魔法少女にはなりません ~転生したらアズールだった件~ 作:月想
お気に入りが700を超え、ついに右端まで真っ赤になりました。
ここまで出来たのは、すべて皆さんのおかげです。
よりよいものを見せられるよう、これからも頑張ります!
今回はまほあこ感謝祭から思い付いた話になります。
「いたっ!?あーんまた刺さったぁ~!さよちゃん、ちゅっちゅしてぇ~...?」
「そんなことしたら汚いでしょう?ちゃんと絆創膏付けときなさい。」
「クイクイ。」
「ん?...ああ、ここはね?」
夏休みもわずか10日余りとなったある日。
いつも通り、私たちはナハトベースで平穏な日常を過ごしていた。
「おーっす。」
「いっつもエアコン効いてて極楽よねーここは。電気代はヴェナ持ちかしら?」
「おはよう、二人とも。ちゃんと料金を払うような、殊勝なマスコットには見えないけどね。」
ゲートをくぐってやって来た真珠とネモに挨拶する。
このアジト、電気ガス水道にWi-Fiまで通っていることは確認しているものの、その契約内容などは聞いたことがない。
まだ中学生だし詳しくないのは当たり前だが、一般常識で考えても不思議である。
今度ヴェナに聞いてみてもいいが、結局煙に巻かれそうな気がする。
「イソイソ...。」
「なによ、家族揃ってお裁縫してるの?」
「似合わねーなぁ、キウィ。」
「ハァ!?キウィちゃんはマジプロなんですけど!?免許皆伝なんですけど!?」
「皆伝って誰にだよ...血ぃ出てんぞ指からぴゅーって...。」
物珍しそうに私たちを見るたまネモ。
先に来ていた私とキウィ、こりすは全員揃って家庭科の授業よろしく、ぬいぐるみを手にチクチク"裁縫"をしていた。
直しているのは勿論、こりすのぬいぐるみたちである。
「何で急に?人形直すのは小夜の係だったろ?」
「後は"遊んで解れた"と言い訳して、うてなに直してもらうこともあるわね。
私が直そうとは思ったのだけど、今日はこりすから"自分で直してみたい"と言われたのよ。」
「へぇー。こりすからねぇ。」
言われた時は驚いたが、こりすにとっておもちゃたちは大切な"お友だち"。
自分で治せるようになりたいというのは自然な願望である。
「んで、しょーがないからアタシとさよちゃんが教えてやってるってワケよ~。」
「フリフリ。」
「おめーは失敗してるだけで役に立ってねぇってよ?」
「あぁ!?アタシ自ら失敗することでサイホーのきけんせーを教えてやってんだろが!」
「普通にやってて何でその出血量なんだよ。注意喚起どころかトラウマになんだろそれ...。」
キウィもうてなとの特訓の末、問題なく裁縫ができるようになったはず。
何故また頻繁に針で指を刺すぶきっちょになったのかは不明だ。
「キウィはともかく、こりすは偉いよな~。自分から出来ないことにチャレンジして、最近は成長著しいって感じだな。」
「そうね。総帥として、お姉ちゃんとして鼻が高いわ。」
「成長しないどっかのバカに爪の垢煎じて飲ませてやりたいぜ。」
「ぁんですって!?」
「真珠のことだなんて言ってねーけどぉ?」
「んじゃアタシか!?ころすっ...!」
「こえーよっ!?今お前が反応するとこじゃなかっただろうが!?」
みんなが相変わらずな会話を続ける中、黙々と一人裁縫に勤しむこりす。
一生懸命頑張っている姿がとても可愛らしく、庇護欲をそそられる。
撫でたい、抱き締めたい、いっぱい甘やかしたい。
うちの娘(仮)可愛過ぎっ!
「こりすはね、このお裁縫を"自由研究"にするらしいの。」
「自由、研究...?」
「あー。あったわそんなん、ガキん時に~。」
「夏休みの宿題の定番だよな。自由研究で裁縫なんて珍しいけど、まあ
「......夏休みの、しゅく...だい...?」
趣味と実益を両立する名采配というわけだ。
直すだけでも成果としては上々だと思うが、新しく小さいぬいぐるみを作るのもありか。
希望を聞きつつ、2、3日で完成するようにサポートしなければ。
「あ"ーーーっ!?!?」
「んだよ急にデケェ声出すなよ真珠!?」
「すっかり忘れてたぁ...!夏休みの、しゅくだいぃぃ~!!(泣)」
「忘れてたって...まったくやってないの?」
「何も、や"って"な"い"っ...!!」
某剣豪さながらに(何もかも情けないが)何もなかった宣言をする真珠。
夏休みの宿題を丸々存在ごと忘れるなんて、はるかでもしなさそうな天然っぷりである。
真珠ってこんなキャラだっただろうか?
生意気で泣き虫でも、もう少ししっかりしていたはずだが...。
「夏休みの宿題くらい先に終わらせとけよなー。そんなだから赤点なんか取んだよばぁーか。」
「うぅっ...!くやしい...!にくたらしい...!でも反論できなぁいっ...!」
「はぁ。別に宿題くらい、10日もあれば何とかなんだろ。むしろ今思い出させてくれたこりすに礼言っとけ。」
「ううっ!ぁりがとぉぉ...(泣)」
「ドンビキ...。」
泣きじゃくりながら宿題を取りに戻るたまネモ。
とりあえず、真珠の楽しい夏休みはここで終わりになりそうである。
せっかくバイトをして給料ももらえたと言うのに...。
"最後に近場に旅行でもどうか"と切り出そうとしていたが、この分だと一度考え直すべきだろう。
「宿題、まとめて一緒に終わらせておいて正解だったわね。」
「そだね~。でもアタシは最終日にぜんぶつぶせるから~どっちでもおけ~。」
「天才肌が羨ましいわ...。こりすは宿題、大丈夫そう?」
「コクリ。」
こりすは頷き、机に置いてあったノートを私たちに見せる。
「これは..."絵日記"ね。」
「おー。うめぇじゃんこりす~。」
夏休みに起こったことが、可愛らしい絵と共に綴られている。
これもまた夏休みの宿題の大定番。
毎日しっかり、その日の内に描いていることが窺える内容だ。
「横着せずにちゃんと継続して描いてるのね。偉いわよ、こりす。」
「フンス。」
将来は絵本の作家さんなんてどうだろう。
娘の将来が楽しみな親バカの気持ちがよく分かる。
そうしてこりすの絵日記を見せてもらっている間にたまネモが戻ってきて、真珠は宿題とのタイマン勝負を開始するのだが...。
「...ねぇ。とんこつラーメンって何で塩とかしょうゆとかと並んでんのかしら?とんこつだけ気色が違うじゃない...?」
「やる気ないのかお前。」
うんうん問題に唸っていたかと思えば、突然どうでもいい疑問を口にする真珠。
分かりやす過ぎるくらい集中力が切れている。
ネモもキレ気味である。
「やらねぇと困るのはお前だぞ!」
「そんなの真珠だって分かってるわよ!ちょっとくらいいいじゃない!」
「もう、いちいちケンカしないの。本当にちょっとだけよ?気晴らしの会話は。」
放っておくとケンカだけで時間を浪費しそうな二人を嗜め、数分会話するくらいいいだろうと促す。
手綱をこちらで握っていれば、話過ぎるということもないだろう。
「あ、じゃあ...前々から思ってたこと言ってもいい?」
「何で豚の骨なのかってこと?」
「ラーメンはもういいわよ!?」
「冗談よ。総帥ジョーク。」
「...真珠たち、一応エノルミータの"幹部"ってことになってるじゃない?」
「幹部じゃなくてアタシは副そーすいだかんな!あがめろ!」
「へいへい、どーせアタシらは平だよ。」
「そこなのよ!幹部って言ってるわりに、真珠たちの
「......あぁ、確かに。」
灯台もと暗し。は違うか...?
今までひたすら幹部幹部言われてたから全然気にしていなかったが、確かに部下らしきものをまったく見たことがない。
というか、トレスマジアや一般市民は何を以て私たちを"幹部"と呼んでいるのだろうか?
まあ、私は総帥だから。
あんまり興味ないけど?
「あれだろ。その辺にいる魔物もエノルミータのせいになってるし、あいつらが下っ端怪人ポジなんだろ。」
「なるほど?...でも、真珠たちの中で何かを"使役"出来るのってこりすだけじゃない?」
「フンス。」
「野良魔物に命令したって言うこと聞かねーじゃん。アタシあんなカワイくない部下やだー。」
「んじゃ、幹部って言っても肩書きだけっていう残念な状態なんだな...アタシら...。」
確かに魔物は雑魚怪人枠だし、私たちが登場する前にマゼンタたちが戦っていたのはほぼほぼ魔物だった。
世間ではあれが、私たちの部下ということなんだろう。
キウィの言う通り制御出来ないし、可愛くもないので甚だ遺憾である。
「なら、
キミたちだけの眷属を。」
「あん?」
「最近そういう登場ばっかりね、ヴェナ。」
声と共に虚空から現れる、黒いマスコット。
ヴェナはまたもや"怪しげなアイテム"を手に持ちながら、机の上へと降り立つ。
「やあ、小夜。キミたちの話題はいつもタイミングが良くて、毎回驚かされているよ。」
「私としては基本的にタイミング最悪よ、あなたは。」
「相変わらず冷たいね、少し悲しいよ。」
「なら悲しそうな顔くらいしなさい。
で?眷属が何だって?」
心にもないことを言う腹黒マスコットを牽制しつつ、先ほどの言葉について深掘る。
やぶ蛇な気がするが、何だか触れなくてはいけないような気がした。
「キミたちに"眷属"を与えようと思ってね。造るとしようじゃないか、各々の最高の魔物を。」
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「"だれでもケンゾクバッジ"~。」
「ヴェナえもん...。」
某たぬき型ロボットさながらに邪悪そうな秘密道具を掲げるヴェナリータ。
『だれでもケンゾクバッジ』と銘打たれたそれは、これまた某国民的RPGの最初の敵でお馴染み。
スライムの形をした、大きめのバッジであった。
全体的にパロディマシマシな雰囲気に、違う次元から怒られないか心配になるエノルミータの面々。
気まずい沈黙が流れる中、ヴェナは缶コーヒーでも差し入れるような気安さで、小夜へとバッジを投げ渡す。
「な、何よ...?」
「試してごらんよ。魔力を流せばその持ち主に合わせた眷属が生まれる仕組みさ。」
「試せって...。私は別に、これ以上部下はいらないのだけど...。」
ヴェナを警戒し、なるべく口車に乗せられたくない小夜。
面倒なことになりそうだと思う反面、気になるのも確か。
仕方なく、言われた通り変身する時と同じイメージでバッジに魔力を流してみる。
「...!」
「さあ、生まれるよ。キミの眷属第一号が。」
輝きを放つバッジ。
魔法陣が浮き上がり、中から白い光と共に"小さい何か"が現れた。
『くぅ...くるる...?』
「これが私の...?」
「雪の妖精的な...?」
「すげぇ...ゲームでよく見るやつだ...。」
小夜の前で不思議そうに首を傾げる小さな生き物。
手のひらサイズのそれは、和服を着た真っ白な髪の女の子。
のように見えて、顔は犬のような愛らしい"獣じみた"見た目をしていた。
「な~んだ。ケンゾクってゆーからもっといかちいのが出てくると思ってた~。ちんちくりんでケッコーカワイイじゃん?まあ、カワイイ部下はアタシとこりすで十分だし~?お前の席ねぇから!みたいな。けらけら~。」
『むかっ...。』
褒めてるというより貶してる割合が多いキウィのコメントに、不機嫌な表情を浮かべる小夜の眷属。
彼女?が嘲笑を浮かべるキウィに手をかざすと、キウィの身体が一瞬で
「カ...カチン、コチン...。ガクッ。」
「キウィ!?」
『ふんす。けらけらけら!』
「パアァァ!」
「小夜らしい強力な魔物だね。
当たりを引いたみたいだ。」
「見た目に反して凶悪過ぎんだろ...。」
「あれじゃほとんど"ミニアズール"じゃない...。」
可愛らしい見た目からは想像も出来ない力を秘めているらしい眷属。
たまネモが戦慄する中、こりすはとてもワクワクした顔で眷属を眺めている。
強力なのはいい。
だが、意思の疎通は可能なのだろうか?
このままではキウィが凍死してしまう。
小夜は思案する。
ミニアズールというあだ名から、親しみを込めた名前を与える。
「こほん...。"ミニア"。キウィが失礼なことを言ってしまってごめんなさい。でも、その子は私の大切な人なの。凍らせるのをやめてもらうことは出来る?」
『くるる...こくり。』
ミニアと名付けた眷属は小夜の謝罪に頷き、キウィの凍結を解除した。
ふわふわと浮かんで、彼女の肩にちょこんと座る。
「ぶわぁぁ!?夏なのにさぶっ!?こごえじぬぅぅ!?」
「よし、元気だな。」
「次いきましょ、次。」
「うぉおい!?心配しろ!!てかあっためろ~!?」
「ふふっ。お願いを聞いてくれてありがとう、ミニア。これからよろしくね。」
『きゅるる~。』
「ビッ!ビッ!」
小夜が肩にいるミニアを撫でていると、こりすがすごい勢いで"私も!私も!"とバッジをせがんでくる。
「はいはい。そんなに慌てなくても渡すから。」
「ワクワク!」
こりすはおもちゃたちを使役出来るし、わざわざ眷属を造る必要はない。
まあ、生み出した本人には害を与えないみたいだし。
こりすが喜ぶならそれでいいか。
そんなことを考えながら、小夜はバッジをこりすに手渡す。
受け取ると同時に、嬉々として魔力を流すこりす。
「次はどんなのが来るんだ?」
「流れ的にまたカワイイ系じゃないの?」
「もう、何も言わんとこ...。」
同じように魔法陣が現れ、バッジが輝きを放つ。
光が晴れたそこには、白いぬいぐるみのようなマスコットが...ってぇぇ!?
『ボクと契約して魔法少女n』
ガギン!と音を立てて氷と化す"名前を言ってはいけないアレ"。
グッジョブ、ミニア。
流石にご本人登場はまずい。
見た目がご本人なのが、もうまずい。
魔法少女には、なりません...。
こりすが何か言いたげな顔で小夜を見るが...。
「ダメよこりす...!こればっかりは流石の私も許せないわ...!魔法少女の大先輩たちにしばかれるのはゴメンよ...!」
「ションボリ...。」
落ち込みつつ、アレを諦めるこりす。
危なかった。
こりすは"アレ"がお気に入りであったのを忘れていた。
バッジはある程度使い手の願望を反映するのだろうか?
そうでないなら、恐らくは神様の悪ふざけだろう。
浅はかな笑いを取りに行くのはご遠慮願いたい。
「ほ、ほら!気を取り直していきましょう!」
「そ、そうだな!真珠、次お前行けよ。」
「え、ええ...。何かスッゴい不安になってきたけど...。」
ネモたちに促され、嫌々こりすからバッジを受け取る真珠。
恐る恐る魔力を流し、眷属を誕生させる。
『ブッチュウ~♥️』
「うげっ!?」
「あはは!すげー変なの出てんじゃん~!」
真珠が生み出した眷属は、棒人間のような体に頭の代わりに巨大な"唇"が付いた珍妙な姿をしていた。
手にマイクを持っている以外、真珠要素が見当たらない。
「ぜ、ぜんぜん...可愛くない...。」
「こんなんでもあなたの子なのよ?」
「"こんなん"って言うんじゃないわよっ!?」
「ま、まあ。もしかしたらめっちゃ強いかもしんないしさ...。」
「これのどこが強そうに見えんのよぉ...。」
落ち込む主人に構わず、真珠の眷属はネモをじっと見つめる。
見つめる...?どこが目なんだ?
「な、何だよ...?」
『...チュキ♥️』
「へ?」
『ブッチュー!♥️』
「ぎゃーっ!?!?」
「ネモぉぉーっ!?!?」
あろうことか唯一のご主人様要素であるマイクを投げ捨て、ネモに体当たりという名の"ディープキス"を繰り出す唇お化け。
体格に似合わぬ怪力でネモを押し倒し、ひたすらキスをし続ける。
「ちょっ!?なに!?何なのあんたっ!?やめなさいっ!?ネモを離しなさいよぉっ!?」
「こりす。何もな~い。何もないからな~。」
「ムスゥ...。」
「ねぇ、ヴェナ?眷属って、もしかして私たちの願望が反映されたりするの...?」
「ある程度はね。真珠の眷属は欲に振り切れてしまったみたいだけど。」
「なっ...!?///」
遠回し、というより最早直球で"恋人とキスしたがっている"ことを指摘された真珠。
顔を真っ赤にしながら、尚もキスを続ける眷属とビクンビクンしているネモを眺めていることしか出来ない。
なかなか刺激的な光景な為、こりすについてはキウィの手ブラならぬ手目隠しを実施中である。
「違うのっ...真珠は...違うのよぉっ!///」
「むごいわね...。」
「ハッ!?つまりさっきの冷凍キウィちゃんはさよちゃんからの愛情ヒョーゲンだった...!?よっしゃこい!ミニア!もっとこいばっちこーーいっ!!」
『ひぇ...こわ...。』
世界は変人だらけ。
生後10分程でミニアが学んだ真理であった。
それから数分、唇お化けのキス攻撃は続き。
お化けが満足し離れた頃には、ネモは干からびてピクピクするだけの乾燥ワカメとなっていた。
「ひ、酷い目に遭った...っ。」
「煮るなり焼くなり好きにしなさいよぉ(泣)」
「ま、まあまあ。あれは事故よ事故。
忘れましょう、その方が幸せよ...。」
30分程して漸く回復したネモにバッジを手渡す真珠。
小夜が泣き続ける真珠を慰めるが、ネモの顔には未だに大量のキスマークが付いたままだった。
「はぁ...もう変なのは出てくんなよ...?」
フラグ臭い台詞と共に、バッジから眷属を生み出すネモ。
皆が不安を隠せず固唾を飲む中、現れたのは。
『タコタコ...。』
「...?」
「なんだ、ちゃんと可愛いのが出たわね。」
「タコじゃん。うまそー。」
「正確には"メンダコ"だ。食うなよ?」
タコ、それも『メンダコ』と呼ばれる種類に酷似した見た目の眷属。
まるで泳ぐように空中を漂う姿は優雅で、ハズレ二回を越えてまともなのが来たと全員が安心する。
「ほら、真珠。ネモの眷属はなかなか可愛いわよ?」
「っ...?」
未だに恥辱に震える真珠を癒そうと、ネモのメンダコへ近付ける小夜。
「...意外と、カワイイじゃない?」
『プルプル...。』
メンダコを指でツンツンしながら、そのへんてこながらも可愛い見た目に笑顔を取り戻す真珠。
そんな彼女を見て、もしくは自分の眷属を気に入ってもらえたからか。
疲弊したネモにも満足そうな笑みが浮かぶ。
最早強さではなく、まともで可愛いことが眷属に求められる条件となったのだ。
「この子にも名前付けてあげなさいよ。」
「名前、名前か...。」
「何なら真珠が付けてあげよっか?」
「お前のセンスには任せたくねぇ。
そうだなぁ...タコ...めんだこ...。
...ま、まぁ?一応?お前の意見も聞いてやってもいいぞ?真珠。......真珠?」
いい名前が思い付かず、ツンデレな感じで真珠の案も聞こうとするネモ。
しかし、基本的に喧しいはずの相方の声がいつまで経っても返って来ない。
不思議に思い振り返る。
『クチュ、チュルル...』
「んも...もぎゅ...っ///」
「......真珠ぁぁ!?!?」
数秒前の心暖まる光景はどこへやら。
メンダコは隠された口をその身より大きく開き、真珠を飲み込もうとしていた。
上半身は完全に口の中に入っており、下半身だけがジタバタともがき苦しんでいる。
「Oh...。」
「こりす~。何も。やっぱ何もないからな~。」
「ムスゥ...。」
「見た目で油断させるタイプの魔物のようだね。」
またしてもショッキングなシーンを目撃した小夜たち。
標的が真珠だったのは偶然か、それとも...。
「すまねぇ真珠...前にタコに襲われてるお前を見て...アタシ...可愛いって思っちまったんだ...!///」
「んぶぅっ!?///」
「お、Oh...。」
突然の告白。
誰かさんたちのSMプレイを日常的に見ていた結果、ついに自身にも芽生えさせてしまったらしい。
ネモの隠された欲望が、思わぬ形で露見してしまった瞬間であった。
「っ...っ...///」
「ま、真珠ぁっ!?!?」
ついに動かなくなった真珠。
ズルズルと完全に飲み込まれた後、ムチャムチャと咀嚼され、最終的に吐き出される。
勿論食事にされたわけではない為、命も身体も別状はない。
ただ粘液でベッタベタなだけだ。
「......たこ...ぃや...っ」
「ごめん...!ごめんな真珠っ...!」
「最近、お前らのイチャイチャが恐くなって来たわ。マジで。」
「傷を抉るのはやめなさい。
ほら、最後はキウィの番よ。」
「は~い。」
グロッキーなたまネモを放置したまま、最後にキウィへバッジを渡す小夜。
ここまで来たら、全員分見ておきたい。
恐いもの見たさもあるが、戦力として期待できるかもしれないと、総帥らしい考えもあっての行動であった。
素直に魔力を流し、本日ラストとなる予定の眷属誕生を成し遂げるキウィ。
期待と不安MAXの場に降り立ったのは。
「キウィ...?な、何かしら...?これは...。」
「え?"歯ブラシ"だけど。」
「歯、ブラシ...?」
「そー。歯ブラシの魔物。」
歯ブラシだった。
いや。
正確には歯ブラシが何個も重なったような、歪な姿の"魔物"であった。
「これは...何が、出来るの...?」
「歯ブラシなんだから歯磨くっしょ?したら、ずーっと磨きたくなって。んで、眠くなったと思ったら目が覚めて。また歯ブラシ見て、歯磨くの。それがずーっと繰り返すわけ。」
「めちゃくちゃ恐いじゃない...でも、何でそんなに詳しいの...?」
「わかんな~い。なんか、おりてきた。」
まさかの"ループ攻撃"を仕掛けてくる歯ブラシ。
初めて召喚したはずの眷属に詳し過ぎるキウィも合わせてビビる小夜。
きっと触れてはいけないところなのだと本能的に理解し、この『だれでもケンゾクバッジ』について考えをまとめる。
「ふむ...。それなりに可能性は感じるわね。ちょっと面白そうだわ。」
「小夜、何か企んでいるのかな?」
「
(主に心が)傷ついた真珠とネモを不憫に思いつつ。
"これがもしベーゼたちだったら"、と。
そう考えるだけで、ルシファアズールは自分の胸が高鳴るのを感じていた。
久しぶりのサディスティック。
以前は消化不良に終わったし、今度は
「来てくれるといいけれど。シオちゃんズ。」
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「魔法でこの私に勝てると思うか...!」
「関係あらへんっ!ウチにはこの拳だけで十分や!!」
空中で何度もぶつかり合う拳と剣。
鉄同士がお互いを削る金属音が、数秒のうちに何度も空から響き渡る。
「サルファちゃん...!」
「あなたの相手は、あたし...。」
「くっ...!」
援護に駆け付けようとする私を遮るベルゼルガ。
真化しているとはいえ、隙を晒せる相手じゃない。
「えいっ!このっ!」
「ふふっ!素敵ですわ可憐ですわっ!
もっともーっと踊って下さいまし!」
地上では、生成された複数のゴーレムを一人で相手取る、マゼンタちゃんの姿が。
ゴーレムを操るパンタノペスカに対して、マゼンタちゃんには余裕があるように見えない。
「今日こそ我らに屈してもらうぞ!トレスマジアっ!!」
ざっくりと言ってしまえば、私たちトレスマジアはシオちゃんズに襲われていた。
三人で遊びに行こうと街まで出てきたんだけど、広場で待ち受ける彼女たちを見つけてしまったのが運の尽き...。
仁王立ちで『出てこいトレスマジア!』とか叫んでて。
あの人たちへの認知度の問題なのか、街の人は逃げるでもなく困惑した表情で事態を見守るだけ。
放っておいてもちょっと可哀想なだけで、害はないし。
私は無視しようと思ってたんだけど...。
薫子ちゃんは違った。
前回、悪役みたいにイミタシオに星にされたのをすっごく気にしていたみたいで、
『やってやろうやないか!!』って飛び出して行ってしまったのだ。
相変わらずストレスが溜まってたし、その気持ち自体はよく分かる。
結局、私とはるかちゃんも参戦することになり、3対3の正々堂々な勝負を繰り広げることになったのである。
「このままじゃ...!?」
サルファちゃんは魔法を打ち消され不利な戦いを強いられてるし、マゼンタちゃんは数の暴力で追い詰められてる。
私もベルゼルガを押し切るには今一歩足りないのが現状。
もし誰かが負ければ、その時点でチームの負けが決定的になってしまうだろう。
何とかしなくては...。
私たちは、こんなところで負けてなんていられない。
そう自分を奮い起たせ、一か八か
「楽しそうなことをしてるじゃないの!」
「!?」
「来たか...!」
巨大看板の上に居並ぶ、5つの人影。
自信満々に胸を張るその姿を、私が間違えることはない。
「アズール!?」
「エノルミータ、参上ってね。
私たちも交ぜてもらうわよ。」
まさかここでエノルミータが来るなんて...!
こないだみたいなことになったら、またマゼンタちゃんがひどいことに!?
「じゃあ、割り振りを決めるわよ?
私はシオちゃんズと楽しむから、ロコとルベルはサルファとマゼンタをお願い。」
「へいへい。」
「タコ...イヤ...。」
「アズールちゃん、アタシは~?」
「レオは私を手伝ってもらうわ。」
「やた~!」
まるでバイトみたいに役割分担をし始めるエノルミータ。
今日の目的はシオちゃんズの方、なのかな?
私だけ名前呼ばれなかったし...。
ちょっと悲しい。
「私たちをご指名らしい。」
「アズールは、倒す...。」
「ついにキマしたわ!アズール様の鬼畜プレイでわたくしどれだけ辱しめられてしまいますのー!?///」
一度私たちから離れ、エノルミータに備えるイミタシオたち。
相変わらず、パンタノペスカだけ緊張感の欠片もないみたいだけど。
「...アレはいらないわね。レオ、"例のモノ"を。」
「あいさ~。」
興奮する変態さんを見て嫌な顔をした後、アズールはレオちゃんに何やら指示を出している。
レオちゃんは服の中から丸い何かを取り出して、勢いよくパンタノペスカの前に放り投げる。
何だろう、すごい既視感...。
「いけ~!ムゲン歯ブラシ~!」
「は...?」
『...』
パカッと開いたその球は光を放ち、中から得体の知れない生き物を飛び出させた。
...生き物、なのかな?
どう見てもヘンテコな歯ブラシにしか見えないんだけど。
というか。
あれもしかしてモンスターボr
「な、何ですの...?これ。」
『...』
「何とか言って下さいまし!?」
『...』
対するパンタノペスカは、ただじっと佇む歯ブラシを見つめ、どう反応したらいいか分からない様子。
あれのトレーナー?であるレオちゃんはどや顔を崩すことなく、ただニヤリと笑ったままだ。
「.....」
『...』
「.....」
『...』
「おい、どうしたペスカ?」
「...」
「ペスカ...?」
突然押し黙り、次第に虚ろな瞳になっていくパンタノペスカ。
仲間の呼び掛けにも耳を貸さず、歯ブラシを拾い上げ、そのまま。
「ガジッ!ガシガシガシッ!」
「何をしている!?」
「ペスカ、変...いつもだけど。」
突然、あの魔物で歯を磨き始めた。
ちょっと汚い気がするけど、問題はそこじゃない。
パンタノペスカは歯ブラシを激しく使いながら、バタリと倒れてしまう。
一心不乱に磨いているその顔は、まるで気を失っているようで...。
「眠っている、のか...!?」
「ペスカ...気持ちわるい...。」
ベルゼルガが歯ブラシを取り上げようとするが、すごい力で握られているのか、まったく引き剥がせる感じじゃない。
「流石ね、レオ。あなたの魔物はなかなか強力じゃない。」
「えへへ~!もっとほめてアズールちゅわぁ~ん♥️」
「魔物だと...!?」
やっぱりあの歯ブラシは魔物だったんだ!
しかも"レオちゃんの"って、いったいどういうことなの...?
「これで邪魔者は...っと。
まだいたわね、一番厄介な子が。」
「へ...?」
「アリス、お願い。」
「コクリ。」
アズールが今度は私を見つめ、アリスちゃんに指示を出す。
首肯した後おもちゃを差し向けることもせず、アリスちゃんは真っ直ぐ私の側にやってくる。
「あ、アリスちゃん?何を...」
「...ギュッ」
「へ!?///」
可愛くても今は敵。
何をしてくるのかと警戒している私に、アリスちゃんはそのままぎゅっと抱き着いてきた。
「え、えっ!?///」
「スリスリ。」
慌てながらも、まだ何か企んでいる可能性を捨てきれない私。
そんな自分がバカに思えてくるほどに、くっついて甘えてくるアリスちゃん。
か、可愛い...!
「スピーZz」
「え!?ね、寝ちゃった...!?」
私の不安を他所に、そのまま眠ってしまったようだ。
これは、いったい...?
困惑しつつ、このままでは危ない為、地上に降りて眠ったアリスちゃんを膝上に寝かせる。
「アリスは今日はおやすみ。壊れたおもちゃを修理出来ていないし、新しいおもちゃも家に置いて来たみたいだから。」
「な、なるほど...?」
「ベーゼ、その子をお願いね?さっきまで色々頑張っていたから、疲れちゃったみたいなの。」
「そ、そうなんだ...?...うん。分かった。」
「いや分かるかい!?そいつ敵やぞベーゼ!?」
「アリスちゃんって気持ちよさそうに眠るから、起こしたくなくてつい動けなくなっちゃうよねぇ。」
「共感しとる場合かっ!?」
予想外の手で動きを封じられてしまった。
これで戦えるのはそれぞれ4人。
流石アズールだ。
いつの間にかイーブンに持ち込んでしまうなんて。
「さあ、始めましょうか!」
「卑怯な...!だが、それでこそ屈服させ甲斐があるというもの!」
「な~な~ベルゼルガ~。この勝負、勝った方が好きな人への気持ちが強いってことにしようぜ~♥️」
「えへへ...いいよ♥️」
ついに始まるアズール&レオパルトVSイミタシオ&ベルゼルガの戦い。
シオちゃんズ側はかつて敗北したことがある相手と戦うことになる。
果たして、リベンジは成るのか。
非常に熱い対戦カードだけど、妙にレオちゃんとベルゼルガがほのぼのとしているような。
あんなに仲良かったっけ...?
「気ぃ付けや!あの合体技は喰らったら即お陀仏やで...!」
「う、うんっ!」
「やる気満々のとこわりぃんだけどよ?お前らの相手は、アタシたちじゃねーんだよなぁ。」
「る、ルベル...?お願いだからあの子ロコの近くに出さないでよ...?」
「お前こそ今度アタシを標的にしたら話し合いだからな?...いやもう、大マジに。」
「ハァ!?ろ、ロコは悪くないでしょ!?」
一方、アズールの指示を受けトレスマジアを抑えに来たロコちゃんにルベルちゃん。
警戒するサルファちゃんたちに構わず、相変わらずの痴話喧嘩中だ。
「どのみち出さなきゃ話になんないだろ!」
「もうどうにでもなりなさいよっ!」
言い合いに飽きたのか、嫌そうな顔のまま先ほどレオちゃんが投げたのと同じ球を取り出すケンカップル。
そのままサルファちゃんたち目掛け、二人揃って放り投げる。
これがダブルバトルか...。
「今度はなんや...!?」
「またあの歯ブラシじゃないよねぇ...!?」
中身を最大限警戒する魔法少女コンビ。
歯ブラシだけは嫌だと願う二人の前に現れたのは...。
『タコタコ。』
『ウッフーン♥️』
「.....なんや、このちんちくりん。」
ふよふよと浮かぶ小さなメンダコと、唇が頭代わりの棒人間(マイク付き)だった。
さっきから変なのしか出て来てない。
メンダコはちょっと可愛いけど、パンチ不足かなぁ。
魔物使いとして、ちょっと度し難い。
「あん?...ってよう見たらこれタコやないか!?嫌やこっちこんといて!?」
『タコ?』
今頃メンダコが"タコ"であることに気付いたサルファちゃん。
人が変わったように腰が引けている。
見た目じゃなくて種族で嫌ってるんだね。
「でもこの子、可愛いよぉ?
ぷかぷか浮かんでちっちゃいし!」
逃げるサルファちゃんとは対照的に、フレンドリーに触れ合うマゼンタちゃん。
そこが彼女のいいところなのは分かっているけど、何だかすごく嫌な予感がする...。
「ははっ!あなた、お名前はなんて言」
『バグンッ!』
「ぎゃあぁぁ!?マゼンタぁぁっ!?!?」
更に仲良くなろうと手を伸ばした時だった。
体の何倍も大きく開いた口で、マゼンタちゃんの上半身を丸呑みにするメンダコ。
突然の恐怖に、サルファちゃんはキャラも忘れて悲鳴を上げる。
「んむっ!?もごがっ!?むげべっ!?」
「い、いぃ今助けたるさかいっ...!?」
「ゃ...イヤ...タコ...いやぁ...。」
「ロコのトラウマスイッチが入っちまった...。」
変な声を上げながらもがくマゼンタちゃん。
へっぴり腰で震えながら、魔物に近付くサルファちゃん。
何故か怯えた目で情緒不安定になるロコちゃん。
みんなそれぞれ弱々しい姿を見せている。
...何だかとってもぞわぞわする。
「あはっ...///」
「っ...べ、ベーゼ!そないなとこで喜んどらんとはよてつだっ!?」
やはり苦手は克服出来ないのか、サルファちゃんは私に助けを求めるも、急に伸ばされたメンダコの触手に絡め取られてしまう。
「ぃやっ...きしょいっ...!むごぉっ!?///」
抵抗することも出来ず触手にあんなところやこんなところを縛られまさぐられている。
海の時も思ったけど、こういう時のサルファちゃんって本当に可愛くてエッチだよね。
これがギャップ萌えかぁ...。
「うし。とりあえずこれで足止めにはなんだろ。ほら立てよロコ。大丈夫だっての。
あの分ならメンダコもお前には」
「るる、ルベルぅ!?後ろっ!?」
「あ?」
マゼンタちゃんたちを魔物で封殺し、高見の見物となったルベルちゃん。
完全に油断していて、
「んなコテコテなフリが通用するわけn」
『ブッチュウゥ!♥️』
「んむぅぅっっ!?!?///」
「イーヤァァー!?(泣)」
Oh...。ひどい。
たぶんロコちゃんの魔物であろう唇棒人間。
それがあろうことか、敵ではなくルベルちゃんを襲っている。
マイクは捨てちゃうんだね...。
繰り出されるディープキスの嵐。
ご主人様はそんなビクンビクンしてる恋人の姿に耐えられず、白目を剥いて泣き崩れている。
「久しぶりに見たなぁ、こういうの...。」
シリアスをかなぐり捨てた、アブノーマルに酒池肉林な混沌とした戦場。
私が楽しめるという点で久しぶりだ。えへ。
小夜ちゃん...じゃなくてアズールの目的はこの光景だったんだろうか?
少なくとも"魔物"がキーポイントになるのだろう。
みんながみんな、それぞれの魔物を所持してるみたいだけど。
何だか専売特許を取られたみたいで、ちょっと複雑な気分。
「打ち消せるもんなら消してみろよ...!」
「ちっ!小癪な...!」
「あなたでは私に届かないわ。」
「うるさい...。」
視点を変えて、今度はアズールたちの戦闘を観察する。
いつの間にか戦う相手が入れ替わっている。
アズールとレオちゃんは真化し、縦横無尽に連射されるビームはイミタシオを。
容赦ない剣撃が、ベルゼルガを追い詰めている。
「もうお疲れかしら?
あなたはここまでのようね!」
「っ...!」
「ベルゼルガ!?」
動きが鈍り、そこにすかさず強打を叩き込む。
ベルゼルガは落とされ、手足を地面に凍り付けにされてしまった。
「動け、ない...。」
「そんな拘束など私が...!」
「ざーんねん。」
「私たちが行かせないわ。」
ベルゼルガを救おうとするイミタシオ。
しかし、すぐにアズールとレオちゃんに挟まれ、それ以上の前進を阻まれてしまう。
「これで2対1。あなたの負けよ、イミタシオ。」
「さっさと降参すんなら、ワンチャン命だけは助けてやんよ~。」
「...ナメられたものだな。」
不利な状況と無礼な勝利宣言に眉一つ動かさず、イミタシオは得物である魔法殺しの大剣を放り捨てる。
もしかして、これはまた...!
『
「かかった...!」
「ビンゴ~!」
『くるる!』
「な...に...っ!?」
黒き鎧が白く塗り替えられた、その刹那。
白い真化を待ちわびていたかのように、アズールの懐から小さな妖精が飛び出した。
妖精は困惑するイミタシオの両手足を凍り付かせ、空中で完全に身動きを封じてしまう。
「やったねアズールちゃん!」
「ええ、レオとミニアのおかげよ。」
『きゅるる~!』
「なんだそいつは!?卑怯だぞ貴様ら!?」
アズールはミニアと呼んだその妖精を撫でながら、抗議するイミタシオを心底滑稽そうに眺めて言う。
「私たちは
「くっ...!」
嬉々として"獲物"の元に移動する二人。
レオちゃんがベルゼルガに近付き、四つん這いのまま動けない彼女の"スカート"を掴む。
「なに?」
「いやぁ、めんごなベルゼルガ。これもアズールちゃんの為だかっさぁ~。」
ぺろんと捲られ、パンツ丸出しになるベルゼルガ。
恥ずかしいはずなのに、全然動揺した様子がない。
「よいっしょぉっ!!」
バシンッ!と凄まじい音を立ててお尻を叩くレオちゃん。
あれはすごく痛そうだ...。
「ふわぁ~...。」
「やっぱノーリアクションか~。」
「シオちゃん以外に向ける感情なんてないの...。」
「わかんぜ~ベルゼルガ~。
それが純愛だもんな~。」
ここからでも叩かれた所が赤くなっているのが分かるのに、ベルゼルガはまったく気にしている様子がなく、顔色一つ変えることがない。
痛がってくれないのでは面白くない。
レオちゃんは予想通りみたいだけど。
「ここからが面白くなるとこよ。」
「貴様...いったい何をするつもり」
「そいっ!」
「ばっ!?はぁっ!?な、やめっ!?うわあぁぁっ!?///」
楽しそうに微笑みながら、イミタシオの臀部付近を破り脱がすアズール。
黒騎士と違い、聖騎士皇は露出の多いシンフォ○アチックな装備。
私も、先日からあの布を破ったらどうなるのかと思案していたところ。
先を越されてしまったけど、ここは素直に称賛の言葉を送りたい。
露になる、ジャスト20歳の成熟したむっちりヒップ。
まさに"裸の王様"。
...あ、まずい。
鼻血がアリスちゃんに垂れちゃう。
「な、何をしているのだ貴様ぁっ!?///」
「決まっているでしょう?
「ひぅっ!?///」
ニヤリと笑い、イミタシオのお尻を優しく撫でるアズール。
羞恥で真っ赤になる表情。
それを見てか、ベルゼルガの表情に変化が表れる。
「シオちゃんに、触らないで...。」
「それは、
「う"っっ!?ああぁぁぁっ...!?///」
ベルゼルガの反応を喜んでる...?
先ほどレオちゃんがしたように、イミタシオのお尻を瑞々しい音を響かせながら、笑顔のまま叩き始める。
「やめっ!?うぎゃっ...!おしりっ!こわれぇっ!?///」
「あぁ、素敵よイミタシオ。
ずっとあなたをこうしたかったの...。」
やはり女騎士の弱点はお尻。
痛みに悲鳴を上げながらも、徐々にその中に甘い声音が混じっていく。
「...やめ...て...」
「あ~ん?何か言った~?」
「やめて...シオちゃんに...」
「聞こえないけどぉ~?」
「シオちゃんに、触らないで...!」
どれだけ自分をなじられても反応しなかったベルゼルガが、声を荒げて怒りの表情を浮かべる。
これもすべて計算通りなのか、アズールは喜悦を深めてピタリと手を止める。
「...なら、
「え...?」
「あなたが私を満足させるくらい、無様に可愛く鳴いてみせなさいよ。」
「何を、言って、いる...っ///」
「んじゃ、いっくよ~?」
パシンッ!といい音と共に叩かれるベルゼルガのお尻。
何度も叩き続けるが、相変わらず反応はない。
「なんなの...?」
「はぁ。飲み込みの悪い子ね。それっ。」
「うぎっ!?///」
アズールはがっかりしつつ、イミタシオの尻叩きを再開。
彼女の機嫌が回復していくのと対照的に、ベルゼルガの表情に焦燥が浮かび始める。
「こっちはいい音が鳴るわね。
レオ、そっちはどう?」
「ぜーんぜんだめ~。
壊れてんじゃねーの~?」
「そう。なら、やっぱりこっちで楽しむしかないわねぇー。」
「...ぁ...」
「ん~?」
「あ...あっ...」
「んん~?」
「いた、い...やめ、て...」
「んんん~?」
「いたい...!やめて...!ゆる、して...!」
何度も繰り返すうちに、漸く自分に求められていることを理解したみたい。
本当はどうでもいいのだろうに。
そんな感情を向けるつもりなど、一切なかっただろうに。
ベルゼルガは、必死に痛がるフリをする。
イミタシオが叩かれないように。
愛しの人を守る為、彼女よりも大きく、激しく声を上げなくては、と。
何度も何度も叩かれて、痛がって泣くフリをし続ける。
「やめて...!いたい、よ...っ!」
「ベル、ゼルガっ...!すまない...すまないっ...!」
「ふふっ...うふふっ。アハハハハっ!///」
お互いを思い遣り涙を流すイミタシオたちの姿に、身を震わせる程に笑い狂うアズール。
これまた久しぶりに見た。
支配者としての彼女は、時に私ですらドン引きする程の"ドS"となるのだ。
凛々しく強いイミタシオを辱しめただけでなく、周りに1ミリも興味がないベルゼルガまで泣かせるなんて...。
「アズール...パないっ...///」
脱帽だ。
それでこそ私の宿敵。
もし私が悪の女幹部だったら、その鮮やか過ぎる手並みに拍手喝采を送っていただろう。
「...でも、今の私は魔法少女。」
流石にあれはやり過ぎかなって思うし、マゼンタちゃんとサルファちゃんは全身飲み込まれちゃったし。
いい加減みんなを助けなきゃ、正義の味方の名が廃る。
悪いけど、アリスちゃんは静かにベンチに移動させるとしよう。
そう思って、抱き上げようとしたんだけど。
「ん...?なんだろ、これ。」
眠るアリスちゃんの手から、バッジのようなものが転がり落ちた。
拾い上げてみるが、特におかしいところはない。
強いて言えば、某有名RPGのスライムにそっくりな形をしていることが気になる。
著作権が心配だ。
「パチッ。」
「あ、おはようアリスちゃん。
これ、アリスちゃんのだよね?」
「...コクリ。」
タイミングよく目を覚ましたアリスちゃんに、拾ったバッジを手渡そうとする。
私とアリスちゃんの手が同時にバッジに触れた、その時。
「!」
「へ!?な、何...!?」
突然、強烈な光を放ち始めるバッジ。
尋常じゃない魔力が周囲に溢れ、それが広場に向かって一気に集中していく。
最後にそのバッジが、独りでに魔力の塊へ吸い込まれていき。
「これ、は...。」
「ビックリ...。」
膨大な魔力に、私たちを纏めて覆い尽くす程の巨体。
まさに、
そんなわけの分からないモノが、今私たちの目の前に現れたのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――
『グモォォーー!!』
咆哮を上げる巨大な魔物。
その見た目は、完全にドでかい"ブロッコリー"だった。
5m程のそれは、足代わりの茎を二股に分かれさせた以外はほぼブロッコリーそのもの。
一見すると大して恐怖は感じないその容姿。
何故こんな見た目になったのかと言えば、答えは簡単。
生み出した主である、マジアベーゼの昼食が
「だからってそんなテキトーな...。」
心当たりがあることにげんなりするベーゼ。
正確にはネロアリスもあれの親と言えるのだが、見た目に関しては完全にベーゼのせいだった。
『グモッコリー!!』
「な、何よこれ...!?」
「離せぇ~!」
魔物は蔓を伸ばし、善悪問わず片っ端からヒロインたちを縛って、自らの
ベーゼとアリスには蔓が伸びず、二人だけが取り残される形となった。
「や、やめて!みんなを離してっ!」
自身を襲わなかったのはブロッコリーとの間に主従関係が結ばれているからと考えたベーゼ。
みんなを解放するよう指示を出すが、魔物は命令を聞く素振りを見せない。
「何で...あのバッジのせい...!?」
自分の能力で作った魔物とはどこか違う。
飲み込まれていったバッジに思い当たり、すぐに平和的な解決は望めないと悟る。
「助けないと...!」
「コクリ。」
『あ、あんっ!?///』
『や、やめろ...っ!///』
『えへ...シオちゃ、んっ!///』
『んむぐぅっ!?///』
「......ん?」
救助を開始しようとする二人の耳に届く、複数人の嬌声。
よく見れば、ブロッコリーの花蕾が細かく震えているのが分かる。
『なんやこれっ...!///』
『こんなのらめだよぉっ!///』
『あ"~っ...///』
『ぃや...きもち、いいっ...!///』
『ろ、こ...///』
『ガシガシガシッ!///』
「な...中でいったいナニがっ!?///」
「ハァ...。」
次々聞こえてくる仲間たちの声。
歯ブラシの音がするのは気のせいだろう。
とりあえず生きてはいるようだ。
ロコの美声から分かるが、中は相当な地獄になっている。
主人の影響を受けたのは見た目だけではなかったらしい。
鼻息荒く中の状況を気にするベーゼに溜め息を吐きつつ、アリスはブロッコリーの様子を観察する。
「...。」
大きいだけで攻撃手段は少なそうだし、今は中でやらしいことをするのに夢中のようだ。
隙を突けば結構簡単に倒せるのではないか?
アリスは考えるが、そこで思い出す。
今の自分に操れるおもちゃがないことに。
今日は戦う予定はなかったから、治してあげたい子だけをナハトベースに持って来ていた。
正確には、おもちゃがまったくないわけではない。
だが、使うわけにはいかない。
それは、アリスにとって
「...。」
「アリスちゃん...?」
珍しく表情に出して思い悩むアリスに気付き、ベーゼはだらしなくしていた表情を引き締める。
アリスが戦える状態でないことは、先ほどアズールから聞いていた。
みんなを助けられるのは自分しかいない。
煩悩を振り切り、ベーゼは懐から小さな人形を一掴みに取り出す。
「みんな、お願い!」
"恐竜のカプセルトイ"を鞭で触り、勇壮な魔物へと変化させる。
主人の命令に従い、ブロッコリーに向かって駆け出す竜たち。
決して草食タイプが餌と間違えて飛び付いたわけではない。
『グモリー...!』
危険を察知したグモッコリー(命名)。
花蕾を激しく震わせ、自らの蕾を千切れ飛ばす。
その破片に茎が生えていき、ついには"小さなグモッコリー"の姿となった。
魔物はベーゼとアリスの能力を一部受け継ぎ、"眷属"を誕生させることが出来るのだ。
「数が多い...!」
個々の戦闘力はベーゼの竜に及ばないが、物量の差が大きい。
1体に3体、多くて5体。
徐々に押され、健闘虚しくベーゼの魔物はブロッコリーに埋め尽くされていく。
「っ...!」
「...。」
思った以上に厄介なグモッコリー。
アリスは再び思案する。
ベーゼの顔に疲労の色が見える。
思えば、エノルミータが来た段階ですでにシオちゃんズと全力の戦いをしていた。
休んでいたとはいえ、魔力が回復する程ではない。
このままでは負けてしまう。
そうなれば、もうあの魔物を止める方法がなくなる。
みんな恥ずかしい声を上げて情けないことこの上ないが、それでも大好きで大切なお姉ちゃんたちなのだ。
助けないなんて選択肢はない。
アリスは決意し、大事にしまっていた"それら"を両手で抱えた。
「アリスちゃん、それは...!?」
「...ん。」
優しく抱き締めた、二つの"宝物"。
ママにもらって、うてなと小夜に直してもらったお人形さん。
的外れな上に文句を垂れて、それでも一生懸命にこりすの為作り上げてくれたキウィのプラモデル。
この二つを持たずに外出したことなどなかった。
いつでも一緒の、大切な"お友だち"。
それをこのタイミングで出した意味に気付かぬベーゼではなかった。
「ダメだよアリスちゃん!それはアリスちゃんの一番大切なお友だちでしょ!?戦いに使ったら壊れちゃうんだよ...!?」
「...コクリ。」
何故ベーゼがそれを知っているのかは分からないが、そんなことを言う場合ではない。
全てを覚悟して尚、アリスは頷く。
大切なお友だちに、大切なお姉ちゃんたち。
どちらも失いたくないに決まっている。
でも、たとえ友だちを失ったとしても。
このまま何もしないで、確実にお姉ちゃんたちを失うことだけは、絶対に嫌だった。
「ん...!」
「アリスちゃん...!?」
決意が魔力を増大させ、アリスの額の星が3つを超え幾重にも重なり輝く。
命を吹き込まれた人形とプラモデルは、
「待って...!?」
引き止めようと後を追うベーゼ。
二体のお友だちは小グモッコリーを薙ぎ倒しながら、本体へ一直線に向かう。
『グモォォー!!』
「!?ダメ...やめてっ...!!」
突撃する二体に無数の蔓が襲い掛かる。
回避し、防ぎ、最後には自らの腕を盾とし凌ごうとする。
しかし、攻撃の手が緩むことはなかった。
一際強い一撃。
ついに胴体を殴打され、二つの体はバラバラに砕け散ってしまう。
「っ...!」
アリスの瞳に映る、壊れていくお友だち。
潤む視界はスローモーションで、彼女の脳裏に数々の思い出を甦らせていく。
涙を流し、別れの言葉を紡ごうとするアリス。
だが、ベーゼは違った。
「させない...!絶対に...っ!」
人形を直した時。
自慢気にプラモデルを見せてくれた時。
そのお友だちと一緒に遊んでくれた時。
無口なあの子が、幸せそうに微笑むのを覚えている。
だから、させない。
泣き顔なんて絶対にダメだ。
魔力を限界まで引き出し、壊れ逝く二体を鞭で叩く。
『間に合え!』
『いかないで。』
そんな二人の想いと魔力が重なり、ついに"奇跡"は起こる。
「アリスちゃん、やっとお話しできたのだわ。」
光と共に
それはまったく違うカタチへと変化していき、人間の少女のような姿へと成った。
「しゃべっ、た...!?」
「...!」
美しい容貌に、ロボを思わせる球体関節。
可憐な衣装の下に見えるプラモデル要素。
言葉を発するそれは、最早ベーゼとアリスどちらの眷属でもなかった。
「アリスちゃんは、私が守るのだわ。」
「!」
魔力を迸らせ、先ほどの焼き直しのように突撃するアリスのお友だち。
プラモデルの影響か、腕から強力なビームを放って、花蕾を焼き払っていく。
「すごい...!」
「コクコク!」
『グモッコリィー!!』
苦しみの声を上げる魔物。
蔓を振り回して迎撃しようとするが、お友だちの軽快な動きにいいように避けられている。
「あっ。」
「危ないっ!」
勝てると思ったその時。
あろうことか、足を滑らせてしまうお友だち。
運悪く蔓が直撃し、頭や四肢がバラバラになってしまった。
これではさっきと同じだ。
そう落胆しそうになったベーゼは、すぐにその考えを撤回する。
「なるほど。
胴体から離れた頭から、酷く冷静な声が響く。
頭、胴体、両手、両足。
バラバラになった全てが意思を持つように動き、魔物を包囲する。
そして全部位から放たれる、強力なビームの乱打。
『"オールレンジ攻撃"』
ロボットモノ定番の必殺技を放ち、お友だちはついにグモッコリーを追い詰めた。
『グ、グモモリィィ...!!』
「まだまだ元気みたい...!」
「いいえ。
「え...?」
アリスたちの前で元の形に合体するお友だち。
未だ健在の魔物に警戒を促すベーゼに対し、お友だちは揺らがぬ勝利を宣言する。
「
「!それって...?」
「よくも好き放題やってくれたわねぇ!
ブロッコリー風情がっ!!」
「貴様のせいだろうが貴様のっ!!」
花蕾から上空に飛び立つ、碧と白の閃光。
お互いの剣に魔力を注ぎ込み、怒りの一撃をグモッコリーへと叩き込む。
「「くたばれ!ド変態アブラナ植物ッ!!」」
『グモォォォッ!?!?』
ルシファアズールとイミタシオ。
二人の攻撃を同時に受け、ついに倒れるブロッコリーの魔物。
ヒロインたちと、最後に元凶であるバッジを吐き出して、ゆっくりと消え去っていく。
「終わったの...?」
「コクリ。」
「!...よかった...アズール、イミタシオ!
だいじょブーッ!?///」
事態が解決したことに喜び、ベーゼはヒロインたちの元へ走る。
しかし、安心したのも束の間。
アズールたちを見るなり、鼻血を吹き出して倒れてしまう。
「何なのよもう...まったく。」
「全部貴様のせいだろうがっ!?」
「うるさいわね。文句は
「貴様も素っ裸だろう!?何故平然としているのだ!?少しは隠せっ!?///」
それもそのはず。
何故かは分からないが、アズールたちは
地面で伸びている他のヒロインたちも、まとめて全裸。
とても一般市民に見せていい状態ではない。
「ハァ...。」
相変わらず残念なお姉ちゃんズにがっかりしつつ、拾い上げたバッジを眺めるアリス。
後で個人的に楽しもうと思い、こっそりポケットに入れてしまう。
アリスは欲望に素直な娘であった。
「アリスちゃん。」
「!...。」
色々と変わってしまったお友だち。
自分の名前を呼ぶその新しいカタチに、ゆっくりと近づくアリス。
「ただいま、なのだわ。」
「.....コクリ!」
言葉以上の気持ちを込めて、アリスはお友だちに抱き着く。
お友だちもまた、そんな彼女の気持ちに応えるように優しく抱き締める。
するだけだったのが、今はこうして抱き返してくれる。
ママともお姉ちゃんとも違う、不思議な温かさに包まれながら。
とても満ち足りた顔で、アリスはお昼寝を再開するのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「いや~まさかさ~。こんな形で新メンバーが加入するとはな~。」
所戻ってナハトベース。
何とか服を着て真人間に戻れた私たちは、事態を収拾した"立役者"の歓迎ムードに包まれていたのだった。
「よろしくな"ロボ子"~!」
「よろしくなのだわ。」
『ロボ子』と雑に命名された、こりすのお友だち。
にわかには信じ難いが、こりすお気に入りのお人形とプラモデルが合体して誕生したらしい。
「本当にロボなわけ...?」
「ロボなのだわ。」
「ちょっとそれヤメなさいよ怖いわねっ!?」
真珠の質問にロボらしく、首を外して答えるロボ子。
ユーモアも備えているとは。
本当に生きているみたいだ。
「最近は本当に驚きの連続だよ。まさに奇跡の産物だね。」
「ここまで想定してあのバッジを使わせたのだとしたら、どうやってもあなたには敵わなさそうね。」
「ボクはただのマスコットさ。想定外過ぎて笑い出しそうなくらいだよ。」
「それは怖いからやめなさい...。」
結局酷い目に遭ったが、何だかんだプラスにはなった。
ヴェナを怒る必要は、今回はないだろう。
『きゅる...?』
「あなたも、お友だちなのだわ?」
ミニアと戯れるロボ子を見て、珍しく甘い結論に至る私。
一生懸命机に向かっているこりすの隣に移動する。
「こりす。改めて今回はありがとう。あなたたちのおかげで、みんなが助かったわ。」
「コクリ。」
少し微笑んだこりすの頭を撫で、一緒に仲間たちの様子を眺める。
「ロボ子~、おめーは一番下っ端だかんな~!副そーすいなアタシの命令は絶対だぞ~。」
「下っ端なのだわ?」
「このアホの話なんて無視しなさい。真珠たちは対等で、同じ仲間なんだから。」
「なかま?お友だちなのだわ?」
「そうそう。だから一回分からせてやれって。キウィよりお前の方がロボで強いってよ。」
「分かったのだわ。」
「ぎゃー!?アタシのぷりちーなお団子に風穴がぁぁー!?」
「ばっ!?本当にビーム撃つか普通っ!?」
「あぁぁー!?真珠の宿題が黒焦げなんですけどぉぉー!?!?(泣)」
ドタバタと騒ぐキウィたちの姿に苦笑いしながら、こりすが何を書いているのか気になって覗いてみる。
どうやら、今朝見せてもらった絵日記のようだ。
書いている内容は、というと...。
「...ふふっ。素敵な思い出は書けそう?」
「コクリ!」
こりすが描く、笑顔でいっぱいの一日。
私たちと一緒にこりすを囲む、新しいお友だちの姿もそこにはあった。
『新しいお友だちができました。
名前は、ロボ子。
ママやおねえちゃんたちと同じくらい大好きな、大切なお友だちです。
今日はみんなとたくさん遊んで、たくさん笑いました。
明日もきっと。
いっぱい楽しいと思います。』
―――――――――――――――――――――――――――――
◼️□Next episode◼️□
『みっちゃん以外があたしに構わないで。』
【彼女の持つ刃物が私の首を一瞬撫でる。瞬間、吹き出す血。遠退く意識の中で、最後に視界に捉えたのは。心底どうでもよさそうに私を見下し、つまらなさそうに去っていく。蘭朶さんの後ろ姿だった。】
【DEAD END】
「...。」
「ただ話しかけただけなんですけどぉ!?」
「バイオレンスなのだわ。」
ロボ子の声優さんとかいつか決まるのだわ?
何故かイメージがさいちわさんボイスになっているのだわ。
次回は11/23(土)0:00投稿予定なのだわ。