とある後戸の摩多羅神   作:一般通過龍

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魔神僧正の宗派 真言宗
聖白蓮が住職の命蓮寺 真言宗
摩多羅神 当然のように真言宗関連の神仏を習合している。

クロスオーバー真言宗三位一体できた!


秘められし法則への扉

さて・・・・『僧正』が上条当麻に恋文ラブレターを出すのに、後一日あるな。

その間にアレイスターめの箱庭でどのように暗躍してやろうか。

 

学園都市の高層ビルの上に立って、夜空に広がる星々を見て考えごとをしていた人物がいた。『魔神』摩多羅神こと『秘神』摩多羅隠岐奈である。

 

彼女は暇つぶしとして自身が持つ力で学園都市の内部、例えば統括理事会や比較的マトモな好普性こうふせいの性質を持つ暗部組織に潜入や介入して、アレイスター=クロウリーの箱庭としての学園都市とプランが内側による内乱でどのくらいで崩壊するかの境界を見定めるために強度テストしてやろうかという、よからぬ考えごとをしていた。

 

学園都市をより良い街にしたいという、そんな住民達の善性や思い、祈りを利用してアレイスター=クロウリーに対抗する。上手くいったら学園都市を乗っ取って統括理事長になって、より治安が良い街にする。摩多羅隠岐奈は『人間』に対した嫌がらせも込めた魂胆も抱いた計画を立てていた。

 

残った嫌普性けんふせいの暗部の人間や組織はまだまだいるが、そこは私が直接潰せばいい。『暗部の天敵』藍花悦あいはなえつに頼まれて、少し前に動いた時は早く来た規模が小さいハンドカフスイベントだったが、今回は徹底的にやるぞ。

 

そう意気込んでいる摩多羅隠岐奈に近づく二人の人影がいた。

 

「お師匠様、夜空の星々を見ながら何を考えているんですか?」

 

「後戸の神でもある摩多羅隠岐奈という存在だけでなく、ほかの魔神達でもあんな小さな星々をすぐに手に入られるのに。良ければ私達が代わりに持ってきましょうか?」

 

丁礼田舞と爾子田里乃だ。

摩多羅隠岐奈のお付き人の二童子である。

 

「摩多羅神という神格が星神という肩書きを持っていることを知っているのに、尋ねてくるとは・・・・。連想ゲームで何で私が星々を見ているのかすぐに理解できるだろう?この占星術が終わったら、色々な魔術の知識を二童子お前達の頭に叩き込んでじっくり教えてやる。最低限、この摩多羅隠岐奈のことが完全に分かるくらいに叡智を授けるから覚悟しろよ」

 

「どうしよう里乃!お師匠様に頭が破裂されるほどに勉強させられるよ」

 

「お師匠様怖いー」

 

一旦、星空を見ることをやめて、自身の背後ではしゃいでいる二童子に振り返った摩多羅隠岐奈はある欲望を晒けだしていた。彼女からだだ漏れになっていたモノの正体は魔術や自身のことをたっぷりと教えたいという気持ちだった。

 

しかし、本当に魔術サイドの人間は教えたがりな先生気質な人物が多い。特に上位陣に顕著だと思う。

この世界の摩多羅隠岐奈も魔術師達と同じような学者肌な存在だから、教えたがり解説したがりなのか。それとも彼女を構成している人間達の中に学者肌や研究者気質な魔術師が多かったのが理由なのか?

とにかく今の摩多羅隠岐奈は、自身の叡智を弟子に授けて成長させたいという賢者のような思考になっていた。

 

そう、知の大女神と呼ばれた偉大なる女魔術師アンナ=キングスフォードのように・・・。

 

それはそれとして。わざとらしく抱き合って、怖がっている二童子の丁礼田舞と爾子田里乃に対して、グヘヘという言葉が似合いそうな表情とポーズをしながら手をいやらしく動かすのが凄く様になっているのは気の所為だろう。多分。

 

 

(星々世界の運行は順調。運命は私に味方している。今のところ、全てが私の都合通りに動いてくれる予定で助かる。天体制御アストロインハンドや位相操作能力を使うまでもない)

 

二童子とのおふざけを終えた彼女は、改めて占星術で自身と世界の未来を観測するという擬似的な未来予知の続きを開始した。

 

キングスフォードレベルの達人の魔術師のような存在になると、冴え渡る星々を見ただけで世界の過去や未来を検索できるようになる。勿論、IFもしもの世界の情報にもアクセスできる。それは全知に近しい存在になるのと等しいことだろう。

 

摩多羅隠岐奈という存在は、そのレベルの領域まで魔術師としての腕を鍛えていた。

2段、3段とステップ飛ばしで神格になった結果、馬鹿デカい出力に対して技量が釣り合ってないと言われて、アレイスターのようなトップクラスの魔術師なら普通に出し抜ける、セフィロトの樹登りしか脳がない馬鹿共筆頭の存在という感じに大悪魔コロンゾンに愚弄された有象無象の魔神達とは違うのだよ!という感じに。

 

ただし、魔術の腕を鍛え始めたきっかけはしょうもないモノだった。

薔薇十字団や『黄金』みたいな出力ではなく、技量トップクラスの魔術師達を原作知識で知っていたために対抗心を燃やした。そんな些細な理由だった。

 

今も彼女は魔術師としてのレベルを上げ続けている。魔神は魔術師としての到達点ゴールではないということを理解している&別の目標を見つけた故に。

 

その結果、彼女は星宿神や星神、道教の天皇大帝や仏教の妙見菩薩、神道の天之御中主神あめのみなかぬしのかみ、ヒンドゥー教のシヴァ等といった星に関する神仏の要素があるとはいえ、膨大な情報を簡単に入手できる、精度が高い占星術を使いこなせるレベルまで到達した。それに魔神という存在が持つ膨大な出力を加えることで無理矢理、天体制御で星々の流れを変えることで逆説的に運命や時間を操るという荒技も可能になった。

 

まあ、彼女には位相操作による世界改変や暗黒の宇宙とも呼べる『後戸の世界』があるから、わざわざ現世に存在する星々を観測したり、操作する必要はないが。

 

 

尚、別の世界線には原理は違うが同じように時間を操作する原石の能力者『ホワイトプレイヤー』と魔術師『レッドプレイヤー』がいるが、この世界線では摩多羅隠岐奈が『魔神』として責務で穏便に能力だけを『処理』したことで、そのような能力者や魔術師は生まれない世界になった。

 

(・・・・星の位置がずれた。表舞台に出ずに暗躍していたら、上条当麻によって失敗した挙げ句にとんでもない目に遭う運命に変動したか。困ったな)

 

摩多羅隠岐奈が運命が変わった原因を探りながら、今後の立ち回りを考えている時に、いつの間にか現れたある人物が横から声をかけてきた。

 

「摩多羅隠岐奈よ、お主が上条当麻の元に行って、儂らの採点者にしてこい」

 

本人は気づいてないようが、無意識に運命原作の流れを変えてしまった魔神『僧正』である。

 

「なにっ!?」

 

元凶を見つけた瞬間に学園都市で暗躍するために作っていた計画が彼女の身体の中でガラガラと崩れる音がした。

 

IQや地頭の良さは別物と言われるように、摩多羅隠岐奈の計画の強度とやらは、持つ叡智の量と比例しないようだ。アレイスター=クロウリーが大体ライブ感で動いて、アドリブで修正して進めている『プラン』よりもガバガバですぐに崩壊するモノらしい。

 

 


 

12月2日。

 

学園都市の第七学区のファミレスで摩多羅隠岐奈、娘々、ネフテュス、プロセルピナといった四柱の魔神達が一つのテーブル席に陣取りながら一緒に食事をしながら会話をしていた。

性別が女性の魔神達が集まって仲良く会話しているから一見したら女子会のように見える。ただ、変な人間がたくさんいる学園都市基準でも四柱の魔神の服装は充分に変だと思える。

特にはいていない・・・・・・奇抜なファッションをしている娘々とネフテュス。

 

ちなみに他の魔神達はそれぞれの方法で現世をエンジョイしている。例を挙げると僧正はインターネットカフェでネットサーフィンをしていて、魔神ヌァダは賽やルーレットを回して博打を楽しむというギャンブル中毒者への道を歩んでいて、自身の美を追求していく内にいつの間にか魔神になってしまったという、なんとも摩訶不思議で唯一無二な経緯を持つナルシスト野郎なキメラは学園都市で買った美容品で更に自分の美しさを追求していた。

 

とにかく色々な魔神達が学園都市を練り歩いて、様々な娯楽を満喫して楽しんでいた。今のところ被害が出ていないのが不思議なくらいだ。

 

「という訳で。私、摩多羅隠岐奈が上条当麻を『グレムリン』に所属する魔神達を代表として、採点者にするように動くことになったのだよ。どうやったら勧誘できると思う?」

 

計画を放り投げて、魔神達が平等に参画するための組織『グレムリン』に所属する一柱の魔神として動こうと決めた摩多羅隠岐奈が相談を投げかける。

 

「得意の占星術でそういう流れを作って持ち込んだらどう?そうしたら上条当麻を魔神達わたし達の採点者にすることが成功すると思うわ」

 

しとやかな声がした。

 

摩多羅隠岐奈に返事をしたのはギリシア神話のペルセポネと習合しているローマ神話を基盤とした魔神プロセルピナ。

その女神は喪服の美女の姿をしていた。

 

「良いアイデアありがとう。でも、私は世界改変や占星術による運命や時間操作はなるべくしないように心掛けているし、今はそんなに必要性を感じないよ」

 

「ところで話は変わるけどさぁー。なんで隠岐奈ちゃんがアレイスターのヤツに新たなパラメーターを書き込められて、内部構造を改竄されてないの?大体は種が分かっているけど、詳しく教えてちょうだい」

 

理論より実践。学者よりも発明家タイプよりの人種な魔神の娘々がぶかぶかの袖で自身の胸をとんとん叩きながら、隣にいる摩多羅隠岐奈に問いかける。

 

「そうだな・・・。セフィロトの樹をあえて下降することで、人間の範疇である7=4以下の位階になって術式のターゲットではないと偽装したり、私なりにアレンジした聖母崇拝の術式で改竄を呪い認定して弾くようにする、摩多羅神という神格に習合、内包されている神仏にある側面や要素を参考にして作り出した魔術で対抗する・・・・等と色々対策していたおかげで難を逃れたよ。そもそもアレイスターの視点に立てばどのように魔神に対抗するかが演算できるはずだ。慢心しすぎ」

 

エッセンスとして『薔薇・・』のエキスと花弁が入っているイチゴパフェを十字・・のような形状をしているスプーンで掬って口の中に入れた。

 

(ははーん、それだけじゃなく薔薇十字ローゼンクロイツ系統の魔術で対抗したんだ。秘密主義な魔術結社アイツラは『秘密』や『謎』という要素に深く関係がある以上、謎の神である『秘神』摩多羅神と相性がいいのは当たり前だよね。そして今も自身の研鑽を続けている隠岐奈ちゃんは勉強熱心だねー)

 

いかにも美味しいという感情が伝わってくる美しい笑顔で幸福を感じながらパフェを食べている摩多羅隠岐奈を見ながら、娘々はネフテュスやプロセルピナと同じように舌鼓を打ちながらパフェを食べるついでに彼女が薔薇十字団系統の魔術を使える理由を考える。

 

子供から大人でも分かる工作キットの開発ツールのように魔術を理解しやすいように作り直して広めた『黄金』と違って『薔薇』は秘密は秘密のままで良しとした。そんな『謎』のベールに包まれた魔術結社だ。

 

謎である故に同じように謎のベールで秘匿された神である摩多羅神が『薔薇十字』の亜流である『黄金』に所属していたアレイスターが仕掛けた弱体化に対応できた理由はそこにあるかもしれない。

 

ただ、摩多羅隠岐奈を構成する材料になった人間達の中にいた近代魔術の知識を持っていた転生者が薔薇十字団の流れを汲んでいたおかげの可能性もある。

 

ちなみにアレイスター=クロウリーと木原脳幹によって薔薇の記号が埋め込まれた十字架に磔にされて荼毘に付した魔神『ゾンビ』の死体は摩多羅隠岐奈によって『後戸』に入れられて分解された挙げ句、彼女を構成する要素の一つになった。

摩多羅隠岐奈曰く、多文化に広く関わって活動していた彼女という魔神は共通する要素が意外とあったから、とても取り込みやすかったよ。らしい。

 

 

 

『後戸の世界』。

 

出された料理を食べ終わった四柱の魔神達が集まっていた。

ファミレスにはちゃんと律儀にお金を払ったから食い逃げという犯罪になっているわけではない。

 

摩多羅隠岐奈はそこで自身の思惑を三柱の魔神達に話そうとした。別に話しても損になるものではないと思ったから。

 

「我々、『グレムリン』の魔神達の目的は形のない『安心』を得るために幻想殺しイマジンブレイカーを持つ上条当麻を採点者にして形を与えることだよな。でも、摩多羅隠岐奈という神には違う目標があって上条当麻を必要としているのだよ。私の目標を達成するのを手伝ってくれたら『後戸の世界』で好き放題に暴れ回っても構わない」

 

 

弱体化しても魔神は強大な力を持つ存在だ。彼らから見たら世界は砂上の楼閣に過ぎない。故に自分達を収めることが出来る存在や枠組みを欲している。本命は幻想殺しを持つ上条当麻、次点が理想送り。それだけだったはずが、この世界では全盛期の魔神達を纏めて収納できる『後戸』を持つ摩多羅隠岐奈がいた。

 

これまでは色々な魔神達が使わせてちょうだいとお願いしても、彼女は理由をつけて全部断っていた。

 

だが、遂に『後戸の世界』を自由に使えて暴れ回るチャンスが来たのだ。魔神達は摩多羅隠岐奈の目標を達成するのを出来る限り手伝う気分になっていた。

 

「私の目標は見れば分かりやすいと思うから、この場で見せるぞ。二童子お前達も見ろ」

 

 

「お師匠様、アレをやるんですか!?」

 

「ああ、やるとも。まだ不安定だがな」

 

「無理はしないでくださいね」

 

いつの間にか姿を現していた丁礼田舞と爾子田里乃に椅子に腰掛けている摩多羅隠岐奈を心配するように声をかけた。

 

『『見るがいい!!未踏の領域に入っていない魔神達よ!!達が仕える究極の絶対秘神の『真の姿』を!!!!』』

 

そして二童子が声を大きくして、主人を紹介したのと同時に摩多羅隠岐奈が世界から消失した。

 

代わりに摩多羅隠岐奈がいた場所に『後戸』が出現した。よく見ると『後戸』には白い影になっている摩多羅隠岐奈がいた。そして魔神達がいる『後戸の世界』に摩多羅隠岐奈にとって都合の良い法則が扉から流出したと思うとあっという間に拡散していく。

 

 

(これは・・・・。後戸の世界は自身の体そのものと言っていたけど比喩じゃあないね。この世界は文字通りに摩多羅隠岐奈という存在に満ちた宇宙になっているわ)

 

目の前でかろうじて摩多羅隠岐奈という存在を示す影がうっすら残っている『後戸』を見たことでネフテュスは今の彼女の状態を理解した。

 

今の彼女は後戸の神という『魔神』からあらゆる神々や謎、神秘を内包して秘匿する『後戸』という法則ルールそのものに純化しかけていた。

 

だが、彼女は『後戸』の姿から元の摩多羅隠岐奈という女性の姿に急いで戻った。

 

「今のを見てどう思う?」

 

「『魔神』より上の領域、向こう側の存在になりかけていたね。あの状態の隠岐奈ちゃんをランク付けするなら『未踏級』かな?」

 

『後戸』そのものになっていた摩多羅隠岐奈の性質を少しでも捉えることができた娘々が、その姿の彼女を見た瞬間に頭の中に思い浮かんできた言葉をそのままを採用して『未踏級』と名付けた。それは異なる世界で神々が住まう異界のルールそのものな存在に付けられるランクだった。

 

「でも自我は大丈夫かしら?あのままだと消える感じがしたけど」

 

ネフテュスが心配そうに声を摩多羅隠岐奈にかけてきた。

 

「全然大丈夫じゃあない。普通に消失して、自分が何者なのかが分からないただの力の塊になる」

 

摩多羅隠岐奈はヒンドゥー教のブラフマンや道教の太極の前身の無極、仏教の『くう』という概念、そして自身と一体化している『後戸』。これを上手く利用すれば純化して神より上の存在になることができるのでは?と思って、AINSPHアインソフより上の領域を好奇心で目指したのである。

 

到達したのはいいが、絶対という言葉に相応しい力と引き換えにしばらくしたら自我が消失することが分かったことで『魔神』のままでいようとすぐに引き返したが。

 

「大体分かったわ。だから私達が生み出した幻想殺しを持っている基準点の上条当麻を摩多羅隠岐奈は必要としているのね」

 

摩多羅隠岐奈が上条当麻を基準点として、法則になった自身の自我を安定させたいということを理解したプロセルピナが呆れて顔を手で覆っていた。

 

 

 

 

 

 




同じ鎌池作品の未踏召喚の要素も入れました。
勿論、ちゃんと未踏召喚を買っていますし、読んでいます。
魔神が神格級相当と言われているから、禁書世界に未踏級がいたら万物全ての原因なき原因。無そのものであるAINアインになるのでは?と独自解釈しました。

ただ、この解釈には欠点が存在します。創約9巻でドラゴン上条当麻との戦いで世界を壊さずにアイン、アインソフ、アインソフオウルの力を魔術として行使したクリスチャン=ローゼンクロイツ(ヨハン=ヴァレンティン=アンドレーエ)の叡智凄くね?になるということです。
CRC(老骨)すげぇ・・・。解釈次第では魔神や未踏級と思える力を現世で平然と行使していることになるから。
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