魔法少女にはなりません ~転生したらアズールだった件~   作:月想

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まほあこは筆が乗りますね。
レオパルドじゃなくてレオパルトな?(修正済)
皆さんドロー!ドロー!くじ引きました?
巫女服小夜ちゃんのキャラファイングラフが手に入ったので連日投稿です。許してください。



第7話『ロード団、現る!』

「アズールを仲間にしたいっ!?」

「...はい。」

 

いつものファミレスで、土曜日にあったことをはるかちゃん、薫子ちゃんに話す。

小夜ちゃんには断られてしまって、どこか様子がおかしかったこと。

そして、アズールが子どもを助けていたこと。

一人で戦って、勝てなかったこと。

 

「大変だったね...。小夜ちゃん、どうしちゃったのかな...?」 

「...そっちは一旦置いとき。小夜の事情は本人にしか分からんし。うてなが今日話したいんは、アズールのことやろ?」

「そうです...。」

 

薫子ちゃんはため息を吐いて、表情を厳しくする。

怒っているのとも違う、真剣な顔だ。

 

「アイツがうちらにしたこと、忘れてへんよな?」

「はい...。」

「子どもを助けたんは分かった。でもうてなは負けて、傷つけられとる。それもまた事実や。」

「...はい。」

「それでも、アズールが"いいもん"やって言うんやな?」

「はい。」

 

再びため息を吐いて、気だるげにコーラを一口。

ソファーにもたれ掛かって、面倒そうに呟く。

 

「勝手にせぇ。けど、アイツが少しでもはるかやあんたに手ぇ出したら、その時は容赦なくしばくで?」

「薫子ちゃん...っ。」

「薫子ちゃんはやっぱり優しいね~。素直じゃないけど。」

「うっさいわ!///」

「あたしも、仲良く出来るならその方がいいと思うよ!」

「薫子ちゃん、はるかちゃん...ありがとう...っ。」

 

優しくて、強い二人。

わたしのあこがれた魔法少女の偉大さを、改めて実感する。

 

「それでね。わたし、もっと強くならなくちゃいけないと思うんだ。だから...。」

 

わたしの提案に驚くはるかちゃん。

反対に納得したように頷いて、不敵に笑う薫子ちゃん。

 

「ほぉ?おもろいやん。それ。」

 

――――――――――――――――――――――――――

 

私は。

 

私は一度死んで、『水神小夜』として生まれ変わった。

 

だから決めたのだ。

病気で本当にしたいことも出来ず、誰でもない誰かとして死んだから。

今度は自分のしたいことをして、好き勝手やって、派手に目立って。

そうして私は、私を"特別なひとり"にしたかった。

どうせ、"作り物"の世界だからと。

転生とか、大好きなまほあこ世界とか。

あまりにも出来過ぎていて。

幸せが過ぎて、現実味がなかった。

 

だから私は『ルシファアズール』になった。

 

「ただ単にマジアアズールになるなんてつまらない。」

「うてなちゃんと、マジアベーゼと仲良くなりたい。」

「本当に恋とかしちゃったりして!」

 

たったそれだけの、お遊び気分だった。

最初はなかなか楽しかった。

まさか、うてなちゃんが魔法少女になるなんて思わなかったけど。

それはそれで面白いし、ドSなのは変わらないままだったから、余計に見ていたくなった。

 

『小夜さんは、どうしてわたしに優しくしてくれるんですか?』

 

だって好きなんだもん。

優しくするに決まってるじゃん。

私が辛い時に笑わせてくれて、ドキドキもさせてくれた、私の大好きなベーゼちゃん。

最初は本当にゲーム感覚で、アズールがベーゼを堕とせたら面白いなぁとか。

そんなベーゼちゃんも可愛いなぁとか考えてて。

成り行きで相談に乗ったのも、お姉さんなロールプレイだったし。

声を掛けていたのも、なんだかんだ下心だった。

いつからだろう、それに罪悪感を感じるようになったのは。

 

『"なんで、アタシはそうなれないの?"って、思ったのよね。』

 

きっかけはやっぱり、キウィのことなのかな。

わたしが私だった頃に感じたこと。

キウィちゃんは私と違って色々幸せだとは思う。

けど、原作でうてなちゃんに恋してからの彼女の様子を見て

 

『キウィちゃんも、私と同じなのかな?』

 

と思った感想があれだった。

人物評価というか、予想。

自信なんてなかったけど、その後わたしを好きになってしまった彼女を見て、当たっていたんだと分かってしまった。

その時から、胸に痛みを感じるようになった。

 

同じように孤独な、『ヒロイン』になりたかった女の子。

その子が見つけるはずだった、掴むはずだった愛。

うてなちゃんを、マジアベーゼを私は彼女から奪ってしまった。

偽物がその役割を担うなんていう、最悪な形で。

キウィはとても可愛くて、魅力的で。

本当なら彼女の望むままにしてあげたい。

でも、出来ない。

もしまた、私のせいで誰かの物語が狂ってしまったら?

陣営が変わるどころか、生死まで変わってしまったら?

私は気付いた。

話して、触れて、笑い合ったから。

 

『これは物語じゃない、人生なんだ。』

 

生きてるんだ、みんな。

作り物なんかじゃない。

 

はるかは私の親友だ。優しくて、明るくて、いつも誰かの幸せを願ってる。

 

薫子は思った以上にヤンキー気質だけど、照れ屋で仲間想いの正義感の強い子で。

 

こりすはいつも寂しさを抱えているけど、だからこそ誰よりも思い遣りがある子で。

 

キウィは本当に一途。

私のことを幸せにしたいって、いつも思ってくれているのが分かる。

 

うてなちゃんは...。

本当に、本当に魔法少女が大好きで。

思春期でえっちなのも大好きだけど、心には魔法少女に教えられた優しさと強さがある。

主人公なんだよ、やっぱり。

 

みんな、私が知らない魅力でいっぱい。

私が大好きな、私の大切な人たち。

 

原作通りでよかったのに。

私が歪めたせいで、その大切な人たちに"もしも"が起こってしまうかもしれない。

怖かった。失いたくなかった。

だから次第に私は焦って、その責任をベーゼちゃんに投げてしまった。

ベーゼちゃんさえいれば。

ベーゼちゃんさえ戻ってくれば、と。

 

『一緒に、行ってくれないかしら。うてなが良ければだけど...。』

 

なのに、私は諦められなかった。

うてなちゃんへの"恋心"なんて、わたしが持っていていいはずがないのに。

あとちょっと、少しだけならって。

うてなちゃんと一緒の時間を楽しんでしまった。

 

本当はあの時、

 

『うてなのことが好きだからよ。』

 

って、言ってしまいたかった。

 

言えるはずだった、最初の私なら。

でも、今はもう無理だ。

そんなことをしたら、物語が大きく変わるに決まっている。

キウィの気持ちもまるで考えていないじゃないか。

好き勝手なんて、もうできない。

それに気付いてしまったから。

 

『ごめんね、"柊さん"。ここまでにしましょう。今日は、楽しかったわ。』

 

だから、やめた。私は"私"であることをやめて、水神小夜に戻る。

ベーゼちゃんを意地でも戻して、"私"を終わらせようとしたのだ。

 

『さ、よ...ちゃ...っ』

『...!?』

 

なのに名前を言われたくらいで、動揺して...。

バレたと思ったわけじゃなく。

こんな状況で思い浮かべるのが私なのかと。

喜んだのだ。

 

『わたしと、"魔法少女"をやりませんか?』

 

私に心も体も傷つけられたのに、それでも私を信じて手を伸ばす、真っ直ぐな目。

そんな目を向けられて、私は悟った。

その魔法少女としての姿は、間違えなく。

どうしようもなく。

紛れもない、『柊うてな』なのである、と。

この私の歪めた世界は、最早歪んだ世界にあらず。

これが、この世界の"正しさ"なのだと。

私が、この私の手で。

大好きな世界を、ただの妄想の産物に。

『偽物』に堕としてしまったのだと。

だから、私は。

 

『マジアベーゼが...わたしの、憧れが...っ!私の大好きな物語の方がっ!!"間違ってる"みたいじゃなぁい...っ!!』

 

ただ子どもみたいに泣き叫ぶしかできなかった。

 

"みんな"。

ごめんなさい。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「ね~。さよちゃん~。ねぇ~ったら~。」

「...どうしたの?キウィ。」

「ダルいからさ~、ぶっちしてホテルいこ~?」

「中学生はホテルには入れないわよ。」

「だいじょぶっしょ~。

アタシとさよちゃんのダイナマイトぼでーなら年とかバレんし~。」

「体しか見てない従業員さんとか、逆に嫌なのだけど...。」

 

キウィのいつものお誘いに、いつものように答えつつ、こりすの髪を鋤いて整える。

 

「はい、出来たわ。キレイな髪だもの、ちゃんとお手入れしなくちゃね。」

「コクッ」

「ずりぃーぞこりす!さよちゃんアタシもやって~。」

「また後でね。」

「やあ。待たせたね。」

 

いつも通りの平坦な声で、

暗い穴からヴェナが姿を現す。

ヴェナからの召集。

ナハトベースに行くことだけは伝えられたが、何故わざわざ出向くのかについては説明がない。

キウィとこりすがわたしの家に来ていたのはこの召集の為だ。

 

「じゃあ、行こうか。」

「まだ理由を聞いていないのだけど?」

「君たちに紹介したい者たちがいてね。念のため、三人共変身してくれるかな?」

「あぁ?なんで~?」

 

私はこのやり取りで大体察したのだが、二人からしたら紹介したいのか、したくないのか分からない。

お互いは初めて会った時に正体を明かしているし、何故隠す必要があるのかと疑問に思う方が普通だ。

 

「キウィ、こりす。変身するわよ。」

「は~い。」

「コクッ」

 

不信に思っていた二人だが、わたしが従うと決めた途端、素直に受け入れてくれる。

三人で星を掲げ、同時に言葉を発する。

 

「「「変身(トランスマジア)。」」」

 

...別に問題はないのだが。

変身シーンは実際に外から見える仕様らしく、変身中ずっとキウィの視線がわたしの体に向かっていた気がする。

というか、今もこっち見てるし。

大丈夫かな、本当に...。

 

「いい?二人とも。この後何が起こっても、わたしの指示通り動いて欲しい。念話が出来るように、チャンネルはずっと合わせておいて。」

「おっけ~。」

「コクリ」

「チームワークは抜群だね。」

 

ヴェナはワープホールを発生させ、わたしたちを中へ促す。

 

「行きましょう。」

「お~。」

「コクコク」

 

さて、見せてもらいましょうか。

この世界の、『ロード団』を。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「こんちゃ~。あっれ~?ま~た誰もいないじゃんか~。」

 

一見、相変わらず殺風景で誰もいないナハトベース。

キウィがまたしても紹介したい人がいない状態に文句を言うが。

 

「ど~こ見てんのよ、こっちよこっち!」

 

宙に浮かぶブロックの一つから、生意気そうな声が響く。

視界を上げると、そこには四人の人影があった。

 

「ったく、新人のクセに挨拶が遅いんじゃないの?」

「ハッ。お前が先輩ヅラかよロコ。」

「ハァ!?実際先輩でしょーが!」

「また2人はケンカしてぇ...。わたし悲しいですぅ。」

「...。」

 

久しぶりの見覚えのあるやり取り。

セーラー服モチーフなのだろうが、上がマイクロビキニみたいになってる痴女こと『ロコムジカ』。

そのロコの色んな意味での相方である目隠れ女子『ルベルブルーメ』。

表面上は泣き虫だが実際はよく分からない黒幕側のシスター服女『シスタギガント』。

そして、何も言わず玉座にふんぞり返り、まさに悪の女首領感を出しているのが

あいつらのボス『ロードエノルメ』だ。

 

「え、だれ?」

「ハァ!?」

「おいおいヴェナさん。新人の教育なってねぇんじゃねぇの?」

 

当たり前だが何も情報共有がないのだ。

先輩がいても分かるはずがない。

 

「ああ、すまないね。彼女たちは我が組織エノルミータの"初期構成員"。先日、『魔法少女狩り』から帰還した4人だよ。」

「魔法少女狩り、ね。」

 

他所の魔法少女には思い入れはないが。

もし何かの間違いでこいつらにマゼンタたちがやられていたら。

そう考えると、なるほど。

なかなかムカついてきたな。

 

「レオパルト。ネロアリス。...そして、ルシファアズール。」

 

原作通り、くだらないだの世界征服だののご高説が始まるのか。

ベーゼちゃんのセリフ、完璧には覚えてないしなぁ。

いいか、返しはテキトーで。

世界の半分が一端で~、とか。

ドラクエの竜王かな?飲んだらバッドエンドじゃん。

やったことないけど。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「は...?」

「ハァ?ロードさま、あのちっさいの以外星無しの雑魚ですよ?役に立つわけな」

「思慮が浅いのがお前の悪い癖だ、ロコムジカ。体に表れた星が力の象徴だとして、それを"ひけらかさずに済む場所"にある可能性を考慮しろ。最低でも星3と見ていい実力だ。」

「な、なるほど...?」

「ハッ!相変わらず単純バカだって言われてんだよロコ。」

「うっさいわねっ!」

 

なんだ、この違和感。

おかしい、何かが。

私の記憶にあるロードエノルメは、こんなに"慎重"な人じゃなかった。

冷や汗が止まらない。

わたしやレオパルトが星を隠していることにも気付いて...。

 

「アズール。貴様は特に惜しい。それだけの力を持ちながら、やることが"ベーゼ"の真似事とはな。」

「...っ!?」

「べーぜ?ちゅ~?」

 

な、んで...。なんで、こいつが。

ロードエノルメが。

私、以外が。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

「敵意はよく隠すことだ。恐れが見えるぞ?『()()()()()()()』。」

「っ!!」

 

瞬間。

わたしは魔力を最大に込め、4人ごとナハトベースを半分凍らせる。

今までにない全力。

倒せていればいいが、胸騒ぎは終わらない。

後に仲間になるロコとルベルを巻き込むことすら考えられなかった。

 

『それくらい私は、あいつが怖い...っ!』

 

視界の端で、僅かに亀裂が入ったのが見えた。

 

「アズールちゃん?」

「レオっ!アリスっ!今すぐ逃げ...っ!?」

「シスタ。潰せ。」

 

響く声に呼応し、氷が砕け散る。

そして中から、巨大化したシスタギガントが現れた。

 

「ロード様の命とあらばぁ...仕方ありませんねぇ。」

「しま...っ!?」

 

急接近するシスタの、巨大な拳がわたしたちに迫る。その頬には、"4つの星"が刻まれていて。

 

「がふ..っ!?!?」

 

作り出した氷壁ごと、拳はわたしの全身を捉え振り抜かれる。

バットで打たれたボールのように。

わたしの体はアジトの壁に穴を開けて、派手に叩きつけられた。

 

「あ、アズールちゃんっ!?」

「!」

 

アリスがぬいぐるみたちを操り突撃させるが、シスタはそれをまるで虫のように軽々と潰していく。

 

「ぁ、ぅ...っ」

「アズールちゃんっ!ねぇしっかりしてアズールちゃん...っ!!」

 

体中血だらけのわたしを見て動揺するレオパルト。

だがすぐにその不安そうな目が、怒りで燃え上がっていく。

 

「てんめぇ...っ!!ころすっ!!ぜってぇコロス...っ!!」

「待って、レオ...っ。」

「アズールちゃん!?大丈夫だよね?ね...っ?!」

 

痛みで動くことすらままならないが、アリスとレオを戦わせるわけにはいかない。

これは、勝てない。

何か。決定的何かが変わってしまったのだ。

少なくとも、今は逃げなくては。

 

『聞いて、レオ。銃でも何でもいいわ。今すぐ全力で加熱して。アリスはわたしが。』

「でも、アイツ...っ!」

『約束したわよね?今は、逃げるのよ。』

「っ...!わかっ、た...!!」

 

わたしの指示通り、火炎放射器で巨大な銃身を焼き始めるレオパルト。

わたしは震える体に鞭打ち、一人巨人に立ち向かうアリスの元へ向かう。

 

「...!」

 

いつもは表情をあまり変えないアリスが、額に汗を浮かべながら必死の形相でおもちゃたちを操っている。

怒ってくれてるんだ...。

 

「アリス...っ!」

「!」

「仲良しなんですねぇ...。悲しいですぅ。」

 

手を伸ばし、戦闘中のアリスを捕まえる。

脇目も振らずただ必死に飛び逃げる。

それを見たシスタが瓦礫を持ち、乱雑に投げ飛ばしてきた。

 

「この子たちだけは絶対に...っ!!」

「...!?」

 

ゴッ...!

 

鈍い音と共に意識が飛びかけるが、唇を血が出るほど噛み締めて繋ぎ止める。

 

「ヴェナぁぁぁぁ...っ!!」

「三人共、早く中へ!」

 

消えかけの視界に、ヴェナが開けたゲートが見える。

力を振り絞る。

わたしはレオの用意した高熱銃に、大量の"水"を被せた。

 

「ハァ!?」

「やべっ」

 

水蒸気爆発。

白く染まる視界に最後映ったものは。

大切な二人の、見たこともない泣き顔だった。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「あのぉ~...。や、やっぱり今日はやめません、か?」

「何ビビってはるん?モヤモヤしとると修行に差し支えるやろ。」

「そうそう!仲直りするなら早い方がいいよ?ぜったい。」

 

文字通り二人に引き摺られながら、水神神社までやってきたわたし。

というのも、強くなるために山で『修行』をすることになったのだ。

魔法少女にしてはちょっと某少年誌寄りの強化方法だけど...。

出発は明日だが、その前に小夜さんとのことを気にしているわたしの為、二人が小夜さんのお家まで連れてきてくれたというわけである。

まあ、話す覚悟がまったく出来てないんですけどね...。

 

「小夜さん...。」

「うじうじせんと覚悟決めぇや!女やろ!」

「そこは普通男では...!?」

「男女平等や!」

「じゃあ性別引き合いに出すのやめましょうよぉ(泣)」

 

腕が抜けそうなくらいの力で引っ張られているが、わたしは必死に踏ん張り続ける。

もしかしてこれが修行...?

 

「ぶぇぇあずぅるちゃあずぅるちゃんうぇぇん!!(泣)」

「...」

 

ふと聞こえた泣き声。 

尋常じゃない泣き方に、自然とわたしたちは(うてな)引きを止めて声の方に向かう。

するとそこには...。

 

「うそ、エノルミータ...!?」

「しっ!変身前に気付かれるで。話は変身してからや。」

「そ、そうだね...っ。」

 

見えているのはレオパルトの背中だけ。

けど、その向こうに誰かが倒れているような...。

 

「「「変身(トランスマジア)...。」」」

 

小声で変身し、エノルミータの方へ進み出る。

 

「そうだドールハウスがあったな!頼むぞアリス!今はお前だけが頼りなんだよ!」

「コクリ」

「おいこらエノルミータ!悪の組織がこないな神社に何のよu」

 

話をする暇もなく。

わたしたちは、その模型の放つ光に取り込まれてしまった。

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「っ...?マゼンタちゃん、サルファちゃん...?」

「だ、大丈夫。特に操られたりはしてないみたい。」

「そ、そっか、よかった...。」

「よかないわ...。なんや、なんなんや...っ。」

 

マゼンタとサルファが近くにいることを確認して、安心したのも束の間。

サルファの怒りの籠った返答に何かあったことを確信。

諦めの境地で自分の様子を確認する。

......あー。なるほどー。

 

「なんやねんこの格好はぁぁっ!?」

 

真っ白なミニスカートに、これまた真っ白な着なれない服。

頭に乗っかる帽子が、自分の格好が何であるか嫌が応でも分からせてくる。

 

「な、ナース服...?」

「なんでぇ...?」

 

困惑するわたしたち。

よく周りを見てみれば、ここが病室であることが分かる。

というか、わたしには見覚えがあるような。

 

「あ。み、見てマリーノ...!あそこ!」

「え?......ぁ。」

 

病室の一番端のベッド。

そこに寝ている誰かがいる。

わたしは吸い寄せられるようにそこに近づく。

 

「そんな...っ!アズールさんっ!?」

 

眠っていたのは、アズールさんだった。

普段の自信満々な雰囲気とはかけ離れたボロボロの姿。

美しい肌、髪は血で赤く汚れ。優雅な衣装は破れて原型が分からなくなっている。

どうして、こんな...。

 

「あぁ?...げっ!?なんでいんだよおまえらっ!」

「...。」

「知らんわボケっ!何ではこっちのセリフや!」

 

カラカラと医療道具を押してきたナースさん。

それはナース服を着た、レオパルトさんだった。

隣にはいかにもお医者さんな格好をした、少し大人な見た目のネロアリスちゃんがいる。

 

「やんのかこのひんにゅー!」

「上等や牛女!」

「フルフル...」

 

すぐに臨戦態勢になる二人とは違い、アリスちゃんは道具を使ってアズールさんを治療しようとする。

 

「そうだそんな場合じゃない!あ、アリスアタシも!アタシも手伝うからっ!!」

 

サルファちゃんからすぐに目を離して、

あたふたしながらアリスちゃんの指示通りに動くレオパルトさん。

そのいつもとは明らかに違う様子に、流石のサルファちゃんも警戒を解いてしまう。

 

「なんやこれ。こいつら、悪巧みしとったわけやなくて。」

「ただ単に、アズールを助けようとしただけ...?」

 

きっとネロアリスちゃんの、あのドールハウス。

あれでアズールさんを治療しようとした所に、わたしたちが巻き込まれてしまったんだろう。

二人の必死な様子に、苦しそうなアズールさんの顔。

 

「あ、あの...」

「こ、これでいいのかなぁアリス!?アズールちゃん大丈夫かなぁ!?(泣)」

「あの...っ!」

「うっさいなんだよクソヤバ女っ!邪魔する気か!」

「違います...!!なにが、あったんですか!?」

「な、なんだよ急に怒鳴んなよ...。」

 

恐いとか聞き辛いとか言ってる場合じゃない。

わたしらしからぬ大声を上げて呼び止める。

 

「......アタシとアリスを庇って、くれて...」

「...手伝います。」

「は...?」

「手伝いますから...っ!マゼンタちゃんも、サルファちゃんもお願いっ!」

「う、うん!任せてっ!」

「ちょ!?そいつまだ敵やぞ...。...あぁ、もう!しゃあないなぁ!」

 

マゼンタちゃんとアリスちゃんが回復魔法を使い、他の三人で服を脱がして必要な場所に傷薬と包帯を巻いていく。

血を拭かないと上手く巻けない為、アズールさんの体をタオルで全身拭っていく。

...初めて見るけど、アズールさんって小夜さんくらいおっぱい大きいなぁ...。

なんて考えてないし、記憶もしてない。

今はそんなこと考えてる場合じゃない!

...や、柔らかぁい...///

 

「なんや?けったいなとこに星なんて付けて。ひぃふぅみぃ」

「あ!てめっふざけんなよっ!」

「ちょ!なにすんねんお前ぇっ!?」

「うっせばーかばーか!アズールちゃんの×××はアタシが拭くんだよ!」

「サルファちゃん××××触ろうとしたのぉ!?」

「たわわぁ...///」

「おう全員今すぐ永眠させたろかコラァ!?」

 

――――――――――――――――――――――――――

 

「スゥ...スゥ...Zz」

「よかったあぁあずぅるちゃんうぇぇん(泣)」

「はぁ。寝てはるんやから静かにせぇ...。」

「もう、大丈夫そうだね。よかったね、アリスちゃん!」

「...コクリ」

「アズールさん...よかった...。」

 

寝息を起てて眠るアズールさんの姿にみんなが安堵する。

敵同士なのに、今はまるで戦意がなくて。

落ち着いた空気が病室に満ちている。

 

「詳しい話を、聞かせてもらえませんか?」

「.....なんでお前がそんな気にすんだよ...?」

「それは...。」

 

上手く説明出来ず、頭の中で考えをまとめる。

すると、病室にあったテレビが勝手に点灯する。

 

「アリスか~?」

「フルフル」

「違うの...?」

 

ここはあくまでもネロアリスの支配する世界のはず。

それがなんで...。

 

『あーあー。てすてす、てす。こほん。

裏切り者のみんな!こーんにーちわー!みんなのNo.1アイドル!ロコムジカちゃんだぞ☆』

「あ?(怒)」

「ギリ...」

 

画面の中の女の子が挨拶?した途端、エノルミータの二人から殺気を感じた。

裏切り者...?

 

『今からこのパーフェクトアイドルロコが、あんたたち雑魚ルミータを始末しに行ってあげるわっ!

血祭り前の記念ライブもするからぁ~。

特別に見に来てもいいわよ?☆』

「なんやこの頭弱そうな女。」

「サルファ悪口ダメぇ...!」

 

罠、だよね。

煽りでもある、処刑宣告。

アズールさんが負ける程の相手...。

 

『場所はこの風景で分かるでしょ?スーパーアイドルのライブにステージは狭すぎるしね。あのアズールとかいう奴みたいに、ボロ雑巾にしてあげるわっ!』

「...っ!!」

 

投げられた箱が液晶を割り映像が途切れる。

レオパルトさんはナース帽を投げ捨て、立ち上がり部屋を出ていこうとする。

 

「アイツらだけは許さねぇ...!ぜってぇ潰すっ!ころす...っ!」

「...。」

「止めんなよアリス!アタシらを庇って、アズールちゃんはあんなにボロボロになったんだ...!アタシらが足引っ張らなきゃ、アズールちゃんがあんな奴らに...っ。だからアタシがやるっ!アイツら全員蜂の巣にしてやんなきゃ!気が済まねぇんだよ...!!」

 

レオパルトさんのいつもと違う、本気の表情。それは悪の幹部というより、大切な人がいるだけの、ただの女の子のようだ。

 

「...!」

「は?お前も行くって...それじゃあアズールちゃんが...」

「...。」

「...へっ。分かったよアリス。お前もプッツン来てたんだなぁ。アタシら二人で、アズールちゃんが起きる前に全部終わらせちまおうぜ。」

「コクリ」

「そしたらアズールちゃん。ご褒美にホテル行ってくれるかなぁ?」

「...コクリ」

「よっしゃあ~。ぜってぇ潰す。」

 

ドールハウスから光が放たれ、瞬きの間に風景が元の神社に戻る。

わたしたちの服装も元の魔法少女の物に戻った。

 

「おいクソヤバ女。」

「は、はい?」

「アズールちゃんに手ぇ出すなよ?少しでも出したら、しばく。今は特別に任せてやんよ。」

「へ...?」

 

レオパルトさんはわたしを指差し、というかわたしに釘を刺して空に飛び上がる。

 

「じゃ、任せっからな~!」

「へぇっ!?」

 

眠るアズールさんを抱き抱えさせられ、レオパルトさんとアリスちゃんは飛び去ってしまった。

きっと先程の敵の元に向かっていったのだろう。

 

「どないすんねん、それ。」

「いや、どうするって言われても...。」

「...ぷっ。あはは!」

 

急に笑い出すマゼンタに、唖然とするわたしたち。

一頻り笑って満足したのか、苦しそうにお腹を擦りながら話していく。

 

「ごめんごめん。さっきのレオパルトのセリフ、誰かさんにそっくりだなぁって。」

「あー...。」

「何でそこでウチを見んねんっ!」

 

喧嘩っ早いけど、仲間想い。

案外同族嫌悪なのかもしれない。

 

「なーんだ。

あたしたちとおんなじなんだね、あの子たち。

大切な人も、守りたいものもあるんだよ。」

「...悪は、悪やろ。」

「そう、ですね。でも...。」

 

気持ちが分かるならきっと。

戦う以外に、何かいい方法があるはずだ。

 

「嫌いじゃないです、わたし。あの子たちのこと。」

「...。」

 

サルファちゃんは面倒そうに頭を掻き、魔法少女らしからぬ舌打ちをする。

 

「なんなんや、まったく。...ほんと、気に食わん...。」

 

――――――――――――――――――――――――――

◼️□next episode◼️□

 

「いやぁ。歌詞はくそダサいしお前アレだな。歌が絶妙にイジリにくい程度に下手だな。」

「ボケにもネタにも使えへんとか存在価値あるかぁ?こないアイドル、どこのバラエティーにもお呼びかからんやろ。アカンわこいつ。」

「へっ...へぅ...ヘタじゃないモン...っ」




今回はギャグもあると言ったな?
あれは嘘だ!

Q.気絶してるし認識阻害解けるんじゃないの?
A.誰かが助けてるんじゃないですかね(すっとぼけ)

最近のお気に入りキャラはサルファです。
不遇にはさせないから(震)
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