魔法少女にはなりません ~転生したらアズールだった件~ 作:月想
今回で第二部最終回となります。
平和な日常の中で、原作とはちょっと違った成長を見せるヒロインたちに注目です。
「ごめんなさい、わざわざ家まで呼びつけてしまって。」
「いえいえ。むしろ神社の場所を知っている分、こちらの方がお互いに楽ですもの。」
"呪い"が生み出した怪物との戦いから四日。
私たちはそれぞれ、漸くやって来た平穏な日常へと戻っていた。
ある者は傷を癒し。
またある者は自分を見つめ直し。
またまたある者は、夏休みを満喫し。
真珠は夏休みの宿題の存在をすっかり忘れていた。
それはまあ、どうでもいいとして。
「それに、小夜様はわたくしたちの恩人ですわ。こちらが足を運ぶのが筋というもの。」
「殊勝過ぎて恐縮してしまいます。みち子の方針次第では、私たちはまた敵同士。今日で気にするのは最後にしてください。」
目の前の上品な女性を部屋に案内しつつ、他愛のない会話を続ける。
着ている服も言葉遣いも美しく、女性自体もスタイル抜群で美人だ。
年齢差があるので当然だが、自分よりバストが大きい人なんて久しぶりに見た。
他にはシスタくらいしか記憶にない。
「怪我はもう?」
「ええ、バッチリですわ。小夜様がマゼンタ様に頼んで下さったおかげです。」
「それは良かったです。正体を明かすわけにもいかなくて、上手くいくか不安だったんですけどね。」
「100%善意の塊なのが、マゼンタ様の魅力ですわよね。」
数日前まで包帯まみれだった女性。
メガネをクイッと上げて元気アピールをする彼女は、桃森百花さん。
ご存知、変態モノクルこと"パンタノペスカ"の正体である。
本来敵同士であるはずの私たちだが、彼女にベルゼルガとイミタシオの救出を頼まれ、一時的な協力関係を築いたのが四日前のこと。
事件解決後、酷い傷を負っていた彼女を見かねて、その流れでマゼンタに友人として治療をお願いしたわけだ。
マゼンタはこれを快諾。
私や百花さんの正体を知らないまま、お得意の回復魔法で彼女を救ってくれた。
『マゼンタちゃんマジ天使。』というやつである。
「しかし、マゼンタ様のあの魔法。
思い出すだけで身体に謎の快感が...!///」
「人の部屋で発情しないでください。」
「もう。小夜様ったらいけずですわ~。」
何故魔法を思い出すだけで興奮するんだか。
一瞬で化けの皮が剥がれるな、この変態。
「それにしても、わたくしも見たかったですわ...アズール様の
「何だかんだ、生で見れたのはうてなだけですよ?みんな傷ついて気絶してましたから。」
「みっちゃん様はモニター越しに見たそうですわよ?というか、わたくしだけっ!立ち会うことすら出来ませんでしたしっ!?最終決戦で電話音声だけとか新キャラの扱いとしてどうなんですの!?振り返るといいとこなんて1ミリもなかったのでは!?」
そういえば、あのみち子に雑に切られてた電話は百花さんからのだったんだっけ。
まあ、確かに一人だけ蚊帳の外だったわけだけど。
百花さんが私たちを頼らなければ、あの勝利はなかっただろうし。
影の立役者と言っても過言じゃないとは思う。
それに。
「大した活躍がなかったのは自業自得です。ベーゼをマジギレさせた変態さん。」
「あぁっ!年下美少女に貶されてますわぁ~っ!///」
「だから発情しないでください。見境なしですか。」
罵倒されて興奮するとか、どれだけ変態さんなんだろう。
私ならこんな愛のない言葉で感じたりはしないわ。
「それで?"例のモノ"は、本当に?」
「勿論ですわ。それはもう、会心の出来でしてよ!」
これ以上愚痴を聞いていても仕方ないと、本題に移る私。
得意気に胸を張る百花さんが、持っていた紙袋からある物品を取り出す。
「こ、これはぁっ...!?」
「元々みっちゃん様からの目撃情報だけだったベータ版を、小夜様からの詳細なアドバイスで修正致しましたの。
わたくし渾身の一作となりましたわ。」
「しゅ、しゅごいぃっ...!///」
躍動感溢れる腰のひねり。
相変わらず露出激しいその衣装。
うっすらと浮かび上がる敏感ポイント。
そして何より、鞭を振るうその喜悦に満ちた表情。
「か、完璧っ...!本物のベーゼちゃんみたいぃぃ~っ!!///」
「ふふっ、ご満足頂けたようですわね。」
満足どころじゃない!
夢にまで見た、
『マジアベーゼ 1/7スケールフィギュア』!
彩色造形ポージングに至るまで非の打ち所のない完璧な仕上がり!
ついにこれが、私のお家にぃ!!
「うっ...ぅ...!長かった...!前世からずっと待ってたよ...ベーゼちゃんっ...!(泣)」
「前世?」
欲しいと思いつつもBD特典かつ、ティーンエイジャーには厳しい高額商品だったベーゼフィギュア。
もっと安いのがあれば良かったのだが、当時はアニメをやったばかりでまだ商品化の話も出ていなかった。
先生や親に頼むことも出来ただろうが、そこまで甘えたくないというプライドが邪魔をし、結局手に入らず力尽きてしまった。
その、まさに"憧れ"の物品が目の前にある。
興奮しない方が失礼というものだ。
「ほ、本当にいいんですか!?こんな素晴らしいモノを!みち子の命程度でもらってしまって...!」
「みっちゃん様の代わりにいてこましますわよ?小夜様がご依頼なさったのではありませんか。そういう"契約"ですもの。」
そう。
正義の味方の魔法少女と違い、悪の組織である私が手を貸すのに無償ではいけない。
悪の矜持として、交換条件を百花さんに求めたのだ。
「何でもする。』という彼女に対し、私が望んだのが、これ。
この世界ではあり得ない、"原作"ベーゼちゃんフィギュアだった。
「でも、本当にすごいです。こんなに精巧なものを一日で作ってしまうなんて。」
「ゴーレム作成は等身大フィギュアを作っているようなもの。愛するヒロインの皆様に関して言えば、通常サイズフィギュアの作成程度お茶の子さいさいですわ!」
「せ、先生とお呼びしても...?」
「ふふっ。そんなよそよそしくなさらないでくださいまし。だってわたくしたち、"皆様を愛する"という点で同志ではありませんか。」
「百花さん...!」
「小夜様!」
ガシッ!と涙を流しながら握手をする私たち。
変態エロメガネではあるが、通じ合う部分があるのは事実。
敵味方あれど、プライベートは是非仲良くさせてもらいたい。
「...ちなみに、もしかしてご自分のコレクションは別にお家にあったり?」
「鋭いですわね。勿論、通常時からR18まで各種取り揃えておりますわ。ご覧になられますか?」
「こ、今度是非...生で...!」
「委細承知致しましたわ...!」
R18ってなんだ!
肖像権はどうなってんだ肖像権は!
とは思うが、個人が趣味で持ってるだけだし?
問題ないかは私が直接見て判断するし?
別に?
うてなとキウィのあんなとこやこんなとこがどうなってるのか見たいわけじゃないし?
「...あ。そうだ、百花さん。頼みごとというか、知りたいことがあって。」
「わたくしのスリーサイズですか?」
「いや興味ないです。」
「しょぼん...。」
「"みち子のバイト先"って、教えてもらうこと出来ます?」
「みっちゃん様の?それは、何故...?」
少々怪訝な顔で私に質問する百花さん。
勿論、私にみち子を害する気持ちはない。
ただ、二人で会って話しておきたいことがあるのだ。
「正体を知っている者同士、これからの線引きなんかをね。いつもだとみんなが一緒だから、今日の内に話しておきたくて。」
「...なるほど。そういうことでしたら、ご案内致しますわ。」
「ありがとうございます。」
「今は勤務時間真っ盛りですし、少し時間を空けてから参りましょうか。」
「分かりました。それじゃあ、お茶でも取ってきますね。」
「どうぞ、お構いなく。」
無事百花さんに教えてもらえることになり、私はお茶とお茶請けを取りに部屋から出ていく。
これからの線引きというのは嘘じゃないが、もっと聞きたいことがあった。
同じ"転生者"として。
彼女とは一度じっくり話したいと思っていた。
話をしなければならないと、そう思ったのだ。
―――――――――――――――――――――――――――――
「来たぜ!おもちゃ屋さ~ん!!」
「~~!!」
「ふふっ。良かったね、こりすちゃん。」
午前中とはいえ、すでに30℃を超える真夏日和。
私とキウィちゃん、それにこりすちゃんは街で一番大きなおもちゃ屋さんを訪れていた。
表向きはただの買い物だけど、趣旨としては頑張ったこりすちゃんへの"ご褒美"だ。
私は直接見れたわけじゃないけど、命懸けで戦ってくれたのは事実で。
私を助ける為にそんな無茶をさせてしまったお詫びとお礼を兼ねて、二人に同伴を申し出たというわけだ。
二人は私の正体を知らないから、この場でその話を出すことはない。
だけど、キウィちゃんのあの異常なテンション。
こりすちゃんが無事だったこと、頑張ってくれたことが本当に嬉しかったんだろうな。
本人が思ってるより、キウィちゃんは"お姉ちゃん"なんだよね。
「オラこりす約束だかんな~!!めいっぱい選べよ~!!」
「コクコク!」
「走ったら危ないよキウィちゃん!?」
テンション爆上がりの二人に早速置いてかれる私。
まあ、最終的にお金を払ってあげればいいよね...?
こういう時の為のアイドル資産だし。
「あ...。これ、懐かしい。」
洋服を着た動物さんの小さいお人形を見て立ち止まる。
ドールハウスと一緒にディスプレイされたそれに、幼少の頃の思い出が甦る。
「小さい時によく遊んだなぁ...。」
「グッ!」
「こりすちゃんいつの間に!?というかすごい"分かってんじゃん"の顔ぉっ!」
いつからか隣にいたこりすちゃんが私の見ていたお人形さんに釘付けになっている。
私に"いいセンスだ"と表情で告げた後、お人形さんの可愛さに破顔するこりすちゃん。
「かっ...可愛いねぇ...!」
こりすちゃんが。
そういえば、キウィちゃんはいったいどこに?
秒で妹置き去りにしている辺り、逆に安定してるなあの子...。
「あれぇ?うてなちゃんとこりすちゃん?」
「え?」
後ろから掛けられた声に振り返る。
最早この街ではよくあることだ。
「おーい!偶然だねぇ!」
「はるかちゃん!...と?」
「?」
元気な声に検討は付いていたけど、そこにいたのはやはりはるかちゃん。
予想外だったのは、その側にくっつく小さい三つの影の方。
「あ、初めてだっけ!この子たち、あたしの"妹"なんだぁ!」
「なつな!」
「あきほ...。」
「みふゆ!!」
元気に自己紹介を始めるはるかちゃんの妹さんたち。
姉妹で名前が四季になってるの、出来すぎなくらい収まりがいいな。
それにこの子たち、見た目が三人共瓜二つだ。
「もしかして、三つ子?」
「うん!そっくりでしょ?」
「ソワソワ...。」
三つ子って初めて見た。
そんな珍しくも可愛らしいトリオに囲まれ、こりすちゃんは戸惑っている様子。
散歩中のワンちゃんみたいですごく可愛い。
ちょっと心配だったけど、すぐに警戒も解けた様子。
四人で仲良く会話を始めた。
こりすちゃん喋ってないけど。
「えっ!はるかっぴ子どもいたのヤバ~!」
「妹ぉ!?///」
「キウィちゃんもいつの間に...。」
とんでもない勘違いをかましつつ、姿を現したキウィちゃん。
その脇には大量のおもちゃを抱えていて。
「パーペキにオススメなおもちゃ持って来たぞぉこりす~!!」
『変!身!ウルトラマム!!』
「ケッ...。」
「んだよその反応ぉ~!?」
「「「いかす。」」」
「!?」
「だよなぁ!?はるかっぴ二世ズ!」
「だから娘じゃないよぉ!?///」
明らかにこりすちゃん向けじゃないおもちゃばかりを持って来たキウィちゃん。
案の定こりすちゃんにはウケなかったけど、妹さんたちには刺さったらしい。
多数決的にイケてる判定をもらったおもちゃに、乗り遅れまいと結局飛び付くこりすちゃん。
四人による争奪戦が始まってしまった。
「んだよ結局気に入ってんじゃん~。」
「あはは...。」
「平和だねぇ~。」
そんな子どもたちを見ながら、保護者な私たちはベンチで一休み。
久しぶりの穏やかな日常を噛み締める。
「クイクイ!」
「あ~?"対決セットが欲しい、遊びたい"?しゃーないなぁ。うてなちゃん、先にそれだけ買ってくっから~。そこではるかっぴと話してて~。」
「あ、じゃあお金を...。」
「ダイジョブだってこれくらい~。んじゃいってき~。」
「いってらっしゃい~...。」
そう言ってさっきの変身アイテムの対決セット?を持ってレジに向かうキウィちゃんとこりすちゃん。
後でまとめて買えばいいのに、そんなに気に入ったのかな?
「ふふっ、仲良しだねあの二人!」
「うん。本当の姉妹みたいだよね。」
「お姉ちゃんなあたしから見ても、いいお姉ちゃんだと思うよ!」
おもちゃで遊ぶ妹さんたちを愛おしげに見つめるはるかちゃん。
「この前は、ホントに大変だったねぇ。」
「う、うん...。改めて、ありがとう。
私を助ける為に、頑張ってくれて。」
「当たり前だよ!うてなちゃんは大切な友だちで、大切な仲間だもん!」
「は、はるかちゃん...っ。」
屈託のない笑顔で答えるはるかちゃんに、感動で思わず泣きそうになる。
やっぱり、マジアマゼンタは最高のヒロインだ!
「守れて良かった...。街はボロボロになっちゃったけど、何とか魔法で直せたし。うてなちゃんとこうしてお話出来て、あの子たちが笑っていて...。あたし、この為に魔法少女になったんだなぁって!
最近、ホントにそう思うんだ!」
「...うん。」
その慈しみの表情に言葉は、まさにヒロインの鑑。
オタク心の興奮を必死に抑えつつ、私ははるかちゃんの気持ちに共感する。
「あたしね、毎日が今日みたいに...楽しくって、穏やかだといいなぁって!」
「うん...本当に、そうだね。」
魔法少女として戦うことに憧れはあるけど、今まで色々なことを経験して。
やっぱりこういう何気ない日常が。
大切な人たちと過ごす日常こそ、"幸せ"だって、私にも漸く分かってきた。
「続くといいね、こんな日常が。」
「うん!ずっと続いて欲しい!」
そう、はるかちゃんと笑い合った次の瞬間。
『キャー!?エノルミータよぉぉー!?』
『でっか!?いやでっかあぁ!?』
外から響く、人々の悲鳴が私たちの耳に届いた。
「続かないものだねぇ!?」
「フラグなんて建てるんじゃなかったっ!」
なつなちゃんたちを伴って、急いでおもちゃ屋さんを出る私たち。
そこに待ち受けていたのは。
『ジョワッチ!恐れおののけ愚民どもー!ウルトラレオパルトちゃんが光臨してやったのだー!!』
「レオちゃんっ!?」
「「「すげー。」」」
「感心してる場合じゃないよぉ!?何あの大きさ!?」
私の知っている彼女とは似ても似つかないサイズの、
い、いったいどうしてこんなことに!?
『出てこい侵略者トレスマジア星人~!ウルトラなアタシが退治してやるぜ~!』
「トレスマジアは宇宙人じゃないよぉ!?」
「と、とにかく止めなきゃ!はるかちゃんは妹さんたちと避難を...!」
「あ、うてなちゃん!?」
よく分からないなりに放ってはおけないと駆け出し、誰もいない場所でトランスアイテムを構える。
『
『お!やっと来たな!ドSヘンタイ宇宙人!マジアベーゼ!』
「へ、変態でも宇宙人でもないよっ!?どういうつもりなの!?レオちゃん!」
マジアベーゼとなり、レオちゃんの顔近くへ移動する。
その真意を聞き出そうとするが、レオちゃんは笑ったまま答えようとしない。
「ん。」
「アリスちゃんまで!?...あ!も、もしかしてこれアリスちゃんの!?」
「ポイ。」
「へ...?」
先ほどまでの状況を踏まえ、おもちゃの変身アイテムを思い出す私。
それと同時に、思い浮かべたおもちゃと"同じモノ"が私へと投げつけられた。
『変!身!ウルトラマム!』
ズシン!という地響きを鳴らし、
もう、どうなってるいるかは大体予想出来ているけど...。
『な、なんでぇぇ~~っ!?///』
『おぉ~!デッカチャン!』
"巨大化"した自分の体に驚き、その思わず上げた声の大きさに腰が抜けそうになる。
一斉に私を見上げスカートの下を撮影し出す一般市民の方々。
記念撮影みたいにツーショットにする人や、興奮した様子の人もいる。
『や、やめっ!?撮らないでくださあぁ~いっ!?///』
『喜んでんじゃねーぞベーゼ星人!』
『喜んでないし宇宙人じゃないよ!?』
『うっさいばか!おめーあの日アズールちゃんと"なんか"したろっ!アタシが気付かないとでも思ったのかこのビッチ!間女~!』
『へ!?そ、それはその...///』
『あー!やっぱやったんだ!?こいつら交尾したんだぁ~!?うぇぇ~んっ!アズールちゃんのうわきものぉぉ~っ!!』
『こ...!?や、やめて誤解だからっ!?街中に聞こえちゃってるからあぁ~!!///』
ヒソヒソとスキャンダル?を共有し始める市民の皆さん。
特大サイズの私たちの声は広範囲に響き渡り、最早噂を止めることは出来そうにない。
違うからっ!?誓って交尾"は"してないからー!?
『ゆるさん~~っ!!今日こそぎたんぎたんのばっきばきにしたるぅぅ!!いくぞぉ!ベーゼ星人っ!!シュワッチ!!』
『シュワッチ!?』
掛け声と共にジャンプキックを繰り出すレオちゃん。
後ろに飛び退きなんとか回避するけど...。
『こ、こんなとこで戦ったら街が!?』
『うっせさっさと往生しろヘアッ!』
『ヘアッ!?』
今度はチョップを繰り出してくるレオちゃん。
さっきから掛け声が独特過ぎる!
『ちっ!ちょこまかしやがってぇ~っ!』
『や、やめようよレオちゃん!これ以上は街がまた壊れちゃう...!』
「キラキラ~!」
『アリスちゃん!お願い、もうこんなことは...!』
「ポイ。」
『へ?』
アリスちゃんに止めるよう呼び掛けるが、すごく楽しそうな顔のまま、今度は怪獣のソフビを投げてくる。
運悪く、出したままの私の鞭にそれが当たってしまって...。
『グオオオオーーン!!』
『あー!でっかい怪獣が出てきたぞー!おのれぇー!卑怯なベーゼ星人めぇー!』
『え、ちがっ!?これはわざとじゃ!?』
「~~!!」
怪獣を私の仕業にして、益々テンションを上げるレオちゃんとアリスちゃん。
漸く分かって来た。
"ウルトラマムごっこ"をしたかったアリスちゃんに、レオちゃんが乗っかったんだ...。
完全に悪役だ私...。
一応魔法少女なのに...。
ま、まあ。
二対一にはなったから、一気に押さえ込んで事態の収束を急ごう。
『こ、これで形勢逆転!レオちゃん、諦めてこんなことはもうやめ』
『ばかやろー!ウルトラなアタシが諦めるわけねぇだろがー!いくぞ!フォームチェ~ンジ!!』
『
光に包まれ、クソつよステイトになるレオちゃん。
た、確かにピンチで強化形態に変身するのは定番だけど...ま、まさか!?
『喰らえベーゼ星人!怪獣ごと吹き飛ばしてやるぜ!"ウルトラシュトラール"!デュワッ!』
『ええぇぇぇ~っ!?!?』
ご丁寧にポーズを決めたレオちゃんから、必殺の光線が放たれる。
怪獣に直撃し、ついでに私もその威力に空へと吹き飛ばされていく。
『ひどい!?私の!?私の細やかで平穏な日常があぁ~!?!?』
『ギャオオオーーン!?』
「べ、ベーゼえぇぇぇ~~っ!?!?」
な、なんで...どうしてこんなことに!?
そのままお星さまになっていく私と怪獣。
はるかちゃんの叫ぶ声が聞こえた気がしたが、それもレオちゃんの勝利宣言に掻き消されてしまった。
『ワーハッハッ!レオパルトちゃん大勝利!アタシちょーカワイイ!カワイイは正義!正義は必ず勝ーつ!では、さらばだぁ!シュワッチィ!!』
「..... と、飛んでっちゃった...。」
「「「いかす。」」」
「えぇ...。」
―――――――――――――――――――――――――――――
「何やってんのよアイツら...。」
「ほっとけ。無視しねぇと巻き込まれんぞ、あのバカ共に。」
「そうね...。」
当たり前のように夏休みも二人一緒のたまネモ。
巨大になり高笑いを上げる同僚に白い目を向けつつ、目的の喫茶店へと入店する。
「おっ。待っとったよお二人さん。好きなもん頼んでええで?うちはコーラにするさかい。」
「おーっす。アタシメロンソーダで。」
「どーも。真珠はアイスココアにするわ。」
既に到着していた友人、天川薫子を見つけ素早く注文を終えるたまネモ。
薫子の向かい側へ並んで座る。
「それで?用事ってのは何だよ?」
「真珠も一緒ってどんな話よ?」
「せっかちやねお二人さん。まずは"最近調子どない?"からの"ぼちぼちでんな~"くらい挟んでおくれやす。」
「アタシら関西人じゃねぇし。」
「京都の人もその会話するわけ...?」
薫子から呼び出されたたまネモ。
電話とかでなく、どうしても直接話したいと呼び出され、行き慣れたファミレスではなくこの喫茶店まで足を運んだというわけだ。
そこまでして話したい内容なら、気になって当然である。
「まず確認なんやけど。あんたら、"付き合っとる"いうことでええ?」
「ああ、そうだけど?」
「ちょっとは否定しなさいよっ!?///」
「それがどうしたんだよ?」
薫子からの恋人確認に即答するネモ。
顔を真っ赤にして抗議する真珠を無視し、続きを促す。
最近あった騒ぎのお陰で、自分の好意に更に正直になったネモ。
最早この程度の質問で動じたりはしないのだ。
「...その。うちも、好きな子ぉがおる言うたら...どない、する...?///」
「は!?まさかアンタ真珠のことがっ!?」
「ちゃうわ何でそうなんねん!?ウチが好きなんははるっ...!?///」
可愛らしく頬を染める、レアな薫子。
真珠の自惚れボケはともかく、その様子と言い掛けた"名前"で全てを察したネモ。
「あぁ、なるほど。相談してぇのか。
「っ!?///」
「あ~...。なるほどねぇ...。」
どうやら図星らしい。
遅れて真珠も事情を察する。
そういえば、夏休み直前の映画の時も、露骨にはるかを気に掛けていたし。
今の反応でその理由も、呼ばれたわけも理解出来た。
「んな恥ずかしがんなって。相談なんだからどうせ話すつもりだったんだろ?アタシらは別に笑わねぇし、言いふらしたりもしねぇ。」
「そーよ。薫子も分かってて真珠たちに相談することにしたんでしょ?いいから、話しちゃいなさいよ。」
「...お、おう。なんや...すんまへん...///」
しおらしい様子の薫子を優しく落ち着かせる二人。
以前の経験から、このタイプはイジると面倒くさくなることを学んでいた。
努めて冷静に、恋愛マスターっぽく振る舞うことにする。
「それで?いつから好きなんだよ?」
「...きっかけはその...たぶん...///」
「たぶん、何よ?」
「......あんたら、キスとか...したトキある...?///」
「あるに決まってんでしょ。」
「お前が即答すんのっ!?///」
薫子からの唐突な質問に今度は真珠が即答する。
やるよりやられる方が恥ずかしい。
真珠からの押しに弱い、ネモらしい反応である。
「キスが何だってのよ?」
「その...じ、事故だったんよ?わざとやなくて...口と口が、こう...///」
「あぁ~...。」
「あぁって。そんなことある?」
「ほら、仲良い友だち同士でポッキーゲームとか。もしくは人工呼吸とかあるだろ?海とかプールでさ。」
「なるほどね。あの子そそっかしいし、溺れたりしたらそういうこともあるか。」
「そそっかしくなくてもお前は溺れるけどな。」
「うっさいわね。アンタの教え方が悪いのよ。」
いい具合に事実とは異なる理解をしてくれた二人に安心する薫子。
本当のことを言うわけにもいかず、とりあえず人工呼吸ということで話を続ける。
「はるかは、その時意識がなかったさかい、そないなことがあったのも覚えてへん。」
「意識してんのは薫子の方だけってわけか。」
「はるか、そういうの鈍感そうだしね。」
「そーなんよ。こっちの気も知らんと距離感近いし優しいし可愛ええし。」
「畳み掛けるわね...。」
「やっとこさ慣れてきたみたいだな...。」
スラスラと言葉が出始めたので敢えて止めることはせず、そのまま薫子の素直な気持ちを聞いていく二人。
「はるかってな?めっちゃええ子やさかい、誰に対しても同じく一生懸命に頑張んねん。でも、そういうん見とると..."その優しさウチにだけ向けて欲しいな"とか、思ってしもて...そんなん、アカンやん?でも、抑えられへんくて...///」
「めっちゃ好きじゃないの。」
「マジで恋してんだな...///」
薫子のいじらしい気持ちにキュンとしつつ、たまネモは考える。
そんな乙女なこの相談相手に、何を言ってあげれば一番いいのか。
「小夜やうてなに相談しなかったのは...。」
「距離が近いし、アイツらの恋愛は特殊過ぎるもの。話聞いてる感じ、あっちは交友関係の前に恋愛感情があったみたいだし?」
「キウィのバカは規格外のバカだもんなぁ。」
「あれで三人仲良くしてんのも謎よ。色んな意味で参考にならないわ。」
「せやろ?そやから、頼れんのはネモはん真珠はんだけなんよ。」
頭に浮かぶ他の友人は全員頼りにはならず。
勇気を振り絞って、たまネモに助言を求めたというわけだ。
「タイプ的にはアタシらに近いのか。」
「友だちとか、幼なじみとか。築いた関係性がある上でって、余計に勇気いんのよね。最悪全部崩れるかもだし。」
「っ...やっぱ...そう、やろか...。」
はるかと友だちでいられなくなるかもしれない。
そんな恐怖が、薫子の気持ちを縛っている。
たまネモは目配せをし、今彼女に本当に必要な言葉を投げ掛ける。
「はるかと話したことがあんのよ。"もし友だちが好きって言ってきたらどうする?"って。」
「え...。」
「あの子、顔真っ赤にしながら"考えさせて!"って言ったの。例えばの話を、真剣にうんうん唸って悩みながらね。」
「薫子の好きなはるかはさ、お前が気持ちをぶつけたくらいで離れてくようなヤツじゃないだろ?」
「!...。」
「そういうあの子が好きなんでしょ?だったら、怖がることなんてないじゃない。」
「焦んなくていいから。ちょっとずつ、薫子の素直な気持ちを伝えてけばいいんじゃねーの?そのことに罪悪感とか、不安とかはいらねぇよ。」
「友だちに対する気持ちも、恋人に対する気持ちも、好きで大切なのは一緒でしょ?だったら、大丈夫。はるかはその気持ちを迷惑だなんて絶対に思わない子だから。」
「真珠はん...ネモはん...///」
いつか、誰かに自分が言ったような台詞。
大切だという気持ちに変わりはなく、好きになった相手を信じろという二人の言葉。
戸惑っていた薫子の心に、ストンと落ちるような心地だった。
「上手くいくかは分からねーけどな?」
「台無しじゃない...。」
「はは...。おおきにな、お二人さん。なんや、ちょい気持ち軽なったわ!」
「あっそ?」
「なら、わざわざ来た甲斐があったってもんだ。」
笑顔を見せる相談者に、何とか上手くアドバイス出来たと達成感を感じるバカップル。
安心して頼んだ飲み物に口を付けていると。
「ん?」
「電話鳴ってるわよ?」
「あ、ホンマや。...はるか...!?」
「「!」」
慌てながら受電し、一度店から出ていく薫子。
「は、はるか!うち...今日暇で...これから...///」
出ていく間際の会話には、二人にもらった勇気が確かに宿っていて。
「もう、大丈夫そうね。」
「ああ。アイツらなら、きっと大丈夫だろ。」
二人は微笑みながら、窓の外を眺める。
そこには顔を赤らめながらもはしゃぎ、向日葵のような笑顔を浮かべる乙女の姿があった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「温めますか?」
「お願いします。イートインコーナーで食べますので。」
「ではお箸をお付けします。」
「あと、からあげチャンのレギュラーを1つ。」
「かしこまりました。」
「バイトは何時までかしら?」
「13時までだ。」
「じゃあ、待ってるわね。」
「かしこまりました。お会計812円になります。」
「みち子ちゃんもっとニコッとね~!お客様にはスマイル満点一択っしょ~!!」
「すみません!!以後気をつけます店長ぉっ!!」
「...(汗)」
勤務態度は至って真面目なのね...。
というか、店長さんすっごいギャルなんだけど?
何歳なんだいったい...。
みち子が働いているというコンビニまで百花さんに送ってもらい、実際にいることを確認する。
私に気付いた時の顔は分かりやすく動揺していて面白かったが、直ぐ様気を取り直したようで店員としての職務を忠実に全うしていた。
本当に世界征服する気があるのだろうか?
「いただきます。」
イートインに入り、簡単な昼食を済ませる。
そういえば、ここはこりすの家に近い位置のはず。
普段使いしているコンビニがあるとは聞いていたが、まさかここじゃないよね?
奇妙な巡り合わせを感じつつ、みち子のバイトが終わるまで時間を潰す。
そうして、お客さんがいなくなり、コーナーに私しかいなくなった頃。
「待たせたな。」
「いえ。急に押し掛けてごめんなさいね?お仕事お疲れさま。」
「ふん。そんな気遣いをする関係か、私たちが。」
バイトを終え私服姿になったみち子と合流し、店前へと移動する。
古のヤンキーのようだが、私たちの見た目のおかげでそこまでの威圧感はない。
こうして彼女を見てみると、普通の善良な社会人みたいだ。
OLさんの私服っぽい。
「貴様、今失礼なことを考えていないか?」
「いいえ?大人っぽくて素敵だなって。」
「老け顔で悪かったな!?」
勝手に怒る田中みち子(20)。
まあ、確かに見た目的にも年齢的にも魔法"少女"は厳しいかもしれない。
「みち子は大学生だったかしら?」
「いや...どうやら中退したらしい...。」
「えぇ、勿体ない。大方ヴェナの誘いを鵜呑みにしたんでしょうけど。」
「私が一番こいつに文句を言いたいのだからそこに触れるな!大体、貴様何故私だけ呼び捨てなのだ!?百花ですらさん付けしているくせに!」
「何故か敬語使う気にならないのよね。みち子がダメなら..."お姉ちゃん"とか?」
「っ!?...それだけは、やめろ...。」
「何よ?冗談に決まってるのに。」
妙に落ち込んだ様子のみち子に困惑する。
このままじゃ話し辛いし、とりあえず話題を変えることにする。
「蘭朶さんの体調はどう?」
「...ああ。捕まっていた期間の栄養失調が尾を引いてはいるが、回復はしている。今週中には退院するだろう。」
「それは良かった。」
入院していると聞いた時は少々心配したが、話を聞く限りもう大丈夫そうだ。
彼女には恨まれているはずだが、それも少しは落ち着いているとありがたい。
「改めて、礼を言う。お前たちのおかげで、蘭朶を失わずに済んだ。」
「助けたのはあなたの力よ。もう気にする必要はないわ。」
「それは...すまない。確かに、これ以上はやぶ蛇だな...。」
貸し借りを考え出せば、私たちは対等に話すことは出来なくなる。
魔法少女狩りに、ロード団。
どう取り繕っても、それらは彼女の罪。
みち子自身が悔いている以上、私もその話を蒸し返すつもりはない。
「話したかったのは、今後のことなの。」
「今後?」
「ええ。どうするつもりなの?シオちゃんズは。"世界征服"、続けるの?」
「それは...。」
原作と違い、彼女は正義の味方に光堕ちすることはなかった。
あくまでも自らの大切なモノを守ることを決意しただけだ。
その行き先については、まだ聞かせてもらっていない。
「...世界征服は、続ける。私には、為さなければならないことがある。」
「...ねぇ。そろそろ、聞かせてもらえるかしら?あなたが、
これは"朝陽"として、ずっと聞きたかったことだ。
まったく同じ世界からと決まったわけではないが、恐らく私たち程お互いの境遇を理解出来る人間は存在しない。
私の痛みも、彼女の痛みも。
共有出来る部分は少なくないはず。
だからこそ、腹を割ってこの話をしたかった。
「...ああ。分かった。だが、その前にお前の話を聞かせてもらえないか?」
「...ええ。確かに、言い出しっぺから話すべきよね。」
わざわざ名前を教えることはしないが、簡単に身の上をまとめて話していく。
端的に言うと、病気だったことに、まほあこが大好きだったこと。
どうしてルシファアズールになったのかとか。
ついでに、どうやってあの時生き返ったのかも教えておく。
どうせ聞かれると思ったから。
「......そう、か...。」
「今更気に病まないでよ?もう終わった話だし、恨み言は言わないって約束したでしょ?」
「あ、ああ...それはそう、なんだが...。」
「どうしたの...?」
「いや...あまりに、似ていると思ってな...。」
「似てるって、あなたに...?」
「違う...。」
終始驚いた様子で私の話を聞いていた彼女。
てっきり私の境遇に罪悪感を感じてしまったからだと思っていたのだが、それだけが理由ではないらしい。
「...妹が、いたんだ。」
「!...いた?」
「お前と同じ、"まほあこ"が大好きな女の子だった。」
そうして彼女は、彼女の過去を語り出す。
こことは違う、まほあこが作品として存在する世界に生きていたこと。
上手く話せていなかった妹さんが、不治の病になってしまったこと。
どうしたらいいか分からず、更に妹さんを避けてしまったこと。
ある時、ふとしたきっかけでお見舞いをし、自分が妹を大切に想っていたのを思い出したこと。
彼女が愛していたまほあこをアニメだけ視聴し、会話のネタにしようとしたこと。
誕生日プレゼントを用意していたこと。
そして、全てが手遅れだったことを。
「あんなに泣いたのは人生で初めてだった。あの子からしたら、私は冷たい姉でしかなかったはずなのにね。...何もしようとしなかった、何も出来なかった自分が情けなくて、許せなくて。泣いて、泣いて。泣き疲れて。気付いたら、この体になっていた。」
「転生ではなく、憑依...。」
「ええ。何をどう間違えたら私をこの世界に運ぶの?それを一番望んだはずの、あの子はただ苦しんで死んだというのに。どうして、この奇跡はあの子を選らばなかったの?」
「それ、は...。」
私と同じ、おかしいくらいに符合する境遇。
なのに、私は転生を果たし。
彼女の妹はそのまま亡くなった。
私に、彼女へ言えることなんてない。
私はまさに、妹さんの椅子を奪った張本人なのだから。
「...ごめんなさい。あなたを責めているわけではないの。ただ、だからこそ諦めるわけにはいかない。あなたのような転生者を生み出す仕組みがあるのならば、それを必ず突き止めてみせる。世界を征し、魔法も、奇跡も御して。理や神すら凌駕して、いつか必ず辿り着く。あの子の為に、私はこの身の奇跡を使い潰すと決めたの。」
「それは...。」
「分かってる。そんなの、ほとんど望みがない荒唐無稽な話だって。でも、あなたを見てるとやっぱり思うの。もしあの子があなたのような体験が出来たら...それ以上の幸せはないんだろうなって。」
「...ええ。私も、そう思うわ。」
微笑む彼女の言葉に同意する。
辛い闘病生活の中で、そんなあり得ない妄想が心の支えになったこともあった。
ならば、きっと妹さんも同じだろう。
「誕生日に、渡しそびれちゃったから。いつか、また会って今度こそ渡したいのよ。最高の"プレゼント"を。それでまた、あの子の笑顔を見れたら...私はっ...」
「......誕生日プレゼントは、何を用意してたの?」
「......マジアベーゼの、フィギュアが付いてるブルーレイ...高かったんだけどね...。」
「!...それは...きっと...っ」
それは、本当に。
心の底から。
「すごく...嬉しかったと、思うよ...っ」
「!...そう...なら...よかった...っ」
この人は私のお姉ちゃんじゃないし、私も彼女の妹さんじゃない。
お互いに違うと分かっていても、まるで本当に目の前にいるみたいに感じて。
"お姉ちゃんがそう思ってくれてたら"。
"あの子がそう思ってくれたら"って。
二人で勝手に感動して、勝手に涙を流してしまった。
「...何か手伝えることがあれば言って欲しい。出来ることならあなたの願い、応援したいから。」
「......ならば、我が軍門に下るか?」
「え...?」
涙を拭い、すっかりみち子に戻った彼女が告げる。
"仲間にならないか"と。
「私は決めた。世界征服の前に、
「は?」
「水神、柊。他の者も含め全員摘むにはあまりにも惜しい。世界征服には戦力が必要だ。お前たちがいれば、我が野望は一気に達成へ近付くだろう!」
「どこの征服王よあなた...。」
某征服王さながらの持論を展開するみち子。
なんか、かなり変な方向に進もうとしてないか...?
「悪いけれど、エノルミータはエノルミータで目的があるの。簡単にあなたに下るわけには」
「分かっている。ならば、正々堂々と"勝負"をしよう。憎しみや後腐れなく。ただ純粋に力を比べ、私はお前たちを倒す!」
「!...へぇ。」
「覚悟しろ、エノルミータにトレスマジア!私たちは、『シオちゃんズ』はお前たちを諦めない!必ず我が軍門に下らせ、奇跡の果てを共に見てもらうぞ!」
力強く宣言するその顔には、最早一片の曇りもなく。
堂々としたその佇まいは、まさに
憎しみを乗り越えた王は、どうやらかなりの大物だったらしい。
「ふーん。そういうことなら、受けて立ってあげてもいいけど。もし負けた時はどうするのかしら?」
「"好きにしろ"。必ず私は立ち上がり、いつかお前たちを征服してやる。」
「...いい返事じゃない。エノルミータ総帥として、その挑戦受けてあげるわ。」
ニヤリと笑い合う私たち。
コンビニの前で何をやってるんだとは思うが、不思議と晴れやかな気持ちだ。
きっと彼女もそうなのだろう。
「用は済んだわ。聞きたいことは聞かせてもらった。次会う時は戦場でね。」
「ああ。...いや、最後に一つ聞きたい。」
「何かしら?」
「その...シスタとは、その後会ったりはしていないか?」
「ええ。彼女は敵だったんだから、こちらにいるわけがないでしょう?」
「そうか...。私は、先ほど話した通りアニメでしかまほあこを知らない。お前は原作を読んでいるのか?」
「11巻の途中までね。」
「ならば、彼女の正体を知っていたりは?」
「それは...何か、関連する話はあった気がするけど、はっきりとは不明だったと思うわ。私も記憶が摩耗していて完全じゃないの。」
「そうか...。」
何故そこまでシスタを気にするのだろうか?
と考え、すぐに一度覗いた彼女の記憶を思い出す。
「ははーん...。そう。あなた、シスタのことが」
「なっ!?何を勘違いしているっ!?私はただ恩人に一言感謝をだな...!///」
「あんなに情熱的に蘭朶さんを口説いておいてねぇ。これって立派な浮気じゃない?」
途端に真っ赤になるみち子の反応が面白くて、つい意地悪をしたくなってしまう。
「貴様にだけは言われたくないなっ!?柊と阿良河に絶賛二股中の貴様にだけは...!」
「は、はぁっ!?二股じゃないし!?私はただうてなもキウィも大好きで大切で幸せにしたいだけですしっ!?///」
「それを二股と言うのだ戯けが!」
「うるさいわね!?あなたに分かる!?あの子たちがどれほど凄まじく可愛いかっ!どっちか捨てるなんて出来るわけないじゃないっ!?」
「貴様こそあの二人が本当はどれだけ愛情深いか知らぬだろうがっ!恩人二人に親愛の情を持つことの何が悪いっ!?」
冷静に考えれば、どちらも二股で間違いないのだが。
何故かそれを認められず、お前の方が酷いと貶し合う私たち。
そこから何故か、お互いの推したちの可愛いエピソードを披露し合うことになり。
店長さんからツッコまれるまで、長々と語らうことになった転生者コンビであった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「ひ、酷い目に遭った...。」
楽しいお買い物のはずが、巨大ヒロインに変身させられた挙げ句、最後は星にされてしまった。
アリスちゃんから離れたことで巨大化は解けたから、街をぐちゃぐちゃに踏み潰すことにはならなかったけど...。
キウィちゃんとこりすちゃん、私が急にいなくなったことについて怒ってないかな?
そこははるかちゃんのフォローに期待するしかない。
...いや。そもそもあの二人のせいでは?
小夜ちゃんがいないとすぐ暴走しちゃうのはあの子たちの悪いところだよね。
次からは目を離さないようにしなきゃ。
「何とか時間までに戻れてよかった...。」
帰るのに2時間くらいかかってしまったけど、無事"約束の場所"までやって来られた。
午前中は正直運が悪かった。
でも、ここからはボーナスタイム。
何と言っても、ここで私を待っているのは"あの子"なんだから。
「あら、いらっしゃい。待ってたわよ、うてな。」
「こ、こんにちは。小夜ちゃん...///」
神社で私を出迎えてくれたのは、巫女服姿で境内を掃除する小夜ちゃんだった。
巫女さんな小夜ちゃんは久しぶりに見るけど、やっぱりすごく似合っていて可愛い。
自然に顔が赤くなっちゃうな...。
「疲れているみたいだけど大丈夫?
今お水を持って来るわね。」
「う、うん。ありがとう...///」
"こりすちゃんの買い物に付き添った後、神社まで来てほしい"。
今日はそういう約束だったのだ。
何の用かは聞いていないけど、小夜ちゃんから『二人で会いたい』と言われたのだから、了承しないわけがない。
「はい、冷たいお水よ。」
「ありがとう。...こく...はぁ...おいしい...。」
「キウィはちゃんとこりすと仲良くしてた?仲良しなはずなのに、すぐケンカするから心配で...。」
「う、うん。大丈夫。楽しそう、だったよ。」
「そう、なら良かった。」
嘘は吐いてないよね...?
余計な報告はあの二人が可哀想だし。
「付き添ってくれてありがとう。うてながいれば安心ね。他の人だと振り回されて終わっちゃうから。」
「あ、あはは...それほどでも...。」
振り回されるどころか星になりました!
とは流石に言えない...。
途中まではいい感じだったんだけど。
「そ、それより用事って何かな?私とその...二人っきりの方が、いいんだよね...?///」
「ええ。みんなでするにはちょっと準備がね。着替えが必要だし。」
する?準備?着替え?
何だろう、何だかすごくソワソワするワードだ。
「というわけで、早速これに着替えてくれる?」
「へ?」
そうして見せられたのは、真っ白で簡素な和服のような衣装だった。
あんまり馴染みがないけど、どこかで見覚えが...。
『はっ...!?こ、これぇ...!和風な作品の濡れ場的なシーン直前で見るあれなのではぁ...!?///』
頭の中で三つ指付いて夜の挨拶をする小夜ちゃんの映像が流れる。
弾けるシナプス!
その後の流れも高速で擦り切れるまで再生し、私の妄想リミッターは完全にタカが外れてしまう。
こ...これはもう、絶対に...!
「しょ、初夜ぁ...!?///」
「夜?...まだ昼間じゃない、本当に疲れているのね...。」
んん?何だかすごく可哀想なモノを見る目を向けられた気がする。
あれれ?おっかしいぞぉ~?と、まともになりそうになる頭とテンションを、一緒に着替える小夜ちゃんの裸体でまたバグらせ。
脳内お花畑を展開したまま、小夜ちゃんに引き摺られて辿り着いた場所は。
「ここよ。」
「え。」
「マイ滝よ!」
「ま、まいた...まいたけ...?」
それははるかちゃん。
じゃなくて。
「た、滝...!?」
ザアァァァ!!と自然の力強い音を響かせて水しぶきを上げる、立派な"滝"がそこにあった。
「滝行は自分と向き合うには最適なのよ。」
「自分と、向き合う...?」
「私たち、今まで色々あったじゃない?たまにはこうして滝に打たれて、自分を見つめ直すのもいいと思うの。」
「な、なるほど...?」
それなら滝に打たれるより瞑想とかの方が効果的なのでは?
邪な考えの私に罰を与えたいとか、そういう本音があるわけじゃないよね?
と、ツッコみたくてしょうがないけど。
何かめちゃくちゃワクワク顔なんだよね、小夜ちゃん...。
「さあ!行きましょう!」
「え、あ...う、うん...。」
ズンズン水の中を進んでいく小夜ちゃんに断り切れず、私もまた躊躇いがちに滝近くへ向かう。
近付くとより音がすごくて、ケガとかしないのかな?と不安になってくる。
まあ、未だに猛暑は和らぐ様子もないので、冷たくて案外気持ちいいかもしれない。
そう精一杯のプラス思考を働かせ、一思いに体を滝の中へと突っ込む。
「ひぃっ!?つっ...冷たい...!?」
涼しいどころか体が氷になっちゃう!?
あまりの冷たさに直ぐ様滝から逃げ出してしまう私。
「じ、自分と...向き合わなきゃ...。」
それでも、
こんな方法でも、もしかしたら何かのきっかけになるかもしれないから...。
そう決意して、再び極寒の滝に身を預けようとする。
「オぼァ!?」
普段からの猫背が災いし、背中に直撃した水流に耐え切れず水面に思いきりダイブする。
お、溺れる!?
「あぶっ!?ばっ!...ぶへぇ!?...し、死ぬ...!」
何とか起き上がり呼吸を確保するけど、もう気持ちは完全に折れかけ。
こんなの無理!ギブアップ!
そう伝える為小夜ちゃんの方を見る。
「え...?」
そこにはまるで、滝になど打たれていないかのように直立不動の小夜ちゃんがいた。
ピシッと伸びた背筋に、何の苦も浮かんでいない表情。
静寂に包まれたように激しい水流をものともせず。
むしろ水を支配するかの如く、凛々しく気高いその姿を私に見せつけている。
「ルシファ、アズール...!」
彼女のヒロインとしての姿を幻視し、その美しさに感服する。
段々気持ち良さそうな顔になってる気がするが、きっと気のせいだろう。
「す ご い や !!」
彼女をいつか倒す魔法少女として、こんなところで諦めるわけにはいかない。
決意を新たにし、今度こそ滝に逆らいその身を強くその場に固定する。
『集中...集中するんだ!凍える体も、押し潰されそうな不安感すら気にならなくなるほどに...!考えろ!私はどうしたいのか...!どう在りたいのかを...!』
やがて本当に音や感覚、体で感じていた世界全てが遠退いて行き。
私の意識は、私の深い底へと落ちていく。
これはまるで、呪いに呑み込まれた時みたいな...?
『ここ、は...。』
気付けば服装が変わっていて、魔法少女の姿となっていた。
周りはただひたすらに白い空間が広がっているだけ。
...なるほど。やはり、こないだの"続き"のつもりみたいだ。
『ここにいましたか、マジアベーゼ。』
『...。』
私の目の前に現れた、エノルミータの姿となった私。
無言で鞭を振るおうとする彼女を制止する。
『待ってください。私はただ、あなたと話したいだk』
『!』
バシュン!と勢いよく鞭が振るわれ、気付けば衣装が剥がれて胸が露になっていた。
『......いやちがくて』
『!』
『話をぶっ!?』
『!』
『ばぁ!?』
『!』
『うげぇ!?』
『ふふっ...!』
何度も呼び掛けようとするが、その度にどこからか現れた触手に殴られ叩きつけられ。
酷く情けない声を上げさせられる。
...なるほど、ね。
『はなし、を...っ』
『ふふふっ!』
『聞けコラあぁ!!!』
『ぎゃああああ!?!?』
堪忍袋の緒が切れ、怒りのままにベーゼに電撃を浴びせる。
何となくサルファちゃんをイメージしたらこうなった。
『人が下手に出ていれば好き放題やってくれますねぇ!?何笑ってんですか一言くらい喋りなさいよそれでも敵幹部なんですかぁ!?』
『あなたこそこないだの件忘れたとは言わせませんよ!?それが話したいだけなんてかまととぶって何なんです!?ガワまで魔法少女にしてそんなにいいこぶりっこしたいんですかぁ!?』
売り言葉に買い言葉。
究極の同族嫌悪に駆られ、更に追い詰めようといつかの三角木馬を召喚する。
ざまあみろと思ったけど、そこはやはり私。
考えることは"同じ"だった。
『『ヒュッ...!?』』
相手も同タイミングで木馬を呼び出した。
股間に走るあまりの衝撃に、同時に空気の抜ける音を出す私たち。
『ひぎっ...これ、はぁ...っ///』
『ふぅっ...ふぅーっ...ふぅ...っ///』
二人して悶え苦しみながら、お互いを認めることが出来ず今度は取っ組み合いを始める。
『
『
『いだだだだぁぁっ!?欲に流されるだけならただのケダモノと同じですっ!私は化け物じゃなあぁぁいっ!!』
『いだぁぁぁぁいっ!?』
敏感な乳首を全力でつねり合い、存分に悲鳴を上げる。
1ミリも気持ち良くも楽しくもないその行為。
ついに何かを生み出す、弱点を狙うという思考すら投げ捨て。
私は私と拳を握り、振りかぶる。
『『ぶっ...!?』』
お互いの頬をぶん殴り、同時に地面に倒れ込む。
何故グーで行ってしまったのか。
ちょっと後悔した...。
『ハァ...ハァ...やはり...決着は着きませんか...っ』
『当然、でしょう...私は、私...ですから...。』
大の字で横になる私たち。
漸く気が済んだのか、もう向こうから攻撃の意思は感じない。
『聞いてください、
『...何を言い出すんです、
そう不機嫌に返す私。
我ながら子どもっぽい。
『あなたが悪ぶっているからです。悲鳴がどうたらこうたら。魔法少女にあこがれてないとか、うんたらかんたら。
『...何ですか、その分かったような曲解は。』
『分かりますよ。私なんですから。あなたも、そうでしょう?』
『......。』
図星を突かれて黙り込む私。
そう。
恐れることも、忌々しがる必要もない。
私は、私。
別の何かなんて、元から私の中にいるはずがない。
『
『...
『それぞれ理解出来る。その二つが、
『私たちはどちらも"必要不可欠"。そう言いたいのですか?』
『うん。』
『...くだらない。』
私は私の結論をしょうもないと吐き捨てる。
相変わらず悪ぶりたいらしい。
そういう病気かな?
『私がいる限り、私の願いは叶わない。そう一度は理解したはずです。それを認めたまま、それでも叶えると言うのですか?』
『そうじゃなきゃ、"マジアベーゼ"でいられないから。』
『......はぁ。まったく。度し難いですね。』
『嘘つき。私がどうしてベーゼでいたいのか、あなたならよく分かるでしょ?』
『...ふんっ///』
顔を赤くする私。
流石、私の"愛"を司るだけある。
『あなたにも、いつかきっと協力してもらう時が来る。』
『お断りします。』
『その時が来たら、また来るね。』
『あなたこそ、人の話を聞きなさい。』
『またね、私。』
『...ふん。せいぜい足掻けばいい。後悔しても、もう遅いですよ。』
その憎まれ口を彼女なりのエールと受け取り、私の意識はまた現実へと浮上していく。
「っ...ふぅ...。」
滝から離れ、水場の縁に腰を下ろす。
今のは、妄想?
それとも...。
「何か、見つかったみたいね。」
「小夜ちゃん。......うん。ちょっとね。」
微笑みながら近付いてくる小夜ちゃん。
何だか見透かされてるみたい。
本当に効果があったし、一言お礼を言わなきゃ。
「小夜ちゃん、ありが...!?///」
「?どうしたの?」
忘れがちというか、雨の日くらいしか実感することは少ないんだけど。
今私は、そんな自然の摂理を痛感してしまった。
近付くほどに、たゆんと揺れる小夜ちゃんのたわわな肌色が、中心のピンク色がはっきりと浮かんでいるのが見える。
「た、たわわあぁぁぁ!?///」
「たわわ?...あぁ。なるほどね。」
激しく動揺する私と対照的に、小夜ちゃんは冷静なまま。
止まるどころかそのまま私を押し倒してくる。
「ささささ小夜ちゃんっ!?///」
「...ねぇ、うてな。私ね、怒ってるのよ?」
目の前に小夜ちゃんのおっぱいが!?
大迫力...!!というか地肌にふにふにが直接っ!?
...あ、忘れてた。
怒ってるって何を!?
「あの日、あなた一人だけ楽しそうに私を"愉しんだ"じゃない?頑張って感動的に、ヒロイックにあなたを助けたというのに。」
「そ、それは...!///」
確かにあれはやり過ぎたとは思うけど、不思議と気分が晴れやかで謝罪もしてなかった気がする。
まあ、でも仕方ない。
あれは私の欲望が暴走したのであって、ある意味私は被害者だ。
『流石の私もドン引きな開き直り方ですね。』
「だから、ね?...私も愉しみたいのよ、あなたを。」
「へ...?///」
濡れた肌が密着し合い、お互いの同じ場所が接して、冷えた身体がどんどん熱くなっていくのを感じる。
目の前に、小夜ちゃんのキレイな顔が迫る。
「アズールとベーゼは交わってはならない。でも、そうじゃなかったら?私たちは今...誰と、誰かしら...?」
「......小夜と、うてな...?///」
「そう。だったら...シちゃっても、いいと思わない...?///」
「......はわー!?!?///」
やっぱり初夜だったぁぁー!?
神社裏で真っ昼間から背徳の初めてをついに経験してしまうのですかあぁー!?
まだ心の準備が!?
でも身体の準備はばっちしでーーすっ!!
お母さん、私!
今日女になります...!!
「うてな...///」
「さ...さ...!///」
『ざよぢゃあああぁぁぁ~~んっ!!(泣)』
「「っ!?」」
ドバァンッ!と凄まじい勢いで"何か"が滝から落ちてきた。
何かと言ったものの、もうその正体については検討が付いている。
すっごく聞き覚えのある声だったし...。
「き、キウィちゃん!?」
「ど、どうして...!?というか、どうやって!?」
「小夜ちゃんうてなちゃんの裏切り者ぉ~!!一緒に幸せになろうって言ったのにいぃ~!!」
「ご、ごめんね!?出し抜こうとかそういうつもりじゃ!?」
「そうそう!?ただこれは生理現象的なあれで反射的に...!///」
「浮気なのは変わらないじゃんかぁ~!!うえぇぇ~んっっ!!」
泣きじゃくりド正論をぶちかましてくるキウィちゃん。
乗りと勢いでやり過ぎてしまったのは申し訳ないけど、だからって滝から落ちて来なくても...。
「とりあえず落ち着けよキウィ。」
「まあ、泣きたい気持ちは分かるわよ...?」
「ムスゥ...。」
「たまネモにこりす!?」
「な、ナニモミナカッタヨ!?///」
「お手本のようなカタコトやめぇや...。」
「はるかちゃんに薫子ちゃん!?」
来ていたのはキウィちゃんだけじゃなかった。
順番に気まずそうな顔を見せるみんな。
まさかの全員集合である。
いったい、どうして...!?
「あー...。いや、悪いとは思ったんだぜ?」
「そこのバカが"胸騒ぎがする!"って聞かなかったのよ。」
「薫子ちゃんが真珠ちゃんネモちゃんと一緒だったの、珍しいよね。」
「はるかこそ、なんでこりすはんとあのアホが一緒やねん...。」
な、なるほど?
偶然に偶然が重なって全員が合流して、キウィちゃんに促され仕方なくここに来てしまったと...。
恐るべし、乙女のNTRセンサー。
「...ちなみに、どこから見ていたの?」
「つ、ついさっき来たばっかりだよ!?」
「そうよ!?巫女姿で掃除する小夜なんて今日は見てないわ!?」
「最初っからじゃない...!///」
「ばっか真珠お前...。」
「流石に滝近くでの会話は何も聴こえへんかったけどな。...ったく。もうちょっとやったんに、こんアホ団子は...。」
「あぁ!?"初めてはアタシがいい"っていう乙女心が分かんねーのかてめぇ!?」
「ハァ。」
「だからって滝から落ちるのは危ないよ...?」
「というかどうやって登ったのぉ!?」
「愛の力だぜはるかっぴ!!」
「あー、はいはい...。」
みんなの会話に混じりながら、一部始終を目撃されていた羞恥心を冷まそうとする私たち。
これからどうキウィちゃんを宥めようかと顔を見合せる。
"初めて"を経験出来なかったのは残念だけど、集まったみんなの賑やかさが心地よくも感じる。
恥ずかしいような、幸せなような。
やっと私たちに平和が戻ったと、そう実感した瞬間だった。
「まだまだ、楽しい夏になりそうだね。」
「...ええ。みんなと一緒だもの!」
「小夜ちゃんの鬼ぃ~!うてなちゃんの悪魔ぁ~!仲良くするならアタシを挟んでぇぇ!?どぞおぉぉ~っ!!!(泣)」
―――――――――――――――――――――――――――――
「ひとまず、これで一段落といったところかな。色々と伏せておきたい情報を明かしてしまう結果にはなったが。」
「申し訳ありませぇん...。私の失態ですぅ。」
「...失態か。その言葉に偽りはないと考えていいのかな?」
「はぁい。私はぁ、ヴェナさんの忠実な僕ですからぁ。」
「...安心したよ。これからもよろしく頼むね、シスタギガント。」
"嘘吐き"め。
二人の死神はお互いを見ることすらせず、そう嗤った。
―――――――――――――――――――――――――――――
11月より2.5部開幕!
『
全5話予定!
笑いあり!涙あり!闇堕ちあり!?
ヒロインたちの夏はまだまだ終わらないっ!
「お注射、しちゃうよぉ♥️」
「店長と呼べクソガキ共...!」
「やっとお話しできたのだわ。」
「エロゲーだこれぇぇ!?」
「今なら分かります...!これがあなたの愛なんですね!?アズールっ!」
Don't miss it...?
これにて第二部『
オリジナル要素が強めに出た作風でしたが、いかがだったでしょうか?
少しでも皆さんのまほあこ欲を満たせていたら幸いです。
来週はお休みを頂き、次回は11/2(土)0:00投稿予定です。
感想、要望、質問等いつでもお待ちしてます!