ごきげんよう、百万回の悪役令嬢   作:yuuyyuyuyuyuyu

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先週は仕事もハーメルンもえらいこっちゃでしたね。
そんなことより新しく思いついた設定を忘れる前に形にしておこう。
たぶん続かない

それでもよければゆっくりみていってね!


嫌われているうえに悪女面

硝煙が漂う茜色の空の下

 

何かが燃えた様な焼け焦げた鼻腔を刺激する嫌な匂いが、

そばにある鉄の生臭さと混じって私の意識を呼び戻す。

 

近くでは目を閉じていても聞こえてくる、甲高い鉄のぶつかり合う音が激しさを増し、

この場の異常性を物語っている。

 

そんな状況にあってもまだこんなにも冷静にいられるのは、

夢の中にいるかのようなぼんやりとした感覚があるからだろうか。

 

実際はこの満身創痍な身体から絶えず流れ出ていく血のせいなのでしょうけど

全身が鉛のように重く身体を動かすどころか口を開くことすらままならない身体で、

いまだ意識を保っているのだから。むしろ私はそのことを讃えられるべきだ。

なんて、薄れゆく意識の中でそんなことを思ってみる。

 

 

「………ま、あ……リス、さま」

 

不意に上半身が浮遊感を覚える。誰かが私の身体を持ち上げているらしい

耳元でくぐもった声が何度も聞こえてくる。

 

懐かしい声

 

もう何年も何十年も聞かなかったような郷愁を思い出す声

重い瞼をそれこそ最後の力を振り絞って開く

 

あなたは・・・・

 

 

 

「レアン様!」

 

はっきりと聞こえてきた声に目を開く。

目の前には心配そうな表情で私の顔を覗き込むメイドの姿があった。

 

「・・・マリナ」

「――レアンさまっ!どこか痛むところはありますか?マヒナお湯とタオルの用意をお願いします!」

「こちらに、レアン様お体に触れさせていただきます」

「えぇ、お願い」

 

随分と汗をかいていたらしい、体がベタついて少し気持ち悪い。

 

随分懐かしい記憶…あの頃は、たしかアイリスって名前だったかしら

 

さっきまで見ていた朧げな夢を思い出す、あの時最期に私を看取った彼女はあの後どうなってしまったのだろうか。彼女とは随分長い間一緒にいたせいか、今でもこうして夢に見る。

 

あれから私はもう何度も公爵の令嬢として人生を歩み

 

そして

 

その都度幾度もの死を重ねてきた

 

過去を遡れば一体いつからかこうなってしまったのか、

気の遠くなるような遥か昔から私は公爵令嬢をやっている。

 

始まりは、救世主と呼ばれる少女が私達が通う学院にやってきたことからだった。

彼女は異なる世界からやってきた不思議な力を持ち、この世界の情勢や貴族社会の常識に疎い少女だった。故にか彼女は婚約者のいる男性に対する接し方をよく知らず、

様々な男性と親密な関係を築いていた。

そしてそれは当時王子の婚約者であった私にとっても牙を向くことに、

結果としては私達が彼女をいじめていたとし、父が行っていた悪行や汚職の数々を持ち出され、国外追放を受け王国領を跨いだところでやけに身なりの整った盗賊に襲われ命を落とした。

次に目が覚めた時には私は自分が全く知らない世界の公爵令嬢として生を受けていた。当時は自分の身に起きたことに理解が出来ず周りとの会話に齟齬が生まれ、気が付けば乱心したと周囲からの烙印を押され幽閉されたかと思えば満足な食事を与えてもらえず、

その後どうなったかは言うまでもないでしょう。

 

「それでは、失礼いたします」

 

後ろからマヒナの声が聞こえてきて、意識をそちらに戻す

眼前で忙しなく動き回るマリナとそれにつられて揺れる彼女の茶髪のポニーテールが微笑ましくて

つい笑みが零れる。

「レアン様」

「うん?どうしたのマヒナ」

「…いえ、背中の方は終わりましたので…その、首回りの方を」

「あぁ、お願いしてもいいかしら」

「っ…はい!」

マヒナの声が少し弾んだように聞こえて、私の髪を丁寧に触れていく。

この時間がずっと続けばいい、益体ものない考えが頭を過ぎり、頭を振って否定する。

 

続けばいい

 

なんて、そうじゃないでしょう

 

続くようにする

 

そのためなら、どんなことだってしてみせる

 

そう…どんなことでも、ね

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