は原作ストックを使い切る話です。
そして"その先"のお話。それについて一度断っておくべきと思い、活動報告に書かせて頂きました。
まほあこを愛する皆さんに向けた謝罪文のようなものです。
ここまで読んでくださった皆さんには、是非目を通して頂きたい。
合わせて、『質問コーナー』も設置しました。
作品に関して湧いた疑問など、自由にどうぞ。
今後のネタバレにならない限りは答えます!
長々とお目汚し失礼致しました。
読了、ありがとうございました!