同じように勢いで書いているあちらは完結の道がうっすらと見えていますが、こちらは完結までの道筋は見えていませんし、更新はゆっくりです。
そして、魔術サイド所属のオリ主もっと増えろ・・・。
昔々、日本のある場所に存在する、祀られている神仏がいない神社仏閣で。とある目的のために色々な人間達が集まって儀式をしていた。それらのグループは外国から来た、ある渡来人がリーダーとなって作った組織だった。多種多様な個性を持つ人間達で構成されていた。しかも、全員が魔術師だ。
だが、彼らが行っている儀式は不自然なところがあった。その時代にそぐわない近代魔術寄りの儀式だったことだ。
何故、そうなっているかという理由を明かすと、この集団のリーダーの正体にあった。リーダーの渡来人は前世と近代魔術に関する知識を持っている転生者であったからだ。
「我らは仏教や神道、ヒンドゥー教、道教、民間信仰等。ベースとしている魔術や生まれてきた場所等は違うが、たどってきた人生と境遇は似たようなモノ。つまり同じ仲間だ。自分達が持つ知識を一つに集めて、我らのように迫害にあって差別される人間を救う神様を造るんだ。下地は出来ている、必ず成功するはずだ」
そして、造ろうとしている目標の神を構成する記号として活動していた人間達は儀式の最後の仕上げとして、後戸の扉を開けて続々と入っていったと思うと次々に世界から溶けるように消失していった。不思議なことに後戸の空間は異界と化していた。
後は最後に残った、転生者たる自分が後戸の世界で死んで、作ろうとしている神を構成するコアになることで完成だ。この儀式は8=3以上の位階になるために必要な通過儀礼である、古い自己を裁いて、新しい自己を獲得するという魔術的な行動に当てはまるかもしれないな。
人間の体は一つの宇宙で星でもある。そして、あらゆる人は怪物を創り、神になれる。これから訪れる未来で生まれる魔術師達が作った理論を実践するべく。翁信仰の元になった、翁と呼ばれる性別不明の長命の転生者が異界となっている後戸の空間に入って扉を閉めたのと同時に、死んだ仲間達の後を追うように消えていった。
しばらく時間が経って、閉まった後戸の扉が勢いよく開かれたと思うと、完全な異世界ともいえる後戸の世界から人影と服が構成されていく。
彼らの知識と肉体、信仰を糧にして生まれたのは金髪のロングヘアに冠を被っていて、緑色のスカートと北斗七星や星座が描かれている前掛けをオレンジ色の狩衣と組み合わせている服を着た、美しい女性だった。
その神は儀式の場所になった神社仏閣に相応しい祀るべき存在であった。神を造るという魔術師達の企みは成功したのだ。
髪の毛一本の隙間が無限に広がる、時間と空間の概念に囚われない、暗闇に包まれた隠世の世界でその神は椅子に座っていた。
私は『魔神』摩多羅神である。一部を除いた周りの魔神達から摩多羅隠岐奈と呼ばれているから摩多羅隠岐奈とも自称している。
勿論、姿は東方Projectの摩多羅隠岐奈だ。前世も含めて人間であった頃の姿は忘れてしまった。この世界に伝承や逸話として残っている私の活動を第三者視点として見たら、男性や女性、色々の姿で人間達に語られている。これを考えると性別は元から女性であったかもしれないし、男性だったかもしれない。
オティヌスと同じように位相操作による世界改変で姿が正確に伝わっていない可能性があるから当てにならないけどな。
「隠岐奈ちゃんの出生はネフテュスと大体、似たような感じだよ」
なんと!娘々は私の出生の秘密を知っていたのか!我々の中で最も起源が古いといえる、古参の魔神は伊達ではないな。そして、魔神ネフテュスと同じように造られた神だから、私に人間時代は存在しないのは当たり前か。
「ところで摩多羅隠岐奈は何をしているかしら?」
「現世に介入するための『後戸』の調整だよ。ネフテュス」
「ふーん、貴女自身が持っている無限の力と位相操作の主体性を『後戸』の世界に移して封じ込めるのか。実質、『後戸』が本体で肉の器は飾りという調整ね。それはそれとして我々が実存する世界へ介入することの影響はちゃんと考えているよね?」
「僧正がちゃんと考えて介入して、オティヌスによって起こる、上条当麻の方向性の乱れを無事に修正したんだ。同じ魔神の私が僧正と同じように演算出来ないと疑うつもりか?」
「それはそうね。今まで私達は世界に影響を与えないように慎重に動いていたから、考慮出来て当たり前だったわ。疑ってごめんなさいね」
摩多羅隠岐奈は魔神ゾンビの『鏡合わせの分割』の術式と似てるようで違う調整を自身の身体にしている作業の最中だった。目的の現世に介入するために。
魔神としての力を行使する際にいちいち『後戸』の世界から私を経由する必要性と手間が発生するが、これが上手くいけば、完全な魔神の強さを保ったままで世界を自由に歩き回れるようになるはずだ。
あらゆる宗教、神話の魔神達が平等に参画出来るための組織。『真のグレムリン』に所属する神々が会議をするために続々と集まっていく。
「よく考えたら魔神として失敗といえるけど、異質なオティヌスが羨ましいわ」
「基本的に隠世という『位相』にしかいれない我々と違って、絶大な力を持ちながら世界を壊さずに居座ることが可能だからな」
「その分、わたしは世界に対して好き勝手やったオティヌスには腹立っている訳よ。隠岐奈ちゃんもそう思って、無事に世界に存在できるように『後戸』を調整しているんでしょ?」
「まあ、そうだな。簡単に言えば、オティヌスという存在に嫉妬しているよ。後は私達の目的である、上条当麻に対しての調整でもある」
「では、グレムリンの真価を発揮するべく予定通りに事を進めるぞ」
会話は終わって、魔神達は散り散りに解散していく。
『魔神』摩多羅神も自身の能力の一つの『後戸』の調整の続きを再開しようと別の場所に移動する。
その一瞬手前の出来事だった。突然、彼らがいた場所の暗闇の『位相』が外部からの力で破断されていった。
土足で神域を壊しながら踏み込んだ下手人に魔神達の視線が集まる。
「やあ諸君。やっと見つけたぞ、『真のグレムリン』とやら」
魔神達を強烈な白い光で照らしながら現れたのは『人間』アレイスター=クロウリー。男性にも女性にも、子供にも老人にも見える『人間』の魔術師だった。
アレイスターはオティヌスによる位相改変の世界の崩壊に巻き込まれずに、隠世の座標を解析して十進法に変換して、侵入するついでに破壊する準備をしていたのだ。
安全地帯の隠世がついに消失したか・・・・。後戸の世界の調整は間に合わなかったな。
そして、私という原典の物語に存在しない魔神がいるのに、持っている知識通りに『人間』が動いてきたな。今まで予定通りに原作が進行していたが、ここからは未知のルートになる。私という存在がこれからの展開にどれくらいの影響を与えるのだろうか?
魔神達と話をしているアレイスター=クロウリーを見ながら摩多羅隠岐奈はそう考える。
「私も話に混ぜてくれないかね」
「ああ、秘神なのに秘匿されている知識を展開しちゃうんだー」
摩多羅隠岐奈が何を話すのかを予測した娘々がくすくすと笑う。
アレイスター=クロウリーを僧正が日記に残る涙の染みの話で煽っているところを割り込むように、摩多羅隠岐奈が椅子に座ったまま空間を滑るように動いたと思うと話をしだした。
「アレイスター=クロウリーよ。この秘神がこれから『人間』に訪れる素晴らしい未来を教えてやろう」
口元にうっすらと笑みを浮かべる摩多羅隠岐奈の声に、愉悦の色が混ざり始める。秘密を教えて『人間』に衝撃を与えたいという魂胆が透けて見えるようだ。
「まずはエイワス関係だが・・・」
完全に摩多羅隠岐奈の話を始まる前にアレイスター=クロウリーが動いて、先に攻撃を仕掛けた。この魔神をそのまま放っておくと、今の『人間』が持つ大切な属性を奪われる気がしたからだ。そう、復讐者という属性等を。
霊的蹴たぐりをすぐさまに摩多羅隠岐奈を筆頭とした魔神達に叩き込む。
それは見る者に思い浮かんだイメージを叩き込んで、問答無用で破壊する魔術。パントマイムに本物の価値を付随させる術式。
「航空支援式ビッグバン爆弾か!!」
摩多羅隠岐奈がこういう形状をしている兵器なのかと驚いている、一瞬の時間に魔神達が内包している『世界』全体を吹き飛ばすべく、後に人の歴史に産み落とされる可能性がある邪悪の一撃が炸裂した。
「衝撃の杖。すなわち対峙するモノから見てその威力を10倍に拡張」
追撃とばかりにアレイスター=クロウリーは、一本のねじくれた銀の杖の効果を発動させる。
現有する宇宙の限界を、ついに飛び越えた。それはあらゆる魔神を同時に相手取るための『人間』アレイスター=クロウリーの秘奥の技。ダメージを受ける者の想像力の限界はあるとはいえ、軽く見積もって宇宙を十回作るほどの膨大なエネルギーが魔神達の自我を襲った。いや、下手したら百倍の威力が魔神達に襲いかかっているだろう。なまじ、強大な力を持つ魔神という存在故に、ビッグバンの十倍のイメージをしやすいのだ。
だが、それでも魔神達は生きていた。数多の宇宙を破壊できるエネルギーで攻撃しても無限の世界そのものといえる、魔神達の体力は削りきれなかった。
「倍々ゲームで威力を巨大化させているとはいえ、宇宙を作り破壊出来るエネルギー程度で無限、AINSPH、00の数を象徴する魔神が簡単に倒れると思うなよ!アレイスター=クロウリーィ!!」
特に一番ダメージが少なかったのは摩多羅隠岐奈だった。
『魔神』摩多羅神を構成する記号の一つの翁という神様は、無限に形を変える宿神こと星宿神。つまり「絶対神」であり、宇宙創造の始まりから既に存在すると言われている。それ故に宇宙を造ることが出来る要素があるビッグバン爆弾という攻撃に余裕で耐えることが出来たのだ。
そして、お返しとばかりにアレイスター=クロウリーに摩多羅隠岐奈の反撃が襲いかかった。
摩多羅隠岐奈の背後の空間に『後戸』が展開されたのと同時に、アレイスターの背中を起点として、肉体の表面や芯まで、あらゆる体の場所を均等に不自然なダメージが同じタイミングで浸透したと思うと後方の空間に『人間』を無限に吹き飛ばしていく。無限に吹き飛ばすといっても隠世の世界では大した距離にならなかったが。
その魔術の正体は摩多羅神を構成する色々な要素が『秘神』としてごちゃ混ぜになっている故に結果的に生まれた、謎に包まれた属性を持つ攻撃であり。『後戸の世界』を経由した絶対必中の術技だった。
尚、当の彼女は、絶対必中の攻撃だけが取り柄ではないとはいえ、塩試合確定メーカーになる、華がない、つまらんモノとボロクソに自分の術式を評価している。あまりにも便利で強すぎるとかえって不満が出るものだ。
「これは魔神のなりそこないのオッレルスの魔術の『北欧玉座』や貴様が学園都市で飼っている原石の超能力者の削板軍覇の能力と似て非なる表現不明、理解不能、説明不能な応用の幅が広い万能の魔術だよ。『人間』よ、これを受けてもまだやるかい?大人しく去るなら、見逃すという選択肢を取るが」
そう喋る摩多羅神の黄色の瞳の色は、魔神やアレイスター=クロウリーやオッレルス等の魔神になれる資格者特有の碧色に変わっていった。
「慈悲を見せる言葉とは裏腹にノリノリじゃん。隠岐奈ちゃんの闘争心に完全に火がついているね」
「娘々。儂らは戦闘狂な性質を少なからず持っているから、摩多羅隠岐奈が持っていても不思議ではなかろう」
私だけでなく、他の魔神達の闘争本能も燃え上がっているな。この数でアレイスターとの戦闘に突入するのは弱い者虐めをしているようで被差別民の神としては乗り気にならない気持ちになってしまうが、『人間』アレイスターはどう出る・・・?
「まだやるよ。魔神共」
「よかろう。『人間』アレイスター=クロウリー!さあ、神々と共に暗黒の能楽を舞おうではないか!!」
壊れゆく『隠世』という世界のどこかにある場所で魔術を根絶せんとする『人間』と魔術を極めた魔神達の闘争が始まった。
魔神キメラやプロセルピナでギリシャ神話が被っているから、摩多羅神と僧正で仏教が被っても問題ないですよね。