魔法少女にはなりません ~転生したらアズールだった件~ 作:月想
2.5部も残り2話。次でまた一区切りとなります。
夏休みって一瞬ですよね。
ヒロインたちの夏休みも、残り一週間を切ろうとしたある日。
今日も今日とて、ナハトベースで穏やかな時間を過ごすエノルミータの面々。
「これなんてどう?結構合うんじゃない?」
「あ~。それはさよちゃん似合うと思うな~。」
「そう?じゃあ、今度試してみようかしら。」
年頃の女の子らしく、コスメ選びに華を咲かせる小夜、キウィ、真珠。
そんな三人を何とも言えない表情で見つめる視線。
「...。」
「こりすちゃん、どうしたのだわ?」
こりすのどこか寂しそうな雰囲気に、ロボ子はすぐに気付いた。
こりすが今よりも小さい頃から、彼女はずっと側で見守っていたのだ。
大事なお友だちの気持ちには敏感なのである。
「あっちに交ざりたいのか?」
「...フリフリ。」
「そっか。...ほら、そろそろボス戦だぞ?」
膝上に乗っかるこりすを心配するネモ。
首を横に振って尚、曖昧な様子を追求することなく。
気が紛れるようプレイ中のテレビゲームへと話題を変える。
「ワクワク。」
「強そうなのだわ。」
「まあ、終盤のボスだしな。」
ネモがプレイしているのは、令和に甦った往年の名作RPG。
リメイクされたものを発売日に購入し、興味を持ったこりすとロボ子に見せながら遊んでいたのだ。
ファンタジーな世界観に、恐いようで可愛い敵モンスターたち。
子どもも安心して楽しめる内容で、こりすたちはすぐに夢中になっていた。
「すごいダメージなのだわ!」
「グッ...。」
「大丈夫だって。こういうのは根気よく組み立てれば、いつかは勝てるんだよ。」
ダンジョンのボスとして立ちはだかる凶悪なドラゴン。
今までより激しい攻撃に手に汗握るこりすとロボ子に反して、ネモは冷静にパーティーへ指示を出していく。
回復と攻撃、時には強化呪文を挟んだりして、少しずつ優勢になっていくネモ。
そして。
「やったのだわ!」
「コクリ!」
「ま、ざっとこんなもんだな。」
ドラゴンは倒れ、リザルト画面が表示される。
自分のことのように喜ぶ二人に、満更でもないネモ。
気をよくしたネモは、二人にゲームの魅力について語っていく。
「こうやって考えて、色々試したりして。頭使わなきゃクリア出来ない作品がほとんどなんだ。だから、考える力が身に付くし、頑張ったからこその達成感も味わえる。おまけに話が面白い"神ゲー"もたくさんある。ゲームって良い影響もあるんだぜ?」
「コクリ。...?」
「"何でちょっと古そうなのか"って?
これがいいんだよ。最新の3Dじゃあ、ちょっとこの良さは出せねーかなぁ。」
「?」
「同じおもちゃでもフィギュアとぬいぐるみで求めるモノが違うだろ?それと同じ感じだな。」
「コクリ。」
噛み砕きながらも分かりやすい説明。
時々悪ぶるが、普段は常識人で優しいネモがこりすは好きだった。
前に見せてもらったゲームとは気色は違うが、RPGというのもいつかやってみてもいいかもしれない。
上手く気持ちが上向いたのか、こりすはネモに続きを催促する。
「ちょっとネモ!こりすにゲームなんて教えてんじゃないわよ!」
「あン...?」
盛り上がっている所に水が差された。
いつの間にかネモたちの側まで、眉を吊り上げた真珠がやって来ていたのだ。
「ゲームばっかりやってたらバカになるわよ!目も悪くなっちゃうし!」
「無視しろこりす。あれは思考を前時代に取り残された悲しきモンスターだ。」
「なんですって!?」
強い口調でゲームを批判する真珠に罵倒を織り交ぜて反論するネモ。
表情を険しくする二人に、周りはいつもの痴話喧嘩が始まると思っていたのだが。
「...ゲームゲームって...!いつも何でずっとゲームなんてしてんのよっ!最近はアジトにまで持ち込んで!真珠たちといる時くらいやめなさいよっ!」
「なんでテメーに指図されなきゃいけねぇんだよ。大事な話してんならともかく、化粧品広げてくっちゃべってるだけだろうが。大体、バカになるだのなんだの。本物のバカには言われたくねェってんだよ!」
「っ...!」
普段より感情的に言い合う二人。
どこか様子がおかしい。
空気を察して、小夜たちが宥めに入る。
「落ち着きなさい二人とも。」
「そだぞ~。んなムキになんなって~。」
「なによ!ネモが悪いんじゃない!」
「先にケンカ売ったのは真珠の方だろうが!」
「大変なのだわ、こりすちゃん。...こりすちゃん?」
小夜たちの仲裁も意に介さず口論を続けるたまネモ。
お友だちのハプニングに慌てるロボ子はこりすに助けを求めるも、何も返答がない。
不思議に思い振り向くと、そこには真剣に悩みながらゲームを見つめるこりすの姿が。
「...テーン!」
やがてお馴染みの"そうだ!思い付いたぞ!"のジェスチャーをして、その瞳を輝かせるこりす。
「悪巧みを思い付いたお顔なのだわ。」
ロボ子は察する。
また大変なことになりそうだと。
何故ならこりすのワクワクした顔が、どことなくお姉さんの
こりすとたまネモを交互に見て、ロボながら溜め息を吐きそうになるロボ子なのであった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「アリスにロボ子!何やってんだお前ら!」
勝手に変身して出ていったアリスたちを見つけ、連れ戻そうと声を上げる。
気持ちよくゲームしてたのを、何故か今日はしつこい真珠に邪魔されて、腹が立って。
久しぶりの"マジ喧嘩"ってのをしちまった。
しばらく悪口言い合って、頭に血が昇って。
小夜たちに止められても聞かずに、長々と。
そんなことをしている間に、こりすとロボ子がいなくなったことに漸く気付いた。
アタシらのせいか...?って責任感じて。
...いや、それは方便だな。
ホントは真珠と一緒の場所にいられなくて、逃げるように出てきたってわけだ。
幸い、アジトの外にいたのを見つけられた。
問題は
「お、オイどういうつもりだアリス!んなことしてっと今に魔法少女共がな...!」
「シュッシュッ!」
かかってこいとばかりにシャドーボクシングをしているアリス。
まさか、わざとアイツらを呼び寄せようとしてんのか?
にしたって、今来ちまったらアタシらだけじゃ...!?
「何してるのエノルミータっ!」
「来ちゃったのだわ。」
「あ"ー!言わんこっちゃねぇっ!?」
噂をすればとかいう速度じゃねぇぞ!?
どんだけ暇なんだ魔法少女ってのは!
まずい!
トレスマジアだけならともかく、シオちゃんズまでいやがる...!
強い以上にアタシはあの人が苦手なんだよ!
「三人ともっ!」
「げっ!?めんどっちぃ!」
「何やってんのよアンタたちっ!」
遅れてアズールたちがやって来る。
よかった、これで何とか戦力の心配はいらないか?
...相変わらずロコのやつキレてやがる。
こんな時までガキなんだからよ。
「アズール!こないだの恥辱、倍にして返してくれるっ!」
「アズール、許さない...。」
「熱烈なアプローチね。
相手になってあげるわよ!」
うちのリーダーはすっかりやる気みてェだが、まだアリスの目的が分かってねぇ。
「な、何かあるんだよなアリス!?このままじゃまた乱戦になっちまうぞ...!」
アタシの言葉を聞いてか聞かずか、ゴソゴソと"何か"を取り出すアリス。
アリスの能力でそれに魔力が宿り、彼女の手から離れて巨大化し、その異様を見せつける。
「なっ!?」
「あれはっ!?」
「
空に逆さまに浮かんだ"巨大ゲーム機"。
しかも、あれアタシのじゃないかっ!?
アリスのやつ勝手に...!
壊したら弁償だかんな!?
高いんだぞあれぇ!?
「ビシッ!」
「まずいのだわ。」
「へ...?」
アリスの指示に呼応して、がぱっとディスク投入口を開くゲーム機。
それと同時にロボ子がアタシを脇に抱える。
「お、おい!何して...」
「掴まるのだわ。」
文句を言おうとしたタイミングで、すごい音を立てながら風が巻き起こる。
あらゆるものを飲み込もうとする竜巻。
ゲーム機から出たそれは、まるで"ブラックホール"。
「なんやこれえぇぇっ!?!?」
「掃除機に吸われるゴミの気分ですわぁぁーっ!?」
ロボ子がアリスの側に退避させてくれたおかげでアタシは助かったけど、他のヤツらは全員まとめてゲーム機に吸い込まれていく。
真化してる奴もお構い無しとか、いったいどこにそんな力がっ!?
「あ。めっちゃ
「キラキラ...!」
笑顔が眩しいアリスの額には、☆5どころじゃない数多の星が浮かぶ。
想いの力ってやつなんだろうけど、一体何がアリスにそこまでさせてんだ?
「何なのよこれぇぇっ!?」
「しまった!ロコォっ!?」
抵抗も最早無駄。
分かっているはずなのに。
ゲーム機に飲み込まれていくロコに気付き、アタシはロボ子の腕から抜け出て必死に空を飛ぶ。
「待つのだわ!」
「離せロボ子っ!?このままじゃロコがっ...!」
「!...来るんじゃないわよバカルベルっ!」
「おまっ...!?こんな時まで何言って...!」
ロボ子に連れ戻されながらもロコを諦められないアタシ。
そんなアタシを、ロコは拒否する。
「きゃあぁぁぁっ!?!?」
「ロコォォーーーっ!?」
ロコを、アズールを。
みんなを完全に吸い込み、その口を閉じるゲーム機。
目的を果たしたということか、元通りのサイズに戻ってアリスの腕に落ちていく。
アリスのことだし、みんなを傷つけるつもりはないんだろう。
ただ、それでもやるせなさはある。
ちょっとケンカしたくらいで、アイツはアタシに助けも求めてくれなくなるのかよ...。
「すごかったのだわ。」
「ブイ。」
「な、なあ...。ロコだけでも出してくれないか...?」
自慢気にピースサインするアリスにお願いしてみるが、返答の代わりにゲーム機から何かが飛び出してくる。
「これは..."ゲームソフト"!?」
「コクコク。」
アリスに手渡されたそれは、アタシもよく知るゲームソフトのパッケージだった。
ただおかしいのは、知らない題名に表紙が付いていること。
「"LOCO SOULS Ⅲ"...?」
ⅠとⅡはどこ行ったんだよ...。
てか、何で
戸惑っている間にも、ゲーム機からいくつものゲームソフトが飛び出していく。
全部表紙がアイツらになってやがる!?
「これがアリスの目的...!」
「そうなのだわ。」
ソフトを拾い集めて、すべてをアタシに手渡すロボ子。
ワクワク顔でこちらを見るアリスに、自分だけが残された理由を悟る。
「ネモちゃん。
―――――――――――――――――――――――――――――
「冷静に考えて全部クリアは無理だろ。」
「勢いで言ってみただけなのだわ。」
一日で5本以上のソフトをクリアしろとか、普通に考えて無理ゲーなんだよなぁ。
不安と期待半々の気持ちで、ゲーム機をセッティングする。
「んじゃ、始めっか。」
「コクコク!」
簡単に言えば、こりすは
ならパーティーゲームでいいだろとか、言いたいことはあるけど。
そこは好奇心に負けてしまったとのこと。
まあ、確かにゲーム機まで操れるなんて驚きだ。
しかも、全員まとめて一網打尽。
アタシらがマジの悪役なら、これでゲームオーバーって感じだ。
「とりあえず全部遊べばいいんだな?」
「コクリ。」
こりすが
全クリはロボ子の冗談で、あくまでもプレイ役としてアタシを残したってわけだ。
ゲーム実況とかハマるタイプなのかもしれない。
【LOCO SOULS Ⅲ】
おどろおどろしいタイトル画面。
表紙が真珠ってことは、アイツが主役のゲームなんだよな...?
「あらすじなのだわ。」
「見た目の割に普通のファンタジーな話みたいだな。」
話としては、魔王討伐の王道ストーリー。たださっきのRPGと違って、パーティーではなくソロで戦っていくタイプ。
"アクションゲーム"形式じゃんか。
真珠のくせに随分硬派なジャンルの担当を...。
「真珠の職業は..."持たざる者"?」
遊び人的な?
まあ、自称アイドルには相応しい気がするけど。
何も装備付けてねーじゃんか。
んな薄着で大丈夫かよ。
...ちゃんと履いてるよな?
「ジー。」
「じーっ、なのだわ。」
「心配なだけで他意はねーからな!?///」
カメラの感度を確かめただけだし?
別にパンツ見たかったわけじゃねーし?
「とりあえず触ってみっか。」
気を取り直して、チュートリアルを進めていく。
...へぇ、よく出来てんじゃねぇか。
アクションの重々しさといい、フィールドや装備のダーク感といい。
まるで。
「これダ◯ソじゃねーか...!?」
世界的に有名な神ゲーそっくりなんだが!?
真珠もこりすも、フ◯ムゲーなんてディープなもんは知らねぇはずなのに...。
『ハァッ!セイッ!...イヤァッ!?』
「あ。」
【YOU DIED】
やられちまった。
ダ◯ソ、じゃなくてロコソは所謂"死にゲー"と呼ばれるゲームで、基本的に一発クリアなんて想定してない難易度だ。
何度も負けて、やり直して。
敵の動きを学んでクリアする、自らの技量が増していくのを楽しむジャンルなのだ。
だから、序盤なんて平気で何十回も負けまくる。
チュートリアルなのに敵がつえーよ...。
アタシまだ、本家は遊んだことないんだよなぁ。
やられる度に妙にセクシーな声で真珠が倒れる。
...なんか、罪悪感と共に変な気分になってくる。
「クイクイ...。」
「真面目にやってないわけじゃねーんだぜ?慣れるまで我慢してくれよ。」
「真珠ちゃん、ボロボロなのだわ。」
『何で真珠がこんな目にぃ!?』とか、内心泣いてたりすんのかな...。
つーか、意識とかはあんのか?
あったとしたら、後で謝らねぇとなぁ...。
「謝る、か...。」
あんなに怒ることかよ、普通。
いくら真珠だからって、アタシの好きなもん貶すのは違うだろうが。
最近は仲良く出来てると思ってたのに...。
『イヤァッ!?』
【YOU DIED】
死んで反省しろ、バカ...。
なんて。
わざと負けてるように見せたりして。
素で何度もやり直した。
悪戦苦闘しつつ、ついに最初のボス戦まで到達する。
「牛なのだわ。」
「頭はな。」
"ミノタウロス"っぽいボスは巨大な斧を振り上げ、真珠に襲いかかる。
ローリングで回避し合間に攻撃を繰り出すが、かなり集中力を要求される作業だ。
数回上手く対応するが、ついに一発当てられてしまう。
『キャアァッ!?』
【YOU DIED】
「いや一撃かよ...。」
難易度がおかしい。
流石に本家でも一発アウトなんて早々なかっただろ。
「やっぱ装備が貧弱なのか...?」
ダ◯ソと言えば豊富な装備が魅力のひとつ。
そもそも鎧も何も装備してないのがおかしいんじゃないのか。
そう思い、ステータス画面から装備の項目を確認する。
どうせ、"自分で装備しないと丸裸のままです"みたいな不親切設計に違いない。
「ん...?」
てっきりエンプティーだと思ってた項目には、それぞれ"持たざる者の頭巾"、"持たざる者の下着"等、ちゃんと部位ごとに装備が付けられていた。
いずれも防御力0の役立たずのようだけど...。
「マジで、こんなんであれを倒せってのか...?」
「...テーン!」
「こりすちゃんが何か思いついたのだわ。」
「え?」
ロボ子に言われてコントローラーを渡すと、一斉に真珠の装備を
それに合わせてゲーム内の真珠も素っ裸に。
「って何やってんだこりすっ!?///」
「刺激的なのだわ。」
「ムスゥ。」
こりすからコントローラーを引っ手繰り、装備を元に戻そうとする。
R18ゲームかこれ!?
何ではっきり乳首が見えるんだよ!?
ロボ子が塞いでる間に服着せねーと...。
こりすにマジで悪影響だ。
「は...?」
そうしてステータス画面をまた開くと、予想外の事態に気付いた。
真珠のステータスが
しかも、大幅に。
防御力以外全部だ。
『イ,イヤァン...///』
「真珠...おまえ...///」
ゲームになってもそんなんなのかよ...。
現実と同じく、脱ぐと強くなる性能は健在。
改めて考えても酷い現実だな、おい。
「フンス。」
「流石こりすちゃんなのだわ。」
「気まずくて褒めにくいんだが?」
ゲームの仕様とか色々文句を言いたいが、どっちかと言うと悪いのは変態な真珠か。
とりあえず、高まった性能を早く試したい。
この流れでリベンジだ。
相変わらず全裸の為、こりすには目隠しをしておいてもらう。
こんなんで本当に満足なんて出来るのだろうか。
「んじゃ、再戦といきますか。」
意気揚々と裸の真珠をボス部屋に突入させる。
ボスの行動パターンを思い出し、備えるアタシ。
だが、予想外は更に重なる。
ボスには専用BGMがあるのがお約束。
戦闘開始と共に音楽が変わるのは、このロコソでも同じみたいなんだが...。
『ハイッ!ハイッ!ハハイッ!』
「BGMがラブロコじゃねぇかぁっ!?」
ラブロコ。
正式名称『L・O・V・E・リー ロコ♥️』。
ロコ名義の唯一の持ち歌が今、ダークだった世界観にBGMとして響き渡っている。
否、BGMだけではない。
『ロコはラヴリー ラヴリーロ・コ♡ みんなキュンキュンメロメロリン♡ ♪』
「音ゲー始まっちゃったぁぁっ!?!?」
先ほどまでの脳内シミュレーションは全て無駄。
ボスの攻撃を、歌い踊りながら回避する真珠。
勿論アタシの操作ではなく、勝手に真珠が動いている。
代わりにアタシがやらされているのは、その下に表示された譜面の処理。
所謂"音ゲー"、"リズムゲー"と呼ばれるジャンルのゲームだった。
「今度はDODかよ...。」
ある伝説的なゲームを思い出しながら、ゲーマーとしての勘だけでボス戦を進めるアタシ。
歌ってるだけなのに、ボスにはダメージが蓄積している。
露出のおかげで美声ver.なのに、音楽が嫌いとかいう設定でもあんのか?
そもそも何故、脱ぐとボス戦がアクションから音ゲーになるのか。
もうツッコむのも嫌だ。
『アリガトー!』
『グェェ...。』
無事音ゲーを終え、ボスを打倒したらしい。
こちらは鬼畜難易度ということはなかった。
「グッ。」
「パーフェクトだったのだわ。」
「まあ、散々聴かされてるからな...。」
喜ぶこりすとロボ子に反して、アタシのテンションは急降下を始める。
どうやら、まともなゲームが出来るとは期待しない方がいいらしい。
「とりあえず服着ろ、真珠...。」
ゲーム内で跳び跳ねる姿に目のやり場を失いつつ、こりすが飽きるまでロコソウルを続けることになったのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――
そこからは酷かった。
『なんやコラアホ
「Oh...。」
「耳栓と目隠しなのだわ。」
「ムスゥー。」
つーか最初からずっとだが。
『SARPHA OF DUTY』とかいうfpsは主人公の罵詈雑言がエグ過ぎるし。
『貴殿の益々のご健勝をお祈り申し上げます。』
「また落ちた...これで20社目だぞ...。」
「スピー。」
「すぴーなのだわ。」
『みち子の野望』はあまりにも地道過ぎる上に、何となく心にクるし...。
『いやぁっ!?やめっ...!そんなの入らないよぅっ!?』
『グエヘヘ!正義のヒロインをわたくしの従順な性奴隷にしてやりますわぁぁ!』
「エロゲーだこれぇぇ!?」
「見ちゃダメなのだわ。」
「コクリ。」
『対魔姫マゼンタ』は、言い訳出来ないくらいただのR18ゲームだった。
こりすとロボ子がお互いに目隠しし合うくらい酷い内容で、これ以上は触れたくない。
「クソゲーしかないのかよっ!!」
4本プレイして1つもまともなのがないって何なんだよ!
やる気あんのかお前ら!
パッケージのワクワクを返せ!
揃いも揃って不良品なことに苛立つアタシ。
大体、どれも内容がセンシティブ過ぎてこりすが楽しめないのばっかじゃんか。
ロボ子なんてまだ0歳なんだぞ。
企画倒れもいいとこだ。
「ネモちゃん、次なのだわ。」
「はぁ...。今度は何なんだよ?」
『SAYONNAD』
ロボ子に手渡されたパッケージにはそのタイトルと共に、制服姿の小夜が描かれていた。
「ここに来てアイツかよ...。」
エノルミータ総帥にして、ドSでドMのド変態。
パンタノペスカ並みにヤバいゲームでもおかしくない。
「キラキラ!」
「お前、ホント小夜のこと好きだよな。」
小夜を見た途端、目を輝かせるこりす。
せめて二人が見てられる内容ならいいが...。
一縷の望みを託し、ディスクをセットする。
「やっぱノベル系か...。」
予想通りジャンルはRPGやアクションではなく、シミュレーション。
それも"恋愛シミュレーション"らしい。
女の子と様々な選択肢を経て、最終的に結ばれるのが目的のゲーム。
俗に"ギャルゲー"と呼ばれるモノだ。
「ってなると、ヒロインはやっぱ小夜なんだよな?」
パッケージにいるんだし、アイツがメインヒロインなんだろう。
ただ、ギャルゲーでヒロインが一人なんて今時あり得ない。
そう考えると、他のヤツもいそうだけど。
残ってるのって、マジで変のしかいない気がすんだが...。
「選択肢なのだわ。」
「おっ、早速か。」
舞台は普通の高校。
今日から高校生活を始めた主人公が、ヒロインたちとの恋愛を繰り広げるという、これまた定番のストーリーらしい。
授業を終え下校時刻となったところで、ついに最初の選択肢が発生した。
放課後の過ごし方について選ぶようだ。
1.クラスメートに話し掛けてみよう。
2.体調が優れない。保健室に行こう。
3.疲れた。さっさと帰ろう。
「アタシの読みだと、たぶん出会うヒロインが変わるんじゃないかと思う。
どれにする?こりす。」
「...。」
ルート分岐にしては早いが、露骨に移動した先で誰かと会いそうな選択肢だ。
せっかくだからと、こりすに選んでもらうことにする。
「ビッ。」
「りょーかい。"1"にするぜ?」
こりすの希望通り、クラスメートと話してみることにする。
これはあれだな。
物憂げに窓を眺めている美少女に話し掛けて、不思議と気に入られてしまうという定番の。
『ハァ?気安くアタシに話し掛けんなし。きめぇんだよばぁーか!』
【何故か嫌われてしまったようだ。以後、卒業までキウィさんと話すことはなかった。】
【BAD END】
「...。」
「...。」
「キウィの野郎...!」
どうしろって言うんですかね!?
何で初日から好感度マイナスなんだよ!
次会ったら問答無用でぶん殴ってやるあのお団子っ!!
「クソ選択肢混ぜんなよまったく...。」
今のは偶にある"選んだら即死"系の選択肢だ。
別に死んではいないが、強制終了なのには変わりない。
「ヒロイン分岐じゃないのか?」
まあ攻略出来たとしても、あのアホを口説く気なんてもうさらさらねェけどな!
「仕方ない。ロードして次は"2"を選ぶぞ!」
先ほどの選択肢まで戻り、今度は保健室へと向かう。
体調悪いなら早く帰れよと思わなくはないが、これもまたお約束。
病弱系ヒロインと出会い、二人だけの思い出をひっそり重ねていくような。
そんな優しいストーリーが展開されるに違いな
『みっちゃん以外があたしに構わないで。』
【彼女の持つ刃物が私の首を一瞬撫でる。瞬間、吹き出す血。遠退く意識の中で、最後に視界に捉えたのは。心底どうでもよさそうに私を見下し、つまらなさそうに去っていく。蘭朶さんの後ろ姿だった。】
【DEAD END】
「...。」
「ただ話しかけただけなんですけどぉ!?」
「バイオレンスなのだわ。」
まさかの鮮血の結末。
こっちが本当の即死系でしたか。
ふざけろ。
「やっぱクソゲーじゃねぇかっ...!!」
何で殺されなきゃいけないわけ!?
みっちゃん誰だよ!?
アイツだけ意識あるだろ絶対!
罵倒するだけだったキウィが可愛く見えるわ!
「クイクイ。」
「最後の選択肢?1ミリも期待出来ねぇと思うぞ...?」
げんなりしつつ、仕方なく3番目の選択肢を選びに戻る。
他と比べて誰とも会わずに終わりそうだが。
【さっさと帰ってしまおうと、誰にも会わずに帰路に着こうとする私。
下駄箱を抜け、校門を急ぎ足で目指す。
その途中で、ふと見えた景色があった。
桜が夕焼けに輝きながら花びらを舞い散らせる、幻想的な光景。でも、私が足を止めたの理由は別にある。】
『あら、あなたは確か...。』
【愛おしげに桜を見上げる、紺碧髪が美しい少女。桜すら背景に押しやってしまう彼女の煌めきが、私に時間を忘れさせたのだ。】
『あの、私...。』
『同じクラスの姉母さんよね?
私は水神小夜。分かるかしら?』
『は、はい。知ってます。』
『良かったら、一緒に桜を見て行かない?』
『桜、ですか...?』
『珍しくないと思っているでしょう?』
『え。いや...。』
『でも、私には珍しいの。だって、"この"桜は今しか見られないのだから。』
【そう言った彼女の横顔は、とても幸せそうで。一方で何故か、泣き出しそうなくらい。悲しそうに見えた。】
...き、急にギャルゲっぽいじゃん。
どうしたんだよ?前の二人は何だったの?
初めて名前呼ばれたから、こんなんでもキュンとしちゃったけど?
「小夜ちゃんはやっぱり優しいのだわ。」
「コクコク!」
「...ま、まあ?もうちょい続けてみっか。」
ノリノリな二人に押され、プレイを継続することにする。
そこから始まる、
一緒に弁当を食べたり、テスト勉強をしたり。
放課後カラオケに行ったりして。
平凡で楽しい時間を共に過ごしていく。
そうしている内に主人公は小夜に惹かれていき。
『私と、付き合ってください!』
夏祭りの日、ついに告白をした。
『...ごめんなさい。』
『そう、だよね...私じゃ...。』
『違うの。私、あなたに言わなくちゃいけないことがあって。』
『言わなくちゃいけないこと?』
そうして明かされる、
『私ね、"病気"なの。』
不治の病だった。
もう治らないと分かっていて、彼女はそのわずかな時間をいつ終わるか分からない高校生活に使うことにしていたのだ。
主人公との時間を、選んでくれたのだった。
真実を知っても、主人公は彼女と共にいることを決めた。
一日一日が貴重に思えて、彼女の笑顔が見られる毎日が幸せだった。
積み重なる思い出。
文化祭の日、彼女が倒れた。
もう学校に通える状況ではないらしい。
それからは、毎日放課後に病院へ通った。
彼女といられれば、どこだって幸せだった。
だから、迎えたクリスマスイブの日に。
『アルバイトじゃこれくらいが限界で...。』
『え...?』
【流石に何十万も貯めることは出来なかったから、安いものしか買えなかったけど。それでも、今伝えたかった。驚いたままの彼女の左手を握って、薬指に"誓いの証"を填める。】
『結婚してくれますか?』
『っ...!』
【彼女はやっぱり驚いて。幸せそうな、悲しいような。"あの日"とよく似た顔をして、一筋の涙を流す。】
『私、もう死ぬのよっ...?』
『...うん。』
『助からない、のよ...?』
『うん...。』
『あなたにもうっ...なにも...してあげられないのよ...!』
『...ううん。それはね、違うよ。小夜ちゃんと過ごした思い出はずっと私を幸せにしてくれる。私はね、これからもずっと。小夜ちゃんと生きていくって決めたんだ。』
『っ...本当に...ばか、なんだから...っ』
『だからね、小夜ちゃん。あなたを愛しています。結婚、してくれますか?』
『...はいっ...!』
【私は決して、この日を忘れることはない。
窓から射し込む月明かりが雪を照らして、彼女の笑顔を優しく包む。触れ合う唇の温かさが、彼女が生きている証を私に刻み込む。ただ、愛してる。その気持ちは永遠だと知っているから。私はきっと、これからを。この夜と共に生きていける。】
「っ...!ざよ"ぉぉぉっ!じな"な"い"でぐれ"ぇぇ~っ!!」
「ダバー!」
「ロボの目にも涙なのだわ。」
んだよこれ泣きゲーじゃんかよぉぉ...!
緩急がおかしくて心耐えられねぇよぉ...!
「あのクソゲーパート何だったんだよマジで...(泣)」
「ずっと一緒にいられないなんて、悲しいのだわ。」
「それなぁ!でもさっ!二人にはこの短い一年が永遠で何より幸せだったんだよぉ!(号泣)」
「コクコク!(号泣)」
漸く出来たまともなゲーム。
いや、"神ゲー"に咽び泣きつつ三人で感想を言い合う。
今までの反動もあり、落ち着くまで一時間近くの休憩を挟むことになってしまった。
とりあえず、次小夜に会っても泣かないように気を付けよう。
あと、ちょっとだけ優しくしてやろう...。
―――――――――――――――――――――――――――――
「次で最後か...。」
「アクビ。」
泣き疲れて強制的な休憩をしたものの、漸く次で最後のソフトになる。
"ゲームは一日一時間"とかいう戯言があるが、やり過ぎがよくないのは事実。
特につまらないゲームを長くプレイすることほど、無駄でしょうもない時間の使い方はない。
プレイしてるアタシは勿論、こりすもお疲れモードだ。
まあ、そもそもこりすのせいなんだけど。
「次はどんなゲームなのだわ?」
「えっと...。『ベゼ牢 -悪の女幹部-』だってさ。何のゲームだ...?」
今までのゲームは多かれ少なかれ、元ネタになる名作ゲームがあった。
だが、これについては思い当たる作品がない。
かなり昔の作品だったりするのだろうか?
裏面を見てみると、"トラップアクション"だとか、"サディスティックに決めろ!"とかって書いてある。
とりあえず、のんびりとしたゲームではないのは確かだ。
「あのベーゼのゲームかぁ...。」
嫌な予感しかしねぇ...。
というか、これでこりすは満足出来るのだろうか?
小夜のゲーム以外大して楽しめてないし、物足りなかったら延長なんてことも...。
その最後の賭けを、ベーゼなんかのゲームでしてホントにいいのか?
「...そうだ!なぁ、こりす。
提案があんだけどよ。」
「?」
私は今までのソフトを手に持ってこりすに向ける。
それぞれでダメなら、全員でやるまでだ。
「全員まとめてこのゲームに入れちまうってのはどうだ!」
「!」
「オールインワンなのだわ?」
個々のポテンシャルでいけば、どうやってもこの変人揃いの面子じゃクソゲーになるに決まってる。
だからこそ、全員で一つのソフトを作り上げれば。
...たぶん、残念な結果になるのは変わらないだろうけど。
まとめてかかってつまらないなら、こりすだって諦めるに違いない。
後で"市販の面白いゲームでみんなと遊ぼう"と言えば、きっと真珠たちを解放してくれるはずだ。
「もしかしたら、このゲームめちゃくちゃ面白くなるかもしれないぜ?」
「どうするのだわ?こりすちゃん。」
「......コクリ。」
よっしゃ、了承いただき!
こりすは静かに変身、アタシからソフトを受け取り全てのソフトを一纏めに合体させる。
完成したゲームがアリスの元へ。
それをまたアタシに手渡してくる。
「あれ?タイトル変わってねぇのか...。」
「ベゼ牢のままなのだわ。」
目論見が外れたか?
タイトルは合体前から変化がなく、パッケージでは何がパワーアップしたのか分からない。
不安に思いつつ、とりあえずディスクをセットしてゲームを起動してみる。
「やっぱ主人公はベーゼなんだな。」
あらすじと共にムービーが流れる。
悪の女幹部であるマジアベーゼが、お姫様を連れ去った。
アジトのナハトベースに姫を救いに来るヒロインたちを、罠に嵌めて倒していくというストーリーらしい。
『うふふっ!私に見せてください!正義の味方が哀れに咽び泣き、されど折れまいと抗い続けるその姿をっ!』
一応あいつ正義のヒロインだろ?
何でこんなにノリノリなんだよ...。
サキュバスみたいなすごい格好してるし。
『おや?第一犠牲者がやって来たようですねぇ。』
『マジアマゼンタ参上!今日こそ懲らしめちゃうんだから!』
恐らくチュートリアルなんだろう。元気よくナハトベース入り口に現れたマゼンタ。
プレイヤーキャラであるベーゼに向かって走ってくる。
『あなたに私が捕まえられますかね。』
『待ぁぁてぇぇ~!』
「基本はアクションゲームみたいだな。」
素直に追ってくるマゼンタに合わせてベーゼを走らせる。
分かりやすい攻撃ボタンもないし、システム的には捕まったらアウトなのかな?
『素直過ぎては馬鹿を見ますよ?』
『あたしバカじゃないもん!』
移動の説明が終わり、今度は"トラップ画面"というのが表示された。
この画面を開いている間はキャラクターの動きが止まるらしい。
"罠を仕掛けてヒロインを倒そう!"というポップアップが出ている。
「罠を選べってことか。」
表示されてる罠から、とりあえず一つ選んでマゼンタの目の前のマスに置いてみる。
『逃げるなぁ~!』
『飛んで火に入る夏の虫ですねぇ!』
『へっ!?』
相変わらず素直に追い掛けるマゼンタ。
そのまま罠マスを踏み、派手なエフェクトとともに激しく下から突き上げられた。
『んひぃっ!?///』
選んだ罠は"三角木馬"。
勢いよく現れた分、効果は覿面。
見事マゼンタの股を捉え、そのHPを一気に空にする。
『おまたは...らめぇ...っ///』
『ふふっ!いいお顔です!素敵ですよマゼンタ!』
力無く床に倒れるヒロイン。
力尽きたその姿と、ステージクリアの表示が画面いっぱいに表示された。
「こうやって進めていくわけだ。」
ゲームの流れは分かった。
こりすとロボ子も特に盛り上がらず、まだ様子見段階。
アタシもまだ面白いって思える感じじゃないな。
『マゼンタっ!?許さへんよベーゼっ!』
『次はあなたですか。本当に仲良しですねぇ。』
流れるようにステージ2が始まる。
今度の敵はサルファみたいだ。
手始めにマゼンタにしたように、三角木馬を前のマスへ設置する。
『見え透いた罠や!』
『やはりそう単純にはいきませんか。』
マゼンタと違い罠に気付いていたようだ。
罠マスを避けてベーゼに近付いてくる。
「またチュートリアルか。...コンボ?」
勝手に罠画面が開き、新しい説明が表示される。
罠を複数使い、連続で嵌めることを"コンボ"と言うらしい。
カーソルは"バナナの皮"と"水槽"を示しているが。
「いやバナナって...。
流石に引っ掛かるわけな」
『くっ!関西人としての血が無視させてくれへぇーんっ!?』
試みに置いたバナナの皮に吸い込まれるようにして移動し、お手本のように滑るサルファ。
そのまま次の罠である水槽に突っ込んでしまう。
『ぶはっ!?何でこないなとこに水槽が』
『タッコー。』
『あ"ー!?タコや嫌や離しむぐぅっ!?』
引っ掛かっちゃったよ...。
しかもご丁寧にタコ入りだし。
最近出過ぎじゃないか?タコ。
「パチパチ!」
「美しい流れだったのだわ。」
ご都合展開だと思うが、アリスとロボ子は喜んでいるみたいだった。
敵ごとに有効な罠があって、それを
単純だけどそこそこ面白いかも。
『今日こそとっちめてやんよ~!』
『いらっしゃい、レオパルトさん。』
ステージ3の相手はレオだった。
格好はエノルミータのまんまだし、どういうポジションなんだ?
...なんて。
そんなことはどうでもいい。
キウィと言えば、ついさっきクソ選択肢を押し付けてきた憎き相手。
慈悲は必要ない。
『そいっ!』
『へぶっ!?』
直ぐ様"パイ投げ"を選択。
今は無性に腹が立つその顔に投げつけ、顔中をクリームだらけにする。
『あーん!アタシのキャワイイご尊顔がぁー!』
「ざまあw」
「ケラケラ。」
「プギャー、なのだわ。」
レオのケーキになった姿を笑うアタシたち。
二人もやっぱり不満があったようだ。
視界不明瞭でフラつくレオ。
次なる罠を考えていると、アリスがコントローラーを横から操作する。
『ばぐっ!?』
カーン!という甲高い音を立て、レオの頭に直撃する"たらい"。
更にフラフラになる姿を見て、アリスも楽しそうだ。
「クスクス。」
「やるなアリス。じゃあ次はこれで!」
『しびれびれぇっ!?!?』
レオの周りに"電撃"マスを設置。
踏み出せば電撃。
たじろげばまた電撃。
混乱する頭を電撃でオーバーヒートさせ、ついにレオは倒れる。
もちろん、電撃マスの上に。
『あがががががっっ!?!?...がくり。』
『少しやり過ぎましたか...。』
「まあ、これでチャラにしてやるか。」
「コクリ。」
「二人とも、息ピッタリだったのだわ。」
黒焦げになったレオに達成感と満足感を得る。
何だか楽しくなって来やがった!
『姫!必ず私が救ってみせる!』
理解してからは早かった。
迫り来るヒロインをひらめきと理論と、欲望で以て攻略していくアタシたち。
『おしりはやめろぉぉっ!?やめてくれぇぇーっ!!』
『ごめんなさいは?♥️』
『ごめ...ん...なさ...い...っ!』
「ついにあのロードさまを倒したぞぉっ!」
騎士に扮した店長、じゃなくてイミタシオを自動お尻ペンペン機に拘束したり。
『あ~美味しいお肉ですね~。
頬っぺたが落ちてしまいそうです~。』
『じゅるっ...許さない、ベーゼ...っ』
「ジュル。」
「こりすちゃん、お腹空いたのだわ?」
動けなくしたベルゼルガの目の前で、高級ステーキを見せびらかせながら食べてみたり。
『さあ来なさい!わたくしを弄んでみせなさいな!さあさあさaぷぎゅっ...。』
『なんか違うんですよねー。次。』
ゲームの中でも変態なモノクルバカを、転がる巨石で轢き潰したりと。
ヒロインたちをいたぶることに快感を感じながら、ゲームを進めていくのだった。
「さて、次はどいつかな?」
「ワクワク。」
「ワクワクなのだわ。」
プレイを続けて二時間ほど。
おやつを摘まみながら、次なる獲物を楽しみに待つアタシたち。
いつも通りステージ表記が出て、今日何度も見たように勢いよく扉が開かれた。
『お姫様だかなんだか知らないけど、このスーパー勇者ロコが助けたげるわよっ!』
「ロコっ!?」
見間違えるはずもない。
アタシたちが次に打倒すべきヒロイン。
それは、ビキニアーマーに身を包んだロコだったのだ。
『随分破廉恥な格好ですねぇ、ロコムジカさん。』
『うっさいわね!?これはロコのステージ衣装なんだからっ!』
ゲームの中でも相変わらずなアイツを見て、思わず一時停止をかけてしまうアタシ。
「?」
「どうしたのだわ?」
「い、いや...。」
やり辛い、なんて言えない。
今までだって散々やってきたんだし、これはあくまでも"ゲーム"だ。
遊びなんだ。
だから、ちょっとくらいイタズラしたって許されるはずだ。
それにムカついてるって言うなら、今日はキウィたちより真珠の方に鬱憤が溜まってる。
アタシの好きなもん否定して、アタシのことも拒んで。
...いいぜ、やってやるよ。
イライラを全部アイツに、真珠にぶつけてやる!
「覚悟しろよロコォ!」
トラップ画面を開き一気に罠を設置する。
アタシがスッキリする為にお前をぶっ倒してやる!
『あづぅっ!?』
一つ目は"火柱トラップ"。
ボタンを踏んだと共に火柱がロコを包み、その頼りないビキニアーマーの紐を焼き切る。
『きゃあっ!?///』
恥じらい動けなくなったロコを車輪が拘束し、ロコを下敷きにしながらゴロゴロと移動していく。
『へぶっ!?あぶっ!?あがっ!?///』
車輪から解放され、落ちた先には黄金の三角木馬が。
悶絶するロコは身体を跳ねさせて木馬から滑り落ちる。
『う"っ...あ"っ...///』
『ふふっ。先ほどの威勢はどこへやら。とても可愛いですよ、ロコさん。』
「へっ。へへ...ざまあ、みろ。」
ロコのHPバーは残り僅か。
あと一押し。
見ろよ、あの情けない顔。
清々するったらありゃしないぜ。
ははっ、まったくよう。
何で。
何でだ?
「何で全然...楽しくねぇんだよっ...。」
「ネモちゃん...。」
ムカついてるはずなのに。
嫌いだって思ったはずなのに。
スッキリするどころか、胸がずっとキリキリ痛ぇのは何でなんだよ...!
『るべ、る...』
「...ロコ?」
『たす、け...ルベ...』
『おやぁ?もう助けを求めるんですか?残念ですが、ルベルさんはこちらにはいらっしゃいませんよ。
『助け、て...ルベルぅっ...!!』
「ロコ...ロコォ!!」
画面の中にいて。
アタシがやってるなんて、アタシが見てるなんて分からないはずなのに。
アイツは確かに、アタシを呼んだ。
アタシに"助けて"って言ったんだ。
アイツが一番最初に頼るのはアタシで。
好きなのもきっと、アタシのまんまで!
そんな真珠をアタシは!
一回ケンカしたくれぇで...!
「アリス!勝手なこと言ってわりぃけどさ!アタシ、行かなきゃならねェ...!」
「...コクリ。」
アタシの意思を汲んで、魔力をゲーム機とアタシに集中させるアリス。
身から出た錆でも、困ってる真珠を見捨てるなんざアタシの人生に賭けてあり得ねぇ!
「ネモちゃん、しっかりなのだわ。」
「ああ!行ってくる!」
待ってろよ真珠っ!
アタシは、絶対にお前を!
『
―――――――――――――――――――――――――――――
「不憫ですが、私も譲れない目的というのがありますので。」
「ルベ、ル...っ」
「あなたもそこらに転がるヒロインたちのお仲間になって頂きましょう!」
ベーゼの召喚した拷問器具、"アイアンメイデン"がその口を開き、丸裸のロコを飲み込もうと迫る。
身体を襲うであろう痛みに震え、涙を流す。
けれど、いつまで経ってもその時はやって来ない。
恐る恐る、固く閉じた瞼を開いていくと。
「待たせたな、ロコ。」
「っ...おっそいのよ...ばか...っ」
彼女を優しく包む"影"。
その温もりを、ロコだけが知っていた。
間一髪射線からロコを外すことに成功したルベルは、影から抜け出て彼女にとってのお姫様を抱き抱える。
「ちょっ!?ルベルっ!?///」
「逃げるぞ捕まってろ!」
入り口に向かって一目散に駆け出すルベル。
言われた通り強く抱き着いたことにより、ロコの柔肌が直にルベルの身体に密着するが、それを堪能する余裕は今のルベルにはない。
「素直に逃がすとお思いですか!」
「やべっ!?」
ベーゼは逃げようとする二人の行く手を様々な罠で妨害する。
地雷、鉄球、落とし穴。
しかし、ゲームをプレイし理解しているルベルには、ベーゼの行動が手に取るように分かっていた。
「簡単に引っ掛かってたまるかよっ!」
「くっ!ちょこまかと...!」
あらゆる罠を回避し、入り口に近付いていくルベル。
焦るベーゼはここで"最後の手段"に出る。
「さあ行きなさい!決して逃してはなりませんよ!」
「おまっ!?
魔物へと変化させ、生きたトラップを召喚するベーゼ。
勿論、そんな機能はこのゲームにはない。
「知りません!私はどんな手を使ってでも、"彼女"と...!」
「プレイヤーがいないから半ば意識が戻ってるってことか!?」
最早これは、ゲームであってゲームではない。
それを証明するように、理不尽な動きでルベルを捕らえようとするトラップたち。
「く、そっ...!」
「ルベル...!?大丈夫よね!?」
手傷を負い、ついに片膝をつくルベル。
それでも決して、ロコから腕を離すことはしなかった。
「わりぃ...ロコ...!アタシが弱いばっかりに...!」
迫り来る終わりの時を前に、自分の無力を嘆き、救えないことを謝罪する。
そんな愛する人の涙を拭い、ロコは優しく微笑む。
「何言ってんのよ。ちゃんと、来てくれたじゃない。いて欲しい時にいてくれるから、ロコはアンタが...ルベルが、好きなのよ。」
「ロコ...///」
想いを確かめ合うように、強くお互いを抱き締める二人。
そんな様子を見ても、手段を選ばぬ悪魔は手を緩めようとはしなかった。
「仲睦まじくて羨ましい限りです。それでは、望み通り一緒にあの世へ送ってあげましょう!」
「ルベル...!」
「ロコ...!」
一斉に襲い掛かるトラップモンスターたち。
ルベルは最後の抵抗として、最愛の人を背中に庇う。
今度こそゲームオーバーかと思われた、その時。
「何事ですっ!?」
「っ...?」
「なによ...この光は...?」
空から降り注ぐ一筋の光。
そこから強まる輝きはモンスターたちを捉え、まるで幻だったかのように次々と霧散させてしまう。
呆然とするベーゼの前に、巨大な翼を持つ"何か"が舞い降りる。
「あ、あれは...!」
「もしかして...!」
「あ、
神々しい光に照らされながらも、その顔は見覚えのあるベイビーフェイス。
どう見たってネロアリスなそれは、精一杯威厳を出そうと胸を張り、どや顔をキープしている。
「アリス!お前も来てたのか!?」
「アリスちゃんではないのだわ。
「は...?」
お付きの天使、というかロボ子が言うには、アリスではなく"神様"らしい。
いきなり過ぎてわけが分からない三人。
しかし、いち早くベーゼだけが行動に出る。
「た、たとえアリスちゃんでも、邪魔するなら容赦はしないよっ!」
「ビシッ!」
「ラジャーなのだわ。」
「私は勝ってゲームをクリアしてっ!
お姫様とものすっごいえっちなこtアビャビャビャビャッ!?!?」
目的とやらの説明があった気がするが、ベーゼが相対しているのはモンスターではない。
神だ。
憐れ、ベーゼ。
神の怒り(稲妻)に触れ、一瞬で真っ黒焦げになってしまう。
「く...くそげー...っ」
理不尽な仕様に毒を吐き、力尽きるベーゼ。
デカデカと空に浮かぶ【GAME OVER】の文字を、何とも言えない顔で見つめるロコルべ。
「フンス!」
「流石神様なのだわ。」
「来るならもっと早く来いよっ!?」
呆気ない幕切れに忘れていた文句を吐き出す。
さっきまでの苦労は何だったのか。
どうせ来るなら最初から助けてくれれば。
神様となったアリスにそう抗議するが、当人は何やらキョロキョロしているだけで、まったく話を聞いているようには見えない。
「も、もし!あなた様が私を救って下さったのですか!?」
「!」
「あ、来たのだわ。」
階段を駆け降りるドレス姿の美女。
その姿を見た途端、アリスの表情がパアッと華やいだ。
「いねぇと思ったら...。」
「アンタがお姫様役だったわけね...。」
「助けに来たのだわ、"アズール姫"。」
ヒロインたちが救い出そうとしていたお姫様。
その正体は今まで登場していなかった総帥様こと、ルシファアズールだったのだ。
「この方は神様なのだわ。」
「神様!?神様がわざわざ私などを救いに来て下さったのですか!?」
「コクリ。」
「あぁ、なんと慈悲深いお方!ありがとうございますっ!このご恩は私の全てでお返し致しますわ!」
「ニヘラ。」
ハチャメチャに感謝されながら抱き締められ、頭をナデナデされるアリス。
神様にするにはあまりに不遜な行為なのだが、当の神様がすごく嬉しそうなので気にしたら負けなのだろう。
「めでたし、めでたしなのだわ。」
「ハァ...ねぇ、ルベル。これって。」
「あぁ。始めっからアリスがアズールに褒められたいだけの、マッチポンプだったんだろ。」
幸せそうなアリスの顔を見て確信する。
配役といい、ゲーム性といい。
実は全て
結局全員、いいように遊ばれてしまったというわけだ。
転がっているヒロインたちに同情しつつ、ルベルはシメとして、心の底からの言葉を呟く。
「しばらく、ゲームはいいかな...。」
ヒロインたちを巻き込んだゲーム騒動は、こうして無事ゲームオーバーを迎えたのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――
「こんなことしちゃダメじゃない!」
「シュン...。」
半日振りに全員が揃ったナハトベース。
いつもと違って静まり返ったそこに、小夜の怒りの声が響き渡る。
「何の相談もなしにみんなをゲームにするだなんて。危険な内容のものもあったと聞いたわ。ゲームの中とはいえ、みんなに"もしも"のことがあったらどうするつもりだったの?」
「......。」
小夜がこりすを説教するなんて意外だ。
今回のことなんて、事前に知っていたら喜んで協力しそうなのに。
「そだぞ、こりす。もしゲームで死んで、リアルでもアタシが死んだら、それ全部お前のせいになんだぞ。んなことをこりすに、アタシらがさせたいと思うか?」
「...フルフル。」
あのキウィがあんなにマジになるなんて。
罪悪感がすごい。
そこまで思い至らなかったアタシも、最早共犯みたいなもんだよな...。
「どうしてこんなことをしたの?面白そうだったから?」
「...。」
「な、なぁ。気持ちは分かるけどそこら辺で...」
「待って欲しいのだわ。」
止めに入ろうとするアタシより先に、ロボ子がこりすを庇うように前に出る。
いっつも真顔ではあるけど、今は特に真剣な表情に見える。
「ロボ子。あなただって同じよ?たとえお友だちでも、悪いことをしようとしたら止めないと。」
「悪いことなんてしてないのだわ。」
同じように叱ろうとする小夜に、真っ向から反論するロボ子。
怒るかと思ったが、小夜はロボ子の主張を聞くつもりらしい。
押し黙って次の言葉を待っている。
「こりすちゃんはただ、小夜ちゃんたちと一緒に遊びたかっただけなのだわ。」
「遊びたかっただけって...」
「別に一人にしてたわけじゃねーじゃん。」
小夜とキウィはピンと来てないようだが、アタシにはその意味が分かった。
今朝、寂しそうに小夜たちを眺めていたこりす。
あの視線の意味が漸く分かったぜ。
「あのさ。アタシら、ロボ子が生まれて大喜びのこりすを見て、"しばらく邪魔しないでやろう"って。勝手に気ぃ遣ってただろ?」
「だってその方が楽しそうだったじゃん。」
まだ分かっていない様子のキウィ。
アタシに代わって、今度は真珠が説明を続ける。
「ロボ子と遊んでいればいるほど、真珠たちはこりすに構わなくなる。アンタたち、急に遊んであげる頻度が少なくなったでしょ?」
「こりすにしてみりゃ、友だちが急に一人になったようなもんだ。」
「だけど、ネモも一緒に遊んでいたじゃない?」
「だからロボ子が言ってただろ?"
「...。」
これをわがままだと、欲張りだと責めるべきなのか?
こりすにとってここは、"友だちがたくさんいる秘密基地"なんだ。
きっと、アイツにとって唯一の寂しくない居場所なんだろう。
ロボ子なんて最高の友だちが出来て、明日からもみんなにいっぱい遊んでもらえる。
そう期待してたのに、前より触れ合える時間が減って、みんなはいつも通り楽しそうにしてる。
シリアスに捉え過ぎって思うかもだけど、こりすにはそれが何より大事なことだったんだ。
「お前らの気を引こうとしたんだよ。こんなすごいこと思い付いて、一人でみんなを閉じ込めて。きっと、褒めてもらえるって思ったんだよな。」
「...そうなの?こりす。」
「...コクリ。」
俯きながら頷くこりす。
そんな様子に耐えられなかったのか、小夜とキウィは二人して強くこりすを抱き締める。
「ごめんねこりす!あなたがそんなに寂しがっているなんて思わなかったの...!」
「そんなに好きなら最初からそう言えよばか!...ごめんな、こりす~...。」
「~...///」
涙ながらに謝る二人に照れながらも、幸せそうな笑顔を見せるこりす。
「こりすちゃん。よかったのだわ。」
「お前も行ってこいよ。」
「私もなのだわ?」
「そーよ。アンタがいた方がもっといい顔するわよ、あの子。」
「なら行くのだわ!」
駆け寄って不必要に勢いよく飛びつくロボ子。
下敷きになった小夜とキウィも含めて、みんないい笑顔だ。
「アイツら、いつもいつもよくホームドラマみたいな空気作れるよな。」
「すっかり家族が板に付いちゃってんのよね。小夜なんてまんまお母さんじゃない。」
微笑ましい光景を眺めているうちに、アタシもしなきゃいけないことがあったのを思い出す。
「真珠、あのさ...。なんか...悪かったな。朝は、言い過ぎた。」
「......別に...真珠も、ちょっとは?怒り過ぎたかも?とは思わないでもないわよ?」
「謝る気あんのかそれ。」
相変わらず素直じゃねー奴。
ならその分、アタシが素直になってやらねーとな。
「でもさ。ヤベー時くらい、怒ってても話聞いてくれよ。助けようとして拒否られたの、結構ショックだったし...。」
「は?...あれはアンタが巻き込まれないように仕方なく...///」
「へ?」
言われてみれば、あそこでアタシが突っ込んでも二人仲良く吸い込まれるだけだった。
そんなことにも気付かないくらい、動揺してたのはアタシの方だったわけだ。
情けなさからか、安心したからか。
急に笑いが込み上げてくる。
「ぷっ...あはは!」
「何笑ってんのよ?頭おかしくなったんじゃないの?」
「わりぃ。あんまりにも自分がバカで笑えて来ちまってよ。」
「じゃあ、もう真珠のことバカバカ馬鹿にできないわね。」
「だな。バカついでに聞いてもいいか?」
「なによ?」
「何であんな怒ってたんだ?ケンカする前から機嫌悪かったろ?」
アタシが聞くと、普通に戻ってた顔がまた真っ赤に変わる。
らしくなくモジモジしながら、諦めたように溜め息を吐き。
怒ってるような、照れてるような顔で理由を話し始める。
「...最近あんた、ゲームゲームってその...二人きり、とか...その...///」
「あ?声小さくて聞こえねーよ。」
「あーもうっ!最近アンタが"デート"してくれないからよばかっ!///」
「は...?」
今こいつ、何て言ったんだ?
デート...?
「せっかく宿題終わってバイト代もらって色々一緒に見たいものとか行きたいとことかあるのにゲームゲーム言って全然誘ってくれないからっ!だからよバカネモっ!!///」
「......ぷっ。」
「あー!あんた笑ったわね!?いいわよもう許さない破局よ絶交よ離婚よぉっ!!///」
何だよ。
本当に素直じゃねーヤツ。
そんな理由であんなキレて、あんなに嫌な気分にさせやがったのか。
前言撤回。
やっぱコイツはバカだ。
バカもバカ、大バカだ。
真珠ほどバカで、可愛いヤツなんていない。
離婚って、まだ結婚なんかしてないだろうに。
「なあ、真珠。」
「ぁによ!?今日という今日は本気で」
「明日、デートしようぜ。
ごめんな、寂しい思いさせて。」
「~っ!?!?///」
爆発音がした気がした。
真っ赤を超えて沸騰しちまった真珠が落ち着くまで、じっとその可愛い様子を見つめる。
「な、なによ...いまさら...///」
「答えは?行くか、行かねぇか。」
「...行くわよ!行ってやるわよっ!///」
これにて、本当にゲームオーバー。
エンディングってとこだ。
いつの間にかこちらをニヤニヤと眺めている小夜たちに苦笑いを返し、アタシたちの秘密基地はまた笑顔で満ちていく。
どこが悪の組織だよ。
こんなに楽しくて、あったかくて。
ゲーム持ち込みたくなるくらい、家より居心地よくなりやがって。
ああ、認めるよ。
友だちが増えて嬉しかったのは、別にこりすだけじゃなかったってことだ。
「あ、そうだ。気になってるソフトが安売りしてるらしくてさ。明日寄ってみてもいいよな?」
「あんたねぇ...!ちょっとは懲りる素振りを見せなさいよぉ!!」
―――――――――――――――――――――――――――――
◼️□Next episode◼️□
「一回でも小夜に"好き"って言葉。
伝えたことあるんか?」
元ネタ全部分かりましたか?
次回は11/30(土)0:00投稿予定。
3部は12月開始予定ですが、もう少し詰めたいのでまた1週お休み頂くかもしれないです。