魔法少女にはなりません ~転生したらアズールだった件~   作:月想

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ご愛読ありがとうございます。
今回から三部最終決戦が始まります。
彼女たちにしては非常に真面目な戦いが続きますので、一応魔法少女モノであったことを思い出した上で読んで頂けたらと思います。


第42話『キミが望んだ物語』

『んっ...ハァハァ...うてなっ...///』

『さよ、ちゃんっ...!///』

 

「お、おぉ~っ...!///」

 

あまりにも艶かしい光景に、思わず感嘆の声を漏らす。

汗と愛液でお互いの身体を美しく輝かせ、交じり合う。

それが美少女同士で、しかも想い人。

辛抱出来る者など当然いるはずがない。

 

「アタシも~!アタシもシタい~!///」

 

待ちに待った、漸くやって来た約束の日。

"初めて"は三人でとお預けを喰らい、ただでさえ我慢が出来ないキウィには永遠にも似た心地だった。

それが、今ついに解き放たれる。

先程から文字通り飛び掛かりたくてたまらないというのに、何故かどうにも身体が動かない。

ヒートアップする小夜とうてなの交わり、昂るリビドー。

焦りすら覚えるタイミングで、ふと二人が手を止めてキウィを見つめる。

 

『キウィ...///』

『キウィちゃん...///』

 

「あ、あ...!///」

 

心から魅力されたその瞳。

上目遣いに見つめ、柔らかい胸を寄せて。

キウィを文字通り手招きする。

 

『『きて...♥️///』』

「いきまーす!!てかイキまぁぁーーすぅぅぅっ!!///」

 

最早身体が動かないとかどうでもいい。

想いの力でキウィはその場で高く飛び上がり、ついに愛しのうてさよパイに向かって飛び込んでいく。

どんどん近付くいけない果実。

堪能すべく涎を垂らしてさあ実食!

というところで。

 

「あだあぁっ!?」

 

見事に()()()()()()()、顔面から床に突っ込んだ。

 

「いたぁ~い...ぷりちーふぇいすがぁ~...。」

 

鋭い痛みが無理矢理寝惚けた頭を覚醒させていく。

どうやら、先程までのはキウィの"夢"だったらしい。

かなり欲求不満なようで、目覚めた後しばらく枕を抱き締めてスリスリしたりした。

悔しさやらムラムラやらを何とか抑え込み、何か大切なことを忘れていると気付き始める。

そういえば、今日は平日だ。

つまり学校がある日なのだが、いつも母親が起こしてくれる時間より太陽が高い位置にある気がする。

というか眩しい。

鳥のチュンチュンもなし。

 

「あ~...。」

 

スマホで確認すれば、時刻は11時を回った所。

完全に寝坊したらしい。

通知には小夜からのLIMEが来ている。

やってしまったと思わなくないが、一日くらいサボっても授業に置いていかれたりはしない。

まあ、別にいいか。そう思い漸くベッドから立ち上がり、すぐに足元にある"何か"に躓く。

 

「あだっ!?んだよ今日はよぉ~!」

 

物言わぬそれに文句を漏らす。

床に適当に置かれた、普段は使わないサイズのカバン。

というか、スーツケースだった。

道理で痛いわけだと思い、何故こんなものがここにあるのか首を傾げる。

考えて、考えて。

次第にキウィの顔は真っ青になっていく。

すぐに立ち上がり、リビングに飛び出て気の効かない母親に八つ当たりを慣行しようとする。

しかし、誰もいない。

あったのは、一枚の書き置きのみ。

 

『キウィちゃんへ

 あんまりにも幸せそうに寝てるから起こせなかった!

 ちゃんとおっきして、さよちゃんたちとの修学旅行楽しんでね!

 ママたちもラブラブ旅行楽しんで来ちゃいます(はーと)

 追伸。二人目出来ちゃうかも?』

 

「.........」

 

ワナワナ震え、ハートくらい頑張って書いて欲しいとか言うどうでもいい感想をしまう。

今叫ぶべきは別にあり。

やり場のない怒りと情けなさを込め、涙目でキウィは天(井)に向かって今吼える。

 

「書き置いちゃ意味ねーんじゃないのぉぉっ!?ママあぁ~っ!?!?」

 

学生最大のイベント、"修学旅行"当日。

阿良河キウィ、渾身の寝坊。

末代まで弄られ続ける、伝説の始まりであった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「着いたねぇ!!」

「着いちゃったね...。」

 

見渡す限りの人に、駅とは思えない広さ。

そして関東とはどこか違う不思議な空気。

正反対の感情を見せるはるかとうてなを見て、自分が本当にここまで来たことを実感する。

 

「私は今、京都にいます。」

「誰に報告してんねん。」

 

そうだ、京都行こう。

ではなく歴とした中学生最後の一大イベント、修学旅行である。

めちゃくちゃ最後の最後で行きそうな行事名だが、三年生は二も三もなくとにかく受験勉強を推進するのが日本の現状。

まだ一年学べるドン!な二年生の秋に行うのが修学旅行の実情だったりする。

ので、私たちにも当然この最強イベントがいつの間にかやって来てしまったというわけ。

最近大変だったし、好きな人たちとゆったり青春出来るのはそれなりに楽しみだったのだけど。

 

「キウィったら...だからあれほど夜更かしするなって言ったのに!」

「え、本当に寝坊なの...?」

 

スマホ画面に映る、キウィの泣き顔と睡眠スタンプのラッシュ。

バスの時間になっても来ないからまさかと思えば、本当に修学旅行で寝坊するとは。

あれだけ前日注意したのに、悪い予感とは何故こうも当たるのか。

 

「どうするつもりかしら...自力で来られるもの?」

「自分で新幹線とか取れれば無理じゃないんじゃないかなぁ?」

「キウィちゃんそういうの苦手そう...。」

「静かでこの方がええやないの。清々するわ。」

 

ワガママを言うようだが、キウィには来てもらわないと困る。

せっかくうてなとキウィに挟まれて温泉に入れると思っていたのに、こんなアクシデントで私の性欲...もとい夢が潰えるなんて認められない。

これでは修学旅行の魅力激減ストップ高。

キウィがいなくて、それに加えて。

 

「シャノンまで休みなんて...。」

 

シャノンもまた、この場にはいなかった。

先生からは体調不良と聞いて、心配してLIMEを送ったが返信は未だにない。

 

「せっかく仲良くなれたのに...。」

「小夜ちゃん...。」

「残念、だよね...。」

「...体調不良じゃしゃーないやろ。それでうちらが暗なったら余計にシャノンが不憫やわ。」

 

テンションを上げられない私たちを薫子が叱責する。

確かに心配だし残念だが、それで思い出話も出来なくなっては元も子もない。

 

「大丈夫!一緒に行けなかった分、シャノンちゃんにたくさんお土産買ってあげようよっ!」

「キウィちゃんも、きっと来てくれるよ。だから、今は私たちで楽しまないと。」

「はるか、うてな...。そうね。私たちだけで、先に楽しんでしまいましょうか。」

 

この場にいる友だちの励ましを受けて、私は私たちの修学旅行を始めることにしたのだった。

 

「ねぇ知ってる!?銀閣寺って銀色じゃないんだよ!」

「誰に聞いとるん?」

「知らなかったのはるかだけよ。」

「教科書に写真載ってたよね。小学校のだけど...。」

「嘘だぁ!?」

 

一日目はほとんどが学校単位での団体行動。

バスに乗って定番中の定番な観光スポットを巡っていく。

子どもみたいにはしゃぎながら天然を飛ばすはるかの相手をしつつ、一応地元である薫子の豆知識を聞いて知識を深め。

ほんわかな表情が可愛いうてなをチラチラ見てはニヤニヤする、そんな素敵な時間を過ごすことが出来た。

お昼に食べた京都料理は確かに美味しかったが、健康優良児な小夜ボディでは些か物足りないというのが正直なところ。

駅前のマクディナルドが妙に魅力的に見えたのは内緒だ。

 

「まさか、こない早く帰るとは思っとらんかったなぁ。」

「一年振りくらい?」

「せやねぇ。懐かしむ暇もなかったさかい。」

 

お土産所でのちょっとした自由時間。

ベンチで休む薫子から漏れた言葉に反応し、転校する前の話や来たばかりの頃の話をする。

薫子がサルファになったのは転校してから間もないタイミングだったし、故郷を思い出す余暇も本当になかったことだろう。

私が駄々を捏ねていたせいでしばらくはるかと二人きりのヒロインだったし、私も彼女に苦労を掛けた張本人と言える。

 

「新選組Tシャツ!?なつなたちに買ってかなきゃ!や、八つ橋なめたけ味!?5つじゃ足りないかもぉ!?」

「はるかったら...またあんな変な服を買う気なの?それに食べ物は最終日に買うように言ったはずなのに。」

「しゅごいっ!ご当地魔法少女マイコハーンのグッズがこんなに!?ストラップは58種類!?ぜ、全部買わなきゃ!!」

「あーあー。あないぎょーさん抱えてもうて...。無駄遣いの上に目立つ買い方はアカン言うたやろ。」

 

お土産にはしゃぎ過ぎるお可愛い二人を見つけ、保護者としてほぼ同時に溜め息を吐く。

こんな時くらいゆっくりして欲しかったが、そうは問屋が許さないらしい。

諦めの笑いを浮かべ、二人の暴走を諌めに行こうとした時だった。

 

「Hello。お二人サン。」

「!...あなた、アレクシアさん?人違いじゃない、わよね?」

「ホンマや。こないなとこで会うなんて奇遇...って奇遇で京都はないやろ流石に。そっちも修学旅こ...?」

 

掛けられた声に振り返ると、そこには意外な人物が。

金髪にダイナマイトボディの外国人さん。

一瞬観光客かと思ったけど、どう見ても私たちの知るアレクシアさんだった。

私も最初は、薫子と同じように修学旅行の日が被ったのかと思った。

だがそれにしては制服を着ていないし、他の生徒の姿もない。

回復して無理矢理修学旅行に参戦しに来たシャノンの付き添いだとか、あらゆる可能性も考える。

だが、違う。

そういうことではないと頭ではなく心で感じる。

アレクシアさんから感じるこの感覚を、私は知っている。

薫子もきっとそうなのだろう。

言葉を留めて、ゴクリと息を呑む。

 

「あれ?アレクシアさ、ん...?」

「すごい偶然ですねぇ!こないだは妹たちがお世話に」

「待ってはるかちゃん...!!」

 

ゴウッ!と音を立てて、"何か"が私たちの間を通り過ぎる。

それが()()()()()()()()()()()と気付くより先に、背後の太い街路樹は真っ二つに斬り倒されてしまっていた。

 

「正義を果たしに来まシタよ。()()()()()()。」

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「ぶえぇ~んっ!!アタシの"うてさよちゃんとイク!らびゅらびゅ新婚ツアー"がぁ~!!」

「あーもう!いつまでもうっさいわよアンタ!!」

「ただの修学旅行だし一部不適切表現だったんだが?」

「アクビ...。」

「お昼寝なのだわ?」

 

一方その頃。

修学旅行を寝坊したキウィは親も頼れない状況で派手に取り乱し、昼休み中のたまネモにこりすまで無理矢理呼び出しての緊急会議をナハトベースにて開催していた。

会議とは名ばかりで、当の本人は泣き喚くだけ。

少ない休み時間を寝て過ごしたかった三人の機嫌は悪くなる一方。

始めはお友だちがいつもより早く来てくれて喜んでいたロボ子も、次第に困惑の色を強めていく。

 

「大体寝坊したアンタが悪いんでしょ?反省して家でおとなしくしてなさいよ!」

「だってよぉたまたまぁ!!いい夢だったんだよぉー!!」

「どさくさでたまたま言うんじゃないわよ!?」

「おまえネモとの赤ちゃんできた夢みたらすくっとばきっと起きれんのかぁ!?そこに愛はあるんかぁ!?」

「は、ハァ!?赤ちゃんとかっ...そんなの、変、だし...///」

「真に受けてどうすんだよばたま...///」

「誰がばたまよっ!?///」

 

泣きながらやっぱり反省も諦めもない様子に手を焼く真珠たち。

このままでは授業までサボることになりかねないと感じ、仕方なくキウィをどうやって修学旅行に急行させるか策を練ることにする。

 

「ゲート開けば?」

「それだぁ!!」

「いや、京都までは無理だろ。魔法少女狩りの時は四人がかりで開いてたんだぞ?」

「ムリじゃんっ!ムリじゃんばたまぁ~!!」

「ばたま言うな!ならヴェナに頼めばいいじゃない。...って。」

 

無尽蔵のチートキャラと言えばヴェナリータ。

やっぱり生きていたあのマスコットに活躍の場を与えようと基地内を見回すが、それらしい影は形もない。

どうやら留守ということらしい。

 

「いないわね。」

「だめじゃぁーん!?」

「金持ちなんだから新幹線でも飛行機でも取りゃいいだろ。」

「やだやだぁ!さよちゃんなしのぶらり旅なんてつまんなくてしんじゃう~!!」

「くたばりなさいよ。」

「真珠、こりすの教育に良くないのだわ。」

「私の台詞なのだわ...!?」

「スピーZz」

 

神出鬼没の腹黒マスコットは頼りにならない。

ならばと現実的手段に訴えることを提案するが、非常にワガママな理由でそれすら却下されてしまう。

呆れ果てて、ついにこりすがうたた寝を始める。

そして、()()はやって来た。

 

「パチッ。」

「は?」

「誰よ?ゲート開いたの。」

「もしかしてさよちゃん!?」

 

突然ベース内に出現した、闇のように暗いゲート。

まだ驚きには届かない。

ヴェナリータ?それとも小夜?

知り合いしか思い浮かべていないキウィたちとは違い、ただ一人こりすだけは胸騒ぎを感じて寝ぼけ眼を真剣なものへと即座に変える。

正しかったのは、こりす。

ゲートから現れたのは確かに知り合いではあった。

だが、だからこそあり得ない。

あり得ないからこそ、最悪であった。

 

「っ...?」

「あ?んだよシャノっ...何で、おまえ...」

「この二人って...え?」

「...何で、何でゲートなんて開けんだ...!?」

 

出てきたのは二人。

今やキウィの友人でもあるシャノンに、こりすの親友のキャサリンだった。

一般人であるはずの、二人。

それがゲートを開き、今ナハトベースに立っている。

全員が彼女たちの正体に行き着くまでに、1秒と時間は必要なかった。

 

「「変身(トランスマジア)。」」

 

二人から魔力が迸り、その姿を変えていく。

完成したその形は、キウィたちにとってトラウマにも等しい恐怖の体現者。

最強の敵、ジャスティスティール。

マジアアルジェント、マジアカルコスその人であった。

 

「嘘だろっ...!?」

「...トボトボ。」

 

驚いた瞳を開いたまま、無防備にカルコスに近付いていくこりす。

そんな友だちを見つめるカルコスの表情は、どこまでも冷たいものだった。

 

「危ないのだわっ!!」

「...!?」

 

こりす目掛けて躊躇いなく振るわれた鋼鉄の爪を、間一髪でロボ子が防ぐ。

ぶつかり合う鉄の音が、儚い友情の終わりを告げていた。

 

「アンタを倒すわ、ネロアリス...!」

「っ...!」

 

カルコスの攻撃に反応し、キウィたちも遅れて変身を完了する。

そんなエノルミータを底冷えする瞳で睨むアルジェント。

 

「キウィ...アンタのことは、嫌いじゃなかったよ。」

「アタシはむかつくヤツだと思ってた。けど...スゲーヤツだとも、思えてたのにさ。」

 

お互いに落ち着いた口調で本音を溢す。

だが、和解などあり得ない。

シャノンから感じる殺意。

それが誰に向けられたモノか、キウィにとっては考える必要すらなかったから。

 

「アンタたちを殺すわ。

サヨがとびきり苦しむようにね。」

「正義の味方のセリフかよ、くそびっち。」

 

アルジェントとカルコス。

その()()()()()()()()()()を睨み、レオパルトは静かに撃鉄を落とした。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

変身(トランスマジア)。」

「マジア、オール...!?」

 

トレスマジアと、そう確かに私たちを呼んだアレクシアさん。

馴染み深い言葉で変じた姿は、誰もが知る最強の魔法少女。

マジアオールが、私たちの目の前に立ち塞がっていた。

 

「ど、どうして...!?」

「何故正体を知っているのか、デスカ?」

「...ヴァー、ちゃん...?」

「That's right!説明はいらないようデスね!」

 

ヴァーツさんが私たちの正体を教えた。

何故このタイミングで?

いつでもJSTに伝えて襲うことは出来たはず。

それにアレクシアさんがオールってことは...。

どうして気付かなかったんだ。

外国人の三姉妹なんて、偶然にしては一致し過ぎてるのに。

三人共優しくて、友だちで。

あんな冷酷なことが出来る人たちなんかじゃないのに...!

 

「わざわざ遠路遥々...正義の味方が裏切り者の始末に来た言うわけか...!」

「正義とは時に残酷なものデース。でなければ、何も守ることはできまセーン。」

 

今は、そんなこと考えてる場合じゃない。

アレクシアさんが...オールが私たちを目的にここまでやって来たのだ。

自分の正体を明かして、正面から。

" 決着"を、着けるつもりなんだ。

 

「だからってこんなところでっ...!」

「No problem.」

 

気付けば、売店にいたはずの人や観光の人混みが丸々消えていた。

人払いまで最強ということらしい。

でもこんなところで戦えば、被害が出ることには変わりがない。

そうまでして私たちを始末したいなんて。

 

「ま、待ってください!小夜ちゃんは、小夜ちゃんは関係ないんですっ!だからせめて安全なところに!」

「はるか...。」

 

確かにトレスマジアが狙いなのであれば、小夜ちゃんは関係ない。

だけどきっと、オールは小夜ちゃんの正体も知っている。

まとめて始末する算段なのかも。

 

「...I see.いいでショウ。」

「え...?」

 

予想に反して、オールは簡単に小夜ちゃんを解放する姿勢を見せた。

ホッとした様子のはるかちゃんとは対照的に、私と小夜ちゃんは困惑の表情を浮かべる。

でもそれも、次の一言で嫌でも納得させられてしまうことになる。

 

()()()()()()()()()()()()()。」

「!...なん、ですって...!?」

「それって!?」

「小夜ちゃん、うてなちゃん?」

「何や...?何か聞こえたんか?」

 

どういう仕組みかは分からないけど、私たちにだけ聴こえるように呟いた言葉。

何故オール一人だけなのか、これで理由が分かった。

残りの二人はきっと、ナハトベースにいる!

 

「早く行きなサイ。巻き込まれたくはないでショウ?」

「言われなくても...!」

 

促され、駆け出そうとする小夜ちゃん。

だけどすぐ振り返って私の方を見る。

目が合うだけで分かる。

ナハトベースにいるみんなと同じくらい、私たちのことも心配なんだ。

きっと今までみたいに一緒には戦えない。

庇うことも出来ないから。

 

「行って、小夜ちゃん。」

「うてな...。」

 

だから言わなきゃ。

私たちは大丈夫。

だって、私はマジアベーゼで。

 

「私たち、トレスマジアだから...!」

 

あなたの憧れた"ヒロイン"なんだから。

だから信じて欲しい。

そう思いを込めて笑ってみせる。

気持ちはちゃんと届いたようで、小夜ちゃんはハッと驚いた後、困ったような笑顔で頷いてくれた。

 

「はるか!薫子!無茶はしないでっ!」

「したないけどな...!」

「無茶はしないよ!がんばるだけっ!」

 

最後に二人を激励し、小夜ちゃんの背中はどんどん遠ざかっていく。

私も小夜ちゃんを信じる。

今は目の前のことに全力を尽くすしかない!

 

「いくよ二人とも!」

「おう!」「うん!」

「「「変身(トランスマジア)!」」」

 

気合いを込めた三人同時変身。

高まる想いがそうさせたのか、三人共最初から真化形態となっている。

 

「出し惜しみなしだよっ!」

「勝って分かってもらいます...!」

「3対1や!覚悟せぇよ最強!」

 

魔力を全開にして居並ぶ私たちを前に、けれどオールは不敵な笑みを消すことはしない。

数の不利など存在しないと言うように、数多の武器を宙に浮かべてその矛先を向けてくる。

 

「少し本気を出しマース。三人なら...10分は持たせてくだサイね?」

「「「!」」」

 

瞬間、放たれる弾丸に刃の雨。

最強の魔法少女、憧れの極致への挑戦。

最大の壁を乗り越える戦いが、今始まった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「嘘つき...友だちだって、言ったのに...!!」

「フルフル...!」

 

嘘なんて吐いていない。

カルコスの言葉を否定するアリスだが、想いは届かず、攻撃は更に激しく執拗になっていく。

力任せの、怒りと憎しみの籠った暴力。

攻撃の余波で既にナハトベースは事故現場の様相だ。

 

『Bow...!』

「あなたも、お友だちのはずなのだわ!あんなのいけないのだわ...!」

 

追い詰められるアリスを横目に、ロボ子は同じく主を案じているはずのアーサーの足止めを受けていた。

あれほど幸せそうだった二人が傷つけ合うなんて間違ってる。

一緒に見ていたあなたなら分かるはずだと訴えるが、アーサーは一歩も退く様子がない。

やるせない思いのまま迎撃するロボ子に、僅かな隙があった。

 

「アーサー、今よ。」

『Bow!』

「...!」

「アリスちゃん...!?」

 

アーサーに指示を出したのはアルジェントだ。

レオたち残りの三人を相手取りながら、未だ余裕が崩れることはない。

アーサーはロボ子から離れ一直線にアリスへ接近。

口でアリスの襟を捕らえて無理矢理に引っ張って行ってしまう。

 

「お前もよ人形...!!」

「うぐっ!?」

 

合わせるようにカルコスはロボ子の首を乱暴にアームで掴み、自身もアーサーが走る方向に飛び去っていく。

カルコスにとってアリスへの憎悪こそが最も重要であり、他のことなどどうでもいい。

始めからアリスとロボ子だけを分断するつもりだったのだ。

 

「やべっ...!?アリスをひとりにすんな...!頼むルベルっ!」

「任され、たっ!?」

「行かせるわけないでしょ?」

 

連れ去られるアリスたちの追跡を指示するレオだったが、道を塞ぐように生成された巨大な土壁に遮られてしまう。

その僅かな時間で、最早アリスがどこまで離れてしまったのかすら分からなくなってしまった。

 

「三人がかりでこれか...!」

 

通常形態同士での戦闘にも関わらず、未だアルジェントにダメージすら与えることが出来ていない。

ボロボロにいたぶられた記憶が嫌でも蘇るが、前回とは大きく違う点がエノルミータにはある。

 

「「「真化(ラ・ヴェリタ)ッ!」」」

 

レオに加え、ロコルべもまた会得した真化形態への強化変身。

これを見れば流石に動揺するに違いない。

そういう"甘え"が、彼女たちにはまだあった。

 

「...そう。()()()()()()。」

「は...?」

「"真化(ラ・ヴェリタ)"...。」

 

アルジェントが囁くように口にした、絶望の呪文。

身に纏うのは、彼女が好きなファンタジー作品に登場する"神官"のような衣装。

手に持つ錫杖は(アルジェント)の名にふさわしい輝きを放つが、その服はまるで血に濡れたように紅く、禍々しさを感じさせる。

その威容は、まさに裁定者にて処刑人。

懺悔も許されない冷酷な正義が、エノルミータの前に現れていた。

 

「"クリューエル・スピリッツ"。ジャパニーズにはこの方が聞き取りやすいでしょう?」

「出来んのかよ真化...!?」

「今までホントに手抜いてたってわけ!?」

「ひんにゅーだからって着込んでじゃねーぞ!えろさなら負けねーぞこらぁー!!」

 

動揺のし方は様々だが、数の優位は完全になくなったことを全員が直感的に理解した。

レオのあからさまな挑発を合図に一斉に戦闘行動を開始する。

 

『アレグレット・エネルジコ!』

 

ロコの声が聴こえると同時にレオ、ルベルの魔力が上昇する。

人の為に歌うことを覚えたロコムジカは、味方を鼓舞し強化する能力を得たのだ。

 

「真、影縫い...!」

 

次いでルベルが数体の影分身を作り出し、何重もの影縛りでアルジェントを拘束する。

以前は手足を動かさずとも使える魔法に後れを取ったが、今回は数の暴力により物理的に締め上げている。

普通の人間であれば痛みに魔法所ではないだろう。

 

「よっしゃぁ!そのまま動くんじゃねーぞ!!」

 

動けない敵に、出力の上がった光線をぶつける。

それが彼女たちの得意なコンビネーションだった。

確実にダメージを与える堅実な作戦。

だが、そんな危機的状況や痛みに対し、アルジェントは尚も涼やかな表情を変えずにいた。

 

『あっづ...!?』

「"アース、レイジ"。」

 

アルジェントのすぐ下、つまり影から溢れ出す"マグマ"。

ナハトベースの床を爛れさせ、ルベルの分身を溶かし殺していく。

溜まらず退避するルベルを無視し、アルジェントを錫杖をレオのアームへ向ける。

 

「っ!?シュトラール...!」

「"インペリアル・ライトニング"」

 

咄嗟に放った光線とぶつかり合う、空から降り注いだ大質量の稲妻。

事なげもなく唱えられた呪文に、全力の一撃はあっさりと相殺されてしまった。

 

「今までの魔法とは比べ物になんないじゃない...!?」

「今度はもっとでっかいのを撃てば...!」

「二人とも、あれ見ろ...!」

 

アルジェントの強さに狼狽する間も無く、異変は迫っていた。

()()

ナハトベースの、屋内の天井に空が出来ている。

しかも荒天。

どす黒い雲に稲光、それを支えるようにアルジェントが錫杖を掲げていた。

すぐに大量の雨が降り出し、目を開けていられない程の突風が吹き荒ぶ。

そして気付いた時には、何もかもが手遅れだった。

 

「"ジャッジメント・ディザスター"」

「っ...やっべ...」

 

轟音と共に瓦礫を、安らぎの居場所を。

レオたちをも巻き上げる強大な"竜巻"。

抗えない水流に呼吸を奪われ、絶え間ない雷に打たれて感電し。

エノルミータの意識は闇に溶けていくのだった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「許さない...!許さない許さない許さないっ!!」

「っ...」

 

カルコスが乱雑に振るうドリルが、アリスのぬいぐるみをまた一つボロクズに変えていく。

レオたちと分断され、見覚えのない区画にまで連れて来られたアリス。

戦況は変わらず、いつまでも防戦一方となってしまった。

それは単純にカルコスの方が強いからというわけでなく、アリス自身の"心の問題"が関係していた。

 

アリスにとって、変身し戦うことはお姉ちゃんたちとのごっこ遊びのようなものだった。

化け物と戦う時は真剣ではあったが、終わったら褒めてもらえて、もっとみんなが遊んでくれるようになると考えていたからだ。

だから、アリスにとってこれはイレギュラーだった。

ごっこ遊びじゃない、カルコスは本当に自分を()()()()()

どちらかが勝って、負けた後笑い合えるようなゲームじゃない。

勝ち負け関係なく、失ってしまう。

この戦いの先に得るものは何もないと分かってしまった。

アリスは初めて、戦いたくないと思ったのだ。

大切な友だちが、大切なおもちゃたちを壊していく。

アリスにとっては友だちが友だちを殺すような地獄。

初めて感じるズキズキとした胸の痛みが、アリスの反撃を封じてしまっていた。

 

「アーサーくんやめるのだわ!あなたもわたしの、お友だちなのだわ...!」

『Grrr!』

 

友だちと戦っているのはロボ子も同じだ。

左腕を噛み砕かれながら、それでも傷つけたくないと言葉を尽くしている。

このままではロボ子が先にやられてしまう。

それだけは絶対に嫌だ。

アリスは胸の痛みをギュッと押さえ付け、カルコスに反撃することを決心する。

 

「うぐっ!?」

「...!」

 

複数のぬいぐるみを四方から同時に操り、カルコスを押し潰すように拘束する。

主のピンチにアーサーが標的をアリスに変えるが、ロボ子が許さず覆い被さってその動きを封じた。

 

「はな、せっ...!許さない!こりす、ネロアリスぅ!!」

「フルフル...。」

 

どうしてそこまでエノルミータを敵視するのか。

ただ話を聞かせて欲しいと、動けないカルコスにアリスは近付く。

 

「嘘つき...友だちだって、言ったのに...!!」

「フルフル...!」

「悪者は、悪者はゆるさない...!痛かった!怖かった!お姉ちゃんたちもキティも、あいつらのせいでっ...!!だから悪者のあんたなんか友だちじゃない...!嫌いよ、嫌い...!だいっきらいっっ!!」

『Bow!!』

 

だが、返って来たのは明確な拒絶だった。

友情や思い出すら上塗ってしまう程の悪への恐怖と憎悪。

その叫びに呼応するようにアーサーが飛び上がり、主と共に()()()()()()()()

 

「プルプル...」

「怪物、なのだわっ...」

『Gギャrアァrアアrアrァrrr!!!』

 

見上げる程の巨躯は全身鋼に包まれ、けれど有機的に躍動する様は機械とはとても思えない生々しさを感じさせる。

鋭い爪に牙、頭が三つ。

まるで神話のケルベロスのようだ。

真ん中の首の頭頂部から生えるようにして上半身を出しているのは、間違いなくカルコスだった。

どこまでも歪められた、マジアカルコスの真化形態。

『"フルメタル・ヘルバウンド"』。

最早言葉すら交わせない姿と成り果てた友だちに、アリスは震えることしか出来なくなってしまう。

 

「アリスちゃん...!」

『グギギ...』

 

アリスを踏み潰そうと脚を上げるアーサーだったモノ。

咄嗟にロボ子が救出し、そのまま距離を取ることに成功する。

物陰に隠れ、遠目でヘルバウンドの姿を観察する。

 

『Graaaaaaa!!』

 

賢いアーサーや天才のカルコスの意識はまったくないのか、アリスたちを見失い怒り狂って辺りを破壊している。

重厚な爪で柱を切り飛ばし、口から放つビームで爆煙を上げる。

ナハトベースが広くて良かったとか、そんな気の抜けた感想は当然今のアリスからは出てこなかった。

あるのは友だちをあんな姿に変えてしまった自責の念に、誰も頼らずにあれを倒さないといけないことへの不安だ。

 

「...大丈夫なのだわ。きっと、仲直り出来るのだわ。」

「っ...?」

「わたしが、アリスちゃんを守るのだわ。」

「ん...!?」

 

震える主に笑いかけ、優しく抱き締める。

そしてどこか決意を固めたような表情で、ロボ子は飛び立った。

 

「化け物!キティちゃんとアーサーくんを返すのだわ...!」

『Grガアァaァaa!!』

 

獲物を見つけたヘルバウンドは地鳴りのような咆哮を上げ、小さな標的にあまりにも過剰な重火器を手当たり次第に放っていく。

爆発に身を焦がしながらも、ロボ子は直撃を回避。

比較的細い首を狙ってビームを放ち、少しずつダメージを蓄積させていく。

 

「今なのだわっ!」

『ガgbッ!?』

 

エネルギーを込めたビームソードの一閃が、ついに一つの首を落とす。

不快な金属音を悲鳴だと認識し、満身創痍ながらもロボ子は確かな手応えを感じる。

アリスにも、その健闘は希望に見えた。

やっぱりロボ子はすごい!そうはしゃぎたくなる程だった。

だが、快進撃はそこまでだった。

 

『Grrrrr!!』

「っ!?」

 

切り口からケーブルが伸び、鋼鉄の部品が機械の筋肉を形作る。

ものの数十秒で、落とした首が"再生"した。

首を斬られても大したダメージにはならない。

ロボ子が相対していたのは、本物の化け物だったのだ。

 

『Gギャrアァrアアrアrァrrr!!!』

「まずいのだわっ...!」

 

更に怒り狂ったヘルバウンドは、三つ首に圧倒的エネルギーを集中し始める。

いくらナハトベースとは言え、あんなエネルギーが直撃すれば一溜りもない。

ロボ子は必死に妨害しようと攻撃を加えるが、ヘルバウンドのチャージは止まらない。

 

「...やるしか、ないのだわ。」

「...?」

 

ロボ子は妨害を止め、ヘルバウンドとちょうど向かい合う位置へ向かう。

身体を分裂させ、それぞれの発射口を全てヘルバウンドに向けて構える。

 

「フルフル!!」

「アリスちゃん。お話できて、本当に嬉しかったのだわ。」

 

パーツが軋む程のエネルギーを四肢に溜め、

最後に胸から一際大きな発射口が顔を出す。

ロボ子の覚悟を察したアリスは必死に"やめて、戻って来て"と伝えるが、ロボ子はその命令を聞き入れはしない。

 

「...お話が出来なくなっても、わたしはずっと側にいるのだわ。」

「フルフル!フルフル!!」

 

首をいくら振っても、ロボ子の気持ちは変わらない。

ヘルバウンドも、ロボ子もチャージを終え。

二つの造り物は怪物として、(友だち)として最大級の一撃を放つ。

 

「こりすちゃん。大好きなのだわ!」

 

「だ、め...ろぼこ...!」

 

ぶつかり合う二つの光。

少女の声を掻き消すにはあまりにも大き過ぎる爆発が、辺りを包んでいった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「...。」

 

周りに瓦礫すらなくなり、煙と焦げ臭さが一杯に広がる戦場。

破けたスカートにも構わず、少女は床に無造作に転がる()()()()()()()()を拾い上げる。

破けて、砕けて。

壊れてしまった"友だち"をただ呆然と眺める。

そして次第に、ぽろぽろと。

少女の瞳から、涙が止めどなく溢れて落ちていく。

ロボ子が、死んでしまった。

 

『Grrr...!』

 

あの化け物にはまともにダメージが入っていないらしい。

流石にエネルギーを放ち過ぎてスリープ状態になっているようだが、すぐに動き出して今度こそナハトベースを吹き飛ばしてしまうだろう。

でも、アリスには憎いとか、殺意とか。

そんな感情はここまでされて尚なかった。

ただ、悲しい。

友だちが、友だちを殺してしまった。

何故か。

自分が、"(エノルミータ)"だから?

そんなに、悪いことだったのだろうか。

こりすはただ、寂しかっただけだ。

誰かに側にいて欲しくて、誰かと遊んでいたかっただけ。

一人ぼっちの彼女に手を伸ばしてくれたのがエノルミータだった。

確かにイタズラはしたし、酷いことをされたら仕返しもした。

それがそんなにいけないのか。

間違ってるとか、正しいとか。

こりすにはまだ分からない。

キティの事情も、分かるわけがない。

ただ一つ言えるのは、"こんな終わり方だけは嫌だ"ということ。

絶対に、おかしい。

ロボ子が死んで、お姉ちゃんたちが傷ついて。

初めて出来た親友と殺し合うなんて。

 

『...』

 

沈黙するヘルバウンドの上、何も喋らず眠り続けるカルコスを見てアリスは思う。

あの叫びも、荒れ狂う様子も。

アリスにはカルコスが、友だちが泣き叫んで苦しんでいるように見えた。

こんなのがキティの本当の気持ちなんて、どうしても思えなかった。

だから、違う。

この結末だけは、否定しなくちゃいけない。

 

『きっと、仲直り出来るのだわ。』

 

そう話した友だちの声が胸に響き、初めてアリスは決意する。

勝ち取る為に戦うことを。

このまま終わるなんて許せない。

物語の結末だけは、絶対に譲らない。

涙を拭って目の前の絶望を睨む。

"仲直り、するんだ!"

そう思った瞬間。

アリスの中で、何かが弾けた。

 

「"真化(ラ・ヴェリタ)"。」

 

開いたのは進化の扉。

最も幼い少女は自らその可能性を開花させ、人形(登場人物)から繰り手(作者)にその次元を昇華する。

衣装は大人っぽく、社交会に出るような、黒地に金の細工が美しいドレス姿。

髪は少し遊び心を加えて、いつもと違うサイドテールに、髪留めはシルクハットの形にして。

これが一番外せない、宙に浮かぶ()()()()

本は綺麗な白色で、表紙に魔法陣が描いてあるやつがいい。

ペンは七色に輝いて、好みで変えられるとベスト。

とっても可愛くて、怪しく、美しい。

何から何まで彼女が望み通りに造り上げた、ネロアリスの真化形態。

 

『"ファヴォラ・メラヴィグリア"。素敵なお名前なのだわ。』

「コクリ。」

 

聞き覚えのある声がしたのは、アリスの側で浮かぶペンと本からだった。

姿形は違っても、確かにそこに魂があった。

ロボ子は生まれ変わったのだ。

アリスがそう願ったから。

躊躇いや疑問は二人の間に一切ない。

だって、ずっと一緒だと約束したのだから。

 

『Gギギギギ...!』

 

本やペンが話す奇妙な光景に困惑したのか、それとも彼女の力に脅威を感じたのか。

再起動を終えたヘルバウンドはその牙をアリスたちへ剥く。

迫る脅威を意に介さず、アリスは七色のペンを本に走らせる。

 

『悪い子なワンちゃん。"お茶会"にご招待なのだわ。』

 

牙が届くより先に、辺り一体を不思議な光が包んでいった。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

お茶会にこんなおはなしはいかがかしら。

 

あるところに、おかあさんが大すきな女の子がいました。

 

おかあさんは村のおしごとがいそがしく、女の子はいつもひとりであそんですごしていました。

 

そんなある日、女の子の家のとなりにいじわるな女の子がひっこしてきました。

 

その子は女の子がひとりであそんでいるのを見ると、いつもきまっていじわるなことを言います。

 

女の子は、その子がにがてでした。

 

そんな風にいじわるをされていれば、やさしい女の子もしかえしをしたくなってしまいます。

 

女の子はやってきたいじわるな女の子を、オバケのフリをしておどかしてやりました。

 

おどろいて家にかけこみ、泣いてしまったいじわるな女の子。

 

そんなすがたをさいしょは笑って見ていた女の子ですが、家を見わたしても、他にだれもいないことに気づきます。

 

いじわるな女の子も、ひとりぼっちだったのです。

 

だから女の子はこわがらせたことをあやまりました。

 

いじわるな女の子も、今までのことをあやまりました。

 

本当はただお友だちになりたかっただけなのです。

 

こうして、二人はお友だちになりました。

 

女の子はコリス、いじわるな女の子はキティという名前でした。

 

それから二人はいつもいっしょにすごしました。

お人形あそびも、お勉強もいっしょです。

 

とても楽しく、しあわせな時間でした。

 

けれど、その時間は長くはつづきませんでした。

 

せんそうがおこったのです。

 

村がある国と、キティのいた国のせんそうでした。

 

キティはいそいで村をはなれなくてはなりません。

 

でも、コリスは今日もやくそくのばしょでまっています。

 

なやむキティの前に、悪いま女があらわれました。

 

ま女はキティの体をかりるかわりに、キティがコリスからはなれなくてよくしてやる、と話しました。

 

キティはこまって、さいごにはうなずいてしまいました。

 

ま女にだまされたキティはかいじゅうのすがたになってしまいました。

 

かいじゅうは村からまちへいどうし、色々なモノをこわしてあばれます。

 

しかしそこに、村にいるはずのコリスちゃんがあらわれました。

 

どういうわけか、コリスちゃんにはかいじゅうの声が大切な友だちの声に聞こえていたのです。

 

でも、コリスちゃんの声はかいじゅうにはとどきません。

 

かなしくてないてしまいそうになった時。

 

コリスちゃんのだいじにしている人形が光り出し、カッコいいゆうしゃのすがたにかわりました。

 

ゆうしゃはつるぎをたずさえ、きょだいなかいじゅうにいどみます。

 

火をふき、するどいツメやキバでおそいかかるかいじゅうを、一歩も引かない強さでおいつめます。

 

そうして、ついにゆうしゃのつるぎがかいじゅうを切りさき、かいじゅうはたおれました。

 

気づけばこわされたまちは、新ぴんのようにキラキラとした元のすがたに直っていました。

 

コリスが近よると、かいじゅうは元のキティのすがたにもどりました。

 

キティがだいじにしていた犬の人形もいっしょです。

 

うごかない友だちのすがたに、コリスはこんどこそなみだを流してかなしみました。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

廃墟と化していたはずのナハトベース。

だが今や何事もなかったかのように、まるで時間を戻したかのようにいつも通りの景色となっている。

違うことと言えば、傷ついた少女と壊れた犬のロボットがピカピカの床に倒れていることだけだろうか。

断っておくが、今も基地の別エリアではアルジェントとの死闘が続いている。

決して夢幻だったわけではない。

()()()()()()()()()()()()()()

 

『"お茶会は物語のあとで"』

 

可愛らしい名前とは裏腹の、非常に強力な能力だ。

言ってしまえば、どこでも展開可能に進化したドールハウス。

アリスの魔力範囲内で、彼女が希望する人間を彼女の描く物語に招待するのだ。

それも、()()()()()()()

一度取り込まれてしまえば、力関係やルールを上書きして倒すことすら出来てしまう。

弱いモノを最強に。

最強の敵を虫以下の弱者に。

やろうと思えば、力を変えることなくご都合主義で勝敗も分けられる。

完全なるアリスが神となる世界。

それがファヴォラ・メラヴィグリアの能力だった。

 

「っ...あ、れ...?」

 

朦朧とする意識で、かろうじてキティは目を覚ます。

動かない体に、隣で倒れているアーサー。

手元に握っていたトランスアイテムから、黒いもやが抜け出ていくのが見えた。

 

「ワタ、シ...」

 

鮮明になっていく記憶は、どれも信じられないほど暴力的。

体も頭も言うことを効かなくなったのは、こりすがネロアリスだと知った時だったか。

戸惑って、怒って。

でも、信じたかった。

こりすは、やっぱりこりすだって。

悪者なんかじゃないって。

だから話したかったのに。

気付いた時には、大切な友だちを傷つけていた。

痛みすら感じない状態に、自分が助からないことを悟る。

 

「まけて、よかっ...た...」

 

友だちを殺すくらいなら、殺された方がマシだ。

死に往く自分よりも、壊れてしまった相棒の為涙を流す。

 

「ごめ...ね...ア、サー...」

「...。」

 

そんなキティの元に、ネロアリスが降り立つ。

いつも通り、感情の読めない顔でキティを見つめている。

怒っているだろうな。

最後くらい、ちゃんと謝らなくちゃ。

 

「こり、す...ご...め...」

「...サラサラ。」

 

けれど、それはまちがいでした。キティはまるで今まで眠っていたようにアクビをしながら、目をさまします。

 

どこからか声が響き、それと同時にキティの傷が、壊れたアーサーのパーツが元に戻っていく。

すっかり健康な姿に戻った二人を見て、アリスとロボ子もまた通常の姿に変化する。

 

『Bow!』

「ど、どうして!?ワタシ、ワタシこりすたちに酷いことしたのに...!いっぱい、傷つけちゃったのに...!」

 

何故許してくれるのかと訴えるキティを、アリスはただ優しく抱き締める。

 

「...()()()()。」

「!...っ...こりすっ...ごめん、ねっ...!ごめんね、こりすぅっ...!」

 

恐ろしい能力でも、扱うのは心優しき少女。

誰かが悲しむ物語なんて、この少女が描くわけがなかったのだ。

本当の友情を掴んだ主を見て、ロボ子は書き忘れていた結びの文を、囀ずるように口ずさんだ。

 

人形のゆうしゃが二人を見て言いました。

 

「切ったのはま女だけさ。あいつがせんそうをおこしていた悪いやつだったからね。」

 

二人はよろこび、なきながらだき合います。

そうしてコリスとキティは、ずっとずっといっしょに、なかよくしあわせにくらしましたとさ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「呆気ないものね。」

 

何もかもが吹き飛ばされ、沈んでしまったナハトベースを見下し、アルジェントは心底つまらなさそうに呟く。

真化したアルジェントの攻撃はエノルミータを直撃し、彼女たちはこの"結界"の中に消えていった。

沈んだ、と先程称したナハトベースだが。

基地の中は小夜たちが把握し切れない程広く、いくらアルジェントと言えど水没させることなど不可能。

だが、確かにアルジェントの眼下に広がる限りは水で埋め尽くされ、()()()()()()()()()()()()()

アルジェントは自身を中心とした結界を作成し空間を区切ることで、魔法の範囲を狭めてその効果を上げていたのだ。

一度巻き込まれた以上、敵はそのまま溺死しているはず。

小夜を苦しませることを考えれば、死体はある方がよかった。

アルジェントはそんな正義にあるまじき考えを浮かべ、死体を改めようと結界を解除しようとする。

 

『ヴォワ・フォルテッ!』

「...。」

 

背後から放たれた音の暴力。

アルジェントは身を向けることもせず、自動作成された土壁で防いでしまう。

不愉快そうにはせず、むしろ少し嬉しそうに。

冷酷な神官は振り返る。

 

『奇襲も効果なしか...。』

「予想通りでしょ。」

「へぇ?相変わらずしぶといね。」

 

見える人数は一人、聞こえる声は二つ。

立っているのはロコムジカだった。

姿は通常形態に戻っているようで、服装は帽子や上着がなく、マイクロビキニのような下着に靴という大変フェチな格好となっていた。

それを穴空きに隠すように、というより縛るようにして影が密着している。

 

「レオパルトはどこ?死んじゃった?」

「知らないわよ!無茶苦茶やってくれちゃって!ロコ泳げないんだからねっ!」

『敵に弱点教えてどうするよ...。』

 

影をルベルであるとすぐに認識し、ただ一人姿の見えないレオパルトについて聞く。

が、素直に答える気はないようだ。

ダメージはそこまで入っていないように見えるが、真化形態が解けているあたり、魔力を一気に消耗したらしい。

 

泳げないという言葉を信じるなら、無理矢理"ゲート"を開いたに違いない。

実を言うと、アルジェントの結界はそこまで強固ではない。

対象を閉じ込めるのではなく、あくまで狙いを定める為に使うものだからだ。

出力さえあげれば脱出することは難しくない。

そうなると、レオパルトもどこかに身を潜めている可能性が高い。

あくまでも冷静に戦況を見るアルジェント。だが、一方で生来の嗜虐性と内に秘める激情も"何か"に突き動かされ、次第に抑えられなくなってきていた。

 

「隠れてればよかったのに。雑魚がノコノコ出てきて何のつもり?いじめて欲しいわけ?」

「やっぱアイツめちゃくちゃ性格悪いじゃない...。」

『まあ小夜の好みじゃなァ...。』

 

無感情から一転、口の端を吊り上げて嗤うアルジェント。

小夜から聞いた話とアルジェントの所業を比べ、やっぱりやべー奴判定を下すロコルべだが、すぐに表情を引き締め直す。

 

『いいんだな?ロコ。』

「ええ...やりなさい、ルベル!」

「何をコソコソと」

『そいっ!』

「やあぁんっ!///」

 

何かを確かめるように頷き合い、ロコに対してルベルが取った行動は。

 

『いいんだろっ!?ここが気持ちいいんだろっ!?///』

「い、いぃっ...!気持ちいぃ...!///」

「...なに、やってんの...?」

 

ロコの敏感な部分に対する"愛撫"だった。

その激しさたるやアルジェントが思わず呆然としてしまう程で、ロコの乱れ方もまるでそういう映像作品のようにオーバーなものだった。

 

「...悪の組織ってより変態集団ね。」

『へ、変態で結構!///』

「んんっ!アンタはしたくてもできないもんねぇっ!?///」

「ハ...?」

 

アルジェントに痴態を見られ罵倒され。

快感に身を委ねても、ロコの瞳は挑発的な輝きを放っていた。

手始めの一言にアルジェントが僅かに眉をひそめたのを見逃さず、更に言葉を続ける。

 

「アンタは小夜にフラれたんでしょ!?ああ違う告白すら出来なかったんだっけ!///」

「な、何でそれをっ!?」

「逆恨みして苦しめてやろうとか心狭過ぎんのよっ!///」

「お前に何が...っ!」

『害のあるヤンデレなんて今時流行んねーんだよ!!///』

 

愛撫の合間にぶつけられる容赦のないディスり。

あからさまな挑発だが、今のアルジェントには特段よく効いてしまった。

 

「アンタたちに何が分かるって言うの!?好きになって、友だちで...!その正体がクソより酷いヴィランだった!!裏切られる気持ちが分かるわけっ!?」

「悪者なら何だってのよ!アンタ小夜の何を見てたわけ!?何を好きになったのよ!?そんなことも忘れて暴れて!器も胸も小さくて可哀想だってのよ!!///」

「ッ...!」

『その程度の好きでアタシらに勝てると思うなよ!見ての通り、アタシらは相手の嫌なとこも全部引っ括めて好きなラブラブカップルなんだからなっ!!///』

「おまえらぁぁ...ッ!!」

 

ロコの正論パンチからのルベルのリア充煽りに、完全にアルジェントは怒髪天となっていた。

過剰なラブラブアピールによりそれはもう凄まじい羞恥に襲われる二人だったが、おかげで()()()()()()()ようだ。

 

『来るぞロコっ!』

「分かってるわよ!」

「MF...!絶対にコロスッ!!」

 

刺すような殺意を受け、身震いしそうになるのを堪えて駆け出すロコ。

自信の拠り所であった真化を失い、あの時と同じ弱い姿で天敵に狙われる。

折れそうになる心を支えるのは、同じように恐怖と戦う恋人の温もりだった。

 

『マジで今度こそ死ぬかもな...!』

「死んでも一緒なんでしょ...!」

『当たり前だろ!つか死ぬなばか!』

「ごちゃごちゃいちゃいちゃうるさいんだよっ!!」

 

アルジェントの放つ光矢の雨を命辛々避けていく。

()()()()()ルベルを瓦礫の影にロープのように伸ばし、不規則な挙動を繰り返す。

細かい攻撃では埒が明かないと判断し、アルジェントは風で瓦礫を巻き上げ一斉にロコに向かって無造作に投げ放つ。

 

「やっばっ!?」

『なんとぉっ!!』

 

降り注ぐ瓦礫、その無数の影が重なり大きな影となった。

そこを今度はモーターボートのように影を泳いで加速。

何とか射程圏外に出ることに成功する。

 

「しつこいんだよクソヴィランっ!!」

『フォルティシモ・カノンッ!』

 

先程レオのシュトラールを消し飛ばした雷を、合体技で相殺し返す。

既に限界であるはずの魔力を更に酷使したはずの二人だが、それでも膝を突くことはなかった。

 

「潰れろっ!!」

『フォルティシモ・カノン!』

「くそがっ!!」

『フォルティシモ、カノン...!』

「潰れろって!!」

『フォルティシモっ...!』

「潰れろ潰れろ潰れろぉぉッッ!!」

『ああぁぁぁぁ!!!!』

 

何度も何度も。

迫る必殺の一撃を命を削るような魔力量で迎え撃ち続ける。

アルジェントからは無から沸き上がってくるように見えるその力の原動力は、互いを絶対に死なせまいとする想いの力。

ルベルは声援として、ロコはそれに応える歌声を血を吐く程に張り上げる。

 

「っ...!」

「く、そっ...!」

「終わりだ!!エノルミータのクソ虫共ぉッ!!」

 

だが、やはり限界だった。

有無を言わせず二人の変身は解け、揃ってその場に倒れ込んでしまう。

ただの人間に戻った二人に、アルジェントはあまりに過剰な魔力を向ける。

絶体絶命。

だが、()()()()()()()()

 

「終わるのはテメーだ、ひんにゅービッチ。」

 

アルジェントに向けられたクローアーム。

()()()()()()が今にも暴発しそうな程に高まったそれをもう片方の腕で押さえ、レオパルトはニヤリと笑ってみせる。

全て作戦通り。

真化時に見せたロコの能力を利用し、ロコルべの魔力を大量にレオパルトに送り込む。

残った魔力でロコルべは囮をして、いつか見せるであろう隙を撃ち抜くという算段だった。

 

「"ユニゾニア・カノン。ver.オールフォーワン"。」

「レオパルトッ!?クソっ...!?」

「巨乳に挑んだのが間違いだったなぁ!!」

 

小さな銃口から放たれたとは思えない質量の閃光が、アルジェントを捉え炸裂する。

反動で後ろまで吹き飛び叩きつけられるレオパルトだったが、その痛みは清々しい手応えで掻き消されていた。

 

「へ、へへっ...これで、アタシの勝ちだ...ざまぁみろ...っ」

 

体から抜け出て転がるキウィのトランスアイテム。

変身は解除されてしまったが、勝利したのは自分。

修学旅行間に合うかなぁと呑気なことを考えながら、キウィの意識は徐々に薄れていく。

 

「ごほうび、ほしいなぁ...。さよ、ちゃ」

「ふざけやがって...!!」

「!...うそ、だろ...っ?」

 

ボヤける視界に映ったのは、血濡れた右腕をだらりと下げた以外はダメージの見当たらない、アルジェント(絶望)だった。

 

「キウィ...!どいつもこいつも...!アタシを、バカにして...!!」

「っ...さよちゃん...ごめん、ね...」

 

ガクリと、今度こそ意識を失うキウィ。

友人であったはずの彼女に向け、アルジェントは憎悪に溢れた魔力を放とうとする。

真珠もネモも、既に動く力すらない。

完全に後戻り出来なくなる、その刹那。

 

「いっづ...!?」

 

魔力が満ちる杖が腕ごと()()()()()

痛みに呻きながらアルジェントが氷を溶かすと、正面にいたはずのキウィが消えていた。

だが、驚くことはない。

最早目で見ずとも分かったからだ。

手に残るその魔力が、嫌が応でもアルジェントの感情を逆撫でした。

 

「やっと来たってわけ...サヨッ...!!」

「シャノン、あなたは......いえ...。」

 

アルジェントが睨む先には、かつてあれ程愛しかった紺碧と、従者のように控える黒い悪魔がいた。

傷ついたキウィを抱き締め、ルシファアズールは咆哮する。

 

「私は、あなたを許さない...!マジアアルジェントっ!!」

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

「っ...サルファちゃんっ...マゼンタ、ちゃん...っ」

 

雅だった街並みが、今や苛烈な戦場へと変わり果ててしまった。

崩れた建物や砕け散った木々。

辺り一面に突き刺さる多種多様な刃物、銃弾。

その中でベーゼは一人、重なるように倒れた仲間たちの姿を目に写し、深い悲しみと絶望を抱いてしまう。

その姿は酷く弱々しく、あれだけ漲っていた魔力も今や変身を維持するだけで精一杯だ。

満身創痍の彼女を見下ろし、金色の衣を纏いし"神"がわずかにその腕を振り上げる。

 

「その名の通り、悪として裁きましょう。せめて安らかに。さようなら、マジアベーゼ。」

 

断罪の女神は躊躇うことなく、その裁きを執行した。

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

◼️□next episode◼️□

 

「「私に力を!!」」

「ベーゼっ!」「アズール...!」

 




真化アリスの能力ですが、彼女以上の魔力があれば対抗出来ます。
該当する可能性があるのは作中では7人程でしょうか。
素で耐えるとなると3人です。
どうでもいいって?
設定くらい言わせてくださいよぅ()

次回は6/8か15(日)0:00投稿予定です。
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